エジプトの貿易投資年報

要旨・ポイント

  • 2024/2025年度のエジプトのGDP成長率は4.4%、民間消費支出が牽引。
  • 石油・ガスの輸入増で貿易赤字拡大も、郷里送金増加により経常収支赤字は縮小。
  • FDI純流入元の首位はUAE、15位の日本は2年間で4.5倍
  • 日本企業は再エネや製造業を中心に進出、投資が相次ぐ。

公開日:2026年9月30日

マクロ経済

GDP成長率が4.4%に加速、郷里送金増加で経常収支赤字縮小

エジプト中央銀行(CBE)によると2024/2025年度(2024年7月~2025年6月)のエジプト経済は、実質GDP成長率が前年度の2.4%から4.4%へと加速した。需要側から見ると、成長率に占める民間消費支出の寄与度がプラス6.4ポイントからプラス7.7ポイントに上昇、投資がマイナス1.0ポイントからマイナス0.8ポイントに改善、さらに外需の寄与度も前年度のマイナス3.0ポイントからマイナス2.4ポイントに改善したことが要因だ。供給側の業種別で見ると、製造業がプラス1.6ポイントだったほか、観光業と卸売・小売業が各プラス0.5ポイント、金融仲介・関連サービス、通信・IT、運輸・倉庫業もそれぞれプラス0.4ポイントで続いた。一方、スエズ運河および採掘業はいずれもマイナス0.6ポイントとなった。イエメンの武装組織フーシ派が紅海を通航する商船への攻撃を継続しており、スエズ運河を通航した純トン数は前年度比55.1%減の4億8,280万トン、通航隻数が38.5%減の1万2,400隻へとそれぞれ減少した。これを受けて、通航料収入が前年度の66億ドルから36億ドルへと45.5%減少した。

国際収支のうち、貿易収支の赤字幅は、前年度の395億7,400万ドルから510億900万ドルへと拡大した。石油・ガスの輸入が133億7,200万ドルから194億8,900万ドルに増加したことが一因である。一方、移転収支の1項目である郷里送金(在外エジプト人による国内への送金)が219億3,800万ドルから364億6,000万ドルへと66.2%増加したことなどが寄与し、経常収支赤字は154億2,500万ドルと、前年度の208億700万ドルから25.9%縮小した。

2024/2025年度の対内直接投資(FDI、フロー、ネット)は、前年度の460億6,500万ドルから122億2,400万ドルへと純流入額が減少した。2024年2月にアラブ首長国連邦(以下、UAE)アブダビ首長国の政府系投資会社ADQが、エジプト北西部地中海沿岸のラス・アルヘクマ(Ras Al-Hekma)を開発する過去最大規模の350億ドルのFDI案件に調印、2024年6月までに入金した。このため、前年度の流入額は異例の大きさだった。2025/2026年度に入ってからは、エジプト政府が2025年11月にカタール政府系ファンドのカターリ・ディアール(Qatari Diar)と締結した、エジプト北西部沿岸アラム・エル・ルーム(Alam El Roum)の総額297億ドルにのぼる大規模開発投資協定の最初の支払い35億ドルが年度前半に入金した。年度後半にも同様の入金があれば2025/2026年度のFDIはさらなる増加が見込まれる。

2024/2025年度末(2025年6月末)の対外債務残高は前年度比5.4%増の1,612億ドルだった。GDPの44.2%に相当する。当年度中、対外債務の元本返済額は302億ドル(65億ドル増)、利払い額は85億ドル(7億ドル減)だった。

2024/2025年度の財政収支は、歳入が2兆6,441億エジプト・ポンド(EGP、約8兆4,611億円、1EGP=約3.2円)と前年度比5.5%増加した。付加価値税(VAT)が2,336億EGP(34.2%増)増加したことが要因である。一方、歳出は3兆9,049億EGPで29.4%増加した。この結果、財政赤字は1兆2,608億EGPとなり、GDP比7.2%に達した。国内外債務の利払い額は1兆9,191億EGPと40.8%増加し、歳出の49.1%を占めた。

貿易

石油製品は輸入超過、LNG輸入は大幅増加

2025年(暦年)の貿易(通関ベース)は、輸出総額が前年比14.8%増の520億1,000万ドル、輸入総額も1,037億5,300万ドルへと8.8%増加した。この結果、貿易赤字は517億4,400万ドル(3.5%増)に拡大した。エジプト中央動員統計局(Central Agency for Public Mobilization and Statics、CAPMAS)の品目別輸出入統計によると、2025年の輸出は、最も多い石油製品が37億7,000万ドルと輸出全体の7.2%を占めたが、前年から1.4%減少した。次いで衣料品が33億9,400万ドル(構成比6.5%、前年比19.6%増)、肥料が28億300万ドル(5.4%、13.4%増)、食用調製品が23億4,300万ドル(4.5%、27.3%増)となった。2026年6月、政府は窒素肥料の輸出関税を、従来の1トン当たり90ドルから輸出価格の10%に改定した。世界銀行は2026年の肥料価格指数が30%以上上昇すると予測している。従来の単位重量当たり定額の輸出関税では、国際相場が高騰するとメーカーは国内供給よりも輸出に振り向けて利益を得ようとする動機が働き、国内の農業に十分な窒素肥料を供給できなくなる懸念があった。輸出関税を定率にすることで、相場が高騰した際の輸出者の利益が従来の制度よりも削減されることから、国内供給を安定化する効果が見込まれる。

CAPMASによると、2025年の国・地域別輸出先の首位はUAEで70億1,500万ドル(構成比13.5%)だった。中でも宝飾品が58億6,000万ドルと輸出全体の11.3%を占めており、前述のエジプトの石油製品輸出額を上回っている。データ出所が同じ(CAPMAS)であっても品目別貿易統計には掲出されない品目である。2位はイタリアで41億2,100万ドル(7.9%)、このうち石油製品が19億6,000万ドルを占めた。3位はトルコで32億800万ドル(6.2%)、電気製品が2億8,000万ドルであった。4位のサウジアラビアは30億2,900万ドル(5.8%)で、銅製品が4億7,000万ドルだった。5位は米国で27億2,900万ドル(5.2%)、うち衣料品が13億3,000万ドルと前年から11.4%増加した。米国、イスラエル、エジプトの3カ国は適格工業地帯協定(Qualifying Industrial Zones Protocol、QIZ)を締結しており、エジプト国内の指定地域で操業する工場はイスラエル産原料比率10.5%を満たせば、米国に無関税輸出が可能になる。

輸入を品目別に見ると、最も多い石油製品が103億7,600万ドルで、輸入全体の10.0%を占めて前年から横ばいだった。前年に続き大きく増加した液化天然ガス(LNG)は88億9,400万ドル(構成比8.6%、前年比81.5%増)で2位に上昇し、鉄鋼一次製品が43億5,900万ドル(4.2%、16.1%減)、小麦が37億3,400万ドル(3.6%、16.3%減)、プラスチック一次製品が32億8,100万ドル(3.2%、4.4%減)、自動車が32億800万ドル(3.1%、18.6%増)と続いた。エジプトは産油国だが石油製品の純輸入国でもある。中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格の高騰で、エジプトでは燃料・ガス輸入額が急増している。エネルギーの月次輸入額は、イスラエルと米国によるイランへの攻撃前の2026年1月は12億ドルだったが、2月に15億ドル、3月に25億ドルと、わずか2カ月で倍以上に拡大した。小麦に関して、エジプトは世界最大の輸入国だが、国連食糧農業機関(FAO)は2026年6月の農業見通し報告書で、2035年にはエジプトが全世界の小麦輸入量の7%を占め、世界最大の輸入国であり続けると予測している。

輸入元を国・地域別に見ると、最大の相手国は中国で195億8,100万ドル、輸入全体の18.9%を占めた。このうち電気製品が44億ドルだった。2位の米国は130億4,700万ドル(構成比12.6%)で石油製品が77億9,000万ドル、3位のサウジアラビアは92億2,100万ドル(8.9%)で石油製品が67億7,000万ドルと、いずれも石油製品が主力品目だ。輸入元4位のロシアは52億2,000万ドル(5.0%)で穀物が22億1,000万ドル、5位のブラジルは45億3,700万ドル(4.4%)で穀物が19億1,000万ドルを占め、エジプトにとり重要な食料供給国となっている。

表1-1 エジプトの主要品目別輸出(FOB)〔通関ベース〕(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目名 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
石油製品 3,822 3,770 7.2 △ 1.4
衣料品 2,838 3,394 6.5 19.6
肥料 2,473 2,803 5.4 13.4
食用調製品 1,840 2,343 4.5 27.3
生鮮果実 2,118 2,076 4.0 △ 2.0
プラスチック一次製品 1,623 1,509 2.9 △ 7.0
原油 1,225 1,021 2.0 △ 16.7
鉄鋼製品 1,066 890 1.7 △ 16.5
ジャガイモ 412 523 1.0 27.0
医薬品 449 509 1.0 13.3
乾燥豆類 494 472 0.9 △ 4.3
カーペット 416 391 0.8 △ 6.0
総額(その他含む) 45,318 52,010 100.0 14.8

(出所)エジプト中央動員統計局(CAPMAS)

表1-2 エジプトの主要品目別輸入(CIF)〔通関ベース〕(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目名 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
石油製品 10,372 10,376 10.0 0.0
液化天然ガス 4,901 8,894 8.6 81.5
鉄鋼一次製品 5,198 4,359 4.2 △ 16.1
小麦 4,459 3,734 3.6 △ 16.3
プラスチック一次製品 3,430 3,281 3.2 △ 4.4
自動車 2,705 3,208 3.1 18.6
医薬品 3,512 2,973 2.9 △ 15.3
トウモロコシ 2,257 2,919 2.8 29.3
化学製品 3,331 2,827 2.7 △ 15.1
大豆 2,000 2,328 2.2 16.4
銅およびその製品 2,299 2,064 2.0 △ 10.2
精製油 1,393 1,675 1.6 20.2
総額(その他含む) 95,334 103,753 100.0 8.8

(出所)エジプト中央動員統計局(CAPMAS)

表2-1 エジプトの主要国・地域別輸出(FOB)〔通関ベース〕(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
国別 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
アラブ首長国連邦(UAE) 3,282 7,015 13.5 113.8
イタリア 3,205 4,121 7.9 28.6
トルコ 3,425 3,208 6.2 △ 6.3
サウジアラビア 3,502 3,029 5.8 △ 13.5
米国 2,276 2,729 5.2 19.9
合計(その他含む) 45,318 52,010 100.0 14.8

(出所)エジプト中央動員統計局(CAPMAS)

表2-2 エジプトの主要国・地域別輸入(CIF)〔通関ベース〕(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
国別 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
中国 15,712 19,581 18.9 24.6
米国 7,648 13,047 12.6 70.6
サウジアラビア 7,943 9,221 8.9 16.1
ロシア 6,129 5,220 5.0 △ 14.8
ブラジル 4,223 4,537 4.4 7.4
合計(その他含む) 95,334 103,753 100.0 8.8

(出所)エジプト中央動員統計局(CAPMAS)

対内直接投資

FDI受け入れの国・地域別首位はUAE、日本は2年で4.5倍

2024/2025年度の対内直接投資(FDI)純流入額は、前述のとおり、前年度から4分の3近く減少し122億2,000万ドルに留まった。国・地域別に見ると、最大の投資国は前年度に引き続きUAEで29億6,200万ドルだった。前年度から346億1,800万ドル減少したものの、エジプト全体のFDI純流入額の24.2%を占めた。以下、米国(16億7,740万ドル、構成比13.7%)、英国(12億2,960万ドル、10.1%)、サウジアラビア(8億4,030万ドル、6.9%)、クウェート(5億8,800万ドル、4.8%)の順となった。日本からのFDI純流入額は、同じアジア地域の中国(1億6,840万ドル)、韓国(1億1,690万ドル)に次ぐ1億1,310万ドルだった。国・地域別では15位となり、前年度(5,340万ドル)から倍近く増加した。日本からのFDIは2022/2023年度は2,540万ドルで、2年で4.5倍となった。エジプト政府はFDIを持続的な経済成長の牽引役と位置付けており、大規模な雇用創出や先端技術の導入が見込まれる投資案件には「ゴールデンライセンス」を付与し、登記や土地取得などの行政手続きが滞らないよう支援している。

対日関係

日本の対エジプト貿易は往復で拡大、自動車輸出が好調

2025年(暦年)の日本の対エジプト貿易は、輸出が前年比3.9%増の7億5,695万ドル、輸入は14.8%増の8,242万ドルとなり、日本の貿易黒字は2.7%増加した。最大の輸出品は自動車を含む輸送用機器(構成比35.8%)で、前年比42.6%増の2億7,087万ドルだった。エジプトからの輸入は前年に続き、野菜、果実などの食料品が3,801万ドルで全体の46.1%を占め、最大の輸入品目となった。

表3-1 日本の対エジプト主要品目別輸出(FOB)〔通関ベース〕(単位:1,000ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
輸送用機器 189,955 270,865 35.8 42.6
自動車 143,058 204,900 27.1 43.2
乗用車 41,311 61,979 8.2 50.0
バス・トラック 93,325 130,012 17.2 39.3
自動車の部分品 45,470 63,392 8.4 39.4
一般機械 235,329 198,312 26.2 △ 15.7
原動機 36,074 40,807 5.4 13.1
ポンプ・遠心分離機 44,484 31,477 4.2 △ 29.2
建設用・鉱山用機械 79,468 39,479 5.2 △ 50.3
電気機器 111,056 86,237 11.4 △ 22.3
電気回路等の機器 45,720 33,236 4.4 △ 27.3
原料別製品 87,669 89,306 11.8 1.9
鉄鋼 32,145 28,791 3.8 △ 10.4
ゴム製品 42,456 45,274 6.0 6.6
化学製品 47,986 51,363 6.8 7.0
プラスチック 15,005 23,037 3.0 53.5
食料品 10,693 13,308 1.8 24.5
合計(その他含む) 728,836 756,947 100.0 3.9

(出所) 財務省「貿易統計」(通関ベース)を基に作成

表3-2 日本の対エジプト主要品目別輸入(CIF)〔通関ベース〕(単位:1,000ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2024年 2025年
金額 金額 構成比 伸び率
鉱物性燃料 789 527 0.6 △ 33.2
石油製品 789 527 0.6 △ 33.2
液化天然ガス — — 0.0 0.0
食料品 31,285 38,012 46.1 21.5
野菜 7,481 7,670 9.3 2.5
果実 11,482 16,464 20.0 43.4
原料別製品 7,484 9,413 11.4 25.8
非鉄金属 869 778 0.9 △ 10.5
織物用糸・繊維製品 6,075 8,123 9.9 33.7
原料品 7,484 9,413 11.4 25.8
化学製品 5,282 5,387 6.5 2.0
電気機器 4,898 3,765 4.6 △ 23.1
電気計測機器 1,292 185 0.2 △ 85.7
衣類・同付属品 6,815 11,151 13.5 63.6
合計(その他含む) 71,782 82,417 100.0 14.8

(出所) 財務省「貿易統計」(通関ベース)を基に作成

多様な分野で活発な日本企業の投資・ビジネス展開

自動車用ワイヤーハーネス大手の住友電装は2025年5月、同社として世界最大級の新工場をカイロ郊外で操業開始した(2025年6月5日付ビジネス短信参照)。同社はエジプト全土で1万2,000人を雇用し、エジプトとFTAを締結しているEUやトルコ向けを中心に、輸出額は年間約3億ユーロに上る。東洋一通商は7月、エジプト最大手の家電メーカー、エルアラビ(Elaraby)との共同出資形式で資本金1,000万ドルを投じた建築・輸送機器用ガラス工場を稼働開始した(2025年7月16日付ビジネス短信参照)。

再生可能エネルギー(再エネ)分野では、住友商事が2025年5月、発電容量約500メガワット(MW)の陸上風力発電所の商業運転を開始した(2025年7月25日付ビジネス短信参照)。UAEの再エネ開発企業アメア・パワー(Amea Power)と共同出資して設立したアミュネット・ウインド・パワー・カンパニー(Amunet Wind Power Company)を通じて建設した発電所だ。豊田通商は2019年10月に設備容量262.5MWの陸上風力発電所の商用運転を開始していたが、2025年7月に同国では2例目、かつアフリカ最大の設備容量654MWを誇る陸上風力発電所の商用運転を開始した(2025年7月15日付ビジネス短信参照)。グループ会社のユーラスエナジーホールディングス、フランスの独立系発電事業者エンジー(Engie)、エジプトの大手ゼネコンのオラスコム・コンストラクション(Orascom Construction)とともに手がける。また九州電力グループであるキューデン・インターナショナルは12月、1,000MWの太陽光発電所と600メガワット時(MWh)の蓄電池システムを建設すると発表した(2025年12月24日付ビジネス短信参照)。九電グループとして北アフリカにおける初の電力事業となる。アメア・パワー(前述)が60%、キューデン・インターナショナルが40%を出資して設立する事業会社が独立系発電事業者となって2026年中の運転開始を目指す。

物流分野では、2025年7月、豊田通商、日本郵船、アフリカ・グローバル・ロジスティクス(Africa Global Logistics、フランス)の合弁会社が運営する、エジプト初の完成車用ターミナルが、スエズ運河の地中海側出口に位置する東ポートサイード港に開業した(2025年7月30日付ビジネス短信参照)。大型自動車専用船2隻が同時に着岸可能な岸壁と、最大1万台を収容できる車両収容スペースを備えている。

教育分野でも日本企業の取り組み事例が相次いでいる。ヤマハは2025年8月、エジプト教育・技術教育省と、公教育における音楽教育の普及と質の向上を目指す覚書(MOU)を締結した(2025年9月9日付ビジネス短信参照)。エジプトの一般公立小学校100校で、リコーダーを用いた音楽教育の試験導入を新たに推進する。同社はこれに先立つ2021年11月から、エジプト国内で日本式教育を行う公立小学校「エジプト日本学校(EJS)」50校を対象に、リコーダーを用いた音楽教育を試験導入してきた。同じく8月にはカシオ計算機が教育・技術教育省と数学教育向上に向けたMOUを締結した(2025年9月5日付ビジネス短信参照)。カイロ県内の公立中学校の教師に対して、関数電卓を活用したトレーニングを実施する。さらに、実生活での問題に関数電卓の活用を取り入れた教材を独自に開発し、数学教師がツールを効果的に授業に取り入れられるようなノウハウや教材の提供を行う。同社は2018年から、中学校数学教師約2万人にトレーニングを実施してきた。教育コンテンツ・サービス大手のスプリックスは2025年9月、教育・技術教育省との間で、高校生を対象とした情報通信技術(ICT)・人工知能(AI)・プログラミング教育の全国導入に関する包括的契約を締結した(2025年9月19日付ビジネス短信参照)。国際協力機構(JICA)の支援による日本式の5年一貫教育プログラムを提供する高等専門学校「エジプト・日本高専(EJ-KOSEN)」が2025年9月、2クラス49人の生徒を迎え入れて開校した(2025年10月7日付ビジネス短信参照)。11月には、単一文明を扱う博物館としては世界最大規模の大エジプト博物館(GEM)が正式開館した。JICAがエジプト政府に対し、2006年と2016年の2期にわたって総額842億5,000万円の円借款を供与して開設を支援した(2025年11月4日付ビジネス短信参照)。

2026年以降も、製造業では日本企業の投資事例がみられる。大塚製薬が2月に炭酸栄養ドリンク「オロナミンCドリンク」の工場を竣工した(2026年2月20日付ビジネス短信参照)。2026年中に国内販売を開始し、その後、中東エリアへの輸出を目指す。日産は6月、コンパクトSUV(スポーツ用多目的車)「マグナイト」の生産を開始すると発表した(2026年6月12日付ビジネス短信参照)。同社はこれまで「サニー」「セントラ」の乗用車2車種を100%出資の現地工場で組み立て生産してきたが、新車種生産に向けて4,500万ドルの追加投資を表明していた。

基礎的経済指標

(△はマイナス値) 〔注〕 実質GDP成長率、1人当たりGDP、消費者物価上昇率、 失業率、 貿易収支、 経常収支、外貨準備高(グロス)、対外債務残高(グロス)、為替レート:エジプト会計年度(7月~翌年6月) 貿易収支:国際収支ベース(財のみ)
項目 単位 2023 2024 2025
実質GDP成長率 (%)(会計年度) 3.8 2.4 4.4
1人当たりGDP (米ドル)(会計年度) 3,744 3,594 3,379
消費者物価上昇率 (%)(会計年度) 24.4 33.3 20.4
失業率 (%)(会計年度) 7.2 7.4 7.3
貿易収支 (100万米ドル)(会計年度) △ 31,160 △ 39,574 △ 51,009
経常収支 (100万米ドル)(会計年度) △ 4,711 △ 20,807 △ 15,425
外貨準備高(グロス) (100万米ドル)(会計年度末値) 34,828 46,385 48,720
対外債務残高(グロス) (10億米ドル)(会計年度末値) 165 153 161
為替レート ( 1 米ドルにつき、エジプト・ポンド、会計年度期中平均) 25.80 48.03 49.60

〔注〕
実質GDP成長率、1人当たりGDP、消費者物価上昇率、 失業率、 貿易収支、 経常収支、外貨準備高(グロス)、対外債務残高(グロス)、為替レート:エジプト会計年度(7月~翌年6月)
貿易収支:国際収支ベース(財のみ)

〔出所〕
実質GDP成長率、1人当たりGDP、消費者物価上昇率、 失業率:IMF
貿易収支、 経常収支、外貨準備高(グロス)、対外債務残高(グロス)、為替レート:エジプト中央銀行(CBE)