甘いトマトはお好きですか? ‐日本のブランド野菜をスペインで作る!‐

2019年04月18日

日本の野菜をスペインで栽培し、欧州に広めようとする取り組みがある。その野菜とは、静岡の企業が生産する高い糖度が売りのトマト「アメーラ」。鮮度を重視し、日本からの輸出ではなく、地元のパートナーと組んで現地生産・販売を行うことにした。欧州でも食材として親しまれているトマトだが、実は高糖度トマトというジャンルはないという。栽培にあたっては、その手法だけでなく、ハウスの材料なども日本から持ち込んだ。そして、迎えた初出荷。ドイツの青果専門見本市でお披露目されたスペイン産アメーラへの欧州バイヤーの反応は。海外展開を通じてブランド力を高めようとする、農業の新たな取り組みを取材した。

(9分27秒)

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テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。

映像説明: ジェトログローバルアイオープニングタイトル。 薄い青を基調としたコンピューターグラフィックスの背景画。 世界地図の上で回転する、中が空洞になった地球儀から、もうひとつ地球儀が飛び出す。 拡大表示された地球儀の横にタイトルが現れる。 「世界は今 ジェトログローバルアイ」

映像説明: スタジオ。 地球儀と世界地図の画像をバックに、女性キャスターが入ってくる。 ベージュのレースのワンピース姿。

テロップ: 八木 ひとみ(やぎ ひとみ)

八木(やぎ)キャスター: 世界は今、ジェトログローバルアイ。 健康や美容に良いと言われ、改めて注目されているトマトですが、実は、日本は、トマトの品種開発や研究が、盛んな国(くに)なんです。 静岡県のある企業は、ヨーロッパ市場を開拓するため、輸出ではなく、スペインでの現地生産に踏み切りました。

テロップ: 甘いトマトはお好きですか? ‐日本のブランド野菜をスペインで作る!‐

映像説明: 数多くの果物や野菜が並ぶ青果店。パイナップルやりんご、ライムのほか、スペイン語で「Patata(パタタ)」と書かれた箱に入ったジャガイモや、色や形、大きさの異なるさまざまなトマトがある。

茶色い木箱の中に、赤黒い色のトマトや緑がかった小ぶりのトマトが並べられている。薄い桃色の巨大なトマトには、白い縁取り(ふちどり)のある円いピンクのシールが貼られている。 店先に並んだ箱には、真っ赤に色づいたトマトとつやつやとした巨大なトマトが、太陽の光を浴びて輝いている。

テロップ: スペイン グラナダ

ナレーション: さまざまな種類のトマトが並ぶ、スペイン南部、グラナダの青果店。

映像説明: テーブルに置かれたトマト料理。周りに平らな縁(ふち)のついた白い深皿(ふかざら)に、くし形に切ったトマトと、ツナ、紫タマネギのスライスが盛りつけられている。 白いプレートの上に、茶色い小鉢が置かれ、肉とトマトの煮込みが盛られている。小鉢の横にはフォークが添えられ、パンが2切れ、のせられている。 グレーの四角いプレートの上に、フタの開いた長方形の紙の箱が置かれ、薄くスライスしてトーストしたバゲットがたくさん入っている。箱の手前には、白地に青い模様が描かれた縦長の陶器のカップ。細かく刻んだトマトの上に香草が飾られ、カップの横にスプーンが添えられている。 細長い形の白い深皿(ふかざら)には、素揚げ(すあげ)したミニトマトとフライドポテト、小さなピーマンの素揚げ(すあげ)が盛られている。

ナレーション: スペインでは、サラダや煮込み料理など、食卓にトマトは欠かせない。 気候も栽培に適していることから、トマトが主な農産物のひとつだ。

映像説明: 薄雲のかかる空の下、数十棟の巨大なビニールハウスが、ずらりと並んでいる。雑木林に囲まれた広大な敷地の向こうには、山が連なる。

テロップ: 静岡県 小山町(おやまちょう)

テロップ: サンファーマーズ

ナレーション: そんなトマトの本場、スペインで、日本のトマトの生産を始めた、静岡県の企業がある。

映像説明: 白いテーブルに、フタが開いたダンボール箱が置かれ、うっすらと赤く色づいたトマトが12個並べられている。箱は赤と白に塗り分けられ、赤い部分には白い字で「清らかな水と空気で大切に育てました。」と書かれている。白い部分には赤い文字で「アメーラ」「amela」と書かれている。傍らに置かれたチラシには、真っ赤なトマトの写真を背景に「おいしさに、感動を」、「あまさと酸味の絶妙なバランス」、「高糖度トマト」と書かれている。

ナレーション: フルーツのような甘さの、高糖度トマト、アメーラを生産する、サンファーマーズだ。

映像説明: ビニールハウスの中。横長の黒い棚の上に緑の苗を植えたグレーの鉢が並んでいる。それぞれの鉢の上のパイプには、黒の細い管(くだ)が取り付けられており、先端についている小さな黒い円盤から、一定のスピードで、水滴が鉢の中に落ちていく。 青々と生い茂る枝に赤や緑のトマトの実がついている。グレーのパイプを組み合わせて高く作った支柱の上下に何本もの糸が張られ、高く伸びたトマトの枝や先端部分が白いクリップで止められている。

ナレーション: 与える水の量を制限し、普通のトマトの3分の1の大きさで成熟するよう、独自の技術で栽培。甘さとうまみを濃縮する。

映像説明: ビニールハウスの奥まで続く茶色いシートで覆われた通路。左右の棚に植えられた背の高いトマトには青い実がなり、花びらの先がとがった黄色い花が咲いている。グレーと白のストライプの服を着て、水色のゴム手袋をはめた女性が、肩から茶色い籠を提げて通路で作業をしている。通路の奥にも、日よけ帽子をかぶって籠を提げた女性の姿がある。トマトの棚を挟んでストライプの服の女性の向かいに、キャップをかぶり、マスクをした女性が作業をしている。 女性たちが、頭より高く伸びた枝に手を伸ばし、先端の葉を取って籠に入れていく。

ナレーション: 実はサンファーマーズは、国内で、トマトに糖度基準を設けた最初の企業。

映像説明: 室内。白いテーブルの上に携帯電話ほどの大きさの白い機器とトマトが置かれている。テーブルの前に立つグレーの服を着た人物が、半分にカットしたトマトを両手に持ち、きゅっと絞って機器の上の皿のようなくぼみに汁を垂らす。 トマトの隣に置かれた白い機器。上部のくぼみには、黄色っぽい(きいろっぽい)汁が入っている。その下の液晶画面には、「9.1」という数値と、「Brix(ブリックス)」と、「%」の記号が表示されている。液晶画面の左は青の英語で「Brix(ブリックス)」、右には赤の英語で「ACID」の文字が配置されたデザイン。 画面の下に「Brix(ブリックス) 0 ~(から) 60%」「クエン酸 0.1 ~(から) 3.0%」と書かれ、「START」「ZERO」と書かれた2つのボタンがついている。

ナレーション: 通常のトマトは、糖度が5度前後といわれるなか、アメーラは8度以上を基準としている。

映像説明: ビニールハウスの中。黒っぽいシートで覆われた通路の両脇に、トマトの葉が生い茂っている。地面に近い枝には、緑のほか、赤くなった実がなっている。 枝の先端に、赤と緑の大きい実1つずつと、淡い緑色(みどりいろ)をした小さな実がぶらさがっている。 赤いひらがなで「おやま」と書かれたグレーのコンテナの中に新聞紙が敷かれ、その上にトマトが30個ほど詰められている。

ナレーション: 商品は一年を通じて出荷され、生産量は、高糖度トマトでは、国内の生産者で最大の、年間1,200トンに上り、年々、拡大している。

映像説明: 屋外の会場で、にこやかにほほ笑む7人の男女の写真。後ろには、白地に赤、青、緑、ピンク、黄色(きいろ)などの縦縞の入った、たくさんのちょうちんがぶら下げられている。左端の紺の作務衣(さむえ)を着た男性の隣には、たくさんのトマトが描かれた赤いエプロン姿の2人の男性。1人は頭に祭りのハチマキを着け、1人は緑のタオルを首に下げている。中央には水色のシャツを着て、白いズボンをはいた男性が笑顔を見せている。その隣には、クリーム色(いろ)の着物に紺の帯を締め、左手にうちわを持った女性と、黒の柄(がら)が入った生成り(きなり)の浴衣を着た男性。一番右に白いコックコートに黒いエプロンを巻いた男性が立っている。7人の前に置かれた台には、「アメーラ」と書かれた箱に入ったトマトや、透明な筒型の容器に入れられた赤や黄色(きいろ)のミニトマト、英語で書かれたパンフレットが並べられている。

ナレーション: 海外展開を視野に、4年前から展示会に参加してきた。

映像説明: ビニールハウスの中で、紫と白のストライプのシャツと、茶色いセーターを着た男性が、インタビューに答える。 屋外の会場の写真。板張りの床に置かれたテーブルの前に、黒いスーツを着て、つまようじを手にした外国人男性。隣で、クリーム色(いろ)の着物に紺の帯を締めた日本人女性がほほ笑みかけている。テーブルには、緑の葉が載った白い角皿に(かくざらに)、くし形にカットされたトマトが盛りつけられ、つまようじが刺してある。その横には、透明な筒型の容器やグラスに入ったミニトマトが並んでいる。2人の後ろでは、浴衣を着た若い女性とノースリーブのトップを着た2人の女性が立ち話をしている。 ビニールハウスで、紫と白のストライプのシャツと、茶色いセーターを着た男性が話を続ける。

テロップ: サンファームイベリカ 稲吉 洸太(いなよし こうた) 社長

稲吉社長: ヨーロッパの方には、高糖度トマトというジャンルがないのが、えー、2015年に、イタリアの、ミラノ万博に出たときに調査をして、あのー、分かりまして。 そのときに、あの、持ち込んだアメーラが、 ヨーロッパの方々にも、あのー、すごい受け入れられるって可能性が分かりましたので…。

映像説明: ビニールハウスの中。茶色いシートが敷かれた通路に、グレーのコンテナを積んだ台車が置かれている。グレーのトレーナーを着て、緑のズボンをはいた男性が、トマトの棚のそばに積み重ねられたグレーのコンテナを1つ台車に載せる。 グレーのコンテナの中に、真っ赤に熟したトマトがたくさん入っている。 紫と白のストライプのシャツと茶色いセーターを着た稲吉社長が、トマトの枝に手を伸ばしている。隣には、グレーのトレーナーを着た男性が、ノートを手にして立っている。 稲吉社長が、枝の先にある緑色(みどりいろ)の実をいくつか触って確かめている。グレーのトレーナーを着た男性が、その様子を見つめる。

ナレーション: ミラノ万博に出品したことで、ヨーロッパ市場開拓の手応えを感じたが、最大の問題は鮮度。日本からの輸出では、鮮度が保てない。そこで検討したのが、ヨーロッパでの現地生産。 ヨーロッパでアメーラトマトが広まることによって、日本でのブランド価値も高められると、考えるようになった。

映像説明: ビニールハウスの中で、、紫と白のストライプのシャツと茶色いセーターを着た稲吉社長がインタビューに答える。 数多くの果物や野菜が並ぶ青果店。茶色い木箱の中に、赤黒い色のトマトや緑がかった小ぶりのトマトが並べられている。薄い桃色の巨大なトマトには、白い縁取り(ふちどり)のある円いピンクのシールが貼られている。 黒の四角いコンテナに、縦にしわの入った赤いトマトがいくつも入っている。 ビニールハウスで稲吉社長が話を続ける。

稲吉社長: えー、日本人(にほんじん)が、どこの国で作られたトマトに対して魅力を感じるか、というような調査内容がありまして、 その中に、ヨーロッパ、スペインや、イタリアとか、フランスとか、そういった国々(くにぐに)で作られたトマトに魅力を感じるというような調査がありまして。 ま、ヨーロッパの国々(くにぐに)で、アメーラという、日本のアメーラというものが広まれば、 日本のアメーラというブランドの、力もさらに、伸びるんじゃないかなと、それを期待しています。

映像説明: 茶色い屋根と白壁の家が建ち並ぶ街。街を取り囲むように広がる無数のビニールハウス。その先には海が広がっている。画面左下の四角い枠内にスペインの地図。マドリードは、国の中央に位置している。カルチュナはスペインの南部にあり、地中海にほど近い街で、赤い星印で示されている。 山のふもとの平地(へいち)部分はビニールハウスで覆われている。傾斜部分の所々が段々畑のように平らにならされ、細長いビニールハウスが建てられている。

ナレーション: 生産の地に選んだのは、スペイン南部のグラナダ県にあるカルチュナ。この地域は、地中海性気候で年間を通じて、天候が安定しており、トマト栽培には適しているという。

映像説明: 茶色い外壁の低層の建物。すぐ脇に、背の高い板の上に低い三角柱を載せた赤い看板が建てられている。 てっぺんの三角柱には、スペイン語で「lapalma(ラパルマ)」というロゴ文字と、ヤシの木をモチーフにしたロゴマークが描かれている。

テロップ: グラナダ・ラパルマ協同組合

ナレーション: 現地に根ざしたパートナーが必要と考えた、稲吉さん。

映像説明: 高い天井の広い工場の中。10数本もの短いベルトコンベヤーがずらりと並び、傍らには赤いシャツを着て青いズボンをはいた男性が立っている。その横には帽子をかぶった、3人の男性が、赤いコンテナを積み上げたパレットと黄色いフォークリフトのそばで話をしている。手前の広いスペースには、黄色い実が入った赤いコンテナが数百個積まれており、赤いシャツを着て黒いズボンをはいた体格のいい男性が赤いコンテナを運んでいる。そのそばに、オレンジ色(いろ)のけん引車が置かれている。奥にはスチール製の長いレーンと足場が設置され、赤いコンテナが流れていく。 レーンを流れてきたたくさんの赤いトマトが、直角に取り付けられた下のレーンに落ち、ベルトに乗って運ばれていく。 スチール製の細いローラーが敷き詰められた、幅の広いローラーコンベヤーを、黄色(きいろ)や黄緑のミニトマトが大量に流れていく。

ナレーション: 展示会を通じて商品の評価を得ていた農業協同組合、グラナダ・ラパルマと合弁で、サンファームイベリカを設立することにした。グラナダ・ラパルマは、ミニトマトの生産、販売でヨーロッパ最大手だ。

映像説明: 巨大なビニールハウスの中。不織布(ふしょくふ)の白いコートを着て水色のゴム手袋をはめ、青いバインダーを脇に挟んだ稲吉社長が、葉の茂ったトマトの根元に手を伸ばす。体を起こし、緑のトマトに軽く触れ、ハウスの中を見渡す。ハウスの支柱には、黄色い札(ふだ)が等間隔に何枚も吊り下げられている。

ナレーション: 合弁会社(ごうべんがいしゃ)設立にあたり、相談をしたのが、ジェトロ・静岡事務所だったという。

映像説明: 赤いトマトが入った平たい黒の籠が積み重ねられている。その前で、白い不織布(ふしょくふ)のコートを着た稲吉社長が、インタビューに答える。 巨大なビニールハウスの中。白いシートが敷かれた通路の左右には、グレーのパイプで支柱が組まれ、上下に糸が張られている。支柱の半分くらいの高さのトマトが緑の葉をつけている。支柱の上に取り付けられた白のプレートには、四角いコンテナの絵とスペイン語で「PERMITIDA LA RECOLECCIÓN(パルミティーダ ラ レコレクション)」という文字が緑で書かれている。プレートのそばで、不織布(ふしょくふ)の白いコートを着た稲吉社長が話をしている。後ろでは、不織布(ふしょくふ)の白いコートを着てひげを生やした外国人男性が、腕を組んで立っている。 トマトが入った平たい黒の籠の前で、稲吉社長が、身ぶりを交えて話を続ける。

稲吉社長: スペインで、会社を設立するっていうことはもちろん私にとってもですね、初めての経験だったんで。 まず、何をすればいいのかというところが、全く分からなかったんですが、 ジェトロさんの方で、あのー、まあ、アポスティーユ(公文書の外務省による証明)の取り方だとか、 あのー、どこどこへ行ったほうがいいよとかっていうのは、あのー、アドバイスいただきながら、あのー、私自身も学びましたし…。

映像説明: 光り輝く太陽の下、広大な敷地にたくさんのビニールハウスが並ぶ。ハウスの横には黄色(きいろ)や赤のトラックとシャベルカー、大きな白い箱型のトラックが止まっている。その先には壁の白い、低層の大きな建物が建っている。はるか遠くには山並みが続いている。 床に白いシートが敷かれたビニールハウスの中。支柱の上部には、等間隔で黄色い札が(ふだ)が吊り下げられている。足元の棚には、若い苗木が植えられた黒い鉢が2列に並び、鉢と鉢のあいだに白いカバーがかけられている。

ナレーション: 去年5月に合弁会社(ごうべんいがいしゃ)を設立し、10月にスペインでのアメーラの生産を開始した。

映像説明: ビニールハウスの中で、色鮮やかな緑の葉をつけたトマト。天井まで伸びた枝に、赤や黄緑の実が鈴なりになっている。 1つの枝の先が分かれて、まるまるとした実が3個から4個ぶら下がっている。

ナレーション: 作り方は、日本(にほん)スタイル。トマトの糖度を高める栽培方法を導入し、給水や温度、湿度などを徹底管理する。

映像説明: ビニールハウスの巨大な屋根には、金属のはりが組まれており、床には白いシートが敷かれている。ハウスの半分には、若い苗木が並べられている。 成長したトマトが栽培されているビニールハウス。「lapalma(ラパルマ)」の黄色いロゴがついた黒いシャツを着て、肩からオレンジ色(いろ)の籠を提げた日本人男性が、紫のゴム手袋をはめて片手で赤い実を2個もぎとる。トマトのヘタに残った枝をハサミで切り落とし、籠に入れる。

ナレーション: さらに、ビニールハウスの材料などは日本から持ち込み、栽培するスタッフも、アメーラ栽培歴20年のベテランを派遣した。

映像説明: 走る車からの車窓風景。山に囲まれた片道2車線、片道1車線の道路。白いワンボックスカーが急なカーブを曲がり、陸橋をくぐる。 金属のフェンスで囲まれた10個ほどのビニールハウス。紺のボタンダウンのシャツを着た稲吉社長を含む7人の男性たちが、金網の扉から敷地内へ入っていく。

ナレーション: ことし2月、稲吉さんは、初めての出荷を迎えた、スペインの農場を訪れた。

映像説明: ビニールハウスの中。白い不織布(ふしょくふ)のコートを着て、青いバインダーを脇に抱えた稲吉社長が、インタビューに答える。

稲吉社長: トマト、結構、しっかりなってますね。 水の、あの、品質もやっぱ、日本(にほん)と違いますのでそこらへんの調整が、ま、必要かなとは、考えてますけど。

映像説明: 不織布(ふしょくふ)の白いコートを着て水色のゴム手袋をはめた、稲吉社長を含む7人の男性たちと、背中にスペイン語で「MANTENIMIENTO(マンテニミエント)」とプリントされた黒のトレーナーを着て緑のズボンをはいた男性が、話をしたり、トマトの実(み)に触ったりしている。稲吉社長が、その様子にカメラのレンズを向けている。 稲吉社長が、トマトの枝や葉に手を伸ばしながら、不織布(ふしょくふ)の白いコートの下に紫と白のチェック柄のシャツの上に黒のニットを着て、眼鏡をかけた外国人男性と話をしている。

ナレーション: スペインで生産したアメーラは、すべて、パートナーである、グラナダ・ラパルマが販売する。ヨーロッパにはない、新しい品種の高糖度トマトを手がけて、同業者と差別化を図るため、アメーラの導入を決めたという。

映像説明: ビニールハウスの中。生い茂るトマトの前で、不織布(ふしょくふ)の白いコートの下に紫と白のチェック柄のシャツの上に黒のニットを着て、眼鏡をかけた外国人男性が、青いゴム手袋をした手に赤いトマトの実を持ち、インタビューに答える。 鮮やかな緑の葉の中に、淡い赤や濃い赤、オレンジ、黄色(きいろ)、緑の実がたわわに実っている。 太陽の光が当たって、つややかに光る赤と緑のトマトの実。 オレンジの籠に入った、たくさんの赤いトマトの実。 不織布(ふしょくふ)の白いコートの下に紫と白のチェック柄のシャツを着て、眼鏡をかけた外国人男性が話を続ける。

テロップ: グラナダ・ラパルマ協同組合 ペドロ・ルイス 組合長

ルイス組合長・スペイン語: アメーラは革新的で独自性があり、すばらしいトマトだ。 欧州中(おうしゅうじゅう)を見渡しても、似たものはない。 この商品にはポテンシャルがあり、大きなビジネスチャンスにつながると思う。 欧州全体に売り込んでいきたい。

映像説明: 茶色い台に、平たいダンボール箱が3つ置かれ、その上に同じ柄(がら)の箱が2つ立てて置かれている。箱の側面には、2つの円い穴が開いて(あいて)いる。 箱は緩やかな曲線を境に赤と白に塗り分けられ、フタの白い部分には、赤い円の下に白い山が配置されたデザインのロゴが描かれている。ロゴの下には、赤い文字で「amela(アメーラ)」、「Sweet & Rich」と書かれている。

ナレーション: 販売にも、日本のブランド戦略を持ち込む。 パッケージは、日本で使用しているものをベースに、和のイメージをプラスした。

映像説明: 白い壁の部屋。木製のドアの周りの壁はレンガ色(いろ)に塗られ、ドアの前には小さなホワイトボードが置かれている。書類やノートパソコン、ペットボトルが置かれた茶色いテーブルを、4人の日本人男性と5人の現地の男性が囲んでいる。焦げ茶のセーターを着て眼鏡をかけた日本人男性が、紺のボタンダウンのシャツを着た稲吉社長に話をしている。 赤いジャンパーを着た日本人男性と、青いシャツを着たスキンヘッドの外国人男性のあいだに座る稲吉社長。スキンヘッドの外国人男性の左隣には、茶色いジャケットを着た日本人男性が座っている。稲吉社長が、6つのトマトの写真が印刷された資料を指さしながら、反対側に座る現地スタッフに説明をしている。 資料のアップ。写真の6つのトマトは、やや角張っているものや、丸いもの、逆三角形に(ぎゃくさんかっけいに)近いものなど、形が微妙に異なっている。それぞれの写真の下には、スペイン語で「categoría(カテゴリア)」と書かれ、001番から006番までの番号が振られている。

ナレーション: しかし現地のスタッフと、出荷の品質基準について話し合う中で、スペイン側からは、形について、日本より厳しい基準を求められた。

映像説明: 白いボタンダウンのシャツの上に黒のジップアップカットソーを着たグレーヘアの現地の男性が、トマトの写真を白いペンで指しながら、話をする。左隣に座る紫と白のチェック柄のシャツの上に黒のニットを着て、眼鏡をかけた男性が、両手を組んでテーブルに肘をつき、話を聞いている。白いボタンダウンのシャツの上に黒のジップアップカットソーを着たグレーヘアの男性の右隣には、黒いシャツを着て顎ひげを生やした若い男性が資料を見つめ、その奥に座る黒のポロシャツを着た男性がノートパソコンを操作している。

白いボタンダウンのシャツの上に黒のジップアップカットソーを着たグレーヘアの現地の男性スタッフ・スペイン語: NO...

映像説明: 白いボタンダウンのシャツの上に黒のジップアップカットソーを着たグレーヘアの現地の男性が、白いペンでトマトの写真が印刷された資料に書き込みをする。 稲吉社長が、身ぶりを交えて、左隣に座る青いシャツを着たスキンヘッドの外国人男性に話をする。 稲吉社長の正面に座る白いボタンダウンのシャツの上に黒のジップアップカットソーを着たグレーヘアの現地の男性と、紫と白のチェック柄のシャツの上に黒のニットを着て、眼鏡をかけた男性が、うなずきながら話を聞いている。 稲吉社長が資料に手を置きながら話を続ける。

ナレーション: 現地の基準に戸惑うものの、品質には自信を持つ稲吉さん。 粘り強く説得した。

稲吉社長: 今までのトマトのカテゴリーってか、その、基準からちょっと、考え方変えてもらった方が。 アメーラの方はやっぱ、味で、基準として、わく、分けていきたい。

映像説明: 白い壁の作業場。銀色の四角いはかりの上に、白い緩衝材を敷いた透明な四角いパックが置かれ、紫のゴム手袋をはめた手が、四角いパックの中に5つの赤いトマトを丁寧に詰めている。 トマトの入った緑(みどり)や黒のダンボール箱が置かれたスチール製の作業台で、赤い作業服を着て紫のゴム手袋をはめた2人の女性が作業をしている。手前の眼鏡をかけた女性が、トマトを1つ、緑のダンボール箱に戻し、別のトマトを選んで、はかりの上の透明な四角いパックに詰めなおす。奥の女性は、トマトの入ったパックを秤の上に載せている。作業台の前では、白い不織布(ふしょくふ)のキャップとコートを身に着けた現地の男性スタッフが、同じ格好の稲吉社長に身振りを交えて説明をしている。 赤と白のアメーラのダンボール箱。中に敷いた細長い白い紙が、8個ほど入った赤いトマトの上にかぶせられている。紫色のゴム手袋をはめた手が紙をめくり、さらにトマトを詰めていく。 白い不織布(ふしょくふ)のキャップとコートを身に着けた稲吉社長を含む4人の男性が、話をしながら作業を見つめている。

ナレーション: 販売先は、高級スーパーや百貨店とする戦略だ。 スペインでは、1キロ200円程度からトマトが購入できるが、アメーラはその10倍の、およそ2,000円。まずはスペインと、ヨーロッパの中でも購買力が高い、スイスの富裕層を狙う。

映像説明: 白い壁の部屋。壁際に、トマトのパックを並べた平たい黒い籠が、高く積み重ねられている。その前で、不織布(ふしょくふ)の白いコートを着た稲吉社長が、インタビューに答える。

稲吉社長: あのー、流通の仕組みなんかは、あのー、根本から違いますので、 そこらへんの調整を、これから、あの、細かなところまで、あのー、お互い理解、深めながら、していく必要は、 ま、今後、ま、ずっと続いていくんだと思いますけども…。

映像説明: 夜のレストラン。外壁にグレーと黒のタイルを張ったレストランの前に、椅子とテーブルがいくつも並べられている。柱に掲げられた電光看板には「EXPOSICIÓN(エクスポシション)」と書かれ、サングラスをかけ、白いTシャツにジャケットを着た男性の写真が映し出されている。 レストランの店内。青いガラスがはめられた格子窓の前に、4つのテーブルが並んでおり、白い角皿(かくざら)や透明や青のグラス、白いキャンドルが置かれている。稲吉社長を含む10人ほどの男女が談笑している。女性店員がテーブルにグラスを置く。

ナレーション: スペインを訪れる際は、いつも現地スタッフ、そしてその家族と食事をともにするという稲吉さん。

映像説明: 黒っぽい大皿に盛られた色鮮やかなサラダ。くし形にカットした赤いトマト、アボカドとマンゴーのスライス、レタス、紫キャベツ、クレソンが盛りつけられ、その上に半円形の白いチーズがのせられている。 白い角皿(かくざら)に取り分けられたトマトとレタス、チーズ。ナイフとフォークでトマトが小さくカットされる。

ナレーション: 今回は、採れたばかりのアメーラの試食も行った。

映像説明: テーブル席で、黒いブラウスを着たロングヘアの現地の女性がインタビューに答える。話し終わると、親指を立てるジェスチャーをして、皿の上のサラダに目を向ける。女性の右隣に座るウェーブヘアの女性と、その隣に座るグレーのトレーナーを着た男性が、ロングヘアの女性を見てほほ笑む。

黒いブラウスを着たロングヘアの現地の女性・スペイン語: とてもおいしい!

映像説明: 透明な四角いパックに6個ずつ入った赤いトマトが、平たい黒の籠に並べられている。 紫のゴム手袋をはめた手が、赤の円いシールが貼られたトマトを、赤と白に塗り分けられたダンボール箱に詰めていく。 箱の中に敷かれた細長い白い紙をトマトにかぶせてフタをし、赤い円に白い山のデザインに、アルファベットで「amela(アメーラ)」と書かれたロゴシールで封をして、箱の上ブタ(うわぶた)を閉じていく。

ナレーション: ヨーロッパ各地での販売に先駆け、スペインの大手百貨店での販売がスタート。 かなり高額だが、評判は上々だという。

映像説明: 灰色の石造りの大きな建物の外観。中央の高い建物には、海辺でサングラスをかけた男女とカットされたメロンの写真が入った巨大な看板が掛かっている。 左右には低い建物がのびており、正面入り口は大きくひさしが突き出して、先端が何本もの柱で支えられている。柱のあいだには、カットされたレモンを背景に、ピンク色の文字で「FRUIT LOGISTICA(フルーツ ロジスティカ)」と書かれた縦長の看板が立っている。中央の広場には、アスパラガスやバナナ、オレンジがクローズアップされた看板や、自転車と女性が写った入った巨大看板が建てられており、大勢の人々が入り口に向かって足早に歩いていく。広場の両脇には、ドイツの国旗と共に、黄緑の文字で「FRUIT LOGISTICA(フルーツ ロジスティカ)」と書かれた何本もの黄色い旗がはためいている。

テロップ: ドイツ ベルリン

テロップ: 2月6~(から)8日 FRUIT LOGISTICA(フルーツ ロジスティカ) 2019

ナレーション: そしてアメーラを披露したのは、ヨーロッパ最大級の果物野菜の専門見本市、フルーツ・ロジスティカだ。

映像説明: 会場内に設置された巨大なアメーラのパネル。水滴がついてみずみずしい、丸いままの赤いトマトが5つと、縦にカットされたトマト、横にカットされたトマトが一塊(ひとかたまり)になった写真の横に、「amela(アメーラ)」のロゴが描かれ、英語とスペイン語で説明が書かれている。パネルの前の白い小さな棚には、パンフレットが置かれている。 広々としたブース。メロンのような緑と黄緑の網目模様の壁に、白い立体文字のアルファベットで「lapalma(ラパルマ)」と書かれ、ヤシの木をモチーフにしたロゴが描かれている。通路際(つうろぎわ)に置かれたカウンターは、正面が赤く塗られ、白い文字で同じロゴが描かれている。通路には、多くの人々が行き交い、ブースでは、10人ほどのスーツ姿の男性たちが壁際に並べられたテーブルを囲んで話をしたり、パソコンを操作したりしている。テーブルの上には丸いライトが6つほど吊り下げられている。中央の壁の巨大パネルには両手いっぱいに赤い実を持った2人の手が映し出されている。左右の壁には、縦、横、斜めに棒状のライトが取り付けられ、光を放っている。緑の網目が描かれた天井に向かって、中央の白い柱からたくさんの枝が伸びている。その横で黒いパンツスーツ姿の女性がカメラを高く掲げている。

ナレーション: アメーラのブースには、イギリス、フランス、スウェーデンなどから、多くのバイヤーが訪れた。

映像説明: 白いテーブルを囲む8人ほどの男女。テーブルの上には、ビールの瓶やグラス、白い角皿(かくざら)が置かれている。 カーキ色(いろ)のTシャツと黒いズボンをはいた男性が、フォークに刺したトマトを掲げ、笑顔で口に運ぶ。緑のブラウスを着たロングヘアの女性が、笑顔で親指を立てる。 商品が並んだ棚の前。白い壁には、アメーラのロゴとトマトの写真が入った額縁が飾られており、トマトのパックが入ったダンボール箱が、テーブルに置かれている。眼鏡をかけて黒いネクタイを締めた日本人男性と、3人の現地スタッフの男性(スキンヘッドの男性、あごひげを生やした男性、眼鏡をかけたグレーヘアの男性)がスーツ姿でテーブルを囲んでいる。棚の上の壁には、手書き風の黒い文字で「Packaging Innovation」「IDEA」などと書かれ、フォークや、フライ返し、太陽などのイラストが描かれている。棚には緑(みどり)やオレンジ、黄色(きいろ)など、色とりどりの野菜が透明のパッケージに梱包されて展示されている。 アメーラの大きなパネルの前。テーブルの上の白い角皿(かくざら)に、くし形にカットされたトマトが盛りつけられている。テーブルの前では、水色のワイシャツに黒のジャケットを着たグレーヘアの男性と、白いシャツに黒のスーツ姿の男性が、フォークを手にして、青いワイシャツに赤いネクタイをして、黒いジャケットを着た稲吉社長と笑顔で話をしている。パネルの端に置かれた白い棚には、透明のケースに入ったさまざまな種類のトマトが展示されている。

ナレーション: ヨーロッパのトマトにはない、甘みと風味が、バイヤーから高い評価を受け、ぜひ取り扱いたいという声が、多数、聞かれたという。

映像説明: 白いシャツに黒のスーツ姿の男性が、感想を述べ、角皿(かくざら)に手を伸ばす。

テロップ: スイスのバイヤー

スイスのバイヤー・英語: とても良い。

映像説明: 水色のワイシャツを着て黒のジャケットを着たグレーヘアの男性が、フォークに刺したトマトを鼻に近づける。白いシャツに黒のスーツ姿の男性が、トマトを口にして目を丸くする。水色のワイシャツを着て黒のジャケットを着た男性がトマトを口に運ぶ。笑顔の稲吉社長が2人を交互に見ている。 「lapalma(ラパルマ)」のロゴが入った緑色(みどりいろ)の網目模様の壁の前に、正面が赤く塗られた白いカウンターが置かれている。赤い面に白で、「amela(アメーラ)」を含む4つのロゴが描かれている。黒いエプロンを着けた栗色のロングヘアの女性が、赤や黄(きいろ)のミニトマトを盛りつけた皿や透明な丸い皿をカウンターの上に並べている。

ナレーション: これまでの展示会を通じて、かねてからアメーラに関心を持っていたという、スイスのバイヤーと商談することができ、大手スーパーなどでの販売も始まった。

映像説明: 壁際に大きなショーケースのある室内。木製の枠にガラスの引き戸がついたケースの前で、しろのニットの上に黒いシャツを着た稲吉社長がインタビューに答える。ケースの中には、黒っぽい瓶や黄色(きいろ)や赤のTシャツなどと共に、赤と白のアメーラの箱が飾られている。

稲吉社長: まあ、日本よりもですね、ま、速いペースで、だけども、おー、やっぱり、品質にはこだわって、えー、拡大していきたいと思ってますけど。 “一番おいしいトマト”アメーラとして、あのー、世界の皆さまに認知していただけるように。 スペインのメンバーと一緒に頑張っていきたいと思ってます。

スタジオの八木(やぎ)キャスター: アメーラトマトは、スペイン、スイスに続き、スウェーデンでも販売が始まり、生産も拡大しているといいます。国内でブランド化した野菜を、ヨーロッパで現地生産し、さらにブランド力を高めるという戦略。今後の展開に期待したいと思います。

映像説明: 八木(やぎ)キャスターがお辞儀をする。

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