現代のシルクロードで広がる商機 ‐アゼルバイジャンをパートナーに‐

2019年12月12日

コーカサス地方のアゼルバイジャン。かつて東西を結ぶシルクロードの交易で栄えた国だ。産油国として知られるが、産業の多角化を目指す同国に今、食品を輸出、加工しようとする取り組みがある。三重県の伊勢茶を現地メーカーを通じてティーバッグにしたり、抹茶チョコレートを生産、周辺国に展開していくというものだ。アゼルバイジャンへの輸送には、大陸横断鉄道の活用も想定。外洋に面していないこの地域は日本からのアクセスが課題だが、空路や海路に比べてリーズナブルに運べるという。関係者は、お茶に続く品目の広がりも視野に入れる。変化するフロンティア市場のニーズを捉え、新たな可能性を拓こうとする挑戦を取材した。

(9分17秒)

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テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。

映像説明: 茶道具が置かれた和室。白い襖の前に水差しと金属製の釜(かま)が載せられた風炉が置かれている。薄紅色(うすべにいろ)の着物に紅葉柄(もみじがら)の帯を着けた女性が釜(かま)の横に正座し、笑顔で頭を下げ、挨拶をする。

薄紅色(うすべにいろ)の着物を着た女性: みなさん、ようこそお越しくださいました。ウェルカム!

映像説明: 6畳ほどの和室の真ん中に、黒の着物にグレーの縦じまの袴を着けた男性が正座をして、茶菓子を配っている。周りには8人の男性と、ブロンドヘアの女性が座っている。ビデオカメラを担いだ男性が、あぐらをかき、足を崩して座っている人々の方にレンズを向けている。黒いシャツを着て帽子をかぶった男性が、ようじを使って茶菓子を食べる。

映像説明: 店の中。店内奥のカウンターの上部に筆文字で「御銘茶」と白く染め抜かれた紺ののれんが掛かっている。10人ほどの人々が深さのある木製の四角い棚を取り囲んでいる。棚の上には、金色の茶筒と白地に青い柄(がら)の入った茶筒、小さい臼のような形の黒いみかげ石の器が置かれている。器の上部は浅くくりぬかれており、濃い緑の茶葉(ちゃば)が入っている。黒い帽子をかぶり、口ひげを生やした男性が指の先に抹茶を取り、確かめるように親指と人差し指を擦り合わせる。 黒い帽子をかぶり、口ひげを生やした男性と、隣に立つ白と黒の細いストライプのシャツを着た銀髪の男性が、指先についた抹茶をなめる。口ひげを生やした男性が何度もうなずく。 和室。カーキ色(いろ)のシャツを着た短髪の男性が、ちょうの絵柄が入ったグレーの抹茶碗を両手で持ち、一口飲む。隣に座る白と黒の細いストライプのシャツを着た銀髪交じりの男性が、ほほ笑みながらその様子を見つめている。

ナレーション: 三重県にアゼルバイジャンからの一行が訪れた。茶道体験などを楽しんだかと思うと…。

映像説明: うっそうと木が生い茂る山に囲まれた緑の畑。 黒い帽子をかぶり、黒のサングラスをかけ、口ひげを生やした男性が白と黒のストライプのシャツを着た銀髪の男性に話しかける。話し終えたあと、白と黒のストライプのシャツを着た銀髪の男性が、正面の方に目線を移す。

ナレーション: 真剣な表情で茶畑に立つ。彼らの目的は…。

映像説明: 薄い青を基調としたコンピューターグラフィックスの背景画。 世界地図の上で回転する。中が空洞になった地球儀から、もうひとつ地球儀が飛び出す。 拡大表示された地球儀の横にタイトルが現れる。 「世界は今ジェトログローバルアイ」。

映像説明: スタジオ。 地球儀と世界地図の画像をバックに、女性キャスターが入ってくる。 小さな白い三角形の模様を散らした茶色いノーカラーのブラウスに、ワイン色(いろ)のスカートを履いている。

テロップ: 八木 ひとみ(やぎ ひとみ)

八木(やぎ)キャスター: 世界は今、ジェトログローバルアイ。 皆さんは、アゼルバイジャンという国をご存じでしょうか。アジアとヨーロッパが交差する場所に位置していて、産油国としても知られています。そのアゼルバイジャンに日本の農産品を輸出しようとする動きがあります。その狙いとは。

テロップ: 現代のシルクロードで広がる商機 ‐アゼルバイジャンをパートナーに‐

映像説明: 市街地。店が並ぶ幅の広い歩道。サングラスを掛けた男性が自転車を走らせ、半袖に短パン姿の男性やジーンズ姿の女性が行き交う。赤いTシャツを着て髪を肩まで伸ばした男性が佇み、細身のジーンズをはいた2人の男性がベンチに座り、話しこんでいる。 市場(いちば)。積み上げられたダンボール箱の上にキャベツやニンジン、トマト、インゲンなどさまざまな野菜や果物が並べられ、8人ほどの男性が商品を見ている。1人が赤や緑の野菜が入ったビニール袋を受け取る。(映像提供 在日アゼルバイジャン共和国大使館)

ナレーション: アゼルバイジャンは、カスピ海の海底油田開発をきっかけに、急激な発展を遂げた産油国だ。

映像説明: 夕暮れどきのおだやかな海。薄くかかった雲から差す光が海面をオレンジ色(いろ)に照らし、白い高速ボートが水しぶきを上げながら走ってくる。陸地に建つ多くの建物の中に、先端が尖った3棟(とう)の高層ビルや背の高い電波塔が建っている。遠く離れた左手の岸辺には、白くて高い掲揚塔に巨大な国旗がはためいている。 青空の下、ルネサンス建築風の重厚な白い建物が建っている。 10階ほどの高さの建物には、四隅にドーム型のエメラルドグリーンの屋根がついている。建物の右側は片側3車線の交通量の多い道路、左側は緑の木々(きぎ)が植えられた広場に面している。 湾岸エリア。ホテル風の建物がいくつも建ち、海に面してたくさんの木を植えた緑地が作られている。緑地のほぼ中央から海の方へと大きな桟橋が延びている。海岸線の先に巨大な埋め立て地があり、たくさんの工事用クレーンが首を伸ばしている。

テロップ: 人口 998万人

ナレーション: 人口はおよそ1,000万(いっせんまん)で、現在は石油分野以外への投資誘致や産業の多角化を目指している。

映像説明: 街並みの映像を背景に、東欧および中東地域の地図が表示される。アゼルバイジャンは、黒海とカスピ海に挟まれた南コーカサスの3ヵ国の1つ。北はロシアとジョージア、西はアルメニアと国境を接している。ジョージアの西に隣接する黒海は、ウクライナ、ロシア、トルコに囲まれており、南はトルコを挟んで地中海へとつながっている。アゼルバイジャンは、東にあるカスピ海を挟んで、北からカザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタンに面している。南に国境を接するイランの西にはイラクが位置している。

ナレーション; アジアとヨーロッパの分岐点に位置する旧ソ連の構成国で、ロシア、ジョージア、イランなどと国境を接している。この国に注目した日本の企業がある。

映像説明: 記者発表会の会場。白と青の市松模様のパネルの前で、黒いスーツに白い水玉模様の入った紺のネクタイを着けた男性が、右手にマイクを持ってにこやかに話をしている。 パネルの市松模様の青い部分には白抜きで「H.I.S.(エイチアイエス)」と書かれたロゴマークが描かれ、白い部分には、ひらがなの「み」の字をモチーフにした緑色(みどりいろ)の三重県のマークが入っている。テーブルに「株式会社エイチ・アイ・エス代表取締役会長兼社長 澤田 秀雄」と書かれたネームプレートが置いてある。

ナレーション: その企業とはHIS (エイチアイエス)。

映像説明: 赤と白のストライプのネクタイを締めた男性がマイクを持ち、身振りを交えて話をしている。テーブルに「三重県知事 鈴木 英敬」のネームプレートが置いてある。 青と白の市松模様のパネルの前に4人の男性が並んで立ち、カメラマンがシャッターを切っている。中央に並んで立つ、水玉模様の紺のネクタイを着けた澤田代表取締役会長兼社長と、赤と白のストライプのネクタイを締めた鈴木三重県知事。それぞれが両者のサインが入った書類を挟んだ黒いバインダーを両手で持ち、カメラマンの方に見せている。

ナレーション: HIS(エイチアイエス)は、実証事業の取り組みに向け、三重県と食品の海外展開に向けた協定を締結した。

映像説明: 青と白の市松模様のパネルの前で、茶色のフレームの眼を掛けた男性が右手にマイクを持って話をしている。テーブルに、「株式会社エイチ・アイ・エス 取締役上席執行役員 山野邉 淳(やまのべ あつし)」と書かれたネームプレートが置いてある。

ナレーション: しかし、そもそもなぜ、アゼルバイジャンに着目したのか。

映像説明: 茶色のフレームの眼鏡を掛けた山野邉(やまのべ)取締役上席執行役員の右横に、澤田代表取締役会長兼社長が座り、ペンを走らせている。その右隣には鈴木三重県知事が並んで座っている。

ナレーション: HIS(エイチアイエス)は、旅行事業に加え、これからは商社事業にも取り組んでいく。

映像説明: グレーの壁の会場。壇上に山野邉(やまのべ)取締役上席執行役員が立ち、マイクの前で話をしている。

ナレーション: このプロジェクトの責任者であるHIS(エイチアイエス)の山野邉(やまのべ)氏は、地理的な優位性があると語る。

映像説明: 青と白の市松模様のパネルの前で、山野邉(やまのべ)取締役上席執行役員がインタビューに答える。

テロップ: HIS(エイチアイエス) 山野邉 敦(やまのべ あつし) 取締役上席執行役員

山野邉(やまのべ)取締役上席執行役員: えーまず、えー、アゼルバイジャン、自体にもポテンシャルがもちろんあると思って、アゼルバイジャン、入れてるわけですけれども、 ま、周辺1,000キロ以内に、えー、10ヵ国、4.3億人の人口があると。ま、いうことも非常に注目しておりまして。 そこに向けて展開ができれば、更に大きくなっていくんではないかなというふうに思っております。

映像説明: 黒いの浅鉢(あさばち)に、緑の茶葉(ちゃば)が載っている。 白いクロスが敷かれたテーブルの上に、山盛りのみかんが入った四角い茶色のバスケットが2つと、黒いラベルが貼られたガラス瓶に入ったみかんジュースが並べられている。バスケットの後ろには、みかん畑(みかんばたけ)の写真が入った額が飾られ、後ろにはパンフレットが重ねて置かれている。 青と白の市松模様のパネルの前に、スーツ姿の9人の男性と黒いワンピースを着たブロンドヘアの女性が並んで立っている。パネルの上部には「H.I.S.(エイチアイエス)と三重県 食の海外進出展開に係る戦略的連携協定式及び記者発表会」と書かれている。

テロップ: フードバリューチェーン・トータル実証事業

ナレーション: ジェトロの補助事業のもと、三重県産を皮切りに、日本の農林水産物・加工食品を世界に売り込む取り組みが始まる。

映像説明: グレーの壁の会場。壇上で、紺のスーツにえんじ色(いろ)のネクタイを着けた男性が、時おり手元の方に目を向けながら話をする。

テロップ: ジェトロ 理事長 佐々木 伸彦

佐々木(ジェトロ理事長): 日本全国(にほんぜんこく)には、隠れた、えー、すばらしい商材がまだまだたくさんあります。 また世界には、隠れた市場が多く存在します。 更なる新興市場 ニッチ市場の開拓が期待されるところであります。

映像説明: 上から見た湾岸エリア。画面の中央にはエメラルドグリーンの屋根を持つルネッサンス建築風の建物が建っている。建物の右側には片側3車線の道路を挟んで緑の木々(きぎ)が植えられた広 場があり、海へと続いている。建物の左側は緑の木々(きぎ)が植えられた広場と、低層の建物が密集しており、遠くには高層ビルが建ち並んでいる。 走る車の車窓からの風景。片側2車線の高架道路を望む。金属製の太いケーブルが道路から上に向かって斜めに張られている。 走る車の車窓からの風景。幅の広い道路の上を高架道路が横切っている。中央分離帯には巨大な半円形の柱が、高架道路の中心をまたぐように設置されている。半円の一番上の部分から金属製の太いケーブルが、高架道路の左右に何本も張られている。車が高架道路下の日陰を抜けて走っていく。

ナレーション: 日本とのビジネスへの期待について、在日アゼルバイジャン共和国大使館に聞いた。

映像説明: 白いレースのカーテンがかかった大きな窓のある部屋。紺のスーツに四角い模様のある青いネクタイを着けた男性が、黒いソファーに座ってインタビューに答える。 うっそうと生い茂る木々(きぎ)の向こうに、白っぽい石でできた、窓の少ない、要塞のような円形の塔と四角い建物が組み合わさった建物が建っている。 砂色(すないろ)のドーム屋根の建物と、石造りの柱が並ぶ回廊。柱と柱のあいだの上部の壁はアーチ型にくりぬかれている。 ドーム屋根の建物の中。壁一面に細長いアーチがいくつも彫られ、それぞれに小さなアーチ型の窓がついている。 ドーム屋根の建物の屋上。遠くに炎のような形をした高層ビルと、背の高い電波塔のような建物が建っている。 白いレースのカーテンがかかった大きな窓のある部屋で、紺のスーツに四角い模様のある青いネクタイを着けた男性が話を続ける。

テロップ: 在日アゼルバイジャン共和国大使館 ファリド・タリボヴ 臨時代理大使

タリボヴ臨時代理大使・日本語: 今から、あの、アゼルバイジャン側。一番あの頑張ってる、一番欲しいのは、アゼルバイジャンと日本の、あのー、スモールアンドミドルのエンタープライズのビジネスをやりたいですね。 アゼルバイジャンは、あのーヨーロッパとアジアのあいだにシルクロード、歴史的にシルクロードの真ん中にあります。 それであのー、アゼルバイジャンの、トランジットの国で、あのー、よくあの、知られています。

映像説明: 会議室。隣の広い部屋とガラス窓で仕切られている。ガラス窓を背に、黒いスーツに黒ぶちの眼鏡を掛けた男性が話をしている。ガラス窓の向こうにはパソコンのモニターや書類が山積みになったデスクが並んでいる。

ナレーション: ジェトロで、この地域を担当する下社(しもやしろ)は、FTAを活用したビジネスの可能性について、次のように語る。

映像説明: ガラス窓を背に、黒いスーツに黒ぶちの眼鏡を掛けた男性がインタビューに答える。ガラス窓の向こうの部屋では、ワイシャツ姿の男性がデスクの横に立ち、書類を見ながら何度もうなずいている。

ジェトロ 企画部: 主幹 下社 学(しもやしろ まなぶ)

下社(しもやしろ)(ジェトロ 企画部 主幹): えー、アゼルバイジャンを生産拠点として考える場合に、1つ重要なポイントが、 えー、市場として考えられる周辺国と、どのようなFTAを締結しているか、 FTAをどういった国々(くにぐに)と締結しているかということだと思います。

映像説明: 「アゼルバイジャンのFTA締結国」と書かれた東欧および中央アジアの地図。アゼルバイジャンの北に隣接するロシアとジョージア、ロシアの西にあるベラルーシとモルドバ、地中海につながる黒海に面したウクライナの名前がある。アゼルバイジャンの東、カスピ海を挟んでカザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタンの名前が並んでいる。

ナレーション: アゼルバイジャンは、隣国のジョージア、ロシアやウクライナ、また、中央アジアのカザフスタンやウズベキスタンといった国々(くにぐに)とFTAを締結している。

映像説明: 会議室。ガラス窓を背に黒ぶちの眼鏡を掛けた下社(しもやしろ)が話を続ける。

下社(しもやしろ)(ジェトロ 企画部 主幹): アゼルバイジャンを生産拠点として、そこから周辺国にモノを出していくというのは、 企業さんにとって大きなメリットになりうると思います。

映像説明: 「H.I.S.(エイチアイエス)と三重県 食の海外進出展開に係る戦略的連携協定式及び記者発表会」と書かれた白と青の市松模様のパネルの前でほほ笑む、スーツ姿の7人の男性。左端に立つ、紺のスーツにレンガ色(いろ)のネクタイをつけ、前髪を下ろした笑顔の男性がハイライト表示される。

ナレーション: HIS(エイチアイエス)のこの事業のプロジェクトマネージャーは、今回の着想を次のように説明する。

映像説明: 舗装された駐車場。背後に緑の田畑(たばた)と、うっそうと生い茂る木々(きぎ)が広がる。紺色のダウンジャケットを着て、前髪を下ろした男性がインタビューに答える。 大きな本棚のある室内。前髪を下ろした男性が椅子に座り、手を伸ばして前に座る人からパンフレットを受け取る。隣では、ワイシャツの上に紺のセーターを着た男性が、コーヒーカップに口をつけている。 植物をモチーフにしたグレーの模様が入ったクリーム色(いろ)の壁の部屋。大きなグレーのモニターの前に、金ぶちの眼鏡をかけた男性が座り、画面を見ながら話をしている。隣に座る前髪を下ろした男性が、画面を指さしながら答えている。2人の後ろには4人の男女が立ったまま画面を見つめている。傍らでは、深緑色(ふかみどりいろ)の長そでシャツ姿の男性が、スマートフォンを捜査している。

テロップ: HIS(エイチアイエス) 客員研究員 高澤 直之 さん

高澤さん: まず、やってみようというところで、やったところ、まあ日本(にほん)から、えー、連雲港(れんうんこう)に泊めて、 で、中国、カザフスタン経由でカスピ海を渡ってアゼルバイジャンに着いたと。 来年度からフリートレードゾーンが運用可能だということも アゼルバイジャン政府から、もう聞いているので、そこもうまく活用して、 えー、これから世界中に、えー、商品を転送できる体制をつくればいいかなと思ってます。

映像説明: 「アゼルバイジャンまでのルート」と題されたCG画像。縦軸に運賃、横軸に時間と書かれている。運賃が一番高く、一番時間がかからないのは飛行機。2日間で運賃は1kgあたり800円である。運賃は一番安いが、一番時間がかかるのが船。52日間で運賃は1kgあたり27円となる。飛行機と船の中間に東アジアの地図が現れ、鉄道のルートが示される。北海道の苫小牧を出発し、太平洋を回って中国東部の港、連雲港(れんうんこう)を経由。中国の内陸部とカザフスタンを通ってアゼルバイジャンのバクーに到着する。鉄道の場合は21日間かかり、運賃は1kgあたり36円から58円となる。(出所:HIS(エイチアイエス)の資料を基にジェトロ作成)

ナレーション: かねてから、この地域への物流網の構築は、非常に難しいとされていた。2日ほどで到着するが、高額な航空便。一方、低額ではあるが50日を越える船便(ふなびん)。しかし、中国・カザフスタン経由の大陸横断鉄道を活用することで、コンテナ単位での輸送が21日間で可能という。今回の実証事業で使われた、苫小牧港からの所要日数は、航空便と船便(ふなびん)のほぼ中間。

映像説明: 四角い形の広大な埠頭。海に桟橋が2本突き出し、それぞれに大型の青い船舶が接岸している。埠頭の左端にも、青い船が一隻停泊している。岸壁では2台の黄色いクレーン車が首を高く伸ばしている。海の近くから、片側4車線の広い道路が陸に向かって一直線に延びている。(映像提供 バクー国際商業港(ばくーこくさいしょうぎょうこう)) 港の一角。青空の下、広い海の向こうの埠頭に白いドーム屋根の巨大倉庫が建ち、その近くには巨大な2基の貨物用クレーンが設置されている。 黒い大きな船舶が錨を下ろし、沖に停泊している。

ナレーション: 輸送コストも船便(ふなびん)より多少割高になる程度だ。今後、このルートが新たなシルクロードとして商機を生むかもしれない。

映像説明: 茶畑の中の細い道。青いジャンパーを着た男性が、高い位置に運転席がある、コンバインのような赤い農業機械に乗って、ハンドルを触ったり、ペダルの位置を見たりしている。屋根にはビニール製のシートが掛けられており、フロント部分には「KJ8C」、「KAWASA」などのロゴが描かれている。口ひげを生やした男性が、正面に立ってスマートフォンをかざしている。ブロンドヘアの女性とスーツを着た男性が、赤い農業機械の横に立つ緑のキャップをかぶった男性の話にうなずいている。 白い壁の部屋。白いテーブルが横一列に並べられ、異なる種類の茶葉(ちゃば)を入れたたくさんの黒い浅鉢(あさばち)と、さまざまな形の急須がペアで置かれ、天秤も1台、置かれている。金属製のトレーには白い湯呑み茶碗が1つの茶葉(ちゃば)に2つずつ用意され、1つには茶葉(ちゃば)が入った緑茶、もう一つは急須から注がれた緑茶が入っている。白と黒のストライプのシャツを着た男性が、茶葉(ちゃば)の入った緑茶を、スプーンを使って小ぶりな湯飲み茶碗に 一さじ分(ひとさじぶん)入れ、湯飲み茶碗を鼻に近づけて香りを確かめてから口をつける。 ブロンドヘアの女性が笑顔でお茶が入った湯呑み茶碗を指さし、後ろに立つ青い作業服を着て黒いズボンをはいた男性に話しかける。 青い作業服を着てベージュのズボンをはいた男性が、白いTシャツ姿の口ひげを生やした男性の話を聞きながら、白い湯呑み茶碗(ぢゃわん)からティーバッグを取り出す。 茶畑の前。うっそうと生い茂る緑の山を背に、視察団の一行と前髪を下ろした高澤さんたち10人が横並びに立つ。右から3番目に立つ紺のスーツに紫のシャツを着た男性が笑顔を見せる。

ナレーション: 今回の三重県訪問は、この実証事業の一環として、三重でつくられる製品への理解を深めるために企画された。バクー国際商業港(ばくーこくさいしょうぎょうこう)の責任者は、アゼルバイジャンは物流の面でも優れていると強調する。

映像説明: 茶畑の前で、紺のスーツに紫のシャツを着た男性がインタビューに答える。

テロップ: バクー国際商業港 ユージン・シア 最高執行責任者

ユージン・シア最高執行責任者・英語: カスピ海での貨物船就航は、(対岸のカザフスタンの港から)毎日行われている。 当地の港は地理的に恵まれていて、自由貿易地域も備えている。

映像説明: 白い布の上に黒いティーバックの箱が並んでいる。緑のお茶が入った白い湯呑み茶碗の写真が入ったパッケージには、白い文字で「Ise Cha」、「伊勢茶」、「Green Tea、100%(ワンハンドレッド パーセント) Japanese leaves」と書かれている。

ナレーション: 三重のお茶を使って、商品開発を行うアゼルバイジャン企業がある。

映像説明: 黒いスーツやワンピースを着た4人の女性が、上段に黄緑の文字で「HERBA FLORA(ハーバ フローラ)」と書かれた4段の白い棚の前で並んで立っている写真。「Certificate」の文字がある額に手を添えてほほ笑んでいる。白い棚には、花などをデザインした青やピンクのカラフルな箱が見栄えよく並べられている。

ナレーション: 化粧品や健康食品の大手メーカーのハーバフローラ社は、お茶を仕入れてティーバッグにするという。

映像説明: イベント会場の写真。緑のカップのマークと黒の文字で「HERBA FLORA(ハーバ フローラ)」と書かれた幕を壁に張ったブースで、3人の女性が笑顔を見せている。黒いジャケットを着た女性が、右手に紫の箱を持って立ち、眼鏡を掛け、水色の布で髪を覆い、同じ色の刺しゅうの入ったドレスを着て、両手で黄色い箱を持つ女性と、黒い布で髪を覆い、黒いワンピースを着た女性が笑顔を見せている。後ろでは、オレンジのチェックのシャツを着た女性が商品の置かれた棚の方を見ている。

ナレーション: 港にある、自由貿易地域で加工することにより、関税が減免されたかたちで、第三国に輸出することが可能となる。

映像説明: 茶畑の前で、細いストライプのシャツの上に黒のジャンパーを着たシルバーヘアの男性が話をしている。お茶の木の周りにはグレーのパイプでテントのように枠組みが作られ、透ける素材の黒いスクリーンが畳まれた状態で取り付けられている。

ナレーション: 創業者のフセイノフさんは、ティーバッグ以外の商品にもその可能性を感じている。

映像説明: 茶畑の前で、ストライプのシャツを着た男性がインタビューに答える。

テロップ: ハーバフローラ 共同創業者 フィズリ・フセイノフ さん

フィズリ・フセイノフさん・アゼルバイジャン語吹き替え: お茶の成分は健康食品だけでなく、シャンプー、クリーム、ローションにも良い効果をもたらすと思います。

映像説明: 林に囲まれた広い草地(くさち)の横に、切妻屋根の大きな建物。二階ほどの高さの建物は、高いところに窓が設けられている。外壁に、緑の長方形に「伊勢茶」の文字が斜めに入ったマークと、(株) 川原製茶」と書かれた白い看板が掲げられている。敷地には、ほかにも切妻屋根の大きな建物が2軒建っている。画面左下の四角い枠内に近畿地方の地図。多気郡多気町(たきちょう)は三重県の西側に位置する内陸の町で赤い星印で示されている。

ナレーション: そのハーバフローラ社にお茶を輸出するのが、川原製茶だ。

映像説明: 工場の中。シルバーの機械の中から、袋詰めされた緑茶のパッケージが飛び出し、ベルトコンベアでゆっくりと運ばれていく。パッケージの裏面には、「深むし緑茶 ティーバック」の文字とお茶の煎れ方などが描かれている。ベルトコンベアの先には半透明のコンテナが置かれ、たくさんのパッケージが中に入っている。パッケージの表面には、白い湯飲み茶碗に注がれた緑茶の写真と、「深むし緑茶 ティーバッグ」、「川原製茶」と印刷されている。 シルバーの機械の中から、ティーバックが1つずつ落ちてきて、ベルトコンベアの下に置かれた黄色いカゴの中に入っていく。

映像説明: 契約農家と自社のチェーンで栽培した茶葉(ちゃば)を、主に国内の百貨店やスーパーなど、国内向けに販売している。今回の連携で、ティーバッグ用の茶葉(ちゃば)を輸出する。

映像説明: 観葉植物が置かれた部屋。青い作業服を着て眼鏡をかけた男性がインタビューに答える。

テロップ: 川原製茶 髙野 誠(たかの まこと) 専務

髙野(たかの)専務: この伊勢茶がより、あの、おいしいものだと、体にもいいものだと理解していただければ、あのー、よりいいのかなあと思ってます。

映像説明: 口ひげを生やした男性が、スプーンにすくった薄い緑色(みどりいろ)のアイスクリームを口に入れる。うなずいたあと、もう一さじ(ひとさじ)すくって、口に運ぶ。

ナレーション: 一方、現地大手チョコレートメーカーであるシリン社。仕入れた抹茶で5種類のチョコレートを製造することになった。

映像説明: 白い丸皿(まるざら)の上に、濃い緑のチョコレートが4種類載っている。一口サイズの粒タイプや、アーモンド型のもの、正方形の板状のもの、四角いお菓子の表面をコーティングしたようなものが山盛りになっている。

ナレーション: シリン社は、国内外に持つネットワークを活用していくという。

映像説明: 茶畑の前で、口ひげを生やした男性がインタビューに答える。お茶の木の周りにはグレーのパイプでテントのように枠組みが作られ、透ける素材の黒いスクリーンが畳まれた状態で取り付けられている。 工場内。黄色い紙に包まれたキャンディーのような菓子がシルバーの機械から流れ出て来る。紙には、「Milla Vanilla(ミラ バニラ)」とアルファベットで書かれている。上部が赤い透明の袋の中に一定の量が詰め込まれると、自動的に袋が閉じられ、ベルトコンベアに乗って運ばれていく。

テロップ: シリン ユシフ・アリエフ 営業本部長:

ユシフ・アリエフ営業本部長・アゼルバイジャン語吹き替え アゼルバイジャン最大のスーパーマーケットとコネクションを持ってるので、 最初は国内、その次はロシアをはじめ旧ソ連諸国に輸出したいです。 おいしくて健康的な食品なので、アゼルバイジャンだけではなく、 ロシア、ヨーロッパでも売れると思います。

映像説明: レンガ色(いろ)の建物の手前に、抹茶色(まっちゃいろ)の屋根の建物が建つ。道路脇の植え込みに置かれた縦長の緑の看板には、白い文字で「(有)萩村製茶」と書かれている。下部の茶色い部分には小さい文字で「抹茶、ギャバロン茶、かぶせ茶、その他各種小売りもいたします。」などと書かれている。左下の四角い枠内に近畿地方の地図。四日市市水沢町(すいざわちょう)は県の北部に位置していて赤い星印で示されている。

ナレーション: そのシリン社に、抹茶を供給するのが、萩村製茶だ。

映像説明: 抹茶色(まっちゃいろ)の屋根の建物の前。庭木の奥に、2階部分がトタンの壁で覆われた建物が建っている。手前には松の木などの植え込みがある。 表面に淡い緑の葉をつけた茶畑(ちゃばたけ)が広がっている。

テロップ: かぶせ茶:日光を遮って育てたお茶

ナレーション: 萩村製茶は、かぶせ茶を主体にして、碾茶(てんちゃ)という抹茶の原料をメインにつくっている。

映像説明: 青々とした茶の木。上部には黄緑の新芽、下の方には濃い緑の葉が茂っている。

ナレーション: 今、抹茶は海外で大ブームだ。

映像説明: 萩村製茶と書かれた緑の看板。すぐそばに抹茶色(まっちゃいろ)の屋根の建物と、その奥に2階ほどの高さのトタンの壁の建物が建っている。

ナレーション: 萩村製茶も、今後の展開に期待を寄せる。

映像説明: 建物の中。巨大な垂れ幕の前で、肩に白いラインが入った水色の作業服姿の男性がインタビューに答える。黒い垂れ幕には、山の形に盛られた抹茶の写真と、アルファベットの「H」と葉っぱをモチーフにしたマークに、「はぎむら」と書かれたロゴマークが入っている。

テロップ: 萩村製茶 萩村 浩史(はぎむら こうし) 営業部長

萩村営業部長: 抹茶チョコレートとしてアゼルバイジャンのかたに、こう使っていただけるような、あの商品ができましたので、 あのー、アゼルバイジャンと、もしあのー、その周りの近辺のあの国々(くにぐに)に、あのこう、伝達、広まっていくといいなというふうに思います。

映像説明: 会議室。隣の広い部屋とガラス窓で仕切られている。ガラス窓を背に、黒ぶちの眼鏡を掛けた下社(しもやしろ)が話をしている。

ナレーション: ソ連から独立しておよそ30年。この地域のビジネス環境も変化している。

映像説明: ガラス窓を背に、下社(しもやしろ)がインタビューに答える。 海の上に作られた三角形の埋め立て地。中央に巨大な四角いアリーナ風の建物が建ち、周りは緑の芝とコンクリートの道で巨大なしま模様を描いている。 埋め立て地の横の海上を、2隻の船が走っている。 高台にあるテラスから市街地を望む。炎のように波打ったデザインの3棟(とう)の高層ビルがそびえ、鏡面ガラスにイスラム寺院など、周りの建物が映りこんでいる。 アゼルバイジャンの街を上空から望む。炎のようなデザインの3棟(とう)の高層ビルが銀色に輝き、その奥には穏やかな海が広がっている。 布地をくるりと巻いたような、曲線の美しい近代的な建物。表面には黄色い星をかたどったタイル状の模様が入っている。 会議室。ガラス窓を背に、下社が話を続ける。

テロップ: ジェトロ 企画部 主幹 下社 学(しもやしろ まなぶ)

下社(しもやしろ)(ジェトロ 企画部 主幹): アゼルバイジャンは、いわゆるコーカサス3ヵ国のうちの一つで、 ほかにもアルメニア、あるいはジョージアといった国が、国々(くにぐに)があります。 ビジネスチャンスというのも、えー、多様化しているんですけれども、アゼルバイジャンのような、 こういった日本(にほん)ではあまりまだよく知られていない国への取り組みが始まったということが、まず大きな、えー、重要なポイントだと思います。

スタジオの八木(やぎ)キャスター: 今回、番組で取り上げたアゼルバイジャンと、ビジネスを行っている日本企業(にほんきぎょう)は多くはないと思いますが、視点を変え、きちんと情報収集していくことで、新たな可能性を見出せるのかもしれません。番組では、こうした地域の動きについても、引き続き、取り上げていきたいと思います。

映像説明: 八木(やぎ)キャスターがお辞儀をする。

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