ナイジェリアの貿易投資年報

要旨・ポイント

  • 高インフレ、高金利、ナイラ安でも、前年以上の経済成長。対内直接投資も回復。
  • 通貨安で輸入は大幅減、貿易黒字が拡大。
  • 輸入の25%はガソリン。ダンゴテ製油所稼働でガソリンの輸入削減、輸出が始動。
  • 政府は石油増産方針を維持。外資は盗難、破壊リスクを避け陸上油田を売却、海底油田に投資。
  • 日本向け天然ガス輸出が急増。

公開日:2025年10月17日

マクロ経済 
高インフレ、高金利のなかで経済成長、外貨準備高も改善

2024年のナイジェリア経済は、堅調な経済成長を記録した。IMFによると2024年の実質GDP成長率は3.4%で、前年の2.9%を上回った。ボラ・ティヌブ政権の発足後、2023年に燃料補助金を廃止したことでガソリン価格が急騰し、2024年6月には食品価格上昇率も年率40.9%に達した。中央銀行(CBN)はインフレ抑制と為替安定を図るため、政策金利を年初の18.75%から年末には27.50%にまで引き上げた。その後、2025年8月に総合インフレ率は前年同月比20.12%となり、食品インフレ率も21.87%と下がってきたことから、同年9月には政策金利が27.0%に引き下げられた。なお、ナイジェリア国家統計局(NBS)は2025年からインフレ率算出の基準年を2009年から2024年に改訂し、対象分野を見直したため、過去の数値との単純比較は困難である。

ナイジェリアは2023年に実質的な変動相場制に移行し、ナイラ安が急速に進行した。2024年初の為替レートは1ドル914.44ナイラであったが、その後、ナイラ安が進み、同年半ば以降は1,670ナイラ近くまで下落したものの、年末には1,479.747ナイラに落ち着いた。中央銀行の高金利政策は、国内外からのポートフォリオ投資の増加をもたらし、中央銀行は、2023年末時点で39億9,000万ドルに減少した流動性を有す純外貨準備高が、2024年末には231億1,000万ドルまで増加したと発表している。また、中央銀行は、70億ドル分の為替債務バックログ(注)を2024年3月までに解消した。その内数の外国航空会社向けの8億5,000万ドルの未払い金は、同年4月までに98%解消させた。こうした経緯もあり、国際航空運送協会(IATA)は、2025年6月にナイジェリアを未返還収益国のブラックリストから除外した。

(注)
外国為替取引で生じた外貨建て債務残高。

連邦政府の2023年末のドル建て債務総額(対内債務を含む)は1,082億2,934万ドルであったが、2024年末には942億2,510万ドル、2025年3月には972億3,852万ドルと落ち着いてきている。一方、ナイラ建て債務総額は、ナイラ安が進んだことにより、2023年末時点で97兆3,407億ナイラ、2024年末は144兆6,655億ナイラ、2025年3月には149兆3,890億ナイラと拡大している。高金利はインフレ抑制と外貨流入に寄与したが、企業の借り入れコスト増や家計消費の抑制につながり、経済成長の足かせとなる懸念がある。製造業団体は政府に対し金利引き下げを求めている。

ナイジェリア経済を支える石油産業は、2023年の成長率が前年比マイナス2.2%だったところ、2024年には5.5%のプラスに転じ、輸出総額の7割を占める主要な外貨収入源ともなっている。しかし、GDP成長への寄与率は5.5%にとどまる。石油輸出国機構(OPEC)の2024年のナイジェリア向け生産割当枠は日量150万バレルに引き下げられたが、通年の生産量は第1四半期157万バレル、第2四半期141万バレル、第3四半期147万バレル、第4四半期154万バレルとおおむね枠内外で推移した。原油価格(OPECバスケット価格)も2024年4月に一時1バレル91.11ドルに達したが、通年では前年より約3ドル低い1バレル79.89ドルにとどまった。連邦政府は、石油増産を目指し海底油田の開発を加速するため、海底鉱区の入札を積極的に進め、国際的なオイルメジャーの投資を誘致している。実際に、陸上油田では盗難や破壊行為が課題となり、シェルやエクソンモービルなどのオイルメジャーは、治安リスクの低い海底油田への移行を進めている。

一方、2024年の非石油産業の成長率は3.3%(前年は3.0%)で、GDP成長寄与率は94.5%に達した。中でも、鉄道・パイプラインの成長率が44.1%、金融・保険が29.6%と高い伸びを示した。ただし中央銀行は2024年3月、市中銀行に対して、2年以内に自己資本を認可内容に応じて2倍から10倍に増強するよう通達している。主要大手銀行は、新株発行などを通じて自己資本を増強しているが、2026年3月31日までに要件を満たせない銀行は、合併や買収、ライセンス格下げなどの可能性がある。

最低賃金は、2024年に5年に1回の改定年を迎え、これまでの月額3万ナイラから7万ナイラに改定された。労働組合との金額の隔たりは大きかったが、改定周期を3年ごととすることで、最終的な妥結に至った。もっとも、一部の州政府は新たな最低賃金の順守に課題をかかえている。ナイジェリアの大手金融グループ、スタンビックIBTCによると、2024年の購買担当者景気指数(PMI)は、2024年1月から6月までは改善を示す50以上の数値を示していたが、7月から11月までは悪化を示す50未満に転じ、12月に再び50を上回った。議会は、2025年6月に、2024年度(1~12月)の予算執行期限を2025年12月末まで延長する法案を通しており、未払いや未執行の課題が浮き彫りになっている。

貿易 
ナイラ安による輸入の大幅減により、貿易黒字が拡大

NBSによると、2024年の貿易総額はドルベースで前年よりも減少した。ナイラ安による輸入急減により、貿易黒字は113億8,800万ドルと大幅に増加した。

輸出額は523億3,500万ドル(前年比5.8%減)で、石油関連を含む鉱物性生産品の輸出は全体の88.9%を占めたが前年比で8.9%減となった。一方、非石油製品の輸出が成長し、輸送機器・同関連品が3.5倍、加工食品・飲料品が2.2倍と顕著だった。現地報道によると、カカオ、カシューナッツ、キャッサバ加工品などの輸出も伸びており、非石油製品の輸出の裾野は拡大している。鉱物性生産品を見ると、ダンゴテ製油所がガソリンのほか、ブタン、ジェット燃料を輸出し、ダンゴテ肥料は天然ガス由来の尿素を輸出している。

主要輸出先は、欧州(構成比44.1%、うちスペイン10.5%、フランス9.0%、オランダ9.0%、イタリア5.2%)、アジア大洋州(26.9%、うちインド7.5%、インドネシア5.6%、中国3.9%)、アフリカ(11.3%、うちコートジボワール3.8%)で、石油が輸出の中心になっている。輸出総額が減少した中で、対アフリカ輸出は東アフリカ共同体(EAC)向けを中心に前年比2.9%の伸びを示した。現地報道によると、2024年7月に、ナイジェリアはアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)のガイデッド・トレード・イニシアチブ(GTI)を通じて、特恵税率でケニア、ウガンダ、アルジェリア、エジプト、カメルーンに輸出を行っている。政府は2025年4月、AfCFTA事務局に関税譲許表を提出しており、自国の国産品を増やし、FTAをてこにアフリカ域内で輸出を伸ばすことを目指している

一方、輸入額は、409億4,700万ドル(前年比26.2%減)の大幅減となった。ナイラ安が影響し、多くの品目で輸入額が落ち込んだ。中でも輸送用機器・同関連品(74.8%減)、鉱物性生産品(16.1%減)、機械・電気機器・同関連品(15.7%減)が大きく減少した。一方で、プラスチック・ゴム製品(16.4%増)、卑金属・同製品(11.1%増)など増加した品目もみられた。

輸入元を国・地域別にみると、アジア大洋州が約5割(構成比48.4%)を占め、国別では中国(23.3%、95億6,100万ドル)が最大となる。中国はナイジェリアの輸出先としても8位である。輸入品目は多岐にわたり、両国は通貨スワップ協定も締結しているため、中国はナイジェリアの貿易相手国として大きな存在感を示している。このほかの輸入元国は、ベルギー(11.6%)、インド(10.2%)、米国(6.7%)、オランダ(3.8%)、アラブ首長国連邦(UAE)(3.7%)、フランス(2.7%)、サウジアラビア(2.5%)、スペイン(2.4%)が続き、ガソリン(全輸入の25.4%)とガスオイル(ディーゼル)など鉱物性生産品(38.6%)や機械・電気機器・同関連品(16.0%)が主要輸入品目になっている。ナイジェリアでは、最大日量65万バレルの石油精製能力がある、シングルユニットとしては世界最大級のダンゴテ製油所が稼働し始めた。本格稼働すればほぼ国内需要を賄えることから、産油国としてガソリン輸入の削減が期待されている。

表1-1 ナイジェリアの主要品目別輸出(FOB)[通関ベース](単位:100万米ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2023年 2024年
金額 金額 構成比 伸び率
鉱物性生産品 51,100 46,541 88.9 △ 8.9
階層レベル2の項目原油 44,805 37,361 71.4 △ 16.6
階層レベル2の項目液化天然ガス 5,089 4,882 9.3 △ 4.1
階層レベル2の項目プロパン 32 19 0.0 △ 41.8
階層レベル2の項目尿素 911 850 1.6 △ 6.7
輸送機器・同関連品 183 640 1.2 249.4
植物性生産品 1,216 1,072 2.0 △ 11.8
加工食品・飲料品 946 2,068 4.0 118.7
化学工業製品 976 902 1.7 △ 7.6
合計(その他含む) 55,560 52,335 100.0 △ 5.8

〔出所〕ナイジェリア国家統計局(NBS)からジェトロ作成

表1-2 ナイジェリアの主要品目別輸入(CIF)[通関ベース](単位:100万米ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2023年 2024年
金額 金額 構成比 伸び率
機械・電気機器・同関連品 7,792 6,571 16.0 △ 15.7
鉱物性生産品 18,836 15,806 38.6 △ 16.1
輸送機器・同関連品 12,052 3,033 7.4 △ 74.8
化学工業製品 3,605 3,604 8.8 △ 0.0
植物性生産品 2,518 1,612 3.9 △ 36.0
卑金属・同製品 1,496 1,662 4.1 11.1
プラスチック・ゴム製品 2,007 2,336 5.7 16.4
加工食品・飲料品 2,340 1,888 4.6 △ 19.3
動物性生産品 332 1,008 2.5 204.0
合計(その他含む) 55,491 40,947 100.0 △ 26.2

〔出所〕ナイジェリア国家統計局(NBS)からジェトロ作成

表2 ナイジェリアの主要国・地域別輸出入[通関ベース](単位:100万米ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 輸出(FOB) 輸入(CIF)
2023年 2024年 2023年 2024年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
アジア大洋州 14,815 14,088 26.9 △ 4.9 29,467 19,831 48.4 △ 32.7
階層レベル2の項目日本 436 558 1.1 27.9 337 310 0.8 △ 8.1
階層レベル2の項目中国 1,377 2,025 3.9 47.0 10,197 9,561 23.3 △ 6.2
階層レベル2の項目韓国 612 644 1.2 5.3 1,476 608 1.5 △ 58.8
階層レベル2の項目ASEAN 12,949 5,130 9.8 △ 60.4 26,080 1,414 3.5 △ 94.6
階層レベル3の項目インドネシア 3,636 2,939 5.6 △ 19.2 371 318 0.8 △ 14.5
階層レベル3の項目タイ 499 515 1.0 3.2 198 209 0.5 5.4
階層レベル2の項目インド 4,647 3,911 7.5 △ 15.8 4,462 4,175 10.2 △ 6.4
階層レベル2の項目オーストラリア 105 146 0.3 38.1 15 30 0.1 100.0
欧州 25,229 23,072 44.1 △ 8.6 18,804 15,408 37.6 △ 18.1
階層レベル2の項目スペイン 5,232 5,494 10.5 5.0 497 991 2.4 99.3
階層レベル2の項目ベルギー 249 233 0.4 △ 6.3 5,183 4,732 11.6 △ 8.7
階層レベル2の項目フランス 3,632 4,701 9.0 29.4 718 1,119 2.7 55.8
階層レベル2の項目英国 2,177 1,256 2.4 △ 42.3 948 699 1.7 △ 26.3
中東 789 522 1.0 △ 33.9 2,660 3,025 7.4 13.7
階層レベル2の項目GCC(湾岸協力会議)諸国 115 443 0.8 285.9 2,577 2,646 6.5 2.7
北米 7,332 6,586 12.6 △ 10.2 n.a. 2,965 7.2 n.a.
階層レベル2の項目米国 4,031 3,730 7.1 △ 7.5 3,441 2,751 6.7 △ 20.1
アフリカ 5,738 5,907 11.3 2.9 1,512 1,457 3.6 △ 3.7
階層レベル2の項目南アフリカ共和国 2,006 2,008 3.8 0.1 450 510 1.2 13.5
階層レベル2の項目ECOWAS〔注2〕 3,456 3,571 6.8 3.3 260 889 2.2 241.8
階層レベル2の項目EAC〔注3〕 3 1,922 3.7 55,410.8 116 103 0.3 △ 11.0
中南米 n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a. n.a.
階層レベル2の項目ブラジル 713 880 1.7 23.4 1,252 918 2.2 △ 26.6
合計(その他含む) 55,560 52,335 100.0 △ 5.8 55,491 40,947 100.0 △ 26.2

〔注1〕アジア大洋州は、ASEAN+6(日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)に香港、台湾を加えた合計値。
〔注2〕西アフリカ諸国経済共同体。加盟国はベナン、カーボベルデ、コートジボワール、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、リベリア、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、トーゴ。ギニアは加盟資格停止中。
〔注3〕東アフリカ共同体。加盟国はケニア、タンザニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、南スーダン、コンゴ民主共和国、ソマリア。ただし、南スーダン、コンゴ民主共和国、ソマリアは域内FTAが未発効。
〔出所〕ナイジェリア国家統計局(NBS)からジェトロ作成

対内直接投資動向 
対内直接投資は回復基調に転じる

ティヌブ政権による、燃料補助金の撤廃や為替レートの統一など、経済の健全性向上への一連の取り組みが奏功し、外貨準備高は増加に転じ、為替も安定傾向にある。経済状況の改善は外国からのポートフォリオ投資(債券、株式など)の増加要因となり、外国資金の流入が拡大している。2024年の対内直接投資額は123億2,200万ドルで、2021年(約67億ドル)、2022年(約53億ドル)、2023年(約39億ドル)を大きく上回り、回復基調が鮮明となった。また、ティヌブ大統領の積極的な外交活動で、中国やインド、ブラジルなど海外からコミットメントベースで少なからぬ投資案件を取り付けている。また中央銀行が、滞留していた外国航空会社への外貨建て未払い金の支払いを進めた結果、2022年10月より運行を停止していたエミレーツ航空は、2024年10月からドバイ便のナイジェリアへの乗り入れを再開させている。2025年6月には、シンガポールの農業大手ウィルマー・インターナショナル(Wilmar International)が、ナイジェリアでのパーム油事業の拡大に7,000 万ドルを投じると発表しており、対内投資のさらなる活性化が期待される。

表3 ナイジェリアの国・地域別対内直接投資[フロー](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 対内直接投資
2023年 2024年
金額 金額 構成比 伸び率
アジア大洋州 561 394 3.2 △ 29.7
階層レベル2の項目日本 21 27 0.2 25.3
階層レベル2の項目中国 22 59 0.5 163.7
階層レベル2の項目韓国 0 全減
階層レベル2の項目ASEAN 472 248 2.0 △ 47.4
階層レベル3の項目シンガポール 471 247 2.0 △ 47.6
階層レベル3の項目マレーシア 1 全減
階層レベル3の項目インドネシア 1 1 0.0 131.6
階層レベル3の項目タイ 0 0.0 全増
階層レベル2の項目インド 3 2 0.0 △ 53.8
階層レベル2の項目オーストラリア 0 2 0.0 402.6
欧州 1,616 7,879 63.9 387.7
階層レベル2の項目EU27 460 1,549 12.6 237.0
階層レベル2の項目英国 1,137 6,279 51.0 452.1
中東 335 612 5.0 82.6
階層レベル2の項目GCC(湾岸協力会議)諸国 329 595 4.8 80.6
北米 443 932 7.6 110.5
階層レベル2の項目米国 443 931 7.6 110.4
アフリカ 859 2,245 18.2 161.2
中南米 7 203 1.6 2,860.7
合計(その他含む) 3,906 12,322 100.0 215.5

〔注〕アジア大洋州は、ASEAN+6(日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)に香港、台湾を加えた合計値。
〔出所〕ナイジェリア国家統計局(NBS)からジェトロ作成

表4 ナイジェリアの業種別対内直接投資[フロー](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
業種 対内直接投資
2023年 2024年
金額 金額 構成比 伸び率
株式 294 326 2.6 10.9
農業 20 52 0.4 159.5
銀行業 833 7,000 56.8 740.8
飲料および菓子類 0 0.0 全増
醸造 1 105 0.9 11,568.9
建設 0 66 0.5 14,739.6
コンサルタント 1 1 0.0 39.5
採掘 10 2 0.0 △ 78.9
教育 0 全減
電気 73 121 1.0 65.7
金融 446 1,290 10.5 189.2
ITサービス 226 266 2.2 17.5
マーケティング 22 1 0.0 △ 94.2
石油・ガス 4 5 0.0 40.7
生産/製造 1,591 1,427 11.6 △ 10.3
サービス業 3 0.0 全増
通信 135 457 3.7 238.8
貿易 238 1,171 9.5 393.1
運輸 13 20 0.2 48.3
合計(その他含む) 3,906 12,322 100.0 215.5

〔注〕業種分類は公式統計によるもの。
〔出所〕ナイジェリア国家統計局(NBS)

対日関係 
日本向け輸出は、天然ガスの増加で高伸

日本の財務省によれば、2024年の日本からナイジェリア向けの輸出は3億2,400万ドルで前年比9.1%増、日本のナイジェリアからの輸入は8億200万ドルで62.3%の大幅増となった。輸入は天然ガスの急増(2.3倍)が寄与しており、日本の入超幅は2.4倍となった。ナイジェリアの貿易における対日貿易の割合は約1%にとどまる。

日本のナイジェリアからの主な輸入品目(ナイジェリアの輸出品目)は、先述の液化天然ガス(全体の44.5%)、原料品(29.6%)、非鉄金属(アルミニウム合金など、25.5%)でほぼ100%となる。アルミニウム合金は一次精錬であれば大量の電力が必要で、慢性的な電力不足のナイジェリアでは生産が難しく、廃車などのリサイクルによる二次精錬を通じ、少ない消費電力で製造・輸出が可能となっている。日本からの輸出品目は、自動車など輸送用機器、一般機械など工業製品が中心である。

表5-1 日本の対ナイジェリア主要品目別輸出(FOB)[通関ベース](単位:1,000ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2023年 2024年
金額 金額 構成比 伸び率
食料品 5,783 3,921 1.2 △ 32.2
原料品 51,783 33,404 10.3 △ 35.5
鉱物性燃料 17 15 0.0 △ 11.8
化学製品 10,494 14,482 4.5 38.0
階層レベル2の項目 有機化合物 2,594 4,018 1.2 54.9
階層レベル2の項目 医薬品 4,074 3,434 1.1 △ 15.7
階層レベル2の項目 プラスチック 2,125 4,805 1.5 126.1
原料別製品 31,411 17,588 5.4 △ 44.0
階層レベル2の項目 鉄鋼 17,727 1,690 0.5 △ 90.5
階層レベル2の項目 非鉄金属 589 574 0.2 △ 2.5
階層レベル2の項目 金属製品 762 1,395 0.4 83.1
階層レベル2の項目 織物用糸・繊維製品 5,547 2,264 0.7 △ 59.2
階層レベル2の項目 非金属鉱物製品 84 406 0.1 383.3
階層レベル2の項目 ゴム製品 6,695 11,242 3.5 67.9
一般機械 39,216 69,300 21.4 76.7
階層レベル2の項目 原動機 16,838 16,286 5.0 △ 3.3
階層レベル2の項目 電算機類(含周辺機器) 379 346 0.1 △ 8.7
階層レベル2の項目 電算機類の部分品 11 3 0.0 △ 72.7
階層レベル2の項目 金属加工機械 28 0 0.0 全減
階層レベル2の項目 ポンプ・遠心分離機 8,195 37,606 11.6 358.9
階層レベル2の項目 建設用・鉱山用機械 2,358 1,349 0.4 △ 42.8
階層レベル2の項目 荷役機械 3,173 3,678 1.1 15.9
階層レベル2の項目 加熱用・冷却用機器 138 577 0.2 318.1
階層レベル2の項目 繊維機械 493 48 0.0 △ 90.3
階層レベル2の項目 ベアリング 185 274 0.1 48.1
電気機器 7,353 13,669 4.2 85.9
階層レベル2の項目 半導体等電子部品 545 910 0.3 67.0
階層レベル2の項目 音響・映像機器 176 93 0.0 △ 47.2
階層レベル3の項目 映像記録・再生機器 8 13 0.0 62.5
階層レベル3の項目 テレビ受像機 6 21 0.0 250.0
階層レベル2の項目 音響・映像機器の部分品 20 5 0.0 △ 75.0
階層レベル2の項目 重電機器 3,147 4,141 1.3 31.6
階層レベル2の項目 通信機 337 253 0.1 △ 24.9
階層レベル2の項目 電気計測機器 562 902 0.3 60.5
階層レベル2の項目 電気回路等の機器 90 2,516 0.8 2,695.6
階層レベル2の項目 電池 9 0 0.0 全減
輸送用機器 138,179 162,442 50.2 17.6
階層レベル2の項目 自動車 106,489 131,292 40.6 23.3
階層レベル3の項目 乗用車 40,346 66,172 20.5 64.0
階層レベル3の項目 バス・トラック 53,176 51,889 16.0 △ 2.4
階層レベル2の項目 自動車の部分品 22,312 21,453 6.6 △ 3.8
階層レベル2の項目 二輪自動車 8,009 7,277 2.2 △ 9.1
その他 12,231 8,694 2.7 △ 28.9
階層レベル2の項目 科学光学機器 925 1,555 0.5 68.1
階層レベル2の項目 写真用・映画用材料 499 358 0.1 △ 28.3
合計 296,465 323,515 100.0 9.1

〔注〕2024年は確々報値
〔出所〕 日本の財務省「貿易統計」

表5-2 日本の対ナイジェリア主要品目別輸入(CIF)[通関ベース](単位:1,000ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2023年 2024年
金額 金額 構成比 伸び率
食料品 179 3,534 0.4 1,874.3
階層レベル2の項目 魚介類 119 127 0.0 6.7
階層レベル2の項目 穀物類 8 0 0.0 全減
階層レベル2の項目 野菜 33 32 0.0 △ 3.0
原料品 160,058 237,099 29.6 48.1
階層レベル2の項目 木材 0 22 0.0 全増
鉱物性燃料 151,981 357,048 44.5 134.9
階層レベル2の項目 液化天然ガス 151,981 357,048 44.5 134.9
化学製品 36 0 0.0 全減
原料別製品 181,475 204,453 25.5 12.7
階層レベル2の項目 非鉄金属 181,380 204,350 25.5 12.7
階層レベル2の項目 非金属鉱物製品 91 103 0.0 13.2
一般機械 25 0 0.0 全減
階層レベル2の項目 原動機 25 0 0.0 全減
電気機器 0 0 0.0
輸送用機器 4 0 0.0 全減
階層レベル2の項目 自動車の部分品 4 0 0.0 全減
その他 523 192 0.0 △ 63.3
階層レベル2の項目 科学光学機器 0 34 0.0 全増
階層レベル2の項目 衣類・同付属品 0 7 0.0 全増
合計 494,281 802,327 100.0 62.3

〔注〕2024年は確々報値
〔出所〕 日本の財務省「貿易統計」

基礎的経済指標

項目 単位 2022年 2023年 2024年
実質GDP成長率 (%) 3.3 2.9 3.4
1人当たりGDP (米ドル) 2,198 1,637 824
消費者物価上昇率 (%) 18.8 24.7 33.2
失業率 (%) 5.3 5.0 4.3
貿易収支 (100万米ドル) 2,622.19 69.17 11,388.13
経常収支 (100万米ドル) 1,019 6,023 17,158
外貨準備高(グロス) (100万米ドル、年末値) 37,083 32,912 40,878
対外債務残高(グロス) (100万米ドル) 41,695 42,495 45,780
為替レート (1米ドルにつき、ナイラ) 460.000 647.267 1,479.747


失業率:2022年は4Q、2023年は3Q、2024年は2Q
貿易収支:国際収支ベース(財のみ)。ドル換算で算出(2023年は1ドル647.267ナイラ、2024年は1ドル1,479.7466ナイラで換算)。
為替レート:2022年は年末値、2023年および2024年は公式統計の換算レート
出所
実質GDP成長率、1人当たりGDP、消費者物価上昇率、経常収支:IMF
失業率、貿易収支:ナイジェリア国家統計局(NBS)
外貨準備高、為替レート:ナイジェリア中央銀行(CBN)
対外債務残高:ナイジェリア債務管理事務所(DMO)