日本からの輸出に関する制度

牛肉の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する牛肉のHSコード

0201:
牛肉(生鮮のものおよび冷蔵したものに限る)
0202:
牛肉(冷凍したものに限る)
0210.20:
肉および食用のくず肉(塩蔵し、塩水漬けし、乾燥しまたはくん製したもの)ならびに肉またはくず肉の食用の粉およびミール(牛肉)
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中国の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2020年10月

中国は、2001年9月に日本で牛海綿状脳症(BSE)が発生したことを受け、日本産牛肉に対しての輸入禁止措置が発動されました。さらに、口蹄疫の発生を理由に、2010年から日本産の偶蹄類動物(豚、牛、ヒツジなど)およびその製品の輸入禁止措置を実施しています。

そこで、中国の税関総署と農業農村部は2019年12月19日に2001年の牛海綿状脳症(BSE)の発症を受けた、日本産の月齢30カ月以下の骨なしの牛肉(骨から分離した肉)の輸入禁止措置について、解除すると発表しました。また、同日、口蹄疫の発生を理由に、2010年から実施されていた日本産の偶蹄類動物(豚、牛、ヒツジなど)およびその製品の輸入禁止措置も解除すると発表しました。

肉類の輸入について、2018年7月24日に税関総署より公布された「中国向け輸出予定の肉類製品評価審査手続」によると、中国向けに肉類を輸出予定の輸出国企業は、中国において、「評価審査要求に合致する国または地域から中国向けに輸出する肉類製品リスト」への登録申請を行う必要があります。実際に中国に肉類を輸出するのは、リストへの登録完了後、それが税関総署ウェブサイトに公示されてから可能となります。

なお、2020年9月17日更新の「評価審査要求に合致する国または地域から中国向けに輸出する肉類製品リスト」によると、中国は日本産牛肉に対する輸入規制を緩和したとはいえ、評価審査要求に合致する国の中に日本はまだ入っていません。そのため、現時点において、日本産牛肉はまだ中国に輸出することができません。

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2. 施設登録、商品登録、輸入許可等(登録に必要な書類)

調査時点:2020年10月

※前述「輸入規制 1 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」のとおり、日本から中国への牛肉およびその製品の輸出は不可ですが、本項目以降は、今後輸出可となった場合に必要となる事項について記載します。

「食品安全法」第96条により、日本の食品輸出事業者または代行業者は、食品を輸出する前に、税関総署に届出を行わなければなりません。また、中国に食品を輸出する日本の食品生産企業は、税関総署への登録申請を行わなければなりません。

輸出事業者または代行業者による届出

「輸入食品輸出入事業者届出管理規定」第4条、第5条によると、食品の輸出にあたり、日本の輸出事業者または代行業者は、中国税関総署に届出を行わなければなりません。届出を行うにあたり、「インターネット+税関」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを通じて、次の資料を提出します。なお、提出する資料の真実性には責任を負わなければなりません。

  1. 届出書(企業情報、生産・販売する食品の種類および中国の取引パートナーの情報および誓約書を含む)
  2. 輸出事業者または代行業者の名称、国または地域、住所、担当者名および電話番号、生産・販売する食品の種類、届出書の記入者情報および電話番号など

食品生産企業による登録

「輸入食品国外生産企業登録実施目録」によると、枝肉、内臓肉および副産物、ならびにこれらを原料とする製品(缶詰製品を除く)など、ヒトの食用に供する、と畜された動物の肉・肉加工品の生産企業は、中国に輸出する前に、税関総署への登録申請を行わなければなりません。当該登録手続きはオンライン上で行うことが可能です。また、「輸入食品・化粧品の輸出入事業者届出システム」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(http://ire.customs.gov.cn/)のうち、「海外製造施設の記録システム(Information Recording System for Manufacturer Overseas)」での登録も必要です。

税関総署ウェブサイトの「インターネット+手続ガイドライン」に掲載されている「輸入食品国外生産企業登録ガイダンス」によると、輸入食品の中国国外の生産企業は次の資料を提出する必要があります。

  1. 「輸入食品中国国外生産企業登録申請表」
  2. 輸出国(地域)における、動植物の疫病発生の状況、獣医師の衛生、公衆衛生、植物の保護、農薬・動物用医薬品の残留に関する基本状況報告書、食品生産企業の登録管理および企業衛生規範の要求などに関する法律法規および標準・規範(中国語または英語)。
  3. 輸出国(地域)の管轄当局機関の設置状況および人員の状況(中国語または英語)。
  4. 輸出国(地域)の管轄当局によるその推薦企業の検疫、衛生規制の実際の状況についての評価回答書(中国語または英語)。
  5. 登録を申請する中国国外の食品生産企業のリスト(中国語または英語)。
  6. 企業登録申請書。必要な場合、工場敷地、生産現場、冷蔵・冷凍倉庫の平面図、工程図など(中国語または英語)を提供する。
  7. 輸出国(地域)の管轄当局によるその推薦企業が中国の法律法規の要求を満たしていることについての誓約保証書(中国語または英語)。

輸入動/植物製品の国外生産、加工、保管事業者登録登記

「輸出入動植物検疫法実施条例」第17条に基づき、中国向けに輸出する動植物製品の生産、加工、保管を行う国外の事業者に対し、登録登記制度を実施しています。当該登録登記制度については、中国税関総署のウェブサイトで公表されている「輸入動/植物製品の国外生産、加工、保管事業者登録登記」を参考にすることができます。それによれば、水生動物、飼料および飼料添加物、穀物類以外のその他動植物製品を中国に輸出する場合、次の資料を準備し、登録登記の手続きを行う必要があります。

  1. 輸出国(地域)の関連する植物疫病、植物保護、農薬残留、生産企業の登録管理および衛生要求などに関する法令および標準規範
  2. 輸出国(地域)の主管当局における部門・人員の配備状況
  3. 企業に関する情報:企業の名称、住所、許認可番号
  4. 製品の登録情報:製品の登録名称、主な原料、用途など
  5. 所在国(地域)の主管当局が、推薦される企業に対する検査検疫、衛生監督の実際的な状況についての評価

輸出事業者から提出する資料について、当該国(地域)の公的検疫主管機関が、中国大使館を通じて税関総署に申請書類を提出する、またはその他所定の方法で提出します。

輸出に必要な書類

当局発行の検疫証明書、衛生証明書、産地証明書などを事前に準備しておく必要があります。
なお、日本産の牛肉は、現時点において、中国に輸出することができない(「評価審査要求に合致する国または地域から中国向けに輸出する肉類製品リスト」に入っていない)ため、輸出に必要な書類は不明です。

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3. 動植物検疫の有無

調査時点:2020年10月

牛肉の輸出にあたっては、輸出事業者より日本での輸出検査を受け、当局発行の検疫証明書を添付する必要があります。

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中国の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2020年10月

牛肉に適用される食品安全国家標準として、「食品安全国家標準 生鮮・冷凍家畜家禽製品」(GB2707-2016)が挙げられます。この標準には、原料要求、官能評価の要求、理化学的指標、汚染物質上限値、農薬、動物用医薬品の残留基準について規定されています。そのうち、理化学的要求は次のとおりです。

牛肉にかかる理化学的指標
項目 指標 検査方法
揮発性塩基性窒素/(mg/100g) 15 GB5009.228

「中華人民共和国国家標準生鮮・冷凍分割牛肉」(GB/T 17238-2008)には、分割牛肉の原料、加工方法、官能評価、理化学的指標、農薬・動物用医薬品の残留基準、微生物指標などに対する要求、検査方法、包装および輸送・保管などについて定めています。

「照射冷凍包装家畜家禽肉類衛生標準」(GB 14891.7-1997)には、照射を経た包装済みの冷凍家畜家禽肉類の原料、照射線量、官能評価に関する要求、理化学的指標、微生物指標、包装、検査方法などについて定めています。そのうち、照射線量および理化学的指標は次のとおりです。

照射線量:照射を経た包装済みの家畜家禽肉類の平均吸収線量は2.5kGyを上回ってはなりません。

照射を経た包装済みの冷凍家畜家禽肉類にかかる理化学的指標
項目 指標
揮発性塩基性窒素/(mg/kg) ≦ 20
水銀/(mg/kg) ≦ 0.05

なお、中華人民共和国国家標準には、強制標準(GB)と推奨標準(GB/T)があります。GB/T 17238-2008は推奨標準のため、順守は任意です。

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2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2020年10月

「中華人民共和国国家標準生鮮・冷凍分割牛肉」(GB/T 17238-2008)によると、生鮮・冷凍分割牛肉における残留農薬基準については「食品安全国家標準 食品中農薬最大残留上限値」(GB2763-2019)に適合しなければなりません。
また、「食品安全国家標準食品中動物用医薬品最大残留上限値」(GB 31650-2019)の規定も順守する必要があります。

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3. 重金属および汚染物質

調査時点:2020年10月

重金属

「食品安全国家標準 食品中汚染物上限値」(GB2762-2017)は、牛肉の重金属上限値について次のように規定しています。

牛肉における重金属および汚染物質の最大残留上限値
重金属および汚染物質 食品種類 品目 上限値
肉・肉製品 肉類(内臓除く) 0.2mg/kg
内臓 0.5mg/kg
肉製品 0.5mg/kg
カドミウム 肉・肉製品 肉類(内臓除く) 0.1mg/kg
肝臓 0.5mg/kg
腎臓 1.0mg/kg
肉製品(肝臓製品、腎臓製品除く) 0.1mg/kg
肝臓製品 0.5mg/kg
腎臓製品 1.0mg/kg
総水銀 肉・肉製品 肉類 0.05mg/kg
総ヒ素 肉・肉製品 肉・肉製品 0.5mg/kg
クロム 肉・肉製品 肉・肉製品 1.0mg/kg
ベンゾ[a]ピレン 肉・肉製品 くん製肉、加熱加工肉 5.0μg/kg
N‐ニトロソジメチルアミン 肉・肉製品 肉製品(肉類缶詰を除く) 3.0μg/kg
乾燥熟成肉 3.0μg/kg

微生物上限値

生食用肉製品は「食品安全国家標準 食品中病原菌上限値」(GB29921-2013)の規定にも合致する必要があります。

牛肉における微生物上限値
検査項目 m M
サルモネラ菌 0
リステリア・モノサイトゲネス 0
黄色ブドウ球菌 100CFU/g 1000CFU/g
腸管出血性大腸菌O157:H7(牛肉製品のみに適用) 0
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4. 食品添加物

調査時点:2020年10月

牛肉に限らず、食品の成分として使用できる添加物および栄養強化剤は、主に国家衛生行政機関が公布した「食品安全国家標準 食品添加物使用標準」(GB2760-2014)、「食品安全国家標準 食品栄養強化剤使用標準」(GB14880-2012)によってそれぞれ規定されています。

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5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2020年10月

中国に輸入される牛肉の包装材は食品安全国家標準を適用しなければなりません。

「家畜家禽肉コールドチェーン輸送管理技術規範」(GB/T 28640-2012)によると、家畜家禽肉の包装材料はGB/T4456、GB9687、GB9688、GB9689などの国家標準に適合しなければならず、包装用フィルムの再利用はできません。外装には保存温度の上限値と下限値について表示する必要があり、また、その他の食品接触材については、次の標準にも合致する必要があります。

食品安全国家標準については、「食品安全国家標準 食品接触材および製品の汎用的安全要求」(GB4806.1-2016)、「食品安全国家標準 食品接触材および製品用添加物使用標準」(GB9685-2016)、「食品安全国家標準 食品接触用塗料およびコーティング」(GB4806.10-2016)などの主要な標準が適用されます。また、包装の具体的な材質などに応じて「食品安全国家標準 食品接触用プラスチック樹脂」(GB4806.6-2016)などの具体的な一連の標準に適合させる必要があります。

一次農産物については、「農産物包装および標識管理弁法」の規定にも適合していなければなりません。同法では、分解および搬送がしやすいように、農産物の包装は農産物の貯蔵、輸送、販売および安全についての要件に適合していなければならず、農産物の包装材料および農産物に使用する鮮度保持剤、防腐剤、添加物などの物質が国家強制技術規範の要求を満たす必要があり、包装によって機械的な損傷および二次汚染を防止しなければならないと規定されています。

また、「輸出入肉類製品検査検疫監督管理弁法」第14条の規定によれば、中国に輸出される生鮮肉類・冷凍肉類製品の包装材・外装材は無毒、無害の材料を使用し、破損がないものでなければなりません。

「照射冷凍包装畜家禽肉類衛生標準」(GB 14891.7-1997)によると、照射前、冷凍分割家畜家禽肉は、食品包装用複合フィルムで密封し、外装箱の隙間は防水テープで封をしなければなりません。

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6. ラベル表示

調査時点:2020年10月

「中華人民共和国国家標準生鮮・冷凍分割牛肉」(GB/T 17238-2008)によると、牛肉の容器包装上の表示は「食品安全国家標準包装済み食品表示ラベル通則」(GB 7718—2011)に合致しなければならず、外装上の表示は「運輸包装荷受出荷標示」(GB/T6388)の規定に合致しなければなりません。

「輸出入肉類製品検査検疫監督管理弁法」第14条および「食品安全国家標準包装済み食品表示ラベル通則」(GB 7718-2011)によると、包装済み牛肉には、次の内容を表示したラベルを付さなければなりません。

内装:
  1. 名称
  2. 原産国および地域
  3. 生産企業の登録番号、生産ロット番号
  4. 輸入事業者(代行業者、輸入事業者または販売代理店)の名称、住所および連絡先
  5. 製造日、賞味期限、保存方法
  6. 正味含有量および規格
  7. 品質等級、加工技術(当該食品の関連標準が食品品質等級、加工技術の明記を要求する場合)
  8. 検査検疫済みの証明ラベル、番号などを添付する必要がある
  9. その他表示すべき内容(照射食品、遺伝子組換食品など)
外装:
外装材には規格、産地(州/省/市まで具体的に記入)、品名、仕向地、生産日、生産企業の登録番号、生産ロット番号、品質保証期間、検査検疫済みの証明ラベルまたは番号、貯蔵温度などの内容を中国語で明記しなければならず、仕向地を中華人民共和国と明記し、輸出国または輸出地区の公的検査検疫標識を付さなければならない。
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7. その他

調査時点:2020年10月

「中華人民共和国国家標準生鮮・冷凍分割牛肉」(GB/T 17238-2008)によると、分割牛肉は温度が0℃~4℃、相対湿度が80%~95%の保管倉庫に保存しなければなりません。

なお、中国各地では、コロナ感染症拡大防止の対策として、コールドチェーン食品のトレーサビリティ制度が整えられています。例えば、北京市では2020年11月1日に「北京市コールドチェーン食品追跡プラットフォーム」の運営が開始され、北京市のすべてのコールドチェーン食品生産・経営(含輸入食品)機関は、冷蔵・冷凍の肉類製品、水産物の生産地および出荷先などのデータを同プラットフォームにアップデートするほか、追跡用コードを印刷したラベルを商品に貼付する必要があります。消費者は、携帯アプリの微信(WeChat)や支付宝(アリペイ)のミニプログラム「北京コールドチェーン」を使って、追跡用コードをスキャンすれば、購入する商品の品質安全や流通経路を調べることができます。

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