海外戦略の強みに! EPA活用 ‐コスト競争力を高めるポイント‐

2021年03月18日

輸出を行う日本企業のうち、すでに半数程度の企業が利用しているという経済連携協定「Economic Partnership Agreement(EPA)」。所定の手続きを行うことで、関税の撤廃や削減ができる。現在、日本が発効、または署名を行った協定は21、対象国は50ヵ国にのぼる。2020年11月に署名した「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定」もその一つで、その発効が待たれている。自社のコスト競争力につなげている企業の事例を紹介しながら、初めての人にも分かりやすくEPAの活用法を解説する。

(13分36秒)

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テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。

映像説明: 海上。茶色いコンテナを積んだ貨物船が航路を進んでいる。黒いタンカーが海面に白い航跡を残しながら遠ざかっていく。

テロップ: 経済連携協定 EPA(イーピーエー)

ナレーション: 国際ビジネスを促進する経済連携協定、EPA(イーピーエー)。

映像説明: 埠頭。水色の巨大なガントリークレーンが何基も建てられている。そばにたくさんのトラックが1列に並んで止まっている。貨物を載せたコンテナ船が岸に横付けされている。 街なかのコンテナヤード。大きな門のような形のトランスファークレーンがいくつも建てられ、そばにコンテナが積まれている。黄色いリーチスタッカーがコンテナをつり下げ、運んでいる。

テロップ: 約半数の日本企業(にほんきぎょう)が EPA(イーピーエー)を利用

ナレーション: 輸出を行う日本企業(にほんきぎょう)のうち、すでに半数程度の企業が利用しているという。

映像説明: 橋の近くの高層ビル街。屋上付近にさまざまな企業のロゴが掲げられたビルが立ち並んでいる。 船だまり。小舟が何そうも水面に浮かんでいる。グレーのジャンパーを着た男性がオールで舟をこいでいる。映像を背景に、日本や中国、韓国を含む15ヵ国の国旗が、画面中央に表示されたテロップ「東アジア地域包括的経済連携」、「RCEP(アールセップ)」を囲むように円く並んで表示される。 両岸(りょうがん)に大きな石造りの柱があるアーチ状の橋が架けられている。街路樹が植えられた水辺の道沿いに等間隔にポールが立ち並び、縦長の旗がはためいている。 繁華街。広い歩道沿いに中国語で書かれた看板が掲げられたビルが何棟も建てられている。大勢の人が歩道を歩いている。

テロップ: 東アジア地域包括的経済連携 RCEP(アールセップ)

ナレーション: 2020年11月には東アジア地域包括的経済連携、RCEP(アールセップ)協定が15ヵ国によって署名された。これにより世界のGDPのおよそ3割を占める巨大な経済圏が誕生する。

映像説明: セミナー会場。長机(ながづくえ)が並べられ、10人の人物が間隔を空けていすに座っている。前方のスクリーンに「EPA(イーピーエー)、FTAとは何ですか(なんですか)?」と題されたスライドが映し出されている。

テロップ: 2020年12月16日 TPP11(ティーピーピーイレブン)/日EU(にちイーユー)・EPA(イーピーエー)活用促進セミナー 主催:横浜商工会議所 ジェトロ

ナレーション: EPA(イーピーエー)に対する日本企業(にほんきぎょう)の関心も、ますます高まっている。

映像説明: セミナー会場。マスクを着け、グレーのカーディガンを着た男性がインタビューに答える。

テロップ: 二輪部品メーカーの担当者

二輪部品メーカーの担当者・男性: 現状、やっぱり標準関税が非常に高いので、 (関税の)障壁というか、なくなるということは、より有利な競争というのができるんではないかなと…。

映像説明: 白い壁の前。マスクを着け、白い柄物のブラウスを着た女性がインタビューに答える。

ナレーション: 海外展開を始めたばかりというこちらの女性は…。

テロップ: 産業用ヒーターメーカーの担当者

産業用ヒーターメーカーの担当者・女性: 今後、どういう国に進んでビジネスをしていくかという、ターゲット国の選定に、 (セミナーで得た)この知識を役立てていきたいと考えております。

映像説明: セミナー会場。「EPA(イーピーエー)(FTA)利用によってコストを低減」と題されたスライドがスクリーンに映し出されている。 交通量の多い車道。車が何台も走ってくる。 街なか。路面電車の線路が敷かれた車道が奥へ延びている。道の両側に薄茶色(うすちゃいろ)のビルが立ち並んでいる。たくさんの人が歩道を歩いている。

ナレーション: 企業が海外戦略を考えるうえで重要な要素となるEPA(イーピーエー)。その活用方法やメリットについて企業の事例も交えて解説する。

映像説明: スタジオ。世界地図のCGをバックに女性キャスターがデスクに座っている。淡いピンクのブラウスとジャケットを着ている。

テロップ: 八木 ひとみ(やぎ ひとみ)

八木(やぎ)キャスター: 世界は今、ジェトログローバルアイ。 日本と多くの国とのあいだで結ばれた経済連携協定、EPA(イーピーエー)。輸出を行う企業にとって関税の削減や撤廃は大きなメリットです。しかしEPA(イーピーエー)の使い方が分からず、その恩恵を受けていない企業も少なくありません。今回は、初めて利用する人にも分かりやすいEPA(イーピーエー)の活用方法をご紹介します。

テロップ: 海外戦略の強みに! EPA(イーピーエー)活用 ‐コスト競争力を高めるポイント‐

映像説明: スタジオ。話を続ける八木(やぎ)キャスターの隣にグレーのジャケットを着た女性が座っている。

八木(やぎ)キャスター: スタジオにはジェトロ海外調査部の佐藤さんにお越しいただいています。佐藤さん、よろしくお願いします。

映像説明: グレーのジャケットを着た女性が挨拶をし、お辞儀をする。

テロップ: ジェトロ 海外調査部米州課 佐藤 輝美

佐藤(ジェトロ 海外調査部米州課): よろしくお願いします。

映像説明: スタジオ。八木(やぎ)キャスターとグレーのジャケットを着た佐藤(ジェトロ 海外調査部米州課)が話を続ける。

テロップ: EPA(イーピーエー) Economic Partnership Agreement → 国・地域間の貿易・投資を促進するための協定

八木(やぎ)キャスター: まず、今回のテーマであるEPA(イーピーエー)とは、そもそもどういったものなんでしょうか。

佐藤: はい。EPA(イーピーエー)とは経済連携協定の略称で、幅広い分野での経済関係の強化を目指し、特定の国、地域同士で貿易や投資の自由化、円滑化を進める協定です。

映像説明: 「EPA(イーピーエー)/FTAの仕組み」と題された表が表示される。「輸出国」、「日本」、「B国」と書かれた2つの枠と「輸入国」、「A国」と書かれた枠が現れる。日本とB国からA国に向かって2つの矢印が伸び、矢印の先にある車のイラストが移動する。それぞれの矢印に「輸入関税」、「20%」と表示される。日本の矢印に「日本とA国がEPA(イーピーエー)を締結」、「EPA(イーピーエー)税率が適用」と書かれ、数値が20%から3%に変わる。B国の数値は20%のまま変わらず、「基本税率が適用」と表示される。

佐藤: EPA(イーピーエー)、FTAのいずれも関税の削減、撤廃などを通じて貿易の自由化が進み、企業にとってビジネスコストを削減できるメリットがあります。

映像説明: スタジオ。八木(やぎ)キャスターと佐藤が話を続ける。

八木(やぎ)キャスター: 関税以外には、どんなことが定められているんでしょうか。

テロップ: 知的財産の保護 投資ルールの整備 → 企業が安心して相手国に進出可能

佐藤: はい。例えば、知的財産の保護や投資ルールの整備といったものがあります。投資やサービスのルールが整備されることによって、企業は安心して相手国に進出することが可能になり、幅広い経済効果が期待できます。

映像説明: スタジオ。八木(やぎ)キャスターと佐藤が話を続ける。 「日本のEPA(イーピーエー)締結状況」と題された世界地図が表示される。「発効済」の国は紫色、「署名済・未発効」の国は水色、「交渉中」の国は黄緑で塗られている。「発効済」の国はASEAN諸国やオーストラリア、メキシコ、EU(イーユー)などとなっている。「署名済・未発効」の国は中国や韓国、米国となっている。「交渉中」の国はトルコやコロンビアなどとなっている。「発効または署名済 50ヵ国・地域」という文字が表示される。(出所:経済産業省の資料を基に作成(2021年1月時点))

八木(やぎ)キャスター: 日本は、どれくらいの国と協定を結んでいるんでしょうか。

佐藤: 現在は、発効、または署名済みの協定の数は21に及びます。相手国の数では合計50ヵ国になります。最近では2018年末に発効したTPP11(ティーピーピーイレブン)以降、日EU(にちイーユー)・EPA(イーピーエー)、日米、日英、そしてRCEP(アールセップ)と、次々と新たな協定を締結してきました。

映像説明: スタジオ。八木(やぎ)キャスターと佐藤が話を続ける。 「関税率の例(日本から輸出する場合)」と題された表が表示される。メキシコに清酒を輸出する際は基本税率が20%であるのに対し、TPP11(ティーピーピーイレブン)の税率は「0」であることが示されている。マレーシアに包丁を輸出する場合は基本税率が25%である一方、日マレーシアEPA(イーピーエー)の税率は0%となっている。

八木(やぎ)キャスター: 多国間で結ばれる協定も、ずいぶん増えてきましたよね。こうしたEPA(イーピーエー)ですが、企業にとっての魅力とは、やはり関税の削減なんでしょうか。

佐藤: そうですね。いろいろとありますが、関税コストの削減が大きなメリットといえます。WTOによって世界の貿易の自由化が進み、加盟国の関税も年々下がってきました。それでも、製品によっては、2桁以上の関税率が残っている場合があります。こうしたケースではEPA(イーピーエー)によって関税率の削減、または撤廃がされると、企業にとってはコストが下がり、取り引きの拡大が期待できます。

八木(やぎ)キャスター: 確かに、もし2桁あった関税が撤廃されると、大きな額になりそうですよね。

映像説明: スタジオ。八木(やぎ)キャスターが話を続ける。

八木(やぎ)キャスター: では、実際にEPA(イーピーエー)を利用している企業を取材しました。

映像説明: 街なか。街路樹が植えられた車道沿いに建つ薄茶色(うすちゃいろ)のビルの外観。

テロップ: 神奈川県 厚木市

テロップ: ベネクス

ナレーション: 神奈川県厚木市に本社を構える、2005年創業のベネクス。

映像説明: オフホワイトの壁の部屋。壁際にマネキンが2体立てられている。一方にはスウェットの紺のシャツとグレーのズボンが着せられている。他方にはグレーのスウェットのワンピースが着せられている。

テロップ: リカバリーウェア

ナレーション: 機能性のある糸を使ったリカバリーウェアの製造、販売を行う。

映像説明: 店の外観の写真。ガラス張りの出入り口に「GENKI VITAL」と書かれたロゴが表示されている。白いローブをまとった笑顔の女性の写真がガラスに貼られ、「元気」、「I feel genki」と書かれている。 店内の写真。Tシャツやハーフパンツ、レギンスを着けたマネキンが何体も立てられている。ハンガーラックにグレーや白、黒のシャツが掛けられている。フロアには黒い布が張られたいすが置かれている。布にはアルファベットのVのような形のオレンジのマークに「VENEX(ベネクス)」と書かれたロゴが描かれている。

ナレーション: 海外事業は2014年にドイツに進出したことを皮切りに、現在はスイスやベルギーにも販路を拡大している。

映像説明: オフホワイトの壁の部屋。グレーのジャケットを着た男性が、白い糸が巻かれた大きな糸巻きを手にしている。男性が糸の端をつかんでピンと張って見せる。

ナレーション: ベネクスが輸出するのは完成した製品ではなく、こちらの糸。

映像説明: 円形の容器から取り出された光沢のある細い糸。

ナレーション: 独自に開発した特殊な繊維だ。

映像説明: オフホワイトの壁の部屋。グレーや黒、ピンクの衣類がかかったハンガーラックのそばでグレーのジャケットを着た男性が身ぶりを交えてインタビューに答える。 店内の写真。壁際の棚にオレンジや黄色(きいろ)の箱入りの商品が並べられている。棚の下のハンガーラックに、グレーやえんじ色(いろ)のシャツやハーフパンツが何着も掛けられている。フロアには黒いソファーが置かれている。 オフホワイトの壁の部屋。グレーのジャケットを着た男性が話を続ける。

テロップ: ベネクス 片野 秀樹 副社長

片野副社長: ヨーロッパについては、糸を輸出して 現地で工場とともにですね、デザインから大きさから規格からを作って、 現地向けの商品として販売してます。

映像説明: オフホワイトの壁の部屋。グレーのジャケットを着た片野副社長が大きな糸巻きを手に話をしている。 光沢のある白い糸が巻かれた糸巻きがテーブルに置かれている。

テロップ: 日EU(にちイーユー)・EPA(イーピーエー)により糸の関税が撤廃(4% → 0%)

ナレーション: 輸出する糸にはもともと4%の関税がかかっていたが、2019年2月に発効された日EU(にちイーユー)・EPA(イーピーエー)により、それが撤廃された。

映像説明: ブラインドが下ろされたオフィス。大勢の人がデスクでパソコンに向かっている。全員がマスクを着けている。 マスクを着け、白いセーターを着た女性が受話器を握り、うなずきながら話している。 グレーのトレーナーを着た男性とカーキ色(いろ)のセーターを着た女性がデスクを挟み、話をしている。

ナレーション: 現地でのビジネスコストの高さが課題となっていたベネクスでは、すこしでもコストを抑えるためEPA(イーピーエー)の活用を始めた。

映像説明: オフホワイトの壁の部屋。片野副社長がハンガーに掛けた水色のTシャツをラックに掛ける。 グレーや黒、ピンクの衣類がかかったハンガーラックのそばで片野副社長が身ぶりを交えてインタビューに答える。

片野(かたの)副社長: 最初にですね、日本(にほん)から輸出したときに、定価というのをある程度、こう、決めて販売してるんですね。 蓋(ふた)を開けるとですね、中間マージンが日本(にほん)よりも、ヨーロッパのが必要だっていうのが理解できたんですね。 そうなってくると、原価を落とさなきゃいけないんですね。

映像説明: 光沢のある白い糸が巻かれた糸巻きがテーブルに置かれている。

ナレーション: 4%は、一見、小さな数字だが、関税撤廃によるその効果とは…。

映像説明: オフホワイトの壁の部屋。グレーや黒、ピンクの衣類がかかったハンガーラックのそばで片野副社長がうなずき、インタビューに答える。 店内の写真。スクリーンが立てられ、現地の言葉で書かれたスライドが映っている。フロアにいすが並べられ12人ほどの人物がスライドを見ている。 ブースの写真。ベネクスのロゴが描かれた横断幕や垂れ幕が下げられている。グレーのTシャツを着せたマネキンが手前に立てられている。ブースの前にたくさんの人が集まり、話をしている。 オフホワイトの壁の部屋。片野副社長が話を続ける。

片野副社長: 原料で4%って結構大きいんですよ。 大本(おおもと)のところでですね、1%でも、2%でも圧縮するって、最終でいうとですね、(コスト削減が)大きくなってくるんで、 それは(EPA(イーピーエー)を利用する)メリットがある。

映像説明: スタジオ。八木(やぎ)キャスターと佐藤が話をする。 「EPA(イーピーエー)を利用する手順」と題されたフローチャートが表示される。「1 EPA(イーピーエー)の対象国か?」、「2 輸出する産品の関税番号(HSコード)は?」、「3 関税率は?(World Tariff)」の項目が順々に表示され、「3 関税率は?(World Tariff)」から「基本税率」と「EPA(イーピーエー)税率」を比較」と書かれた吹き出しが現れる。

八木(やぎ)キャスター: さて、企業にとって魅力的なEPA(イーピーエー)ですが、佐藤さん、どのような手順で利用すればいいんでしょうか。

佐藤: はい。EPA(イーピーエー)を利用するには、まず輸出相手国がEPA(イーピーエー)の対象国か確認します。対象国である場合、次に関税率を調べます。関税率はジェトロのウェブサイトからアクセスいただける「World Tariffというデータベースで調べることができます。従来の関税率よりEPA(イーピーエー)が規定する税率のほうが低かった場合、EPA(イーピーエー)を利用する価値があると言えます。

映像説明: スタジオ。八木(やぎ)キャスターと佐藤が話を続ける。

八木(やぎ)キャスター: 実際にEPA(イーピーエー)を使う際には、どんな書類が必要になってくるんですか。

映像説明: 「EPA(イーピーエー)を利用する手順」と題されたフローチャートが再び表示される。「4 原産地規則を満たしているか?」、「5 原産地の証明に必要な書類は?」、「EPA(イーピーエー)を利用できます」と書かれている。

佐藤: はい。相手国の税関に対して、輸出する製品の原産地が日本(にほん)であることを証明するための書類が必要になります。

映像説明: スタジオ。佐藤が話を続ける。

テロップ: 原産地規則 産品の原産地を特定するためのルール → 各協定や品目によって基準が異なる

佐藤: 原産地を証明するには、「原産地規則」と呼ばれる産地を特定するためのルールを満たしていなければなりません。これは、それぞれの協定で品目別に定められています。

映像説明: 「原産地規則の目的」と題された表が表示される。日本で生産された自動車を日本からEPA(イーピーエー)締結国であるB国に輸出する際は、原産地規則のルールが満たされ、EPA(イーピーエー)税率が適用されることが示されている。一方、第三国のA国で生産された自動車を日本が輸入し、B国に輸出する場合は基本税率が適用される。原産地規則によって第三国製品の課税逃れが防止されることが説明されている。

佐藤: EPA(イーピーエー)における原産地規則の目的は、締結国を原産とする製品にのみEPA(イーピーエー)の関税率が正しく適用されることにあります。

映像説明: スタジオ。八木(やぎ)キャスターと佐藤が話を続ける。

八木(やぎ)キャスター: ただ、日本で作られた製品であっても、材料の一部を輸入しているという場合もありますよね。

テロップ: 原産地規則のルールを満たせばEPA(イーピーエー)は適用

佐藤: はい。輸入した材料で作られた製品や、複数の製造工程を有する工業製品などがそれに当たると思います。その場合でもルールを満たしていればEPA(イーピーエー)は適用されます。このルールを満たしていることが分かる書類を用意すれば準備完了です。

八木(やぎ)キャスター: EPA(イーピーエー)をこれから利用する企業にとっては、どのように対応すればよいのか気になるところですよね。自動車関連の部品を輸出する企業を取材しました。

映像説明: 片側1車線の車道。道沿いに2階建ての白い工場が建てられている。アルファベットのCを円で囲んだマークに「CASTEC(キャステック)」と書かれたロゴが壁に描かれている。

テロップ: 埼玉県 加須市

テロップ: キャステック

ナレーション: 日本のモノづくりを高度な技術で支えるキャステック。

映像悦明: 室内。鋳物の金型(かながた)に使われる、さまざまな部品がショーケースに展示されている。「鏡面仕上げピン」、「3D(スリーディー)造形サンプル」と書かれたプレートが立てられている。 金色や銀色の棒状の部品がスタンドに並べられている。表面が磨き上げられ、先端は細くなっている。それぞれの商品の傍らに「キャスコート」などと名称が書かれた札(ふだ)がある。

テロップ: ダイキャスト金型用(かながたよう)コアピン・インサートなど

ナレーション: 扱う製品はこちらのコアピンやインサートと呼ばれるもので、金型(かながた)メーカーに納品している。

映像説明: 淡い緑の布が敷かれた台に組み立てる前のエンジンが置かれている。 エンジンの表面には、さまざまな溝や穴が作られ、複雑な形状になっている。

ナレーション: その製品が組み込まれた金型(かながた)を使って、最終的には自動車部品などが出来上がる。

映像説明: 工場の中。青いロボットアームが囲いの中で作動している。青い作業服を着た女性がそばで作業をしている。 緑の床の室内。青や淡い黄色(きいろ)の平たいコンテナが床の上にさまざまな高さに積まれている。円いテーブルのそばでグレーの上着を着た女性が商品を箱に詰めている。

ナレーション: 海外事業ではヨーロッパや北米、アジア向けの輸出を行うキャステック。

映像説明: 緑の棚に札(ふだ)が2枚貼られ、それぞれに「アジア」、「ヨーロッパ」と書かれている。棚の上には平たいコンテナが載せられ、棚の下には段ボール箱が並べて置かれている。

ナレーション: 現在、日EU(にちイーユー)・EPA(イーピーエー)を利用している。

映像説明: 花の絵が飾られた部屋。紺のスーツを着た男性がインタビューに答える。

テロップ: キャステック 営業課 白浦 翔太 主任

白浦主任: 専門の(部署)っていうのがないんですよ。そんなに大きい会社ではなくて、 (EPA(イーピーエー)の申請を)営業(部門)で対応しているっていうのが現実ですね。

映像説明: 観葉植物が飾られたオフィス。大勢の人がデスクでパソコンに向かっている。全員がマスクを着けている。 マスクを着け、紺のスーツを着た白浦主任がパソコンのモニターを見ている。

ナレーション: 実際にEPA(イーピーエー)の申請を行ってみて、どのようなことに戸惑ったのだろうか。

映像説明: 観葉植物が飾られたオフィス。グレーのセーターを着た女性が手に持った書類を指さしながら、白いセーターを着た女性と話をしている。2人ともマスクを着けている。 花の絵が飾られた部屋。白浦主任がインタビューに答える。

白浦主任: インターネットで見てても、解釈が、なんか全然分からないことがあるんです。 原産地証明の中でも、どの程度、証明しなきゃいけないのかですとか、 ここから先は、その、輸入側の解釈しだいですとかなったときに、 どこに聞いたらいいのかっていうのは(疑問は)正直ちょっと残っちゃいますけど、でも、(解決のため)ある程度はジェトロさん、ほんとにいつも利用させてもらっていて…。

映像説明: 緑の床の室内。マスクを着けた白浦主任が通路を歩いている。緑のチェック柄の上着を着ている女性のデスクに向かい、話しかける。 女性がデスクの上に置いてあるプリンターから書類を取り、白浦主任に手渡す。白浦主任が受け取った書類に目を通す。

ナレーション: ルールの解釈に戸惑ったと話す白浦さん。それでもEPA(イーピーエー)を何度か利用するうちに、かなりスムーズに手続きができるようになったという。

映像説明: マスクを着けた白浦主任が手に持った書類を指さし、話をする。指した箇所が拡大表示される。「(Origin criteria used(4)) B(オリジン クライテリア ユーズド フォー ビー)」と書かれた部分に黄色い下線が引かれる。 花の絵が飾られた部屋。白浦主任がインタビューに答える。

白浦主任: 原産地証明自体は、一度取得してしまえば、(2回目以降は)初回ほどの時間はかからないのかなと思います。 申請の簡略化っていう意味でも、やれるところはシステム化もしてます。

映像説明: 鋳物の金型(かながた)に使われる、さまざまな部品が並べられたショーケースのそば。マスクを着けた白浦主任が話をしている。

ナレーション: 白浦さんはEPA(イーピーエー)を効果的に使うためのコツをこう話す。

映像説明: ショーケースのスタンドに金色や銀色の棒状の部品が20本ほど並べられている。 花の絵が飾られた部屋。白浦主任が身ぶりを交えてインタビューに答える。 緑の床の室内。緑のチェック柄の上着を着ている女性が座るデスクのそばで、白浦主任が書類を手に話をしている。 花の絵が飾られた部屋で白浦主任が話を続ける。

白浦主任: (ロットの小さい)細かい商品を1回で輸出してしまうと、(EPA(イーピーエー)を)活用するメリットっていうのはなくなっちゃうんですけど、 出荷をちょっとまとめて、1つの荷物にして、1回の労力で1回のコストで申請できるので、 そこを調整するっていうのが、1つ、カギなのかなって思います。

映像説明: スタジオ。八木(やぎ)キャスターと佐藤が話をする。

八木(やぎ)キャスター: 取材した企業では比較的少人数で対応していましたが、工夫すれば自社内で対応できるものなのでしょうか。

佐藤: はい。最初は分からないこともあるかと思いますが、大企業に限らず、中堅、中小企業でも自社内で対応している例が数多くあります。

映像説明: 3冊のガイドブックの表紙が映し出される。画面左から「TPP11(ティーピーピーイレブン)解説書 TPP11(ティーピーピーイレブン)の特恵関税の活用について」、「【貿易事業者必読】 EPA(イーピーエー)で新たなビジネスチャンスを切り開く! ~EPA(イーピーエー)制度概要と利活用事例16社の紹介~」、「日EU(にちイーユー)・EPA(イーピーエー)解説書 日EU(にちイーユー)・EPA(イーピーエー)の特恵関税の活用について」と題されている。

佐藤: 利用にあたっては、ジェトロや商工会議所が行うセミナーまたはガイドブックなどで、まずは情報収集をされるといいと思います。

映像説明: スタジオ。八木(やぎ)キャスターと佐藤が話を続ける。

佐藤: ふだん、おつきあいのある通関業者に相談されている企業もいらっしゃいます。

八木(やぎ)キャスター: では、先ほどの企業にEPA(イーピーエー)を利用するメリットについても伺いました。

映像説明: キャステックの社内。花の絵が飾られた部屋で白浦主任がインタビューに答える。

テロップ: キャステック 営業課 白浦 翔太 主任

白浦主任: お客様のほうから、ちょっと要望があって、それをきっかけで(EPA(イーピーエー)の利用を)始めたっていうのが…。

映像説明: 緑の床の室内。マスクを着け、グレーの作業服を着た男性がキャスター付きの棚に平たいコンテナを載せ、運んでいる。

テロップ: キャステックが欧州へ輸出する製品 → 現地の納品先が関税を負担する契約

ナレーション: キャステックがヨーロッパに輸出する製品は、納品先の企業が関税を負担する契約だという。

映像説明: コンテナや段ボール箱が積まれた棚に札(ふだ)が貼られ、それぞれに「アジア」、「ヨーロッパ」、「メキシコ」、「アメリカ」と書かれている。 マスクを着け、茶色のセーターを着た女性が書類を段ボール箱に入れ、段ボール箱を運ぶ。 マスクを着け、茶色のセーターを着た女性が作業台でパソコンに向かう。

ナレーション: そのため、関税撤廃によるコスト削減の恩恵を受けるのは取引相手のほうになる。それでも、要望を受けて、EPA(イーピーエー)の利用を始めたのにはある戦略があった。

映像説明: 花の絵が飾られた部屋。白浦主任がインタビューに答える。 観葉植物が飾られた部屋。4人の人がデスクでパソコンに向かっている。全員がマスクを着けている。 マスクを着け、黒い上着を着た女性が手に持った書類とデスクの上に置いた書類を見比べている。 花の絵が飾られた部屋で白浦主任が話を続ける。

白浦主任: コスト競争力っていうのは単価を下げるだけではなくて、 そういった、あの、関税を削減できるっていう(要望)にも、しっかり対応できるっていうのも含まれてるのではないかなと思いまして、 ユーザーさんにとって、私たちサプライヤーは選ばれているわけなんですけど、 そういったこと(EPA(イーピーエー))に対応できるっていうのは、 (サプライヤーを)選択する中で、1つ、メリットとして感じていただけるんではないかなと思ってます。

映像説明: スタジオ。八木(やぎ)キャスターと佐藤が話をする。

八木(やぎ)キャスター: 取引先のコストを削減できるというのは、確かに企業にとっての付加価値となりますよね。EPA(イーピーエー)を利用する際に気を付ける点などはありますか。

テロップ: EPA(イーピーエー)による関税削減・撤廃のスケジュール → 即時撤廃 段階的な撤廃など品目によって異なる

佐藤: はい。品目によってEPA(イーピーエー)による関税の削減や撤廃のスケジュールが異なります。事前にしっかり調べて、どのタイミングで使うといいか確認することが重要です。

八木(やぎ)キャスター: それでは、本日、ご紹介したEPA(イーピーエー)を活用するポイントをまとめてみました。

映像説明: 「EPA(イーピーエー)活用のポイント」と題された表が表示される。「1 輸出相手国はEPA(イーピーエー)対象国か?」、「2 自社製品の関税率はEPA(イーピーエー)によって下がるのか?」、「3 原産地規則のルールを満たしているか? もし満たしていない場合でも工程の見直しなどで対応できそうか?」といった3つの項目が順々に表示される。

八木(やぎ)キャスター: 「輸出相手国はEPA(イーピーエー)対象国か」、「自社製品の関税率はEPA(イーピーエー)によって下がるのか」、「原産地規則のルールを満たしているか。もし満たしていない場合も、工程の見直しなどで対応できそうか」、EPA(イーピーエー)を検討する際、にぜひ確認してみてください。

映像説明: スタジオ。八木(やぎ)キャスターと佐藤が話を続ける。

八木(やぎ)キャスター: では、最後になりますが、輸出を行う企業の方(かた)に何かメッセージはありますか。

テロップ: 関税の削減・撤廃によりコスト競争力を高める

佐藤: はい。輸出の際には、競合先とのあいだで厳しいコスト競争が生じることが少なくありません。EPA(イーピーエー)で実現する関税の削減や撤廃はコスト競争力を直接高める効果が期待できます。

テロップ: サプライチェーンの見直し時にEPA(イーピーエー)を考慮

佐藤: また、コロナ禍で安定調達、安定供給を目的にサプライチェーンの見直しをする企業が増えています。見直し時にEPA(イーピーエー)を考慮すると、関税コストを減らすことも可能です。自社製品の競争力をすこしでも高めるため、EPA(イーピーエー)の利活用を検討することをお勧めします。

映像説明: スタジオ。八木(やぎ)キャスターと佐藤が話を続ける。画面下部に検索ボックスが現れ、「ジェトロ EPA(イーピーエー)」と表示される。

テロップ: ジェトロ EPA(イーピーエー)ウェブサイト

八木(やぎ)キャスター: 輸出をする企業にとってEPA(イーピーエー)を知っておくことは、ますます必要不可欠となりそうですね。佐藤さん、きょうはありがとうございました。

佐藤: ありがとうございました。

映像説明: 八木(やぎ)キャスターと佐藤がおじぎをする。

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