混乱の世界経済 ビジネス戦略の再構築 ‐世界貿易投資報告2022年版より‐

2022年09月01日

2021年の世界貿易額は、前年の大幅な減少の反動により、金額ベースで前年比26.2%増、数量ベースで9.6%増と、いずれもプラス成長となった。しかし、2022年は、新型コロナの変異株のまん延やロシアによるウクライナ侵攻、それらに伴う急激なインフレとサプライチェーンの混乱が起きている。一方で、海外取引を行ううえでは、欧米を中心に気候変動対策や人権尊重などへの対応が求められている。企業の対応事例を紹介するとともに、国際ビジネスの動向を解説する。

(13分36秒)

番組で紹介している内容の詳細は、「ジェトロ世界貿易投資報告 2022年版」でご覧いただけます。

テキスト解説を読む

テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。

映像説明: ジェトログローバルアイオープニングタイトル。フランス・パリのエッフェル塔や凱旋門、アニメキャラクターのコスプレをした20代くらいの海外の女の子や、渋谷のスクランブル交差点の写真など、世界中の12枚の写真が画面の奥から飛び出してくる。水色を基調としたコンピューターグラフィックスを背景に、中が空洞になった緑色(みどりいろ)の地球儀が回転しながら現れる。画面右側で地球儀が回転し、左側に紺色の文字で「世界は今 JETRO Global Eye(ジェトロ グローバル アイ)」と書かれたタイトルテロップが表示される。

映像説明: スタジオ。薄い黄緑色(きみどりいろ)を基調とした背景の前にある2本の銀色の柱のあいだにはモニターが置かれている。モニターには地球儀と「世界は今 JETRO Global Eye(ジェトロ グローバル アイ)」のロゴが映し出されている。モニターの前にはタイル調の大きなカウンターデスクが置かれ、左側にピンクのブラウスに白いジャケットを着た女性キャスター、右側には柄模様(がらもよう)がある白いシャツに黒いジャケットを着た女性が座っている。

女性キャスター: 世界は今、ジェトログローバルアイ。

映像説明: スタジオ。画面の左側に女性キャスター。右側に小型モニターがあり、黒い布地の上に置かれた「ジェトロ世界貿易投資報告2022年版 混乱極める世界経済、求められるビジネス戦略の再構築」と題された本が映し出されている。女性キャスターが話をする。

テロップ: 江連 裕子(えづれ ゆうこ)

江連(えづれ)キャスター: ことしも、ジェトロの年次レポート、「世界貿易投資報告」が7月に発表されました。テーマは、「混乱極める世界経済、求められるビジネス戦略の再構築」です。

テロップ: 混乱の世界経済 ビジネス戦略の再構築 ‐世界貿易投資報告2022年版より‐

映像説明: スタジオ。薄い黄緑色(きみどりいろ)を基調とした背景の前にある2本の銀色の柱のあいだにはモニターが置かれている。モニターには、「第1章 世界と日本の経済・貿易」と題された本のページから「デューディリジェンス義務化で先行する英、仏、豪」という項目があるページに切り替わる映像が映し出されている。モニターの前にはタイル調の大きなカウンターデスクが置かれ、左側に江連(えづれ)キャスター、右側には柄模様(がらもよう)がある白いシャツに黒いジャケットを着た女性が座っている。江連(えづれ)キャスターが話を続ける。

江連(えづれ)キャスター: スタジオには、ジェトロ国際経済課の伊尾木 智子(いおき ともこ)さんに来ていただきました。よろしくお願いします。

映像説明: スタジオ。柄模様(がらもよう)がある白いシャツに黒いジャケットを着た女性が挨拶をしながらあじぎをする。

テロップ: ジェトロ 国際経済課 伊尾木 智子(いおき ともこ)

伊尾木(ジェトロ国際経済課): よろしくお願いします。

映像説明: スタジオ。薄い黄緑色(きみどりいろ)を基調とした背景の前にある2本の銀色の柱のあいだにはモニターが置かれている。モニターには、「(1)世界の貿易関連措置の導入状況」と 書かれた本のページから「ロシアとウクライナの侵攻へ迅速な対抗措置を発動」と書かれた本のページに切り替わる映像が映し出されている。モニターの前にはタイル調の大きなカウンターデスクが置かれ、モニターの左側に江連(えづれ)キャスター、右側に伊尾木が座っている。江連(えづれ)キャスターと伊尾木が話をする。

江連(えづれ)キャスター: 今回は、どのような点に注目したのでしょうか。

伊尾木: はい、

映像説明: 建物の外壁に紫の服を着た女性と漢字の文字が表示された電子看板が掲げられている街の通り。 樹木や街灯がある広い通りをベージュの服を着てマスクをつけた女性、紫のワンピースに黒いジャケットを着てマスクをつけて片手に黄色い飲み物が入ったカップを持った女性、グレーのチューブトップの服と黒いスカートを着てマスクをあごにずらし飲み物が入ったカップに差してあるストローを口に運び飲みながら歩く女性など多くの人が行き交っている。 雲が浮かぶ空の下。損壊した2棟のグレーの高層ビルが建ち並び、手前にがれきが散乱している。奥にも崩れた数棟のグレーの高層ビルが見える。 青空の下。損壊して骨組みだけになった高層ビルの前に焼け焦げた数台の車が、がれきと一緒に放置されている。 コンテナ置き場。赤や緑(みどり)のコンテナが積み重ねられ、黄色(きいろ)や青の数台のトランスファークレーンが置かれている。2台の黄色いリーチスタッカーが移動している。右下の四角い枠に話をする伊尾木が映し出されている。

伊尾木: 新型コロナの変異株のまん延に続き、2022年にはロシアによるウクライナ侵攻。それに伴う急激なインフレとサプライチェーンの混乱が起きています。今回のレポートでは、なぜそうなってしまったのか、その要因に焦点を当て、多面的に分析を行っています。

映像説明: スタジオ。薄い黄緑色(きみどりいろ)を基調とした背景の前にある2本の銀色の柱のあいだにはモニターが置かれている。モニターには中が空洞になった緑色(みどりいろ)の地球儀と「世界は今 JETRO Global Eye(ジェトロ グローバル アイ)」のロゴが映し出されている。モニターの前にはタイル調の大きなカウンターデスクが置かれ、左側に江連(えづれ)キャスター、右側に伊尾木が座っている。江連(えづれ)キャスターが話をする。

江連(えづれ)キャスター: それでは早速、2021年の世界貿易にどのような変化があったのか、伺いたいと思います。

映像説明: 薄い黄緑色(きみどりいろ)を基調としたコンピューターグラフィックスを背景に、中が空洞になった緑色(みどりいろ)の地球儀が回転している。右側に紺色の文字で「世界経済の回復と要因」というタイトルが表示される。 スタジオ。薄い黄緑色(きみどりいろ)を基調とした背景の前にある2本の銀色の柱のあいだにはモニターが置かれている。モニターには地球儀と紺色の文字で「世界経済の回復と要因」というタイトルが表示されている。モニターの前にはタイル調の大きなカウンターデスクが置かれ、左側に江連(えづれ)キャスター、右側に伊尾木が座っている。江連(えづれ)キャスターが話を続ける。

江連(えづれ)キャスター: コロナ禍からの経済の回復は、達成されたのでしょうか。

映像説明: スタジオ。画面の右側に伊尾木、左側にはモニターがある。モニターには、中が空洞になった緑色(みどりいろ))の地球儀と紺色の文字で「世界経済の回復と要因」というタイトルが表示されている。 モニターの画面が切り替わる。沿岸部を航行する貨物船のモノクロームの画像を背景に白い文字で「2021年の世界貿易額」、赤い文字で「21兆7,534億ドル」と表示されている。 モニターの画面が切り替わる。水色から白のグラデーションを背景に「世界貿易の推移」と題された折れ線グラフが表示されている。縦軸の目盛りには伸び率が-30%から30%まで5%ごとに記され、横軸には2011年から2021年までの年数が記されている。金額伸び率が赤い線、数量伸び率が緑(みどり)の線で表示され、2つの線が2020年のマイナスから、2021年にプラスに転じている。金額伸び率が「26.2%増」、数量伸び率が「9.4%増」と表示されている。(出所:ジェトロ推計値(すいけいち)およびWTOデータを基に作成) 伊尾木が話をする。

サイドテロップ(画面右上にほぼ常時表示): 世界経済の回復と要因

伊尾木: はい、ジェトロの推計によると、2021年の世界貿易額は21兆7,534億ドルとなりました。金額ベースで前年比26.2%の増加です。

映像説明: 水色から白のグラデーションを背景に「世界貿易の推移」と題された、金額伸び率と数量伸び率の折れ線グラフが表示されている。

伊尾木: これは、前年の新型コロナの影響で、貿易が大幅に減少したため、その反動によるものだと考えられています。金額のみならず数量でも、9.4%増のプラス成長となりました。

映像説明: スタジオ。画面の左側に江連(えづれ)キャスター、右側にはモニターがある。モニターには、水色から白のグラデーションを背景に「世界貿易の推移」と題された、金額伸び率とし医療伸び率の折れ線グラフが表示されている。江連(えづれ)キャスターが話をする。

江連(えづれ)キャスター: どのような分野が増加したのでしょうか。

映像説明: スタジオ。画面の右側に伊尾木、左側にはモニターがある。モニターには、水色から白のグラデーションを背景に「世界貿易の推移」と題された金額伸び率と数量伸び率の折れ線グラフが表示されている。伊尾木が話をする。

伊尾木: はい、品目別で見ますと、リモートやオンラインの機会が増えたことにより、

映像説明: 白いノートパソコンのキーボードと黒いUSBメモリ、SDメモリーカードなどを真上から撮影した画像。 黒い集積回路などが取りつけられている基盤の画像。 検査装置のような黒い機器が上からガラス越しに緑色(みどりいろ)の基盤に光を当てている画像。 右下の四角い枠に話を続ける伊尾木が映し出されている。

サイドテロップ(画面右上にほぼ常時表示): 世界で奪い合う半導体の行方

テロップ: 電子部品の集積回路 輸出額 前年比29.3%増

伊尾木: パソコンや周辺機器の輸出が増加しています。特に電子部品の集積回路は、前年に比べて29.3%増となるなど、世界的に輸出額が増加しました。

映像説明: スタジオ。画面の左側に江連(えづれ)キャスター、右側にはモニターがある。モニターには、青いビニール手袋をはめ人差し指と親指で半導体チップを持っている画像が映し出されている。江連(えづれ)キャスターが話をする。

江連(えづれ)キャスター: そのためでしょうか。世界的に半導体の需給がひっ迫していると聞きますが。

映像説明: スタジオ。画面の右側に伊尾木、左側にはモニターがある。モニターには、青いビニール手袋をはめ、人差し指と親指で半導体チップを持っている画像が映し出されている。伊尾木が話をする。

伊尾木: はい、その通りです。半導体は電子機器にはなくてはならない、産業の中枢を担う工業部品です。

映像説明: 円盤状のシリコンウエハーが台に固定され、上の円柱状の機器と両端から伸びた先端が黄色い三角の形をした機器が円盤状のシリコンウエハーの一部に光を当てている画像。 上から銀色の棒状の物で黒い集積回路を持ち上げ緑(みどり)の基盤に設置しようとしている画像。 右下の四角い枠に話を続ける伊尾木が映し出されている。

伊尾木: 各国とも半導体をはじめとする、戦略物資の安定的な確保を急ぐようになっています。

映像説明: スタジオ。画面の左側に江連(えづれ)キャスター、右側にはモニターがある。モニターには、青いビニール手袋をはめ人差し指と親指で半導体チップを持っている画像が映し出されている。江連(えづれ)キャスターが話をする。

江連(えづれ)キャスター: 具体的には、どのような改善策を打ち出しているのでしょうか。

映像説明: スタジオ。画面の右側に伊尾木、左側にはモニターがある。モニターには、白い壁のクリーンルームに設けられたガラステーブルの上に2台のモニター、電子顕微鏡が置かれていて、モニターの前にフードがついた白いクリーンウエアを着てマスクをつけた人物がキーボードを操作している画像が映し出されている。モニター画面が切り替わる。検査装置のような黒い機器が上からガラス越しに緑色(みどりいろ)の基盤に光を当てている画像が映し出される。伊尾木が話をする。

伊尾木: はい、日本はもとより、アメリカ、中国、EU(イーユー)などの政府は、国内への半導体工場の誘致を本格化させました。

映像説明: 「SAMSUNG(サムスン)」の立体文字看板が白い壁の建物に掲げられている。(Sundry Photography‐stock.adobe.com) イメージ映像。白い壁と白い床の明るいクリーンルーム。天井付近まで高さのある白い機械が通路を挟み、手前から奥へと並んでいる。手前でフードがついた白いクリーンウエアを着てマスクをつけた3人の人物が、それぞれ作業をしている。(イメージ) 右下の四角い枠に話を続ける伊尾木が映し出されている。

伊尾木: 例えばサムスンは、昨年11月にテキサス州への半導体工場の建設を発表しています。同社にとってアメリカ最大の170億ドルの投資となります。この工場ではアメリカ向けの、5G(ファイブジー)やAI(エーアイ)などに使われる最先端のシステム半導体を生産する予定です。

映像説明: 薄い黄緑色(きみどりいろ)を基調としたコンピューターグラフィックスを背景に、中が空洞になった緑色(みどりいろ)の地球儀が回転している。右側に紺色の文字で「世界の混乱が招くリスク」というタイトルが表示されている。 スタジオ。薄い黄緑色(きみどりいろ)を基調とした背景の前にある2本の銀色の柱のあいだにはモニターが置かれている。モニターには中が空洞になった緑色(みどりいろ)の地球儀と紺色の文字で「世界の混乱が招くリスク」というタイトルが表示されている。モニターの前にはタイル調の大きなカウンターデスクが置かれ、左側に江連(えづれ)キャスター、右側に伊尾木が座っている。江連(えづれ)キャスターが話をする。

江連(えづれ)キャスター: では、2022年の世界経済や貿易・投資の状況を見るうえで、注意すべきポイントについて教えてください。

映像説明: スタジオ。画面の右側に伊尾木、左側にはモニターがある。モニターには、中が空洞になった緑色(みどりいろ)の地球儀と紺色の文字で「世界の混乱が招くリスク」というタイトルが表示されている。モニターの画面が切り替わる。青を基調とした世界地図にランダムな線などが重なった背景に白い文字で「2022年世界経済におけるリスク」、赤い文字で「急速なインフレ」と表示されている。伊尾木が話をする。

伊尾木: はい、まず、インフレの急速な高まりに警戒しなければいけません。消費者物価指数は上昇傾向にあります。

映像説明: 水色から白のグラデーションを背景に「主要国の消費者物価指数(前年同期比)」と題された折れ線グラフが表示される。縦軸には消費者物価指数が-2%から10%まで2%ごとに記され、横軸には2019年1月と7月、2020年1月と7月、2021年1月と7月、2022年1月と6月の年と月が記 されている。米国の消費者物価指数が青い線で表示され、2019年1月から2021年1月まで3%以内だった消費者物価指数が2022年6月には9%台にまで伸びている。

2020年1月にオレンジの文字で「新型コロナ パンデミック宣言」と書かれたオレンジの枠からオレンジの下向き三角とグレーの縦線が伸びていて、2022年2月を示すような位置にオレンジの文字で「ロシアの ウクライナ侵攻開始」と書かれたオレンジの枠から伸びたオレンジの矢印とグレーの縦線が伸びている。白を背景に赤い文字で「9%台(きゅうパーセントだい)の上昇(ことし6月)」と右側に表示され、消える。米国の消費者物価指数を示す青い線の折れ線グラフに、中国が赤い線、日本が緑(みどり)の線、G20(ジートゥエンティー)が黄色い線で重ねて表示される。2020年1月の消費者物価指数の高い順に中国、G20(ジートゥエンティー)、米国、日本だったのが、2022年6月には米国とG20(ジートゥエンティー)が9%台、続いて中国、日本の順になった折れ線グラフが表示されている。(出所:OECD Statを基に作成)

伊尾木: アメリカのことし6月の消費者物価指数は、およそ40年ぶりに9%台(きゅうパーセントだい)の上昇となりました。これは、労働力や半導体の不足といった問題に加え、ウクライナ侵攻とそれに伴うロシアへの経済制裁が、エネルギー資源や小麦などの価格高騰を引き起こしたことも要因に挙げられます。

映像説明: スタジオ。画面の右側に伊尾木、左側にはモニターがある。モニターには、青を基調とした世界地図にランダムな線などが重なった背景に白い文字で「2022年世界経済におけるリスク」、赤い文字で「新型コロナウイルス」と表示されている。伊尾木が話を続ける。

伊尾木: また、ことしになっても、新型コロナの変異株の出現により、再び感染が拡大して、

映像説明: 空中から撮影した時計塔がある薄い茶色の建物や丸い塔がある薄い茶色の建物などが建ち並ぶ海沿いにある街の映像。 空中から撮影した漢字の文字などが表示された赤い電子看板が掲げられた建物などが建ち並び、左側が5車線、右側が4車線の道路がある街の映像。 空中から撮影した左側に鏡面ガラスの壁の高層ビルが建ち、4車線の道路をはさみ右側に白い柱の高層ビル、ベージュの壁の数棟の高層ビルが建ち並ぶ街の映像。 空中から撮影した企業の看板が掲げられた右側が高層になっているベージュの壁の中層の建物や屋上に青い屋根の小さな建物などが密集している白い壁の中層の建物、奥に白い壁の数棟の高層ビルなどが並ぶ街の映像。右下の四角い枠に話を続ける伊尾木が映し出されている。

サイドテロップ(画面右上にほぼ常時表示): 世界の混乱が招くリスク

テロップ: 外出制限下の上海 2020年2月

伊尾木: 中国では、それに伴う都市封鎖が行われました。今も収束しない新型コロナのまん延は、経済においてもまだまだ大きなリスク要因と言えるでしょう。

映像説明: 空中から撮影した左側に漢字の赤い文字の立体看板が掲げられているベージュの壁の10階建てほどの建物や漢字の黒い文字の立体看板が掲げられている白い壁の7階建てほどの建物が建ち、歩道をはさんで右側に腕時計の看板が掲げられている上に塔がある白い壁の建物などが建ち並ぶ街の映像。 空中から撮影した、通りの中央に旗をかかげた街灯のようなポールが奥まで設置され、歩いている人がところどころに見える街の映像。左下の四角い枠に話をする江連(えづれ)キャスターが映し出されている。

江連(えづれ)キャスター: 新型コロナに翻弄されて、すでに3年目を迎え、企業のコロナ疲れ(コロナづかれ)も指摘されていますが、現在のところ、どんな影響がでているのでしょうか。

映像説明: 雲が浮かぶ青空の下、走る車からの車窓風景。片側3車線の道路の左側を「MAERSK(マースク)」と書かれたコンテナを積んだトラックなど、多くのトラックが走行している。反対の車線には車が走っているのが見える。

伊尾木: はい、移動や操業の制限を行う国がある一方、ほかの国では経済活動が再開しており、この状況が国際輸送を混乱させています。

映像説明: コンテナ置き場。赤、青、白、黄色(きいろ)のコンテナが積み重なっている。赤いフォークリフトが停車した白いコンテナ車に近づきコンテナをつかむ。遠くには建物や山が見える。右下の四角い枠に話をする伊尾木が映し出されている。

テロップ: サプライチェーンの寸断

伊尾木: そのため港ではコンテナが滞り、運航スケジュールが遅れて、サプライチェーンの寸断が生じています。

映像説明: 雲が浮かぶ青空の下、走る車からの車窓風景。茶色のコンテナを積んだトラックや車が道路を走行している。左下の四角い枠に話をする江連(えづれ)キャスターが映し出されている。

江連(えづれ)キャスター: 運行が予定通り進まないと、それだけコストもかかってしまうのではありませんか。

映像説明: 空中から撮影した、大量のコンテナを積んだ船体の上部が水色、下部がオレンジ色(いろ)のコンテナ船が海峡を航行している映像。奥には、山(やま)や陸地が見え、多くの建物が建っている。 倉庫。青とオレンジ色(いろ)の天井近くまで高さがある棚にダンボール箱が積まれている。棚の周りにもダンボール箱が数箱積み重ねて置かれている。赤と黒のフォークリフトが3段に積まれたダンボール箱を持ち上げ、棚に入れようとしている。

テロップ: 海外ビジネス企業へのアンケート調査(ジェトロ ことし1月) 「サプライチェーンを見直す」6割

伊尾木: そうなんです。ジェトロが、ことし1月に発表した、海外ビジネスをしている日本企業(にほんきぎょう)へのアンケート調査によれば、6割を超す企業がサプライチェーンを見直す、と回答しています。その理由の多くが国際輸送のコスト上昇によるものです。

映像説明: 空中から撮影した大量のコンテナを積んだ貨物船が海峡を航行している映像。奥には、山(やま)や陸地が見え、多くの建物が建っている。遠くには、海峡に架かったつり橋が見え、雲の隙間から太陽の光がさし込んでいる。右下の四角い枠に、伊尾木が話をする映像が映し出されている。

伊尾木: 実際、取引先の資金繰りがうまく行かず、代金の回収ができないという問題もしばしば聞かれます。

映像説明: スタジオ。江連(えづれ)キャスターが話をする。

江連(えづれ)キャスター: そういった被害を、最小限に抑えることができるのでしょうか。車の部品を販売している、日本の中小企業を取材しました。

映像説明: 白い壁に黒い文字で「SANKO TRADING CORPORATION(サンコー トレーディング コーポレーション)」と書かれた立体看板が掲げられている。 窓にブラインドがある白い壁の部屋。ブラインドが下ろされ、机が向かい合って並べられている。左側の壁の前に6段のグレーのキャビネットなどがあり、前に段ボール箱が積まれている。右側には、3段のグレーのキャビネット、コピー機などが置かれている。向かい合って設置された8台の机には、7人の男女が座って仕事をしている。全員マスクをつけている。 茶色の机の上。厚みがある黒いシートにリング状の数個の部品、黒やシルバーなどの円柱状の部品など、さまざまな形状の部品が置かれている。

サイドテロップ(画面右上にほぼ常時表示): 貿易保険でリスクに対応

テロップ: 大阪市

テロップ: サンコートレーディング 修理用自動車部品の輸出入・販売

ナレーション: 大阪市のサンコートレーディングは、自動車や建設機械などの修理用交換部品を扱う商社。ほぼ全世界に輸出している。

映像説明: 厚みがある黒いシートの上。黒いチェーンや袋に包まれた金色のチェーンなどが置かれている。

厚みがある黒いシートの上。シルバーの丸い器を上下に重ねてネジで固定したような部品やシルバーの円柱型の部品が置かれている。 厚みがある黒いシートの上。リング状の十数個の部品が3ヵ所に分けられて重ねられている。 ポールハンガーが置かれている白い壁の部屋。窓際と壁際に茶色の長机(ながづくえ)が並べられている。 中央に茶色の机が向かい合って並べられ、厚みのある黒いシートが 置かれている。厚みのある黒いシートの上には黒い円柱状の部品、シルバーの丸い器を上下に重ねてネジで固定したような部品など、さまざまな形状の部品が置かれている。茶色の机の前に白いシャツに紺色のスーツを着た男性が左手にシルバーの円柱状の部品、右手にリング状の部品を持ち、厚みのある黒いシートの上に置いたあと、手ぶりを交えて話をしている。

ナレーション: 30年ほど前から自動車部品を輸出していた香港の取引先から資金が回収できなくなったのは、2020年。新型コロナ感染拡大によるロックダウンが原因だった。

映像説明: 観葉植物が置かれている白い壁の部屋。白いシャツに紺色のジャケットを着た男性が椅子に座り、インタビューに答える。

テロップ: サンコートレーディング 林 哲也 常務

林常務: 物流の停滞、人、物の流れへの停滞によってですね、 販売した物が、あー、こうタイムリーに、えー、資金回収ができなかった。ま、その積み重ねがあってですね、 えー、私どもの手形決済をするための資金が調達できなかったと。

映像説明: 机の上。表紙に「香港 D/A 手形事故 【13件】 2020.01~(から)2021.02」や「香港 D/A 手形事故 【1件】 2020.01~(から)2021.02」と書かれた茶色のつづりひもでとじられた2冊の書類などが置かれている。 「香港 D/A 手形事故 【13件】 2020.01~(から)2021.02」と書かれた表紙のアップ。

テロップ: 約3億3,000万円

ナレーション: サプライチェーン寸断の影響によって回収できなくなった代金は、およそ3億3,000万円。

映像説明: ひもでとじられた書類のページが開かれ、上部に「株式会社日本貿易保険(かぶしきがいしゃ にほんぼうえきほけん) Web損失等発生通知確認画面」と上部に書かれている。 「事故情報」欄に「保険種(てん補範囲)」、「個別包括区分」、「保険証券番号」などの項目が書かれている。 書類の上部に書かれた「株式会社日本貿易保険(かぶしきがいしゃ にほんぼうえきほけん) Web損失等発生通知確認画面」などの文字のアップ。

テロップ: 貿易保険

ナレーション: これほど大きな損失が出たのは会社始まって以来のことだった。このピンチを救ったのが「貿易保険」の存在だ。

映像説明: 空中から撮影した青空の下の港の映像。数隻の貨物船が停泊し、赤、青、黄色(きいろ)のコンテナが積み重ねられ3基の赤いガントリークレーンがそびえ立っている。倉庫。奥にパレットの上にビニールで梱包されたダンボール箱が積まれている。出入り口にオレンジの羽の2台の業務用扇風機が置かれ、1台の扇風機が作動している。そばで紺色のTシャツを着て首にタオルを掛けた2人の男性が作業をしている。オレンジのTシャツを着た男性が黒と白の車体のフォークリフトに乗り、奥から手前にゆっくりと走行している。 倉庫の一角。パレットの上に積まれた大小の段ボール箱や水色や紺色のPPバンドで梱包された段ボール箱が置かれている。 倉庫の一角。水色のPPバンドで梱包された大きな段ボール箱が2段に重ねられ並べられている。

テロップ: 日本貿易保険(にほんぼうえきほけん)(NEXI(ネクシー))

ナレーション: 「貿易保険」とは、輸出入など外国との取り引きによって生じた損失をカバーする保険だ。民間のもの、政府系のものがあるが、サンコートレーディングが加入していたのは日本貿易保険(にほんぼうえきほけん)。

映像説明: 段ボールに貼られた黒い文字で「C/NO.99(ナンバー99)MADE IN JAPAN」などと書かれた白いラベルのアップ。 倉庫の一角。オレンジ色(いろ)のTシャツを着た男性が黒と白の車体のフォークリフトを操縦してビニールで梱包され、積み重ねられた段ボール箱を運ぶ。

ナレーション: 政府系の保険で、カバーされる国が多く、戦争、経済制裁、自然災害のリスクにも対応している。

映像説明: 観葉植物が置かれている白い壁の部屋。林常務が椅子に座り、インタビューに答える。

林常務: その資金繰りというところは、あー、ま、(貿易保険による)90%補填で、えー、ま、何とか(なんとか)乗り切れると、おー、いう確信を得ましたので、 ま、私は逆にもう、おー、現地とのやり取りに専念することができて、 具体的な、こう、解決策、ま、これを進めることができました。

映像説明: サンコートレーディングのオフィス。窓にブラインドがある白い壁の部屋。机が向かい合って並べられ、机の上に緑(みどり)や赤の書類トレー、白いファイルボックスなどが置かれている。左側に3段のグレーのキャビネットや観葉植物が置かれ、右側には3段のグレーのキャビネットや扉付きラックが置かれている。奥に林常務、左側にライトブルーのシャツを着てマスクをつけた男性、右側に黒い服を着てマスクをつけたポニーテールの女性が机に座り仕事をしている。 林常務がノートパソコンに視線を向けている。ライトブルーのシャツを着てマスクをつけた男性が手ぶりを交え、林常務に話をしている。林常務が四つ折りにした紙を両手で持ちながら話を聞いている。

ナレーション: コロナで現地へ行けないなか、オンラインツールなどを駆使して1年がかりで全額回収を成し遂げた。簡単には現地に行けない海外とのビジネスだからこそ、「貿易保険」の必要性を改めて感じたという。

映像説明: 観葉植物が置かれている白い壁の部屋。林常務が椅子に座り、インタビューに答える。

テロップ: サンコートレーディング 林 哲也 常務

林常務: やはり売上規模、事業規模を大きくしようとすると、おー、同時にリスクも、やはり大きくなります。 事業を拡大していくうえで、えー、貿易保険は必要不可欠なものかなと、こういうふうに感じてます。

映像説明: 曇り空の港。「LEO SPIRIT」と書かれた上部が白、船体の下部がグレーの運搬船が停泊し、前に多くの車が止められているのが見える。手前に赤、青、黄色(きいろ)などのコンテナが積み重ねられている。奥の陸地には多くの建物が建っているのが見える。 港の一角。四角い骨組みの台の上に赤、青、グレーなどのコンテナが置かれ、奥に船体がベージュの船の一部が見えている。奥の陸地には茶色やピンクの三角屋根の3階建てほどの白い建物が建っているのが見える。

ナレーション: サプライチェーンの寸断がいつ起こるか分からない今、貿易保険などでリスク管理することが重要だ。

映像説明: スタジオ。画面の左側に江連(えづれ)キャスター、右側にはモニターがある。モニターには、中が空洞になった緑色(みどりいろ)の地球儀と紺色の文字で「世界の混乱が招くリスク」というタイトルが表示されている。江連(えづれ)キャスターが話をする。

江連(えづれ)キャスター: 代金回収は保険でカバーできるとしても、サプライチェーンの寸断、起きてはならないですよね。政府としては何か対策は考えているのですか。

映像説明: スタジオ。画面の右側に伊尾木、左側にはモニターがある。モニターには、中が空洞になった緑色(みどりいろ)の地球儀と紺色の文字で「世界の混乱が招くリスク」というタイトルが表示されている。モニター画面が切り替わる。水色から白のグラデーションを背景に白い文字で「サプライチェーン強じん化のための有志国連携」の文字と2つの枠があり、上の枠に「QUAD(クアッド)」、下の枠に「IPEF(アイペフ)」の参加国の枠組みが表示されている。上の枠には「日米豪印(にちべいごういん)4ヵ国(QUAD(クアッド))」、「2021年9月、2022年5月の首脳会議で半導体のサプライチェーン強化の枠組み立ち上げ」と表示され、右に日本、アメリカ、オーストラリア、インドの国旗が表示されている。下の枠には「インド太平洋経済枠組み(IPEF(アイペフ))」、「2022年5月、米豪日印韓NZ(べいごうにちいんかんニュージーランド)フィジーおよびASEAN7ヵ国が立ち上げに参加」と表示され、右にアメリカ、オーストラリア、日本、インド、韓国、ニュージーランド、フィジーの国旗とASEANの旗が表示されている。伊尾木が話をする。

伊尾木: はい、さまざまな取り組みが進んでいます。サプライチェーン強じん化のために、友好国同士で連携し、重要部品の供給力の把握やリスクに対するセキュリティー確保で結束していこうというものです。

映像説明: 水色から白のグラデーションを背景に白い文字で「サプライチェーン強じん化のための有志国連携」と2つの枠があり、上の枠に「QUAD(クアッド)」、下の枠に「IPEF(アイペフ)」の参加国の枠組みが表示されている。

伊尾木: 日本は、アメリカ、オーストラリア、インドの4ヵ国によるQUAD(クアッド)、インド太平洋経済枠組み、IPEF(アイペフ)など、さまざまな枠組みに参加して、

映像説明: スタジオ。画面の右側に伊尾木、左側にはモニターがある。モニターには、水色から白のグラデーションを背景に白い文字で「サプライチェーン強じん化のための有志国連携」と2つの枠があり、上の枠に「QUAD(クアッド)」、下の枠に「IPEF(アイペフ)」の参加国の枠組みが表示されている。伊尾木が話を続ける。

伊尾木: 揺るぎない安定したサプライチェーンの構築を進めています。

映像説明: 薄い黄緑色(きみどりいろ)を基調としたコンピューターグラフィックスを背景に、中が空洞になった緑色(みどりいろ)の地球儀が回転している。右側に紺色の文字で「持続可能な社会を目指すビジネスと政策」というタイトルが表示されている。 スタジオ。薄い黄緑色(きみどりいろ)を基調とした背景の前にある2本の銀色の柱のあいだにはモニターが置かれている。モニターには、中が空洞になった緑色(みどりいろ)の地球儀と紺色の文字で「持続可能な社会を目指すビジネスと政策」というタイトルが表示されている。モニターの前にはタイル調の大きなカウンターデスクが置かれ、モニターの左側に江連(えづれ)キャスター、右側に伊尾木が座っている。江連(えづれ)キャスターが話をする。

江連(えづれ)キャスター: 今回の報告ではもう1つ、「持続可能な社会を目指すビジネスと政策」という章(しょう)が新しく設けられています。さて、グローバル企業のあいだでは、気候変動対策や人権尊重などを含めた企業経営のあり方が問われていますよね。

映像説明: スタジオ。画面の右側に伊尾木、左側にはモニターがある。モニターには、中が空洞になった緑色(みどりいろ)の地球儀と紺色の文字で「持続可能な社会を目指すビジネスと政策」というタイトルが表示されている。伊尾木が話をする。

伊尾木: そうですね。経営にSDGs(エスディージーズ)を取り込む動きは本流になりつつあります。

映像説明: 4枚の写真が順々に切り替わり表示される。床や整然と並んでいる作業机が白い縫製工場。緑色(みどりいろ)や白い作業服を着て緑色(みどりいろ)やピンクのスカーフを頭にかぶった女性など大勢の従業員が作業をしている。 緑(みどり)の壁にダクトなどがある作業場。白い作業服を着て黄緑色(きみどりいろ)の衛生キャップをかぶり、マスクをつけた2人の男性が笑顔で確認作業をしている。1人の男性はメモをとり、もう1人の男性は機械を指し示している。 ブドウ畑(ばたけ)。緑(みどり)と白のボーダーの服を着て麦わら帽子をかぶった男性が収穫したブドウをバケツから出している。手前にはブドウが山積みになっている。奥には青い服を着て麦わら帽子をかぶった男性がたくさんのブドウが入ったバケツを肩に乗せている。 いくつもの大きな円筒形(えんとうけい)の容器が並んだ工場。緑色(みどりいろ)のパーカーを着た女性がメモをとっている。右下の四角い枠に話を続ける伊尾木が映し出されている。

サイドテロップ(画面右上にほぼ常時表示): 持続可能な社会を目指すビジネスと政策

伊尾木: 最近よく聞かれるのが人権をどう尊重するかという課題です。ヨーロッパを中心に、企業は自社や関連会社だけでなく調達先を含むサプライチェーン全体に人権侵害のリスクがないかどうか調査することが求められています。

映像説明: スタジオ。画面の右側に伊尾木、左側にはモニターがある。モニターには、青を基調とした世界地図にランダムな線などが重なった背景に白い文字で「デューディリジェンス」、英語で「Due Diligence」と書かれ、「D」はオレンジ色(いろ)で書かれている。その下に黒い文字で「価値やリスクなどを事前に調査すること」と表示されている。伊尾木が話をする。

伊尾木: こうした、価値やリスクなどを事前に調査することを「デューディリジェンス」と言います。

映像説明: スタジオ。画面の左側に江連(えづれ)キャスター、右側にはモニターがある。モニターには、青を基調とした世界地図にランダムな線などが重なった背景に白い文字で「デューディリジェンス」、英語で「Due Diligence」と書かれ、「D」はオレンジ色(いろ)で書かれている。その下に黒い文字で「価値やリスクなどを事前に調査すること」と表示されている。江連(えづれ)キャスターが話をする。

江連(えづれ)キャスター: サプライチェーンに関わる労働者の人権が守られているかどうかを企業が調べなくてはいけない訳ですね。

映像説明: スタジオ。画面の右側に伊尾木、左側にはモニターがある。モニターには、青を基調とした世界地図にグラフなどが重なった背景に白い文字で「デューディリジェンス」、英語で「Due Diligence」と書かれ、「D」はオレンジ色(いろ)で書かれている。その下に黒い文字で「価値やリスクなどを事前に調査すること」と表示されている。モニター画面が切り替わる。青を基調とした世界地図にランダムな線などが重なった背景に白い文字で「人権DD義務化の例」の文字と白い背景の2つの枠があり、上の枠にEU(イーユー)、下の枠に米国の義務化の例がそれぞれ表示されている。上の白い背景の枠に赤い文字で「EU(イーユー)」、黒い文字で「企業持続可能性デューディリジェンス指令案 2022年2月法案発表」、下の白い背景の枠に赤い文字で「米国」、黒い文字で「強制労働に基づく製品の輸入禁止や企業の説明責任を高めることを2021年の「通商政策方針」に明記」と表示されている。伊尾木が話をする。

伊尾木: はい、欧米では、関連法案が次々と出されています。たとえば、EU(イーユー)の政策執行機関である欧州委員会は、ことし2月、

映像説明: 青を基調とした世界地図にランダムな線などが重なった背景に白い文字で「人権DD義務化の例」と白い背景の2つの枠があり、上の枠にEU(イーユー)、下の枠に米国の義務化の例がそれぞれ表示されている。上の白い背景の枠に赤い文字で「EU(イーユー)」、黒い文字で「企業持続可能性デューディリジェンス指令案 2022年2月法案発表」、下の白い背景の枠に赤い文字で「米国」、黒い文字で「強制労働に基づく製品の輸入禁止や企業の説明責任を高めることを2021年の「通商政策方針」に明記」と表示されている。

伊尾木: 事業を行ううえで人権侵害がないか、大気汚染が発生するリスクがどの程度あるか、などを事前に調査するデューディリジェンスを義務化する指令案を発表しました。アメリカでも、強制労働に基づく製品の輸入を認めないことや、企業の説明責任を高めることが、2021年の「通商政策方針」に明記され、

映像説明: スタジオ。画面の右側に伊尾木、左側にはモニターがある。モニターには、青を基調とした世界地図にランダムな線などが重なった背景に白い文字で「人権DD義務化の例」と2つの白い背景の枠があり、上の枠にEU(イーユー)、下の枠に米国の義務化の例がそれぞれ表示されている。上部の白い背景の枠に赤い文字で「EU(イーユー)」、黒い文字で「企業持続可能性デューディリジェンス指令案 2022年2月法案発表」、下部の白い背景の枠に赤い文字で「米国」、黒い文字で「強制労働に基づく製品の輸入禁止や企業の説明責任を高めることを2021年の「通商政策方針」に明記」と表示されている。伊尾木が話を続ける。

伊尾木: 人権重視の姿勢を明確に打ち出しています。

映像説明: スタジオ。江連(えづれ)キャスターが話をする。

江連(えづれ)キャスター: では、海外に進出している日本企業(にほんきぎょう)は、これらの規制に対して、どのように対応しているのでしょうか。

映像説明: 木製の受付カウンター。木製の縦格子の壁に緑色(みどりいろ)のひし形のロゴマークと黒い文字で「住友林業株式会社 SUMITOMO FORESTRY CO.,LTD.(スミトモ フォレストリー カンパニー リミテッド)」と書かれた看板が掲げられている。受付カウンターには2つの観葉植物が置かれている。カウンターの向こうにマスクをつけた女性が座っている。

サイドテロップ(画面右上にほぼ常時表示): 人権DD 企業の具体的な取り組み

テロップ: 東京都 千代田区

テロップ: 住友林業 森林経営 木材の輸出入・加工 住宅の建築

ナレーション: 木材の製造、販売、住宅の建築、販売などでも知られる住友林業。

映像説明: 5枚の写真が順々に切り替わり表示される。雲が浮かぶ青い空の下。屋根が灰色で外壁が茶色と白のツートンカラーの家が建ち並んでいる。家の向こう側に木々(きぎ)が生い茂っている。 青空の下。外壁が青で窓枠が白の家、外壁がオレンジと赤で屋根が青い家、外壁が黄色(きいろ)と白で屋根がベージュの家が建ち並んでいる。それぞれの家の前には1本の樹木が植えられている。 雲が浮かぶ青い空の下。5軒の家が軒を連ねている。それぞれ外壁が白で窓枠が茶色、外壁が青で窓枠が白、外壁が黄緑色(きみどりいろ)で窓枠が白、外壁が黄色(きいろ)で窓枠が茶色、外壁が赤で窓枠が白の家が並んでいる。家の前には芝生が広がっている。 丸太が積み重ねられて置かれている伐採場)。オレンジ色(いろ)の作業服を着て黄色(きいろ)や赤のヘルメットをかぶった4人の作業員が作業をしている。 曇り空の下。緑色(みどりいろ)のショベルカーを黄緑色(きみどりいろ)の服を着て黄色いヘルメットをかぶった男性が動かしている。ショベルカーのそばに黄緑色(きみどりいろ)の服を着て黄色いヘルメットをかぶった男性が立ち、操縦性にいる男性のほうを見ている。奥には木々(きぎ)が生い茂っている。(写真提供 住友林業)

ナレーション: 取引先には欧米、オセアニアの企業もあり、サプライチェーンでの強制労働や児童労働、職場内差別などの人権問題については2000年代から取り組みを始めた。

映像説明: 白い壁の部屋。白いジャケットを着た女性が茶色のソファ椅子に座り、話をしている。

ナレーション: まず、国を超えてサプライチェーン全体の分析をしたという。

映像説明: 白い壁の部屋。茶色のソファ椅子に座った白いジャケットを着た女性がインタビューに答える。

テロップ: 住友林業 サステナビリティ推進部 飯塚 優子 部長

飯塚部長: どこに、じゃあ、本当にリスクがありそうなのかっていうことは、なかなか東京に座っている我々(われわれ)だけでは分からないので、 現場の人、その事業本部の人たちに、あの、入ってもらって、そこの分析をする、 リスクマップを作るっていうところが、まあ、第一歩なのかなと。

映像説明: 3枚の写真が順々に切り替わり表示される。植林地。白い作業服を着てオレンジのヘルメットをかぶった男性が苗木を植えている。 植林地。茶色のシャツを着て黄色いヘルメットをかぶった男性が枝付きの苗木を持っている。 屋外の苗木の生産場)。黄色い服に青いベストを着てオレンジのヘルメットをかぶった男性がホースで苗木に水をやっている。(写真提供 住友林業)

テロップ: 住友林業 木材調達地域などのサプライヤーに 人権問題が無いか定期的に聞き取り

ナレーション: リスクの分析をしてから、聞き取り調査を開始。木材を調達しているインドネシアやニュージーランドなどのサプライヤーに人権問題が無いか、定期的に聞き取り。

映像説明: 撮影位置が異なる2枚の会議室の写真が順々に切り替わり表示される。白い壁の会議室。紺色のシャツや白のシャツを着てマスクをつけた多くの男性が長机(ながづくえ)でパソコンに向かい話し合いをしている。

テロップ: 木材調達委員会での報告 2020年10月

ナレーション: それを3ヵ月に一度、報告しあい、問題があれば改善を要請する。

映像説明: 4枚の写真が順々に切り替わり表示される。白い雲が浮かぶ空の下、奥に木々(きぎ)が生い茂っている木材の伐採場。黄色いショベルカーが黄色(きいろ)の木材運搬車に丸太を積もうとしている。 高い位置から撮影した工場内。さまざまな大きさの木材の板が積まれ、水色のシャツを着た人物が立っているのが見える。 高い位置から撮影した黄緑色(きみどりいろ)の機械が置かれた工場内。さまざまな大きさの木材が積まれ、水色のシャツを着た人物が立っているのが見える。クリーム色(いろ)の柱やダクトがある工場。 白い服を着て白いヘルメットをかぶった男性が中二階の鉄柵の前に立っている。(写真提供 住友林業)

ナレーション: 今では定着したという調査も、始めた当初は現場での混乱が見られた。

飯塚部長: やはり、お取引先さん(サプライヤー)が協力してくださらないとできないというところがありますので。

映像説明: 白い壁の部屋。茶色のソファ椅子に座った飯塚部長がインタビューに答える。

飯塚部長: まず社内の、ま、現場の人たちにその必然性を理解してもらうこと。 で、そのうえで、じゃ、次は、えー、お取引先さん達を、ま、に、ま、集まっていただいて、ま、この人権の問題の大切さの説明をするとか。

映像説明: 3枚の写真が順々に切り替わり表示される。曇り空の下。畑で緑色(みどりいろ)のショベルカーがたくさん積まれた木材をつかもうとしている。 白い雲が浮かぶ青空の下、海に1隻の青い船が停泊し、台船(だいせん)にたくさんの木材が積まれている。奥にも小さい船が1隻停泊しているのが見える。 白い雲が浮かぶ青空の下、何十本も積まれた丸太の前に黄色いベストを着て黄色(きいろ)や赤のヘルメットをかぶった9人の男性とサングラスをかけた女性が並んで立っている。(写真提供 住友林業)

ナレーション: 一方的な調査ではなく、研修を行い、ともに理解して人権意識を向上させてきた。現在では海外の取引先からも理解を得て根づいている。

映像説明: 白い壁のオフィス。木目調の机に飯塚部長と黒いジャケットを着た女性が向かい合って座っている。飯塚部長が手ぶりを交えながら話をしている。 飯塚部長が黒いジャケットを着た女性のノートパソコンの画面を指し示しながら話をしている。2人ともマスクをつけている。

ナレーション: また、人権デューディリジェンスを徹底できているかは、融資の観点から金融機関も重要視している。こういった調査の義務は中小企業にも広がる動きが見られる。

映像説明: 白い壁の部屋。茶色のソファ椅子に座った飯塚部長がインタビューに答える。

飯塚部長: ほぼすべての会社がですね、大抵どこかの大企業のサプライチェーンの中に組み込まれていると思うんですね。 「人権侵害はありませんか?」という質問は遅かれ早かれ(どの企業にも)来るというふうに考えています。

映像説明: 空中から撮影した青空の下で周りに木々(きぎ)が生い茂っている道を丸太が積まれたトラックが走っている映像。 空中から撮影した青空の下で緑豊かな森が遠くまで広がっている映像。(映像提供 住友林業)

ナレーション: 持続可能なビジネスを続けていくために、いま、企業に求められていることとは…。

テロップ: 住友林業 サステナビリティ推進部 飯塚 優子 部長

飯塚部長: 脱炭素の話も、この人権の話も、

映像説明: 白い壁の部屋。茶色のソファ椅子に座った飯塚部長がインタビューに答える。

テロップ: 住友林業 サステナビリティ推進部 飯塚 優子 部長

飯塚部長: それから、ま、自然の生態系の話も、これ全部、ま、連立方程式で解いていかないと、 あの、持続可能な社会、それから持続可能なビジネスが担保できないということになってると思います。

映像説明: スタジオ。画面の右側に伊尾木、左側にはモニターがある。モニターには、「デューディリジェンス義務化で先行する英、仏、豪」などと書かれた本のページから「欧州委員会がEU(イーユー)人権・環境DD指令案を」などと書かれたページ、「国連グローバル・コンパクトの10原則」、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」などと書かれたページに切り替わる映像が映し出されている。伊尾木が話をする。

伊尾木: 欧米における人権などの政策は、ビジネスや輸出入の規制に反映されています。これからの海外でのビジネスでは、こういった社会課題に、いかに対応する戦略を持つかが重要になってきます。

映像説明: 薄い黄緑色(きみどりいろ)を基調とした背景の前にある2本の銀色の柱のあいだにはモニターが置かれている。モニターには、「世界貿易投資報告2022年版」内の「デューディリジェンス義務化で先行する英、仏、豪」、「欧州委員会がEU(イーユー)人権・環境DD指令案」、「国際ビジネスと人権に関する指導原則」などと書かれたページから「ロシアとウクライナの侵攻へ迅速な対抗措置を発動」などと書かれたページ、「(1)世界の貿易関連措置の導入」などと書かれたページに切り替わる映像が映し出されている。モニターの前にはタイル調の大きなカウンターデスクが置かれ、モニターの左側に江連(えづれ)キャスター、右側に伊尾木が座っている。江連(えづれ)キャスターが話をする。

テロップ: 世界貿易投資報告 検索

江連(えづれ)キャスター: 今回ご紹介した内容は、最新の「世界貿易投資報告」で見ることができます。全文はインターネットでもご覧いただけるほか、ジェトロのウェブサイトから購入いただくこともできます。

映像説明: 薄い黄緑色(きみどりいろ)を基調とした背景の前にある2本の銀色の柱のあいだにはモニターが置かれている。モニターには、「ジェトロ世界貿易投資報告 2022年版 混乱を極める世界経済、求められるビジネス戦略の再構築」と題された本の表紙が映し出されている。モニターの前にはタイル調の大きなカウンターデスクが置かれ、モニターの左側に江連(えづれ)キャスター、右側に伊尾木が座っている。江連(えづれ)キャスターと伊尾木がおじぎをしながら挨拶をする。

江連(えづれ)キャスター: 伊尾木さん、きょうは、どうもありがとうございました。

伊尾木: ありがとうございました。

映像説明: 薄い黄緑色(きみどりいろ)を基調としたコンピューターグラフィックスの背景画。緑(みどり)を基調とした、中が空洞になった地球儀が回転している。

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