多様化する中国福祉市場 “日本式”にニーズあり?

2023年07月03日

中国では高齢者の増加や障がい者支援の多様化によって、介護、福祉の市場規模がさらに拡大すると予想される。そこに参入する日本企業に、今、求められている技術、そして新たなビジネスとは?

(10分52秒)

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テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。

映像説明: 澄んだ空の下。広い歩道の両側に低い建物が並んでいる。それぞれの外壁には番号が振られ、大きなガラス戸がある。Tシャツを着た人や薄手のアウターを着た人たちが建物の日陰に立ったり、ゆっくりと歩いたりしている。歩道を横切るように、緑色(みどりいろ)と白の立体看板が設置されている。「CR EXPO(シーアールエキスポ)」と書かれ、「Welcome」の文字に中国語が添えられている。

テロップ: 北京

ナレーション: 中国・北京。

映像説明: 白いTシャツを着て、3輪の車いすに乗った男性が歩道を進んでいる。2つの車輪に加えて前に1つ小さなタイヤがあり、ハンドルが付いている。キャップをかぶり、マスクをつけて紙袋を持った男性が前を横切る。赤いズボンをはいてリュックを背負った人が別の車いすに乗った女性に声をかけている。建物の前に車いすに乗った人が集まり、両腕を動かしているのが見える。

ナレーション: ある会場で行われていたのは、

映像説明: 建物の前。車いすに乗った10人ほどの人が並んで腕を動かしている。男性は青系、女性は赤系のそろいの衣装を着ている。衣装は袖の短いベスト風の形で、襟は首が隠れる高さがあり、花のような模様が入っている。 全員がカラフルなひも状のものを持ち、肩にかけて腕を振ったり、両手で持って左右に傾けたり、同じ振り付けで踊っている。メガネをかけたショートヘアの女性が笑顔で腕を回す。後ろで踊る髪の短い男性は、歌うように口を動かしている。マスクをつけた女性もいる。

ナレーション: 車いすに乗った人々のダンス。

映像説明: 別の建物の前。地面に赤いパンチカーペットを敷いた簡易ステージで、車いすに乗った9人の人たちが両手をゆっくりと動かして踊っている。全員が光沢のある白いゆったりとした長袖と長ズボン(ながずぼん)の衣装を着て、同じデザインの車いすに乗っている。ホイールに付けられた水色のカバーに中国語のロゴが入っている。周りに観客が集まり、スマートフォンのカメラを向けている人もいる。 メガネをかけてフード付きのアウターを着た男性が地面に腰を下ろしてダンスを見ている。隣には3輪の車いすに乗った人たちがいる。後ろの車輪には踊っている人たちが乗る車いすと同じ水色のカバーが付いている。

テロップ: 2023年5月21~(から)23日 中国国際福祉博覧会

ナレーション: これは「中国国際福祉博覧会」の一幕だ。

映像説明: 屋内。白い壁の展示ブース。周囲に手すりがあり、船のデッキのような形をしている。モニターが埋め込まれた壁の前に3段の階段がある。Tシャツとハーフパンツを身につけ、右足に義足をつけた男性が階段を上がる。女性がスマートフォンのカメラを向けている。 黒いスニーカーをはいた足元。義足は金属の棒状で、ひざ下(ひざした)の辺りに白いパーツが付いている。

テロップ: 約300社が出展

ナレーション: 会場には国内外から300の企業が出展。

映像説明: 通路。青いカーペットの上を来場者が行き交っている。ボーダーシャツを着た髪の短い男性が器具の上に立ち、左右に揺れてバランスを取っている。周りで、車いすに乗った男性やマスクをつけてバッグを斜めがけにした女性がその様子を見ている。 別の通路。Tシャツを着てメガネをかけた男性が3輪の車いすに乗っている。前のハンドルを握り、左に曲がる。後ろに続く別の車いすに乗った男性が背中側にあるレバーを握って支えている。

ナレーション: 実際にサービスを利用する高齢者や障がい者(しょうがいしゃ)、

映像説明: 別の通路。女性と男性が、それぞれ3輪の車いすに乗って進んでくる。女性はセミロングヘアにハットをかぶり、マスクをつけ、水色のトレーナーとジーンズを身につけている。男性は黒いポロシャツにグレーのカジュアルなズボンを身につけている。通路は、首からイベントパスを下げた人や立ち止まって話している人たちなどでにぎわっている。

ナレーション: その介護や福祉にかかわる事業者など、

映像説明: 「TOYOTA」などの文字が入った白いワゴン車が展示されている。開け放たれたドアからシートが横向きに飛び出していて、白いワンピースのような服を着たセミロングヘアの女性が座っている。シートがゆっくりと動いて車の中に入っていく様子を、緑色(みどりいろ)のキャップをかぶり、黒いTシャツを着た男性がスマートフォンで撮影している。周りで、TOYOTAのロゴが入った黒いTシャツを着た3人の女性や黒いパンツスーツを着たボブヘアの女性がその様子を見ている。

テロップ: 約3万5千人が来場

ナレーション: およそ3万5千人が訪れた。

映像説明: L字型の展示ブース。壁にある大型ディスプレーに高層ビル街の風景が映っている。中央にある低い陳列棚に手の形をした器具や筒状の装置が並んでいる。10人ほどの人がブースの中を見たり、話したりしている。 手の形をした黒い器具を装着して指を動かす様子。親指の付け根がジャバラになっていて動かすことができる。ほかの指は素材が異なり、付け根と第2関節の辺りが曲げられるようになっている。器具を付けていない人が手を差し出し、握手を交わす。

テロップ: 浙江強脳科技(せっこうきょうのうかぎ)

ナレーション: こちらは脳の電気信号と連動して動かすことができる義手や義足を開発する中国の企業。

映像説明: 浙江強脳科技のブース。大型ディスプレーの前で、紺色のスーツに水色のワイシャツを着てメガネをかけた男性がインタビューに答える。 低い陳列棚に並んだ筒状の装置。金属製の部品やコードが付いている。 黒いTシャツを着た人が手の形をした器具を装着して筆を握り、横長の紙に文字を書いていく。 浙江強脳科技のブース。大型ディスプレーの前で紺色のスーツに水色のワイシャツを着てメガネをかけた男性が話を続ける。

テロップ: 浙江強脳科技 王 勇(おう ゆう)

王 全国販売責任者・中国語吹き替え: 現在、この分野の国内市場は基本的に海外製品に独占されています。 ここに展示されているようなスマート関節やスマートバイオニック義手を 作っているのは国内では当社だけになります。 より多くの国産製品が世界の市場で評価されるよう頑張りたいです。

映像説明: 小型モニターが付いたリハビリ器具。左右に足の形をしたパーツが付いていて、自動で前後に歩くような動きをしている。 数台の車いすが並ぶ展示スペース。イラスト入りのホイールを装着したものや渦巻き柄のカバーが付いたものがある。真ん中に置かれた1台の車いすが自動で回転している。

テロップ: 世界各国のメーカーが出展

ナレーション: この博覧会では、出展のおよそ半数が外国企業だ。

映像説明: 高い壁がある展示ブース。壁には大きく車いすの写真がプリントされている。黒いTシャツを着た人たちが車いすの周りでかがんで作業したり、スーツを着た男性とベストを着た男性がテーブルで握手を交わしたりしている。

テロップ: サンライズメディカル

ナレーション: こちらは設立40年のドイツ企業。

映像説明: パネルの前に3つの展示品が並んでいる。1つは、体を固定するベルトが付いたカーシートのような形の赤い器具。2つめは、背もたれと座面に小さい穴がいくつもあいた黄色い器具。3つめの器具には、小さなテーブルと足を乗せるペダルがある器具でタイヤが付いている。 ブース内の別の一角。スポーツ用の車いすが展示されている。背もたれが低く、車輪は上の部分が内側に傾いて、ハの字型になっている。座面にブランドロゴのボードなどが載せられている。

ナレーション: 主に移動を補助するための機器を製造している。

映像説明: ブースに置かれたパネルの前で、社名入りの黒いシャツを着たセミロングヘアの女性がインタビューに答える。 背もたれの低い車いすが2台並んで展示されている。 ブースに置かれたパネルの前で、社名入りの黒いシャツを着たセミロングヘアの女性が話を続ける。

テロップ: サンライズメディカル 市場・業務開発担当 単 琳(たん りん)さん

単さん・中国語: ドイツ企業として、より優れた先進技術を中国でも展開していきたいです。 これまでもこの博覧会では、毎年より良いリハビリ補助具が展示されています。 これは基本的なニーズだけでなく、多様化するニーズにも対応していると言えます。

映像説明: 茶色い床の展示ブース。シートの色や柄(がら)が異なる、たくさんの車いすが並んでいる。

テロップ: 日本企業(にほんきぎょう)のブース

ナレーション: 会場の中には、日本企業(にほんきぎょう)のブースも。

映像説明: 白くて高い壁に車いすが投影されたブースで、前髪を上げてメガネをかけ、紺色のジャケットを着た男性がインタビューに答える。

テロップ: カワムラサイクル(中国) 澁谷 康弘(しぶや やすひろ) 副総経理

澁谷副総経理: 中国では急激に高齢化が進んでおりまして、 非常にニーズが高まると考えまして進出しております。

映像説明: 両足をベルトで器具に固定し、前後に動かしている様子。 別の一角。ゴーグルを装着した髪の長い女性が両手にそれぞれリング状の器具を持ち、握るようにして操作しながら周りを見渡している。 別の一角。男性が手すり付きのベッドに横たわっている。マットが波打つように動き、男性の体も上下に動く。

テロップ: 高齢者の増加 障がい者支援(しょうがいしゃしえん)の多様化

ナレーション: 今後、高齢者の増加、障がい者支援(しょうがいしゃしえん)の多様化によって市場規模がさらに大きくなると予想される中国の福祉市場。

映像説明: 白髪(しらが)交じりの頭にメガネを載せた男性と、紺色のジャケットを着てイベントパスを下げた男性が、白髪(はくはつ)の女性が車いすに座るのを手伝っている。 紺色のジャケットを着てイベントパスを下げた男性が膝をついて車いすの女性と目線を合わせ、笑顔で話している。

テロップ: 多様化する中国福祉市場 “日本式(にほんしき)”にニーズあり?

ナレーション: そこに参入する日本企業(にほんきぎょう)にビジネスチャンスはあるのか?

映像説明: ジェトログローバルアイオープニングタイトル。各国のさまざまな人々の笑顔や農作物(のうさくぶつ)を収穫している様子、ガントリークレーンが並んでいる港、緑色(みどりいろ)の仏像、小型飛行機や新幹線、バイクなどの乗り物や生き物など、世界中のいろいろな写真が現れて白い画面を埋めていく。連なった写真に重なるように世界地図のCGが浮かび上がり、中央に紺色の文字で「世界は今 JETRO Global Eye(ジェトロ グローバル アイ)」と書かれたタイトルテロップが表示される。

映像説明: 天安門広場。大人の腰の高さほどの柵があり、スピーカーやカメラが付いた街灯が並んでいる。カジュアルなシャツを着て麦わら帽子をかぶった人たちやTシャツを着てリュックを背負った人など、大勢の人が立ち止まって話したり、写真を撮ったりしている。

サイドテロップ(画面右上に常時表示): 中国の福祉市場 その現状とは?

テロップ: 北京

テロップ: 人口 約14億人

ナレーション: 人口、およそ14億人の中国。

映像説明: 大人の腰の高さほどの柵の手前をリュックを背負った男性やサンバイザーをつけた女性などが自転車に乗って走っていく。 ゆっくりと走る車の中からの車窓風景。歩道は緑豊かな木々(きぎ)に囲まれている。2方向の横断歩道を、マスクを少しずらしてつけた男性たちや帽子をかぶった女性、自転車に乗った男性など、たくさんの人が渡っていく。横断歩道の手前で黒い車が停車している。

テロップ: 中国 少子高齢化で2021年に 65歳以上の高齢者が14%に達した

ナレーション: しかし、高齢化が加速しており、2021年には65歳以上の高齢者が14%に達した。

映像説明: 地下鉄の車内。3輪の車いすに乗った女性2人が扉の前でスマートフォンを見ている。 2人とも頭の高い位置で髪をまとめたおだんごヘアで、車いすのホイールには中国語のロゴが入った水色のカバーが付いている。 扉が開いて1人が後ろ向きにホームに降り(おり)、先に降りていた女性のそばに行く。車いすのハンドルの下には、つばの広い帽子がかかっている。 幅の広い歩道。3輪の車いすに乗った5人の人たちが建物の前を進んでいく。4人は、ハンドルの辺りに同じデザインの大きなトートバッグをかけている。

テロップ: 高齢者 障がい者(しょうがいしゃ) 福祉市場 約180兆円

ナレーション: 障がい者向け(しょうがいしゃむけ)の介護サービスを含めた、福祉関連市場全体の市場規模は180兆円にも上るという試算もある。

映像説明: 建物の出入り口。青と緑色(みどりいろ)のグラデーションになった門型のアーチ看板があり、「REHABILITATION INTERNATIONAL CENTENNIAL CELEBRATION」の文字と中国語が書かれている。開け放たれたガラス扉から数人の人が建物の中に入っていく。

映像説明: 屋内。大勢の人がゆっくり歩きながらブースを見たり、会社名のロゴが入った袋の中にパンフレットのようなものをしまったりしている。 茶色い床の展示ブース。色や柄(がら)の異なる、たくさんの車いすが並んでいる。リュックを背負った男性がスマートフォンを手に、ショルダーバッグを持ったショートヘアの女性と話している。イベントパスを下げた男性と話すポニーテールの女性やスーツを着た男性など10人以上の人がいる。 白くて高い壁に掲げられたロゴや中国語で書かれた企業名のアップ。

テロップ: カワムラサイクル

ナレーション: そんな中国の福祉市場に参入し、今回の博覧会にも出展しているのが神戸の車いすメーカー、カワムラサイクル。

映像説明: ブース内に展示された車いす。黒いTシャツを着てイベントパスを下げた男性が、車いすの背もたれに付いたレバーを動かしている。 座面がチェック柄やストライプ柄、グレーの無地の車いすが展示されている。

ナレーション: ブースには20種類以上(にじゅっしゅるいいじょう)の車いすが並び、

映像説明: 紺色のジャケットを着てイベントパスを下げた男性がブースの外に車いすを出し、通路にいる背の高い男性に説明している。 ボーダーのカットソーを着たセミロングヘアの女性とグレーのシャツを着た体格のいい男性が、イベントパスを下げた女性と話している。

ナレーション: ひっきりなしに客が訪れる。

映像説明: 澁谷副総経理が、紫色のシートの車いすを操作している様子。背もたれの上半分を後ろに倒し、足を乗せる部分を畳む。座面を引き上げて半分に折り、コンパクトになった車いすを片手で持つ。

テロップ: 主に病院 高齢者施設 在宅で使用

ナレーション: これらの製品は、主に病院や高齢者施設、在宅でも使用されている。さらに…。

映像説明: 白くて高い壁に車いすが投影されたブースで、澁谷副総経理がインタビューに答える。 ブース内で澁谷副総経理が車いすを見ている人たちに説明している。大きな手ぶりを交えて話すのを、ポロシャツを着た男性がうなずきながら聞いている。マスクをつけた男性が車いすに触れている。イベントパスを下げた男性が別の車いすを持って近寄り、会話に加わる。 澁谷副総経理とイベントパスを下げた男性、マスクをつけた女性が話をしている。

テロップ: カワムラサイクル(中国) 澁谷 康弘(しぶや やすひろ) 副総経理

澁谷副総経理: 障がい者(しょうがいしゃ)に関しては、全国にある障がい者補助器具センター(しょうがいしゃほじょきぐせんたー)というところで、 えー、給付を受ける仕組みなどもございます。 えー、今回の展示会では、そういった全国の障がい者補助器具センター(しょうがいしゃほじょきぐせんたー)の方(かた)、関係者の方(かた)に 商品のPRをさせていただければと考えております。

映像説明: 澁谷副総経理が車いすをきれいに並べ直している。 座面が水色とグレーのツートンカラーのものなど、10台以上の車いすが展示されている。シートの側面には漢字で「河村」などと書かれたラベルが付いている。

ナレーション: もともとは日本で販売する車いすの製造工場として中国に拠点を構えたカワムラサイクル。2010年からは中国国内でも販売を開始した。

映像説明: 白くて高い壁に車いすが投影されたブースで、澁谷副総経理がインタビューに答える。

澁谷副総経理: 日本(にほん)と中国ではですね、使用環境ですとか、えー、福祉用具に関する、えー、考え方も違うものですから、 日本(にほん)とは違う機能を持った商品をお持ちしております。

映像説明: 澁谷副総経理が展示されている車いすのシートベルトに触れたあと、背もたれの左右に付いたレバーを前に倒して車いすを押しながら歩く。

サイドテロップ(画面右上に常時表示): 中国の福祉市場に参入 日本企業(にほんきぎょう)の戦略は?

テロップ: 中国のニーズに合わせた新作

ナレーション: 中国のニーズに合わせて開発したという新作が、こちら。

映像説明: 澁谷副総経理が車いすの背もたれの左右にあるレバーを前に倒し、レバーを握って車いすを押しながら歩く。

澁谷副総経理: こちらの商品はですね、押し手(おして)のレバーが前側に倒れることによって重心が前側に倒れますので 後ろに転倒する恐れがなくなります。

映像説明: 通路。黄色い星のマークが入った赤いキャップをかぶり、マスクをあごの位置に下ろした高齢の男性が電動車いすに乗って、そばに立つ女性のもとに移動する。車いすには、赤地に黄色い星を描かれた中国の国旗が掲げられ、後ろに小さめのいすが1つ、つながっている。 車いすを降りた高齢の男性が、後ろのいすの手すりにつかまりながらそばに立つ女性のもとに移動する。

テロップ: 中国 車いすユーザーの中には 自立やリハビリのため降りて歩く人も多い

ナレーション: 中国の車いすのユーザーの中には、自立やリハビリのため、降りて歩く人も多いという。

映像説明: カワムラサイクルの展示ブース。澁谷副総経理が車いすの後ろに立って操作する。レバーが背もたれよりも後ろにある状態で体重をかけると、車いすが大きく後ろに傾いて倒れそうになる。

テロップ: 転倒リスク

ナレーション: その際、重心のバランスを崩し、転倒するリスクが高い。

映像説明: 澁谷副総経理が、背もたれの後ろにあるレバーを前に倒してレバーに手をかけ、車いすを押す。左右それぞれのレバーにはブレーキのような金属が付いている。

ナレーション: こうした中国ならではの使い方を想定した製品を開発しているのだ。

映像説明: カワムラサイクルの展示ブース。グレーのジャケットを着た短髪の男性が車いすに触れる。背もたれの後ろにあるレバーを握ったり、手ぶりを交えたりしながら澁谷副総経理と話している。

テロップ: 北京鶴逸慈老年生活用品(ぺきんつるいつじろうねんせいかつようひん) 趙 強(ちょう きょう) 社長

ナレーション: この新商品に目をつけた来場者が、熱心に説明を聞いていた。こちらは、北京で福祉機器の販売などを手がけている趙さん。

映像説明: 趙社長が車いすに座り、澁谷副総経理が片ひざをついて話している。2人が同時に親指を立てる。趙社長が手元のレバーを握ると、澁谷副総経理が身を乗り出して車輪に触れ、説明する。

ナレーション: カワムラサイクルとは、すでに12年に渡り、取り引きしているそうだ。

映像説明: 白くて高い壁に車いすが投影されたブースで趙社長がインタビューに答える。 澁谷副総経理が背もたれの後ろにあるレバーを前に倒し、レバーに手を置きながら車いすを押して歩く様子。 白くて高い壁に車いすが投影されたブースで趙社長が話を続ける。話し終えたあとでうなずき、ほほえむ。

テロップ: 北京鶴逸慈老年生活用品 趙 強(ちょう きょう) 社長

趙社長・中国語: 中国では団地に住む多くの高齢者は、車いすを歩行補助器として使ったりします。 移動と歩行補助のニーズを効果的に解決できる、 とてもすばらしい製品だと思います。

映像説明: 走る車からの車窓風景。道路の両脇には街路樹が茂っている。

サイドテロップ(画面右上に常時表示): 販売 保守 レンタル… 広がる福祉製品ビジネス

ナレーション: 北京市内にある趙さんの会社では、

映像説明: ガラス張りの大きなビル。赤い文字の看板が掲げられている。

テロップ: 北京鶴逸慈老年生活用品

ナレーション: 数多くの福祉関連商品を取り扱っているという。

映像説明: 自動ドアからビル内に入る。左側の開け放たれた出入り口から明るく広々としたショールームに入ると、通路でジャケットを着た男性と女性が立ち話をしている。柱の周りに机といすが置かれ、パソコンに向かっている人の姿も見える。

ナレーション: 北京にあるショールームを訪ねた。

映像説明: ショールーム。壁や窓に沿って、さまざまな種類の車いすと歩行器が並んでいる。 大きな窓のそばにベッドが数台展示されている。シートの中央に穴があいたものや両側に手すりが付いたものがある。周りにはワンピースタイプの服を着せたマネキンや、靴を並べた棚が置かれている。

ナレーション: 店内に並んでいる商品は車いすに歩行器、介護用ベッドなどの大型のものから、

映像説明: ランチョンマットを敷いたテーブル。仕切りが付いたお皿や、持ち手の太いマグカップ、ピンセットのような形をした箸などが置かれ、写真入りの説明書が添えられている。

ナレーション: 食事をサポートする食器など、幅広い。

映像説明: ショールーム。柱の周りの机に大きな袋が積まれ、そばで2人のスタッフが作業している。

テロップ: 北京鶴逸慈老年生活用品 1,000種類(いっせんしゅるい)の製品の約半数は国外メーカー

ナレーション: 製品のメーカーは国内と国外、およそ半々で、1,000種類(いっせんしゅるい)ほどあるという。

映像説明: 車輪などの部品や工具が置かれたスペース。半袖シャツを着た男性がチェック柄の車いすを支え、キャップをかぶり、ゴム手袋をつけたスタッフが、ひじ置きの下を修理している。 キャップをかぶり、ゴム手袋をつけたスタッフが、ひじ置きの下を修理している様子のアップ。

ナレーション: 手がけるのは販売、修理などの保守サービス。ここ近年は、レンタル事業も拡大しているという。

映像説明: 壁に、金色のフリンジが付いたえんじ色(いろ)の旗が掲げられている。それぞれに金色で中国語の文字や年月日が書かれている。

ナレーション: 顧客層は個人のユーザーから支援組織、行政と、こちらも多岐に渡る。

映像説明: ショールーム。趙社長が歩行器を車いすの横に並べて説明書を置き直す。

テロップ: 北京鶴逸慈老年生活用品 趙 強(ちょう きょう) 社長

ナレーション: 趙さんがこのビジネスを始めたのは、今からおよそ30年前。

映像説明: 趙社長がテーブルの上の食器を並べ直す。

テロップ: ビジネスのきっかけは父親の介護

ナレーション: 父親が高齢になり、介護するようになったのがきっかけだった。

映像説明: ショールーム。柱を囲む机の前で、趙社長がインタビューに答える。 窓のそばにある棚に赤いコップのようなものや拡大鏡、尿瓶(しびん)など、さまざまな商品のパッケージが並んでいる。 ショールーム。柱を囲む机の前で、趙社長が話を続ける。

趙社長・中国語: 日本のメーカーの成人用おむつの販売から始めました。 このサービスを始めてみて、私たちは多くの家族にとって、 おむつ以外にも生活用品や介護のための製品に需要があると分かりました。

映像説明: 窓側に車いすや歩行器が並べられている通路。車いすや歩行器が並べられているスペースの向かい側に柱を囲む机があり、ボーダーのポロシャツを着て黒いマスクをつけた男性が周りを行き来している。

ナレーション: 今では日本の製品はおよそ200種類ほどあるが、

映像説明: 棚に並べられた数種類の拡大鏡。長方形に近い形のレンズが入ったプラスチックのパッケージに「LED(エルイーディー)充電拡大鏡」、「置くだけで明るく拡大」などと書かれている。横に、折りたたみ式の卓上ルーペがディスプレーされている。 棚に置かれた別の商品の箱。「LED(エルイーディー)拡大鏡」などと書かれ、「\\\\\\\\348(348中国人民元)」と書かれた価格シールが貼られている。

テロップ: 日本製品(にほんせいひん)の価格

ナレーション: ほかの製品と比べて高価であることがネックになっていると現状を話す。

映像説明: ショールーム。柱を囲む机の前で趙社長がインタビューに答える。 屋内にあるゆるやかな階段。車いすを載せた昇降機が置かれている。壁には大きく高層ビルや木のイラストが描かれ、奥のほうに金色のフリンジが掲げられているのが見える。 昇降機に載せられている車いすのシートの側面のアップ。北京鶴逸慈老年生活用品のロゴマークが記載されたラベルが付いている。 棚に置かれた商品のパッケージ。拡大鏡と爪切り(つめきり)がセットになっていて、中国語で商品名などが書かれている。 ショールーム。柱を囲む机の前で趙社長が話を続ける。

趙社長・中国語: 日本製(にほんせい)の品質は誰もが認めていて機能も十分です。 しかし、ここ数年をみると中国産の製品も品質や機能の面で改善し続けています。 日本の製品が、もう少しコストを抑えることを重視してくれたらと思います。

映像説明: 趙社長が両手で歩行器のハンドルを握って操作し、説明しながら前に進む。

テロップ: 福祉市場に“ある変化”

ナレーション: 30年近く、中国の福祉市場を見てきた趙さん。ここ数年で“ある変化”が起きてきたと話す。

映像説明: ショールーム。柱を囲む机の前で趙社長がインタビューに答える。

趙社長・中国語: 政府は医療と高齢者介護などを組み合わせた施策を進めています。

映像説明: ぼかし加工された写真。ベッドが置かれた室内に数人の人がいる。ベッドの上にはビニールプールのようなものが置かれ、人形が寝かされている。1人の人物が人形をのぞき込んでいる。ぼかし加工された写真を背景に「医養結合(いようけつごう)」というテロップが表示される。「医養(いよう)」の「医」は、医者の「医」、「養(よう)」は「養う」と書く。

サイドテロップ(画面右上に常時表示): 医療×介護×地域 変わりゆく福祉事情

テロップ: 医養結合(いようけつごう)

ナレーション: それが、医養結合(いようけつごう)。

映像説明: ぼかし加工された写真を背景に、左上に「医」と「医療」、右上に「養(よう)」と「高齢者介護」、画面下部の中央に「地域コミュニティー」と「在宅介護」のテロップが表示され、白いラインで三角に結ばれる。

テロップ: 医 医療 養(よう) 高齢者介護 地域コミュニティー 在宅介護

ナレーション: これはそれぞれ、医療と高齢者介護のこと。例えば、高齢者施設にも看護師を配属したり、地域のコミュニティーとも連携することで、より高齢者福祉を充実させるための取り組みだ。

映像説明: ぼかし加工された映像。ビニールプールのようなものに寝かせた人形の腕や体を、シャワーを使って洗っている。ぼかし加工された映像の上に「医」と「医療」、右上に「養(よう)」と「高齢者介護」、画面下部の中央に「地域コミュニティー」と「在宅介護」が三角に結ばれたテロップが重なって表示される。

テロップ: 医 医療 養(よう) 高齢者介護 地域コミュニティー 在宅介護

ナレーション: これによって今、福祉の現場で改めて浮かび上がってきたのが、

映像説明: ぼかし加工された映像。車いすなどが置かれた屋内の通路を、歩行器を使って歩く様子「医」と「医療」、右上に「養(よう)」と「高齢者介護」、画面下部の中央に「地域コミュニティー」と「在宅介護」が三角に結ばれたテロップが薄くなり、「リハビリ」というテロップが重なって表示される。

テロップ: 医 医療 養(よU) 高齢者介護 地域コミュニティー 在宅介護 リハビリ

ナレーション: リハビリ。生活を補助するだけでなく、回復や自立を促すことの重要性だ。

映像説明: 白い床の展示ブース。黒いポロシャツを着た白髪(しらが)交じりの男性が、いす型の器具に座っている。片側についたひじ置きのようなパーツのレバーをつかみ、腕を上げ下げする。そばにワイシャツを着てタブレットを持った男性が立っている。 展示されている別の器具。メガネをかけ、チェックのシャツを着た女性がシートベルトで体を固定して座っている。くの字型になっていたシートが電動でまっすぐになっていくのに合わせて、女性も自然と立ち上がっていく。機具の後ろにメガネをかけた男性が立ち、背面に取り付けられたモニターを見ている。

テロップ: 新たなビジネス

ナレーション: そして、そのリハビリへの期待は、製品の開発だけではなく、新たなビジネスへと広がり始めていた。

映像説明: 青い看板の展示ブース。社名入りの布をかけた小さな机の後ろに、ワイシャツを着てマスクをつけた男性2人が立っている。青いキャップをかぶり、青いパーカーを着た男性が小さな机の前で足を止めている。

テロップ: 創心会(そうしんかい)

ナレーション: こちらに出展していたのは、創心会。

映像説明: 髪を横分けにしてチェックのシャツを着て、メガネをかけた男性がパンフレットを持ったセミロングヘアの女性と話している。 髪を横分けにしてチェックのシャツを着て、メガネをかけた男性がパネルの前でマスクをつけた2人の女性に説明している。

テロップ: 日本の“あるサービス”

ナレーション: 日本のあるサービスの代理店だ。5年前から上海で展開し、2021年には北京市内にも代理店を立ち上げた。

映像説明: 社名入りの布をかけた小さな机の上に、2種類のパンフレットと名刺が並べて置かれている。

ナレーション: しかし、机に並べられているのは、パンフレットだけ。

映像説明: 創心会のブース。パネルの前で髪を横分けにしてチェックのシャツを着て、メガネをかけた男性がインタビューに答える。

サイドテロップ(画面右上に常時表示): 日本式(にほんしき)リハビリに需要 “自立の意識”が重要に

テロップ: 創心会 張 勖(ちょう きょく) 中国業務責任者

張 中国業務責任者・中国語: 今まで日本の企業は中国で主に製品を紹介してきました。 今回、私たちはサービスシステムの提案をしています。

映像説明: ベッドの上で仰向けになった人をサポートする映像。紺色のセーターを着てマスクをつけた人が、寝ている人の腕を動かす。ベッドの周りで数人の人がその様子を見ている。(映像提供:創心会) 別の映像。長い髪を後ろで結んだ女性が、かっぷくがいい男性の体を抱きかかえる(だきかかえる)ようにしてベッドから起き上がらせる。男性は横向きになっていて、両腕を胸の前でクロスしている。(映像提供:創心会)

テロップ: 創心会 100人以上のリハビリ専門家が所属

ナレーション: 創心会は日本で20年以上、高齢者サービスを提供しており、100人以上のリハビリの専門家を持つグループだ。

映像説明: 写真。板張りの広い部屋で十数人の人がいすに座り、左手を腰に当て、右腕(みぎうで)を曲げ、右手の親指を上に向けている。部屋の一面はガラス張りで窓の前には大きな器具やテーブルが置かれている。(写真提供:創心会)

テロップ: 高齢者の世話をする介護

ナレーション: これまで中国では、 高齢者の介護とは「生活の世話をすること」が主流の考え方だったが、

映像説明: 写真。白髪の長い髪を後ろで束ねた女性や黒髪でベストを着た人などが4人で木目のテーブルを囲み、カードゲームをしている。カードには1文字ずつ漢字が書かれている。周りでマスクをつけた数人の女性が見ている。全員マスクをつけている。(写真提供:創心会)

テロップ: 自立を支援するための介護

ナレーション: 日本が積極的に進めてきた「自立支援のための介護」が注目されるようになってきているのだ。

映像説明: 写真。シャンデリアのある部屋にステージが設置され、前方にある大きなスクリーンに中国語の説明やイラストが表示されている。マイクを持った男性が演台(えんだい)に立っている。客席にはステージにスマートフォンのカメラを向ける人やペンを持った人など、多くの人が座っている。(写真提供:創心会)

ナレーション: 彼らが提供するサービスは、自立のためのリハビリができる施設や人員のコンサルティング。

映像説明: 創心会の展示ブース。張 中国業務責任者が、パンフレットを持った短髪の男性に説明している。そばでワイシャツを着てマスクをつけた男性がその様子を見ている。

ナレーション: 今後は、介護の多様性の1つとして中国に根づいていくだろうと張さんは話す。

映像説明: 創心会のブース。パネルの前で、張 中国業務瀬金車がインタビューに答える。 写真。7人の女性がカラフルなテーブルの周りに集まり、笑顔で楽器を演奏している。グレーの長袖ニットを着たショートヘアの女性と黒いハイネックニットを着たカーリーヘアの女性は、左手に太鼓を抱え、右手でたたいている。ほかの人たちは、タンバリンや細長い棒状の楽器を持っている。(写真提供:創心会) 別の写真。2つの木目のテーブルの周りに数人の人たちが座り、前方にベストを着た3人の女性が立っている。それぞれが自分の首元に両手を添えている。(写真提供:創心会)

張 中国業務責任者・中国語: 多くの高齢者施設ではリハビリをサービスの一環として取り入れています。 リハビリを重視して医療と介護を結びつけることで、 高齢者でも身体の不自由な人でも、より快適な生活を送れる可能性があるのです。

映像説明: 白くて高い壁に映像が投影されているカワムラサイクルの展示ブース。展示された介護用ベッドの上に大きなクマのぬいぐるみが寝かされている。ベッドの横から上に向かってリフト付きのアームが伸び、体を持ち上げられるようになっている。黒地に白い模様があるワンピースを着た女性がベッドのほうを指し示ししながら

電動車いすに乗った男性に話している。

ナレーション: 新しい価値観や技術を取り入れながら、

映像説明: 展示会場の通路。白髪(しらが)交じりの男性が、短髪の男性が乗った歩行器を前から押し、展示されている介護ベッドに近づけ、歩行器を固定している。

ナレーション: より多様に拡大している中国の福祉市場。

映像説明: カワムラサイクルの展示ブース。澁谷副総経理が、車いすの背もたれの後ろに付いたレバーを前に倒す様子。 紺色のジャケットを着てイベントパスを下げた男性が膝をつき、車いすに乗った白髪(はくはつ)の女性と目線を合わせながら話している様子。

ナレーション: 日本の技術、そして介護への意識が、今、求められている。

映像説明: 水色のグラデーション背景画。画面の右側で地球の陸地部分だけが点描され、中が空洞になった地球儀のグラフィックイメージが回転している。

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