走り出すスタートアップ ‐飛躍の地 インドネシア‐

2019年11月07日

東南アジア最大の2億6,000万の人口を抱えるインドネシア。インターネット経済が急速に拡大しており、同国発のスタートアップが次々と生まれるなか、外国企業にも新しいアイデアやビジネスモデルを試し、展開する場として注目されている。日本勢の挑戦もすでに始まっている。例えば、拡大するライドシェアの分野に着目する企業。遠隔操作でエンジンを制御する装置を開発し、より多くの人が自動車ローンを組めるサービスを提供する。また、水産大国インドネシアの養殖の効率化にチャンスを見いだす企業も。インドネシアのニーズを捉え、飛躍を目指す日本のスタートアップの動きを取材した。

(12分49秒)

テキスト解説を読む

テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。

映像説明: ジェトログローバルアイオープニングタイトル。 薄い青を基調としたコンピューターグラフィックスの背景画。 世界地図の上で回転する、中が空洞になった地球儀から、もうひとつ地球儀が飛び出す。 拡大表示された地球儀の横にタイトルが現れる。 「世界は今、ジェトログローバルアイ」

映像説明: スタジオ。 地球儀と世界地図の画像をバックに、女性キャスターが入ってくる。 薄紅色(うすべにいろ)のブラウスにグレーのタイトスカート姿。

テロップ: 八木 ひとみ(やぎ ひとみ)

八木(やぎ)キャスター: 世界は今、ジェトログローバルアイ。 急速な発展を遂げている東南アジアの中でも、インドネシアは、スタートアップのアイデアやビジネスモデルを、実際に社会で試す場所として注目されています。日本のスタートアップに、どのような可能性があるのか、探りました。

テロップ: 走り出すスタートアップ ‐飛躍の地 インドネシア‐

映像説明: 高層ビルが林立する市街地。数十階建てのビルの鏡面ガラスに周辺の建物が映り込んでいる。その周辺には、住宅や低い建物が広がっている。 画面左下の四角い枠内に東南アジア南部の地図。インドネシアは、大小さまざまな島から成り、オーストラリアの北に位置している。首都ジャカルタはインドネシア南部のジャワ島にあり、島の北西に位置する海に面した都市で赤い丸印で示されている。 人々が行き交う、街中(まちなか)の広い歩道。背の高い街路樹がうっそうと葉をつけ、道の真ん中にはオレンジや白のパラソル、赤と緑と黄色(きいろ)に塗り分けられたパラソルなどが並んでいる。画面に映っている女性はみんな、スカーフのような布、ヒジャブで頭を覆い、長袖に長ズボン(ながずぼん)をはいている。Tシャツ姿の男性と手をつないで歩く女性もいる。

テロップ: ジャカルタ

ナレーション: インドネシアの首都ジャカルタ。1,000万(いっせんまん)を超える人々が暮らしている、世界有数のメガシティーだ。

映像説明: 高層ビルの建築現場。フロアに置かれている建築資材にかけたビニールシートが、強い風にあおられている。緑のヘルメットをかぶり、青い長袖の作業着の上にオレンジの安全ベストを着た作業員が、建築中のビルの端にしゃがんで、工具を持つ手を動かしている。 ビルの別の建築現場。コンクリートを打ちっぱなしにした建物の壁に、安全ネットがかけられている。建物の途中まで赤い鉄筋の階段がビルの途中の足場までのびており、そこに赤いつなぎの作業着姿の作業員、水色の長袖シャツの上に黄色ラインの安全ベストを着て、紺色の長ズボン(ながずぼん)をはいた作業員、オレンジ色の作業着を着た作業員が立って話をしている。3人ともに白いヘルメットをかぶっている。

ナレーション: 経済発展に伴い、急速に都市化が進む。

映像説明: 高層ビルのあいだを走る 一方通行の5車線の道路。車は1台もなく、歩行者がまばらに歩いている。一番右の道路の端を1台のスクーターが走っている。 大きな木が植えられた中央分離帯には、小さな平屋の建物が立っており、中から人々が顔を出している。建物からは屋根のついた緩やかなスロープが延び、左右に分かれて道路を横断する歩道橋になっている。 明るい日差しの下、大勢の人が車のない車道を通行している。リヤカーを引く人や車椅子を押す人、自転車に乗る人もいれば、スケートボードで滑っていく男性もいる。女性の中にはヒジャブをかぶった人も多い。

ナレーション: 日曜日の朝。街の中心を走るこの幹線道路では車の通行が止められる。

映像説明: 歩道橋の下。数人の人が、日陰になった道路で足を投げ出して座り、休んでいる。日なたでは、2人の男性が並んでジョギングをし、自転車に乗った人たちが通り過ぎていく。 近代的なビルや建設中の建物のあいだを走る4車線の道路を、人々が歩いていく。小型犬を連れて歩く人もいる。一番左の車線を1台の自転車が走ってくる。

ナレーション: 慢性的な渋滞が社会問題になっているジャカルタで、バイクも車も走らない、静かな光景が広がる。

映像説明: 車のない一方通行の4車線の道路。屋根のついた歩道橋の下を、自転車やスケートボード、緑色(みどりいろ)のキックボードなどがスピードを出して走り抜けていく。皆、車線にある記号の通りに、車と同じように一方通行で進んでいる。 黄色いTシャツに紺色のハーフパンツ姿の男性が、路肩から道路に向けて緑色(みどりいろ)のキックボードで走り出したあとで方向転換し、近くにいた青と赤のヒジャブをかぶり、赤い長袖シャツにグレーのオーバーオール姿で自転車にのる女性の方に近づいていく。

ナレーション: そこで、人々が楽しんでいたのが、電動のスケートボードやキックボード。新しいモビリティーだ。

映像説明: 一方通行の4車線の道路。2人の男性が電動で緑色(みどりいろ)のキックボードに乗って走っていく。1人は水色のTシャツに青のジーパンをはき、青のリュックを背負っている。もう一人は茶色のジャケットに黒の合皮(ごうひ)のズボン姿で、白いヘルメットをハンドルに引っ掛け、左手にスマートフォンを持ったまま進んでいく。

テロップ: 平均年齢29歳

ナレーション: インドネシアは平均年齢が低い。また、インフラ開発が現在進行中だ。

映像説明: 街路樹が並ぶ歩道。胸元に白で「Move Sport」と書かれた黒いTシャツに黒いハーフパンツ姿の男性が、両耳にイヤホンを着けて電動で緑色(みどりいろ)のキックボードに乗って走っていく。 片側3車線の道路。赤いTシャツに黒い細身のズボン姿の女性が、白いTシャツに黒のハーフパンツ姿で青のウエストバッグを肩からかけた男性と並んで、電動で緑色(みどりいろ)のキックボードで走ってくる。白いTシャツに黒のハーフパンツ姿で青のウエストバッグを肩からかけた男性が、少し後ろに下がってついていく。

ナレーション: 既存(きぞん)の枠にとらわれないイノベーションを社会に導入できるフィールドとして、企業の関心を集めている。

映像説明: 鉄骨のはりがむき出しの高い天井から、赤や白、黄色(きいろ)の垂れ幕がたくさん吊るされている。アルファベットの「T」と「A」を一筆で続けて書いたような、数字の8を横にした形にも似た赤いマークの横に、「TECH IN ASIA(テック イン アジア)」と書かれている。そのほかにも、「Google Cloud」と書かれた垂れ幕や、企業のロゴがたくさん入った垂れ幕もある。 イベント会場のエントランス。出入り口の上部には黄色い看板が掲げられ、アルファベットの「T」と「A」を一筆で続けて書いたような、数字の8を横にした形にも似た赤のテック・イン・アジアのロゴマークと「TECH IN ASIA(テック イン アジア)」のロゴと、「CONFERENCE」の文字がある。入口から壁に沿って大勢の人が列を作っている。

テロップ: 2019年10月8~(ようかから)9日 Tech in Asia Conference(テック イン アジア コンファレンス)

ナレーション: そのジャカルタで開かれたのが、テック・イン・アジア。

映像説明: にぎわいを見せる会場の中。小さな台の上に看板を立てたブースが数十個並んでいる。手前には、ダイヤモンドの形をアレンジした青のマークと、「INDOGOLD」と書かれた看板のブース。カーキ色(いろ)のシャツを着た男性が、タブレット端末を持った黒い半袖シャツの女性と握手をする。つづけて、胸元に「INDOGOLD」のマークがついている黒いジャケットを着た男性と握手を交わす。会場の奥には「east ventures(イースト ベンチャーズ)」と書かれた白いゲートが設けられ、その周りでたくさんの人が大勢の人が会話をしている。 会場の別の一角。壁際に並ぶブースの前で、黒とベージュのチェック柄のシャツを着た男性が、グレーの3D(スリーディー)ゴーグルを頭からかぶっている。隣に立つ白いTシャツ姿の男性が、身ぶりを交えて話をしている。 「east ventures(イースト ベンチャーズ)」と書かれた白いゲートの周りにたくさんのブースが並び、大勢の人々が訪れている。

ナレーション: 起業家を支援するイベントで、東南アジアで活躍する多くのスタートアップが集結した。

映像説明: アルファベットの「J」をアレンジした赤いマークに、「J‐Startup(ジェイ スタートアップ)」、「Supported by JETRO(ジェトロ)」と書かれた大きな白いパネルが設置され、横にブースが並んでいる。手前のブースでは、薄いグレーのレース模様がある濃いグレーのヒジャブをかぶった女性が、ターコイズブルーのニットを着て肩からカメラを提げた男性や、あずき色(いろ)の半袖シャツを着て眼鏡をかけた男性たちと話をしている。 「east ventures(イースト ベンチャーズ)」のゲートの横に並ぶブース。青いドーナツにクチバシをつけたようなマークの下に、「XPAND(エクスパンド)」と書かれたパネルが掲げられ、小さな台の上にモニターが置かれている。ブースの前では、薄い紫の半袖シャツを着た男性がノートパソコンを広げ、大きな黒いリュックを背負った男性に画面を見せながら話をしている。

ナレーション: ジャパンブースにも、世界に挑戦する10社が、日本から参加。

映像説明: 別のブースの前で、黒ぶちの眼鏡を掛け、白のワイシャツを着た男性がインタビューに答える。

テロップ: 出展企業(ライセンス事業)

出展企業(ライセンス事業)の男性: ま、インドネシアはやはり、人口が多いっていうことと、それからスマートフォンのユーザー? こう、ティーンエイジャーのユーザーが、すごくグローアップしてる…。

映像説明: 会場の一角。ブースの前でグレーのポロシャツを着て、黒の太いフレームの眼鏡を掛けた男性がインタビューに答える。 タブレットの画面に映し出されたゲーム画面。上部には、目が1つのモンスターのようなキャラクターが描かれ、吹き出しの中に英語や中国語でメッセージが書かれている。「TOKYO CLAW MACHINE」というロゴが貼られた籠には、オレンジや白の玉がぎっしりと詰まっている。台の下にはタコ焼き器のようにくぼみがたくさんある円形の機器があり、6つほどのくぼみに玉が入っている。画面の右下の方には、「PLAY」などと英語で書かれた操作ボタンが表示されている。 グレーのポロシャツを着て、黒の太いフレームの眼鏡を掛けた男性が身振りを交えて話を続ける。

テロップ: 出展企業(ゲームアプリ開発)

出展企業(ゲームアプリ開発)の男性: クレーンゲームのブームが東南アジアに移ってきているんですね。 いずれ、インドネシアでもクレーンゲームが楽しまれる時が来るので、 その時に合わせて、オンラインクレーンゲームを、サービスを展開したいと思っていますね。はい。

映像説明: イベント会場を行き来する来場者の映像を背景に、「インターネット経済の市場規模」の横棒グラフが表示される。縦軸には東南アジア6ヵ国の国名が記され、横軸には0から1,400億ドルまでの金額が、200億ドルごとに記されている。 2015年、インドネシアは80億ドルで1位、続いて僅差でシンガポール、タイ、マレーシアと続き、ベトナムはインドネシアのほぼ半分、フィリピンは最下位であった。 2025年には、インドネシアの市場規模は1,330億ドルへと大幅に拡大。他を大きく引き離して1位となると見込まれている。2位のタイが500億ドル超、3位のベトナムが大きくのびて400億ドル超、最下位のフィリピンもシンガポールやマレーシアとほぼ同程度の200億ドル超になると予想されている。(出所:グーグル テマセク・ホールディングス、ペイン・アンド・カンパニー「e‐Conomy SEA(エコノミー シー) 2019」を基にジェトロ作成)

ナレーション: 大手IT(アイティー)企業などの調査によると、インドネシアのインターネット経済の市場規模は、2015年で80億ドル。それが、2025年には1,330億ドルに達すると予測されている。

映像説明: テック・イン・アジアの会場内。多くの人々がブースを訪れている。 グレーのポロシャツを着て黒の太いフレームの眼鏡を掛けたゲームアプリ開発企業の男性スタッフが、青と白の細いストライプのシャツを着た男性にタブレットの画面を見せ、指で示している。隣で話をしていた黒いTシャツ姿の男性と、白いかばんを肩に掛けた男性が一緒にタブレット画面の方を見る。 「pop inc.」と書かれた看板のブース。黒ぶちの眼鏡を掛け、白いワイシャツを着たライセンス事業関連企業のスタッフが、青紫色と薄いグレーのトレーナーを着た男性と、身ぶりを交えて話をしている。

ナレーション: 東南アジアの中でも、最も急速に成長する見通し。その市場をつかもうとスタートアップの動きも活発だ。

映像説明: 「J‐Startup(ジェイ スタートアップ)」のパネルの隣に設けられたブース。看板には、漢字の「炎」の字をアレンジした赤いマークと、「炎重工(ほむらじゅうこう)株式会社」と書かれている。5人の男女がブースの周りを囲んで話をしている。

テロップ: 炎重工(ほむらじゅうこう)

ナレーション: こちらは、インドネシアに初めて商談にやってきた、炎重工(ほむらじゅうこう)。

映像説明: 白のワイシャツに青いチェックのネクタイを締め、短髪で眼鏡を掛けた男性が、薄いグレーのレース模様がある濃いグレーのヒジャブで頭を覆った女性と、青いチェックのシャツを着た男性と話をしている。青いチェックのシャツを着た男性が手に持っている英語のパンフレットを指し示している。

ナレーション: 岩手県で、3年前に誕生したスタートアップ。

映像説明: 水面を走る白いボート。藍色の布がボートを覆うように張られている。藍色の布には白で円の中にアルファベットの「H」を配置したマークが描かれている。 上空から見た船着き場のある湾の映像が早送りで再生される。「START」の白い文字がある地点から、白で「1」と書かれた地点までボートがまっすぐに進み、折り返して黄色で「2」と書かれたスタート地点に戻る。再び折り返し、次に黄緑で「3」と書かれた右斜めの方向へと進んでいく。(映像提供 炎重工(ほむらじゅうこう))

ナレーション: 開発しているのは、船舶ロボット。自律移動し、養殖場での餌やりなどに利用できる。

映像説明: たくさんの赤い魚が泳ぐ巨大な水槽を上から見た映像が早送りで再生される。横向きの水槽が縦に4分割され、それぞれの区切りの中に2つの光があり、青や赤、緑色の組み合わせが変化しながらともっている。左側の2つの水面に波紋が広がったあと、魚が一斉に移動し、右の方に集まってくる。(映像提供 炎重工(ほむらじゅうこう))

ナレーション: また、微弱な電気刺激を利用し、魚の居場所を制御できる設備の開発など、水産分野に力を入れている企業だ。

映像説明: 「J‐Startup(ジェイ スタートアップ)」のパネルの前で、白いワイシャツに青いチェックのネクタイを締め、短髪で眼鏡を掛けた男性がインタビューに答える。 炎重工(ほむらじゅうこう)のブースの前で、白いワイシャツに青いチェックのネクタイを締め、短髪で眼鏡を掛けた男性と紺のTシャツを着た男性、青と白の幾何学模様の柄(がら)のジャケットを着た女性が話をしている。 青いチェックのシャツを着てパンフレットを手にした男性と、白いワイシャツに青いチェックのネクタイを締め、短髪で眼鏡を掛けた男性がブースに置かれたノートパソコンの画面を見ながら話をしている。 「J‐Startup(ジェイ スタートアップ)」のパネルの前で、白いワイシャツに青いチェックのネクタイを締め、短髪で眼鏡を掛けた男性が話を続ける。

テロップ: 炎重工(ほむらじゅうこう) 古澤 洋将(ふるさわ ようすけ) 社長

古澤社長: 湾内とか、あるいは養殖場の中を自由に動き回るロボットっていうのは、実は世の中にほとんどない。 市場の穴に、このロボットを送り込みました。 いろいろ市場を見ますと、日本(にほん)よりは海外の方が引き合いが強い。 インドネシアは、やっぱり養殖が盛んなので、まずそういうところで、お手伝いをしたいなというふうに考えております。

映像説明: 沖合から市街地を望む。停泊中の漁船の向こうに、高層ビルが林立している。 港。たくさんの冷凍された大きな魚が、大きな青いバケツに頭から差しこまれている。ゴムの長靴を履いた男性が、魚がぎっしりとつまったバケツを、引っ張りながら運んでいる。 停泊する船の近くに作られた選別場。天井にシートを張っただけの作業場の台に、船から金属製のスロープが渡されている。大勢の男性たちが、スロープに流されてくる冷凍された魚を、地面に並べたバケツの中に投げ入れる。

ナレーション: インドネシアも日本と同じく、島が多く、海に囲まれた海洋国家。漁獲量も多く、水産業が盛んだ。

映像説明: 炎重工(ほむらじゅうこう)のブースの前。古澤社長が、青いチェックのシャツを着て手にパンフレットを持った男性と薄いグレーのレース模様がある濃いグレーのヒジャブで頭を覆った女性と話をしている。青いチェックのシャツを着た男性が手元の資料を見つめる。 古澤社長が大きな身ぶりを交えて話を続ける。

ナレーション: 現地企業との商談や視察を通じて、ロボットの販売につながるのか、そのポテンシャルを探る。

映像説明: 「INNOVATION NIGHT」と書かれたロールアップバナーのある会場の前。露出配管の天井になっており、電球がやわらかい光を放っている。受付カウンターの壁には、「BLOCK71」と書かれた立体看板が掲げられ、モニターが取り付けられている。女性たちが数人、出入り口の近くで立ち話をしている。 受付カウンター。短髪で眼鏡を掛けた古澤社長たちが胸元につけるカードを受け取っている。 古澤社長と白いジャケット姿の女性が、紺地に白い柄(がら)が入ったシャツを着た男性と名刺交換をして話をしている。 ガラスの壁に囲まれた広い部屋。2つあるソファの席はすべて埋まり、大勢の人々が立ったまま水を飲んだり、話をしたりしている。中央の背の高い丸テーブルやソファの前のローテーブルには、水のペットボトルがたくさん用意されている。

ナレーション: その日の夜、古澤社長がやって来たのは財閥が主催するマッチングイベント。 インドネシアでは、財閥が大きな力を持っている。

映像説明: 立食形式のビュッフェコーナーがある部屋。人々が和やかに談笑している。 受付カウンターでは書類を書く人や、受付の女性と来場者が話をしている。出入口からは続々と人が入ってくる。 受付カウンターの横に、長机(ながづくえ)に黒い布をかけたカウンターが設けられ、たくさんの瓶が並べられている。カウンターの中で、男性がコップに飲み物を注いでいる。 長いテーブルに座る人々。15人ほどが席について、赤や緑、黄色(きいろ)の包装のカップ麺を食べている。 別の一角。2人から3人くらいのグループが、それぞれ立ち話をしている。

ナレーション: 彼らがエコシステムの一翼を担っており、シンガポールの企業やベンチャーキャピタルを招待していた。 こうした交流を通じて、スタートアップを育て、自社のビジネスに取り込む狙いがある。

映像説明: 壁に大きな植物の葉が描かれた部屋。壁際には、縦長のガラスのコレクションケースが置かれ、6段ほどのガラス板(いた)の棚にコーヒーショップなどのミニチュアの店舗が並べられている。黒い半袖のシャツを着て眼鏡を掛けた男性が、ジュースの瓶を左手に持ちながらインタビューに答える。

テロップ: 主催者(サリム・グループ)

主催者(サリム・グループ)の男性・英語: 私たちはパートナーになれる、革新的な企業を探している。 協力してビジネスを作っていくために、投資もしていきたい。

映像説明: シルバーの骨組みにすりガラスのひさしが張り出した建物の出入り口。カバンやリュックを持った人々がマイクロバスから降りてくる。 入口に黄色いひさしがついた建物の前。十数人ほどの人々が列を作り、屋根のある小さな横断歩道を談笑しながら歩いてくる。

テロップ: BSD City 財閥(シナルマス・グループ)が手がけるスマートシティ

ナレーション: その翌日、訪問したのはジャカルタ郊外にあるスマートシティー。こちらも、財閥が開発を手がけている。

映像説明: 走る車の車窓風景。赤土がむき出しの高台に立つ、4軒の25階ほどの高さのグレーの建物。ビルの周辺には、高く首を伸ばしたクレーン車や、コンクリートミキサー車など、工事車両がある。あたりに建物はなく、ところどころに木が生えた赤土の土地が続いている。 白い壁の受付スペース。カウンターの後ろの黒い壁には、白い文字で「nxl ESPORTS CENTER」と書かれた看板が掲げられ、壁際の棚には、「LOOT BOX」と書かれた横長の箱の上に、鹿のぬいぐるみや怪獣のキャラクターのフィギュア、黒いヘルメットなどのグッズが並んでいる。カウンター横の入口から、壁にたくさんの小さな額が掲げられた奥の部屋へと一行が入っていく。 ガラス張りの壁の向こうに、モニターが並べられた部屋がある。デスクが5台横一列に並べられ、それぞれにモニターやキーボード、マウスが置かれている。ヘッドホンを着けたグレーのTシャツ姿の男性が、背もたれの高いヘッドレスト付きの黒い椅子に座り、マウスを動かしている。部屋の奥にも、同じようにモニターや黒い椅子が置かれたデスクが1列並んでいる。

ナレーション: 山手線(やまのてせん)の内側とほぼ同じ広さの場所に、最新のeスポーツの施設や研究機関などがある。これから成長する分野に力を入れている。

映像説明: 走る車の中からの車窓風景。アーチ屋根の3階建ての巨大な建物。外壁には赤い文字で書かれた「PASAR MODERN(パサール モダン)」のロゴがある。建物の前には、円すい屋根の屋台が5軒並んで建っている。 大きな建物の中。店舗の前の自然光が入る薄暗い通路を一行がゆっくりと歩いていく。天井からモニターが4台吊り下げられた店の前にさしかかる。白いカウンターの前に茶色い椅子とローテーブルが並べられ、ピンク色のTシャツを着た女性が椅子に座って本を読んでいる。

ナレーション: 影響力の大きい財閥との連携は、日本のスタートアップにとっても有益だと、

映像説明: テック・イン・アジアの会場。「J‐Startup(ジェイ スタートアップ)」のパネルの前で、白いボタンダウンのシャツを着て眼鏡を掛けた男性が笑顔でインタビューに答える。 さまざまな木が植えられた植物園のような施設。モンステラやヤシのような樹木が並ぶ通路を一行が歩いていく。高い天井は、鉄筋の骨組みの上に布が張られたもので、壁はなく、吹き抜けになっている。木々(きぎ)の奥に、コーヒーショップの黄色い電光文字看板がのぞく。 屋内の店舗。「TECHPOLITAN(テックポリタン)」と書かれた看板が青くライトアップされている。店の前の通路にはテラス席が設けられ、背の高い椅子と丸テーブルが並んでいる。 天井からつり下げられたモニターに、VRゴーグルをつけ、右手にコントローラを握りしめた男性や、宇宙を舞台にしたシューティングゲームの画面が映し出されている。隣にあるモニターには「CREATICE CLASS」の文字と、「DRAWING」、「DESIGN & ILLUSTRATION」など、さまざまなクラスの内容が表示されている。 「J‐Startup(ジェイ スタートアップ)」のパネルの前で、白いボタンダウンのシャツを着て眼鏡を掛けた男性が話を続ける。

ナレーション: 現地の事情に詳しい、ジェトロの亀田は話す。

テロップ: ジェトロ ジャカルタ事務所 亀田 周(かめだ あまね)

亀田(ジェトロ ジャカルタ事務所): 財閥のところで言うと、あの、実証実験を一緒に、彼らの土地を使ってできるっていうのも大きな魅力だと思いますね。 日本だと実証実験やるのも、その国の許可を得て、その特区を作ってやらないといけないですけども、 財閥は彼らが街や土地を持っているので、そこで一気にできて、サービスを展開してローンチできるっていうのは、非常に大きな魅力だと思います。

映像説明: 白い壁で濃いグレーのドアのある部屋。光沢のあるグレーの布がかけられた長机(ながづくえ)と、ベージュ色(いろ)のカバーがかけられた椅子が並べられ、いくつかの席に2人から3人くらいの人が座り、それぞれ話をしている。短髪で眼鏡を掛けた古澤社長と、髪の長さが耳の下くらいまである男性が並んで座り、シルバーのノートパソコンの画面を見つめている。2人の向かいには柄物の紺色のシャツを着て眼鏡を掛けた男性が座り、画面を指でさしながら話をしている。 古澤社長が柄物の紺色のシャツを着て眼鏡を掛けた男性を見ながら話を聞き、再びノートパソコンの画面に目を落とす。

ナレーション: 初めてインドネシアの現状を見た、古澤社長。今回発見したことを、今後のビジネスに生かしたいと言う。

映像説明: 板張りの壁の廊下で、古澤社長がインタビューに答える。 白い壁で濃いグレーのドアのある部屋。古澤社長が、隣に座る髪の長さが耳の下くらいまである男性と、身振りを交えて話しをしている。二人の向かいには細かい黒の柄(がら)が入った白いシャツを着た男性が座り、話を聞きながらうなずいている。 古澤社長が光沢のあるグレーの布がかけられた長机(ながづくえ)の上に置かれたノートパソコンの画面を見つめている。隣に座る髪の長さが耳の下くらいまである男性が話をし、2人の向かいに座る柄物の紺色のシャツを着て眼鏡を掛けた男性が身を乗り出して話を聞く。 テック・イン・アジアの会場。「ESKALATOR(エスカラトール)」と書かれたブースの前で、社名入りの白いトレーナーを着た男性が、黒いキャップをかぶり、濃いグレーのTシャツを着てリュックサックを背負った男性と笑顔で握手をする。 板張りの壁の廊下で、古澤社長が話を続ける。

テロップ: 炎重工(ほむらじゅうこう) 古澤 洋将(ふるさわ ようすけ) 社長

古澤社長: 最初の印象ですと、養殖場が多い国なので、そういうところで売るっていうことばっかり考えてたんですけど、 結構若い人が多いので、実はこっちのエンジニアの方に、僕はちょっとだけ魅力を感じてます。 もしかしたら、日本(にほん)で、研究所を持つよりは、ジャカルタに研究所を持った方が開発がもっと早くなるんじゃないかなっていうふうな、 ジャカルタの若い人のバイタリティーっていうものに、魅力を感じてます。

映像説明: 薄曇りの空の下、高層ビルが建ち並ぶ市街地。中央に、途中にかすかなくびれのあるデザインの黒っぽいビルがそびえている。ビル群のあいだには、水色の屋根の低層の建物や、白い壁の逓増のビルなどが建っている。

ナレーション: スタートアップが盛り上がりを見せるインドネシア。

映像説明: 建物の最上階近くの壁面に、緑色(みどりいろ)の文字で「tokopedia(トコペディア)」と書かれた立体看板が掲げられている。 建物の内部。紺や紫をベースに、カラフルなイラストが壁一面に描かれ、白い文字で「BukaLaPak.com(ブカラパック ドットコム)」の立体ロゴ看板が掲げられている。 駅の構内。天井を支える四角い柱に「tokopedia(トコペディア)」の全面広告。1つの面には、ウェーブのかかった長髪の男性が、右手にタブレット、左手にスマートフォンを持って笑いかけている。別の面には、ブラウザの検索ボックスにインドネシア語で「Beli Helm Hype(ベリ ヘルム ハイプ)」の検索文字と、関連するいくつかの検索候補の単語、「DOWNLOAD TOKOPEDIA(ダウンロード トコペディア)」のボタンがデザインされている。

ナレーション: ユニコーンと呼ばれる成功企業が生まれ、インターネット販売や、旅行など、幅広い分野で活躍している。

映像説明: 街の中。駐車された車がずらりと並ぶ道を、2人乗りの黒いスクーターが走っていく。ドライバーの男性は、鼻と口を茶色の布で覆い、緑のヘルメットをつけ、緑のジャケットを着ている。ジャケットの胸元に「Grab」と書かれた白抜きのロゴが入っている。後ろのシートには、緑色(みどりいろ)のヘルメットをかぶり、緑の布で口元を覆った女性が乗っている。 小さな店舗が並ぶ細い路地。たくさんのスクーターが走行する中、黒いヘルメットをつけ、緑のジャンバーを着たドライバーが、シルバーのバイクを走らせている。 道路の脇にたくさんのバイクやスクーターが並んで駐車されている。青いスクーターには黒と青のヘルメットをかぶり、緑のジャンバーを着たドライバーが座っている。紺のジャンパーを着た男性が笑顔で話をしながら緑色(みどりいろ)のヘルメットをかぶり、青いスクーターの後部座席にまたがる。

テロップ: ライドシェア 一般のドライバーが空いた時間と車両を使い 有料で人を乗せる配車サービス

ナレーション: 中でも、成長著しい分野が、ライドシェアだ。ライドシェアとは、一般のドライバーが空いた時間と車両を使い、有料で人を乗せる、配車サービス。

映像説明: 舗装された広い道路の脇にたくさんのバイクやスクーターが駐車され、それぞれにヘルメットがくくりつけられている。手前に駐車された黒いスクーターの後部座席に、黒と緑に塗り分けられたヘルメットがゴムバンドで固定して置かれている。ヘルメットの側面には、アルファベットの「C」の内側に、円が描かれたようなデザインのマークが入っている。

テロップ: Gojek(ゴジェック)

ナレーション: インドネシアの「Gojek(ゴジェック)」と、

映像説明: 赤いスクーターの手前に置かれた黒いスクーターのハンドル部分に、緑のヘルメットが置かれている。後頭部に、白い二重線と「Grab」のマークが入っている。

テロップ: Grab

ナレーション: シンガポールの「Grab」がしのぎを削っている。

映像説明: 道幅の狭い道路。車と一緒にスクーターが走る。道の脇に赤いスクーターが停車し、肩口から袖の部分は緑に配色され、身頃の部分は黒で胸元に緑で「Grab」のロゴが入ったジャンバーを着たドライバーが、誰かを探すように歩道を見ている。歩行者が車やスクーターの脇を歩いていく。 通行量の多い片側4車線の道路。後部座席に人を乗せ、緑のジャンバーを着たドライバーが運転する赤いスクーターや、緑のジャンバーを着たドライバーが運転する青いバイクなどが、バスや車と並んで走っていく。 店が立ち並ぶ市街地の通り。道路の端が、コンクリートのブロックで、車一台が通れるほどの幅に区切られており、たくさんの車とバイクで渋滞している。複数のスクーターが、コンクリートのブロックの切れ目から、二輪車のみが走っている道にはいろうとしている。 細い道を走るたくさんのバイクやスクーターと車。分離帯が途切れ合流し、少し広い道となる。 車通りの少ない道。「Grab」のジャンバーを着たドライバーが、緑のヘルメットをかぶった男性をバイクの後部座席に乗せて走りぬける。

ナレーション: ライドシェアが普及した背景には、地下鉄など公共交通機関が未発達なことがある。 渋滞がひどいなか、人々は、車やバイクを使って移動する必要があり、その利便性から一気に広がった。

映像説明: 片側4車線の道路を走る車の後部座席からの風景。赤いTシャツを着てキャップをかぶった男性が運転をしている。ハンドルの横に、地図を表示したスマートフォンが取り付けられている。

ナレーション: こちらは、ライドシェアのドライバー。 使っている自動車は、オーナーから借りたもので、高いレンタル費用を支払う必要がある。

映像説明: 路肩に停めた車の中で、赤いTシャツを着てキャップをかぶった男性がインタビューに答える。

テロップ: ライドシェアのドライバー

ライドシェアのドライバーの男性・インドネシア語吹き替え: 車を借りているから、1日6,000円ぐらいは稼がなきゃいけないんだ。 オーナーへの支払いがないといいけどね。

映像説明: トタン屋根の小さな店や、露店が並ぶ細い路地を何台ものバイクが往来している。ヒジャブを付けた子ども、ヘルメットをかぶった父親、ヘルメットをかぶった母親の3人が乗ったスクーターが走ってくる。 黄色(きいろ)や薄い緑に塗られた塀の前。野菜を積んだリヤカーの向こうに、編みがさをかぶった男性が立っている。三段の棚のようになっているリヤカーの上部に取り付けられた木の枠には、小さなビニール袋に小分けされた野菜や穀物がくくりつけられている。リヤカーの中段、下段にはホウレンソウやジャガイモ、ネギなどの野菜が並べられている。ハンドルにぶら下げられたビニール袋には、トマトや小さな袋に小分けにされた豆類などが入っている。 果物が並ぶ店先。黄色いメロンや桃、ミカン、細長いスイカなどが山積みになっており、柱に渡した紐にはバナナやブドウの房(ふさ)がつり下げられている。水色のTシャツを着た男性が、壁際に置かれた台に座ってタバコを吸っている。隣には、グレーのTシャツを着て膝に穴の開いた(あいた)黒いジーパン姿の男性が片足を台に載せて座り、手で目のあたりをこする。

ナレーション: インドネシアでは、自動車が欲しくても、手に入れられない人が多くいる。金融機関の審査を通らないため、ローンを組むことが難しい。

映像説明: 灰色の外壁の建物の横に、シルバーの車が駐車されている。カラフルな花柄のベージュのシャツを着た男性が、車の前で話をしている。

ナレーション: 一方、こちらは、日本のスタートアップのサービスを利用して、

映像説明: カラフルな花柄のベージュのシャツを着た男性が、車を運転しながらインタビューに答える。右手でガッツポーズをして笑顔でハンドルを回す。

ナレーション: マイカーを手に入れたアグスさん。

テロップ: アグスさん

アグスさん・インドネシア語吹き替え: やる気がでるよ。自分の車だからね。

映像説明: 緑色(みどりいろ)の外壁の家の玄関。開いたドアから紫のヒジャブをかぶった女性が出てくる。カラフルな花柄のベージュのシャツを着たアグスさんが女性の両頬に顔を寄せ、振り返って笑顔を見せる。 家の中。グレーの壁に小さな額がいくつか飾られている。笑顔のアグスさんと紫のヒジャブをかぶった笑顔の女性のあいだに、水色のシャツを着た小さな男の子が立っている。

ナレーション: アグスさんは、奥さんと子供3人の5人暮らし(ぐらし)。タクシードライバーで生計を立ててきた。

映像説明: 灰色の壁の横に駐車されたシルバーの車の前に、水色のシャツに黒いズボン姿の小さな男の子と、キャラクターの絵がプリントされた黄色(きいろ)と赤のシャツにベースのズボン姿の男の子、ミニーマウスの絵が入った濃いピンクのTシャツにピンクのスカート姿の女の子が立っている。青いTシャツを着た男の子がやって来ると、水色のシャツに黒いズボン姿の男の子が歩み寄って抱きつく。

ナレーション: 現在は、ライドシェアのドライバーをしている。

映像説明: グレーの壁の部屋の中。アグスさんが一人掛けの椅子に座り、身振りを交えて話をしている。テーブルには薄茶色(うすちゃいろ)の飲みものが入ったグラスとプラスチックのコップがいくつも並んでいる。三人掛けの椅子に座る黒いTシャツを着て、口ひげを生やした男性がうなずきながら話を聞いている。 シルバーの車のリアガラス。水色の円の中にアルファベットの「G」をデザインしたマークの下に「GMS」のロゴと、「GMS Global Mobility Service」と書かれたステッカーが貼りつけられている。

ナレーション: その仕事ぶりが評価され、日本のスタートアップが、インドネシアで始めたサービスの対象者に選ばれた。

映像説明: 建物の中。すりガラスに透明と緑の直線的な模様が描かれた扉の先にグレーのカーペットのオフィスがある。白い長机(ながづくえ)を2つ並べて、大きな机にしてあり、黒いポロシャツを着た6人ほどのスタッフが、ノートパソコンやスマートフォンの画面を見つめている。窓際にもテーブルが置かれ、スタッフがパソコンの画面に向かっている。

テロップ: グローバル モビリティ サービス インドネシア Global Mobility Service Indonesia

ナレーション: そのサービスを提供したのが、6年前に日本で誕生したグローバル モビリティ サービス。

映像説明: オフィス内。長机(ながづくえ)を2つ合わせたテーブルで、7人の各々ノートパソコンに向かっている。男性はそろいの黒いポロシャツを着ており、女性は黒い服に黒のヒジャブをつけている。奥の壁に手書きで表(ひょう)が書かれたホワイトボードが置かれ、その手前に、デニムシャツを着て髪を後ろで1つに束ねた女性が座り、ノートパソコンに向かっている。

テロップ: IoT(アイオーティー) Fin Tech

ナレーション: IoT(アイオーティー)とFin Techを駆使して、まじめに働く人が車を持てる仕組みを生み出した。

映像説明: 板張りの壁の前で、「GMS」のロゴマークが入ったTシャツの上にツイードのジャケットを着て眼鏡を掛けた男性が笑顔でインタビューに答える。

テロップ: グローバル モビリティ サービス 中島 徳至(なかしま とくし) 社長

中島(なかしま)社長: ここインドネシアに関しましては、もう皆さんすでにご存知のライドシェア。Grabさんにしても、Gojeck(ゴジェック)さんにしても、大変活躍をされておられますよね。 でも一方、彼らのドライブをですね、一生懸命やられましても、銀行からの与信が与えられるわけじゃないんです。 私たちの仕組みを使うことによって、その方々(かたがた)に、 ま、3年、5年経ちますと、自分の車になるような、そういう仕組みをですね、提供してあげようっていうふうに考えているんですね。

映像説明: 少し厚みのある長方形の黒い機器の写真。右下に電源と接続状況を示すインジケーターがある。表面には「GMS」のロゴマークと、「MCCS 2(ローマ数字の2)の文字が刻まれている。

テロップ: 遠隔制御デバイス

ナレーション: システムのカギを握るのが、こちらのデバイス。遠隔操作で自動車のエンジンの起動を制御できる。走行データの取得も可能だ。

映像説明: 画面にシステムを説明するCG画像が表示される。画面左に「BANK」と「GMS(グローバル モビリティ サービス)」が1本の線で四角く囲われている。画面右には「遠隔制御デバイス」の文字と人と車のイラストが1本の線で四角く囲われている。「BANK」、「GMS(グローバル モビリティ サービス)」から「遠隔制御でデバイス」と人、車のイラストの方へ、「ローンの提供」の文字とともに緑の矢印が表示される。「遠隔制御デバイス」の文字と人と車のイラストから「BANK」と「GMS(グローバル モビリティ サービス)」の方へ、「返済の遅延」の文字とともにオレンジの矢印が表示される。「BANK」と「GMS(グローバル モビリティ サービス)」から「遠隔制御でデバイス」と人、車のイラストの方へ、「遠隔制御」の文字と赤の矢印が表示される。画面の下に、青の四角い枠の中に白い文字で「多くの人が車を持てる社会」の文字が表示される。

ナレーション: ローンを組んで車両を提供。支払いの遅延が発生すると、このデバイスを通じて、遠隔でエンジンが掛からないように制御する。決済システムと連携していて、支払いが確認されれば、再びエンジンが掛かるようになる仕組みだ。金融機関のリスクが減ることで、ローンを組める人が増える。車を必要とする人が、車を持てる社会を目指す。

映像説明: 高速道路の下を走る道路。車や二輪車が走っている。路肩に緑色(みどりいろ)のジャンバーを着たドライバーがスクーターまたはバイクにまたがり、6台ほど停車している。 緑の外壁の家の玄関先。カラフルな花柄のベージュのシャツを着たアグスさんが、身振りを交えて話をしている。黒いTシャツを着た男性と、黒いシャツを着た男性が、腕組みをしながら話を聞いている。

ナレーション: フィリピンやカンボジアで実績を重ね、巨大市場のインドネシアにも進出した。

映像説明: GMS(グローバル モビリティ サービス)のオフィスの中。ノートパソコンの前に茶色の柄物のシャツを着た男性が座り、両隣に座るGMS(グローバル モビリティ サービス)のロゴが入った黒のポロシャツ姿の男性と、同じポロシャツを着て眼鏡をかけた男性と話をしている。 壁に貼られたジャカルタの地図。あちこちに小さなメモが赤や青のピンで留められている。ツイードの袖から延びた手が地図を示している。

ナレーション: しかし、そのインドネシアでは、外国資本の企業が金融分野に参入するのは、容易ではない。

映像説明: 「GMS」のロゴマークが入ったTシャツの上にツイードのジャケットを着た中島(なかしま)社長がジャカルタの地図の前でインタビューに答える。 緑の外壁の家の外観。玄関先でカラフルな花柄のベージュのシャツを着たアグスさんと紫のヒジャブをかぶった奥さん、黒いTシャツを着た男性と黒いシャツを着た男性が立ち話をしている。 アグスさんが、真剣な顔で話をし、黒い服を着た男性たちが耳を傾ける。 ジャカルタの地図が貼られた壁の前で、中島(なかしま)社長が話を続ける。

中島(なかしま)社長: このフィンテックの時代になると、金融とサービスつながないと、利用者に価値って提供できないじゃないですか。 確かにこれはですね、各国によって、あの、法律も違いますし。私たちは金融業じゃないので。 そのあたりは金融機関と対話をしたりとか、自動車ディーラーと対話をして、まあもちろん、利用者とも対話をするなかで、私たちのポジションってのを、もう明確に決めて進めていくっていう、そういうことになります。

映像説明: 正面と左右がガラス張りになっている建物の外観。壁の上部には、大きな楕円の中に2つの小さなだ円を組み合わせてアルファベットの「T」をデザインしたマークと、「TOYOTA」の赤いロゴが掲げられている。駐車場に数台の車が駐車されている。出入り口の前のスペースには、青い屋根に赤い車のイラストが描かれたテントが張られている。 店内。男性スタッフと女性スタッフがカウンターの中に座っている。白と黒のチェックのブラウスを着た女性がカウンターの前の黒い椅子に座り、振り返って店内を見ている。カウンターの後ろの壁には、光沢のあるシルバーのトヨタの立体ロゴが掲げられ、壁際の棚にはトロフィーや盾がいくつも飾られている。

ナレーション: こちらは、今年の7月に業務提携したカーディーラー。

映像説明: ショールームに展示された白とグレーの乗用車。それぞれの車体に窓からの光が反射している。 白い丸テーブルに座った紺のポロシャツを着た男性と、茶色と白の柄物のシャツを着た男性が、ノートパソコンの画面を見ながら話をしている。

ナレーション: この3ヵ月間で100台を超える車が、このビジネスモデルを活用して、売れたという。

映像説明: 茶色と白の柄物のシャツを着た男性が、展示されているグレーの前でインタビューに答える。

テロップ: カーディーラー店長

カーディーラー店長・インドネシア語吹き替え: グローバル モビリティ サービスには、感謝していますよ。 今までのローンは、頭金が高く、購入できない人が多くいました。 それを低く抑えることができて、売り上げが伸びているんです。

映像説明: 白い壁で木目調の大きなテーブルと黒い椅子が置かれた部屋。黒と白のチェックの長袖シャツを着た男性の向かいに、ヒジャブをかぶった女性、黒いキャップをかぶった男性、茶色の柄物の半袖シャツを着た男性が座っている。黒いキャップをかぶった男性のひざには、赤いTシャツを着た小さい男の子が座っている。 黒の長袖シャツを着た男性が、木目調の大きなテーブルのそばに立って話をしている。皆、その男性のほうを向いて話を聞いている。

ナレーション: その店内に3名のライドシェアのドライバーが集まっていた。きょう、人生で初めて自分の車を手に入れる。

映像説明: 茶色の柄物の半袖シャツを着た男性が満面の笑みを浮かべ、インタビューに答える。

茶色の柄物の半袖シャツを着た男性・インドネシア語: うれしいですよ (通訳男性が和訳して発話)

映像説明: 白い壁で木目調の大きなテーブルのある部屋。テーブルの上に置かれたプロジェクターが光を放っている。紺のポロシャツを着た男性が立ったまま話をし、3人の男性が真剣な表情で耳を傾けている。 部屋の壁には、ステップ1から6まで、車を手に入れるまでの手順を示した写真が貼られている。 男性たちの前にはそれぞれ書類があり、紺のポロシャツを着た男性が近くに座る男性の書類を指で示して、話をする。男性たちは書類をめくり、確認しながら話を聞いている。 茶色の柄物の半袖シャツを着た男性が、数枚の書類にサインをしている。

ナレーション: 支払いが完了すれば自分の車になるが、もし支払いが滞ればエンジンが掛からなくなることなど、説明を受け、書類にサイン。

映像説明: 建物の外。黒い車の横で、茶色の柄物の半袖シャツを着た男性が再び満面の笑顔を見せる。 黒い車の前。茶色の柄物の半袖シャツを着た男性が、拳を握って親指を立てる。うぐいす色のヒジャブにクリーム色(いろ)のドレスを着た女性と、フード付きのパーカーを着た男性、水色のシャツを着た男性、青いジーパンをはいた小さな男の子などが車を取り囲んでいる。

ナレーション: ついに、引き渡しの瞬間。家族全員で受け取りに来ていた。

映像説明: 黒い車のドアが半分開いており、小さな男の子が中をのぞいている。茶色の柄物の半袖シャツを着た男性が書類を両手で持ったまま話をする。

茶色の柄物の半袖シャツを着た男性・インドネシア語吹き替え: 安全運転で、頑張るよ。

映像説明: 黒いキャップをかぶった男性が拳を握って親指を立て、インタビューに答える。男性の左後ろに立つ柄(がら)のある黒いヒジャブをかぶった女性がほほ笑んでいる。

黒いキャップをかぶった男性・インドネシア語吹き替え: うちのおふくろは泣いているよ。うれしいねえ。

映像説明: 黒いキャップをかぶった男性の右に立つ黒のヒジャブをかぶった女性が目を潤ませて口に手をあて、眼鏡をかけた男性の手を両手で握って、手を合わせる。その横で、グレーのヒジャブをかぶり、赤ちゃんを抱いた女性が笑みを浮かべている。

黒いキャップをかぶった男性の母親・インドネシア語: ありがとうございます。

映像説明: 水色のシャツを着た男性が、助手席にジーパンをはいた男の子を乗せ、黒い車を運転している。茶色の柄物の半袖シャツを着た男性が、後部座席の窓を開けて手を振る。車が駐車場の前の道路に向かって走っていく。 駐車場に、白いポロシャツを着たスタッフが並んで話をしている。紺のポロシャツを着たスタッフが、駐車場の出入り口の道端に立ち、走り去った車を見送っている。

ナレーション: 今後は、事業の幅を広げる計画で、食品を運ぶ保冷車を使って、物流ドライバーにもサービスを提供していく。

映像説明: GMS(グローバル モビリティ サービス)のオフィス内。壁に貼られたジャカルタの地図の前で中島(なかしま)社長が身ぶりを交えて話をしている。

テロップ グローバル モビリティ サービス 中島 徳至(なかしま とくし) 社長

中島(なかしま)社長: 世界には今、17億の人が自動車のローンを組みたくても組めない人たちがたくさんいて、 本来そこに目を向けるべきだったんですね。でも、これは自動車だけのテクノロジーじゃ無理で、 私たちのような、こういったフィンテックテクノロジーを、自動車にドッキングさせることによって、新たな市場が生まれる、っていう事例を私たちが作り上げてると。

スタジオの八木(やぎ)キャスター: 急速な成長をとげる一方で、社会課題も多く残るインドネシア。その課題の解決策を示すことが、マーケットを取り込むカギとなりそうですね。日本で誕生したスタートアップがうまく現地化を進め、イノベーションを引き起こすことを期待したいと思います。

映像説明: 八木(やぎ)キャスターがお辞儀をする。

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