水産ビジネスは鮮度が命! ‐インドネシアに眠るポテンシャル‐

2019年04月04日

世界第2位の漁獲量を誇る水産大国、インドネシア。港にはカツオやマグロ、イワシなど、さまざまな種類の魚が水揚げされ、市場は活気に溢れている。しかし、冷凍された魚がそのままトラックの荷台で積み出される様子も見られ、コールドチェーンへの取り組みはまだこれからだ。世界的に水産資源への需要は増加傾向にあり、限りある資源の有効利用が求められるなか、インドネシアも伝統的な水産業から近代的な水産業へと変わろうとしている。そこに、どのようなビジネスチャンスがあるのか。鮮度を切り口に、現地で可能性を探る日本企業の動きを追った。

(11分14秒)

テキスト解説を読む

テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。

映像説明: ジェトログローバルアイオープニングタイトル。 薄い青を基調としたコンピューターグラフィックスの世界地図。 その上に中が空洞になった地球儀が回転している。中からもうひとつの地球儀が飛び出し、拡大表示される。 さらにいくつもの輪が地球儀を取り巻き、タイトルが現れる。 「世界は今 ジェトログローバルアイ」

映像説明: スタジオ。 地球儀と世界地図の画像をバックに、女性キャスターが入ってくる。 青い花柄の半袖のワンピース姿。

テロップ: 八木 ひとみ(やぎ ひとみ)

八木(やぎ)キャスター: 世界は今、ジェトログローバルアイ。 この4月からキャスターを務める八木ひとみです。この番組をご覧いただいたからこそ気づく、国際ビジネスのヒントやチャンスを皆さんにひとつでも多くお届けしていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。 さて、今回はインドネシアの水産ビジネスです。インドネシアは日本と同じように多くの島があり、漁獲量も世界第2位を誇る水産大国です。しかし、島で取れた魚を流通に乗せるのは簡単ではありません。そこにチャンスを見いだし、ビジネスに挑む企業の姿がありました。

テロップ: 水産ビジネスは鮮度が命! ‐インドネシアに眠るポテンシャル‐

映像説明: 薄雲に覆われた空の下に広がる大きな港。数え切れないほどの多くの漁船が、海を埋め尽くすように泊まっている。 青やエメラルドグリーンの船から、赤やオレンジ、水色などの柱が何本も突き出ている。 港に並ぶ丸い容器。凍った魚が何匹も頭を下にして入れられている。キャップをかぶった半ズボン姿の外国人男性が、尾びれの飛び出た容器を引きずる。 黄緑の長袖シャツを着た男性とグレーのジャージをはいた男性が、凍った魚の入った容器をコンクリートの上に置く。容器が転がり、魚が地面に落ちる。 トラックの荷台に載った魚の上に、次々と魚が積まれていく。 凍った魚をむき出しのまま荷台に詰め込んだトラックが、走り去っていく。

ナレーション: 無数の船が停泊するインドネシア、ジャカルタの漁港。 各地から集められた魚が、トラックに山積みにされる。 衛生面や輸送方法などの高度化は、これから。

映像説明: 緑色(みどいろ)の平屋の外観。ワイシャツやスラックスなどを身に着けた10人ほどの日本人男性が話をしたり、スマートフォンで写真を撮ったりしている。 雨の中、日本人男性たちが列になって白いコンクリートの建物のほうに歩いていく。

テロップ: 2019年1月29日~(から)2月1日(にがつ ついたち) インドネシア海洋漁業ミッション・商談会 主催:インドネシア海洋水産省 ジェトロ

ナレーション: そのインドネシアに日本人一行の姿が。 水産関連のビジネスを行う、商社や物流企業などの関係者だ。

映像説明: 移動するバスの車内。10人ほどの日本人男性が座席に座っている。 天井の高い大きなホール。奥には海や魚、船などが描かれたパネル、その両脇にスクリーンが設置されている。ステージに置かれたテーブルには、マイクを握る3人の男性。会場には、椅子とテーブルがいくつも用意されている。 赤いクロスの掛かったテーブルのある部屋。5人の男性が、書類を前に座っている。眼鏡をかけた外国人男性がビニールの袋に入ったものを指しながら、隣に座る口ひげを生やした日本人男性に話をしている。

ナレーション: 現地の状況は一体どうなっているのか。 ジャカルタだけでなく、地方都市も視察し、水産関係者から話を聞く。

映像説明: 島影から夕日がさし込む港。船着き場に横付けした船の上で、Tシャツを着た3人の外国人男性が、かがんで作業をしている。

テロップ: インドネシアの島数(しまかず) 14,000超

ナレーション: インドネシアには、14,000を超える島がある。

映像説明: 大きな屋根がせり出た建物。目の前の港に屋根のついた数隻の漁船が停泊している。オレンジ色(いろ)の船に乗った男性が、港から伸びるロープを手繰り、船をゆっくりと岸に近づける。 青い漁船の上では、男性たちが黒い網を引き寄せている。 赤や青、緑色(みどりいろ)の船が浮かぶ港。奥には高層ビルが立ち並ぶ。

テロップ: 国・地域別 漁獲量 1位 中国 2位 インドネシア 3位 EU 出所:FAO(エフ エー オー)

ナレーション: もちろん、水産資源も豊富だ。世界第2位の漁獲量を誇る。 魚の需要は世界的に高まっており、インドネシアにも関心の目が向けられている。

映像説明: 大きな窓のある部屋の前で、白いボタンダウンシャツを着た日本人男性がソファに座り、インタビューに答える。

テロップ: ニチレイロジグループ本社 バンコク駐在員事務所 嶋本 和訓(しまもと かずのり) 所長

嶋本所長: インドネシアは、まさにこれから、 えー、経済発展、えー、しているのが目の当たり(まのあたり)にできていますので、 チャンスを探して入り込んでいきたいと思っています。

映像説明: 広々とした明るい室内。部屋の奥には、赤と白が上下に配置されたインドネシアの国旗と日の丸が描かれた大きなパネル。その両側には、ケースに入った魚の映像と、氷の写真が映し出されたスクリーンが設置されている。パネルの前のテーブルをはさんで、向かい合わせに長いテーブルが2列に並び、その周りに用意されたたくさんの椅子に人々が座っている。 スクリーンに、ウナギの供給量の変化を示す棒グラフが映し出されている。棒グラフを指さしながら、黒い柄のシャツを着た日本人男性がマイクを握る。

ナレーション: その視察に合わせて行われたビジネスフォーラム。

映像説明: パネルの前の席で、眼鏡をかけた花柄のブラウス姿の外国人女性が話をしている。 その女性の話に真剣なまなざしで耳を傾ける大勢の参加者たち。半数近くが同時通訳のヘッドホンをつけている。 ゆっくりとした口調で話を続ける、眼鏡をかけた花柄のブラウス姿の女性。

テロップ: スシ・プジアストゥティ 海洋水産大臣

スシ海洋水産大臣・英語: 保全や管理、持続可能な仕組みについて、私たちは日本から学びたい。 どのような仕組みなら、 資源を破壊することなく、お金を稼ぐことができるのか。

映像説明: 高い屋根に覆われた市場(いちば)。大人の背より少し高い所に長いパイプが設置されている。青や黄色(きいろ)の大きな容器が積み重なる通路を、Tシャツを着た15人ほどの外国人男性が行き来している。 オレンジ色(いろ)のTシャツを着た男性が、黄色い容器の上に置かれた魚を仕分けする。 コンクリートの上でプラスチックの低い椅子に腰掛ける5人の男性。大きな魚肉の塊を包丁で切り分ける。 大きくせり出した屋根の下に、バイクが何台も並んでいる。向かい側の敷地には、白い建物が立っている。

ナレーション: ここは、昔からあるジャカルタの市場(いちば)。 のんびりとした雰囲気が漂う。 だが、そのすぐ隣に、新しい市場(いちば)が建設されている。

映像説明: 1階がガラス張りになった大きな白い建物の外観。外壁はパネルを使って魚の模様がデザインされている。入り口の上には、オレンジ色の文字で「PASAR IKAN MODERN MUARA ‐ JAKARTA(パサール イカン モデラン ムアラ ハイフン ジャカルタ)」とインドネシア語が掲げられている。

ナレーション: 参考にしたのは、日本の築地だと言う。

映像説明: 白い建物の中。グレーのはりがむき出しになった高い天井を、何本もの白い柱が支えている。エメラルドグリーンのパイプが広い空間を横切るように伸びる。立方体の形に積まれたブロックが、一定の間隔で置かれている。

ナレーション: 観光スポットにもなる、近代的な施設だ。

映像説明: 広々とした明るい室内。スクリーンには、インドネシア語の説明とともに、数字の書かれた表と3つの円グラフが映し出されている。パネルの前に置かれたテーブルでは、黒っぽいジャケットを着た白髪の外国人男性が、身ぶりを交えて話をしている。 話を続ける白髪の外国人男性。テーブルには小さなインドネシア国旗が置かれている。 インドネシア語の説明とともに、数字の書かれた表と3つの円グラフが大きく映し出されたスクリーン。 「FTI JAPAN」 CO., LTD.と書かれたネームプレートの前に座っている、紫のシャツを着た日本人男性。テーブルに置かれたノートパソコンを操作している。 「HANWA CO., LTD.」と書かれたネームプレートの前には、口ひげを生やした日本人男性。話を聞きながらノートパソコンの画面を見つめている。 腕を組んだり、テーブルにひじをのせ、顎に手を添えたりしながら話を聞く日本人の参加者たち。

ナレーション: インドネシア政府は、限りある水産資源を守りながら、海洋開発に力を入れてきた。 港湾や物流施設を整備し、全国数十ヵ所に、水産関連の施設を造る計画だ。

映像説明: パネルの前の席に座り、紺色のジャケットを着た日本人男性が話をしている。 窓際に立ち、マイクを握る紺色のジャケットを着た男性。出席者たちが話を聞きながらスクリーンのほうを見つめている。

テロップ: 製氷機

テロップ: 高砂熱学工業(たかさごねつがくこうぎょう) 松平 章宏 部長

ナレーション: そのインドネシアで、自社の製品について熱弁を振るっていたのが、製氷機を扱っている、高砂熱学工業(たかさごねつがくこうぎょう)の松平さん。

映像説明: 窓際に立ち、マイクを握るジャケットを着た松平部長が話を続ける。 壁に掛かったスクリーンに、「シャーベットアイスとは」と題されたスライドが映し出されている。4枚の氷の写真の下にそれぞれ、「一般的な氷(砕氷)」、「板状アイス(小さく薄い氷 スーパー等にあり、鮮度保持で利用)」、「シャーベットアイス(細かい粒子の氷と海水が混ざった)」、「脱水氷(シャーベットアイスから水分を除いた氷)」という説明が書かれている。 窓際に立ち、マイクを握る松平部長の話が続く。

テロップ: 高砂熱学工業(たかさごねつがくこうぎょう) 松平 章宏 部長

松平部長: (魚は)初期からの鮮度維持が非常に重要ということで着目して、 このシャーベットアイスというものが使われております。 今まではですね、多く取って、えー、そのまま送って、その何割が使えればいい、という形から、 今はもう、取ったものすべて、きちんと使おうと。

映像説明: 壁に掛かったスクリーンに、魚の鮮度を数値化する方法についてのスライドが映し出されている。窓際に立ち、説明を続ける松平部長。 「シャーベットアイスの特長」と題されたスライド。粒の細かいシャーベットアイスは魚にまとわりつき、ブロック状の氷より急速に魚を冷やせることが説明されている。 スクリーンに映し出された上下3枚ずつの魚の写真。上段は氷を多く詰めた箱に入った魚の写真、箱を開けたときの黒っぽい魚の写真、「4.2℃」と書かれたサーモカメラの画像。下段には氷を少なく詰めたときの魚の写真、箱を開けたときの茶色っぽい魚の写真、「~(から)14.4℃」と書かれたサーモカメラの画像。

ナレーション: 空調設備などを手がけるこの会社。 その技術を使い、製氷機を開発。 それを漁業に活用しようとする試みだ。

映像説明: 曇り空が広がる港。青いクレーンを備えため緑色(みどりいろ)の船がゆっくりと進む。 ヘルメットとライフジャケットをつけた松平部長が、船の上のベンチに腰掛け、進行方向を見つめる。

ナレーション: その製氷機。 日本での運用が本格化している。

映像説明: 海岸。エメラルドグリーンの海から波が砂浜に打ち寄せる。画面右下の四角い枠内に、細長い沖縄本島の地図のイラストが表示される。島の北端に位置する国頭村(くにがみそん)が緑色で示されている。南部には那覇市があり、赤い丸印で示されている。

ナレーション: 沖縄本島の最北にある国頭村(くにがみそん)。那覇から遠く離れている。

映像説明: 港に船上げされている船の上。テーブルに書類を広げながら、薄い緑色(みどりいろ)の作業服を着た松平部長がサングラスをかけた男性と話をしている。

ナレーション: 物流への立地条件の悪い漁場で、製氷機の可能性を探る。

映像説明: 港に立つ白い建物。その横に、何本ものホースがつながった白い円筒形(えんとうけい)の機械が置かれている。 緑色(みどりいろ)の船の上。青いオーバーオールを着た男性がホースを握り、半透明の液体を大きな青いケースに入れている。

ナレーション: こちらがその設備。 普通の製氷機ではない。

映像説明: 白い円筒形(えんとうけい)の機械の前で話をする松平部長。ホースから半透明の液体を金属製の容器に注いでいる。容器の中では、半透明の液体が固まっていく。

テロップ: 高砂熱学工業(たかさごねつがくこうぎょう) 松平 章宏 部長

松平部長: シャーベットアイスっていう形で。えーと、海水と、えーと、氷の混ぜ物(まぜもの)になっていきます。 この中に、氷が50%分、含まれてる形になります。

映像説明: 製氷機の内部。透明な太いパイプに水のような液体が入っている。液体がかくはんされ始め、白っぽく変化していく。 青い背景に、ペットボトルに入った透明な液体と、金属製のトレーが映し出される。ペットボトルから透明な液体が出てくるところに矢印と「過冷却の水」というテロップが表示される。ペットボトルから注がれた過冷却の水がトレーの中ですぐに固まり始め、半透明の小さな氷の山が作られていく。小さな氷の山の横に「衝撃が加わると氷結する」というテロップが表示される。(映像提供 高砂熱学工業(たかさごねつがくこうぎょう))

ナレーション: 過冷却と言う現象を応用したものだ。 0度(れいど)以下に冷えた過冷却の水を、ペットボトルから注ぐと、その衝撃で、瞬時に氷に変わる。

映像説明: 円筒形(えんとうけい)の製氷機の前。コンクリートの上に雪のような白い塊が置かれている。 白い塊のアップ。シャーベット状の小さな氷の粒が積み重なっている。

ナレーション: この現象を利用することで、粒子の細かい氷が作られる。

映像説明: 緑色(みどりいろ)の船の上。緑のオーバーオールを着た男性が、シャーベットアイスの入った大きな青いケースの中に、魚を10匹ほど入れる。細かな氷の上で魚が身をよじる。 勢いよく尾びれを動かすと、みぞれのような氷が飛び散る。

ナレーション: 魚全体をふわりと包みこむように冷やすことから、傷つけることなく、長時間、安定して鮮度を保つことができると言う。

映像説明: 円筒形(えんとうけい)の製氷機の前。薄い緑色(みどりいろ)の作業服姿の松平部長が、白く固まったシャーベットアイスを手に載せながら話をしている。話し終わると、シャーベットアイスを金属製の容器に戻す。

松平部長: 水を抜いた氷っていうんです。脱水氷で、海外輸送をかけていくような形ですね。はい。

映像説明: 松平部長が、金属製の容器に入ったシャーベットアイスの表面をなでる。シャーベットアイスに手を差し入れてすくい上げると、両手で握る。手を離すと、シャーベットアイスは固まらずにほどける。

ナレーション: 普通の氷よりも重量が軽いため、輸送にも適している。

映像説明: 緑色(みどりいろ)の船の上。海の中から大きな黒い網(くろいあみ)が、船に引き上げられる。数珠つなぎになった黄色い浮き(うき)が、船と網を囲むように海面に浮いている。 船の上で2人の男性が黒い網を引っ張り上げる。 水中眼鏡を付けたウエットスーツ姿の男性が、黄色い浮き(うき)につかまりながら緑の小さなネットに魚を手でつかんで入れている。船に引き上げられている黒い網(くろいあみ)には、大きな魚や口先のとがった魚などが掛かっている。

ナレーション: 実際にシャーベットアイスを使っている漁師は、鮮度を長時間保つことができれば、漁業のスタイルが変わり、海外への輸出にも挑戦したいと考えている。

映像説明: 港。緑色(みどりいろ)の胴付き長靴を着た男性が、身ぶりを交えながらインタビューに答えている。 緑色(みどりいろ)の船の上。緑の胴付き長靴を着た男性が、透明な袋に入った大きな魚を大きな四角い青い容器に運んでいる。 白い円筒形(えんとうけい)の製氷機。側面には、たくさんの青い円がグラデーションになったロゴ。その下に「SIS(エスアイエス)‐HF(エイチエフ) Super Ice System for HIGH FRESHNESS」の文字と、「Takasago Thermal Engineering」と社名が書かれている。 港で緑色(みどりいろ)の胴付き長靴を着た男性の話が続く。

テロップ: 国頭漁業協同組合 村田 佳久 漁労長

村田漁労長: ただ取るだけ、えー、取って、えー、それを市場に流して、 その日なりの金額をもらって暮らすんじゃなく、 量は少なくてもいいけど、 その分、中身の良いものを、高い値段で、えー、市場に出したい。

映像説明: 緑色(みどりいろ)の船の上。大きな青いケースに入ったシャーベットアイスの中で魚が動いている。ウエットスーツを着た男性が、その上から青い籠に入ったたくさんの魚を入れる。数匹の魚がせわしく尾びれを動かす。 青いジャンパーを着た松平部長が、船の上で魚の尾びれを持って話をしている。 緑色(みどりいろ)の胴付き長靴を着た村田漁労長が、クリーム色(いろ)のケースのフタを置く。 船に取り付けられたクレーンで、大きな青いケースが地上に降ろされる。

ナレーション: 沖縄本島の最果ての地から、世界への挑戦。 海外展開を見据える松平さんは、開発途上のインドネシアの漁場でも、製氷機のニーズがあるのではないかと考えていた。

映像説明: 街路樹の立ち並ぶ車道。中央分離帯には、黄色(きいろ)やオレンジ、紫の花が咲いている。 画面右下の四角い枠内に、東南アジアの地図のイラストが表示される。多くの島々(しまじま)からなるインドネシアが黄緑色(きみどりいろ)で示されれる。フィリピンの南に位置する島にビトゥンという都市があり、赤い星印で示されている。南西の島には、首都のジャカルタがあり、赤い星印で示されている。

ナレーション: 再びインドネシア。スラウェシ島(すらうぇしとう)にある、ビトゥン。

映像説明: 3匹の大きな魚と、縦に伸びる青い海藻のようなものをモチーフにしたオブジェが、幅の広い道路の真ん中に飾られている。

ナレーション: カツオやマグロが多く取れ、水産業を中心に発展してきた街だ。

映像説明: 船の上。コンテナに魚がたくさん入っている。黒いTシャツを着た男性が、バケツで魚に水をかける。 市場(いちば)の前。小型のトラックの荷台に乗った外国人男性たちが、黒く長い網を手繰り寄せている。

ナレーション: ここでも、魚を流通させるための鮮度維持は、大きな課題だ。

映像説明: 夜明け前。白い壁の大きな建物の外観。壁に開いた広い出入り口から明かりが漏れる。 薄暗い港。カヌーのような細長い船が泊まっている。岸辺に立つ赤いパーカーを着た男性が、船の上の男性から魚の入ったバケツを受け取り、足元のバケツに魚を移す。

ナレーション: 朝の5時。 その日に取れた魚が次々に運びこまれる。

映像説明: 魚が並び、多くの人が集まる卸売市場。魚の前には、椅子と机、はかりが用意されている。大きな籠を引きずりながら持ってきた外国人男性が、椅子に座っている眼鏡の男性に札(ふだ)を手渡す。 大きな茶色いシートの上に、しまや水玉模様の入った魚や、水色の魚などが何匹も並んでいる。黄緑のズボンをはいた女性が、魚を手に取り、品定めをしている。

テロップ: ビトゥン 卸売市場

ナレーション: カツオやマグロ、南洋らしい赤い魚など、種類も豊富だ。

映像説明: 黒いTシャツを着た女性と白い帽子をかぶった男性がしゃがみ込み、魚を見つめている。

ナレーション: 真剣なまなざしで品定めをする。

映像説明: 駐車場。荷台いっぱいに発泡スチロールの箱を詰めた小型のトラックが止まっている。 ふたきの発泡スチロールには傷がたくさん付き、黒っぽく変色している。

ナレーション: 市場(いちば)の外では、輸送用のトラックが待っていた。 発泡スチロールを使って魚を出荷する。

映像説明: バイクに乗ったピンクのシャツの外国人男性が、後ろに大きな氷を載せてトラックの横に到着。 青いズボンをはいた男性が、緑の容器に入れた大きな氷をハンマーで何度もたたく。 トラックの荷台に積まれた発泡スチロールの箱に、緑の容器から砕いた氷が移される。

ナレーション: バイクで運んできた柱のような氷を、その場で砕いて利用しているのが現状だ。

映像説明: 天井の高い大きなホール。3人の男性が海や魚、船などが描かれたパネルを背にして、前に座っている人たちに話をしている。 スクリーンに、ビトゥンの港のCG画像が映し出される。どっしりとした3階建ての建物や、赤い屋根の平屋の建物などが描かれている。

ナレーション: そんなビトゥンの卸売市場も、国の予算で、3階建てに建て替える計画だ。

映像説明: 海に面した市場(いちば)の大きな屋根の下。雨の中、10人ほどの男女が集まり、写真を撮っている。 眼鏡を頭にのせた、紺色のジャケット姿の松平部長が、海のほうを眺める。

ナレーション: 現地の市場(いちば)を訪れた、視察団の一行。 松平さんの姿も。

映像説明: 駐車場。荷台に氷と魚を積んだ小型のトラックの周りで、4人の外国人たちが手のひらサイズの魚を手に持ち、笑顔でポーズを取っている。スマートフォンを操作して、4人にうなずく松平部長。

松平部長: あっ、イワシ。

映像説明: 市場(いちば)の中。ポロシャツを着た外国人男性が、箱型の機械から白い氷の塊をスコップで取り出す。松平部長が、スコップの中の氷に触れる。

ナレーション: 使われている製氷機も確認する。

映像説明: キャップをかぶった外国人男性と、グレーのシャツを着た外国人男性に、松平部長が話しかける。グレーのシャツを着た男性が、松平部長の言葉を、キャップをかぶった男性に通訳する。 キャップをかぶった男性が、身ぶりを交えて話をする。グレーのシャツを着た男性が日本語に通訳する。

松平部長: きれい。傾斜もとれてて、ちゃんと全部流れて。

グレーのシャツを着た外国人男性・日本語: 日本の漁港を、あのー、まねて、造ったらしいですね。

映像説明: 市場(いちば)の中。10人ほどの男女が、スマートフォンで壁際に置かれた製氷機などの写真を撮っている。 緑の茂る斜面の前で、薄い緑色(みどりいろ)の作業服を着た松平部長がインタビューに答えている。 市場(いちば)の中。扉の開いた箱型の製氷機。中の黒い筒から小さな白い氷の塊が落ちてくる。松平部長がスマートフォンで製氷機の氷の山を撮影する。 緑の茂る斜面の前で話を続ける松平部長。

テロップ: 高砂熱学工業(たかさごねつがくこうぎょう) 松平 章宏 部長

松平部長: ビトゥンのほうの鮮魚の市場(いちば)は、あのいわゆる閉鎖型の、高いレベルの市場(いちば)になってましたので。 ただ氷のー、が、少ないなってイメージでした。 ちゃんとした製氷設備を入れると、(魚の)販路拡大になるんだろうなーっていう気はしましたね。 われわれの氷が役立つチャンスは十分にあるなー、というふうには感じました。

映像説明: 奥行きのある、白い大きな建物の外観。すぐ横に窓のついた平屋の建物が立っている。 建物の中。白い衛生帽をかぶり、黄緑色(きみどりいろ)のマスクをした、白衣姿(はくいすがた)の従業員が、手袋をつけた手で雪のような氷をかき分けると、中から大きな魚が現れる。 作業台に大きな魚と長い包丁が置かれている。白い衛生帽をかぶり、黄緑色(きみどりいろ)のマスクをした、白衣姿(はくい)の従業員が魚を裏返し、えらを持ち上げて魚に包丁を当てていく。

テロップ: FTI JAPAN ビトゥン工場

ナレーション: そのビトゥンで、すでに動き始めている企業がある。 FTI JAPAN。ここで取れた魚を、日本に輸出している。

映像説明: 緑色(みどりいろ)のネットで髪の毛を覆い、黄緑色(きみどりいろ)のマスクを付けた日本人男性が話をしている。

テロップ: FTI JAPAN 鳴海 健太朗 社長

鳴海社長: 鮮度感のいい魚を、数量を集めていくっていうのは、ま、生鮮のマグロの場合は結構難しかったですね。

映像説明: 同じ向きに積まれた、何十匹もの白く凍った大きな魚。口を開けたまま凍っている。

ナレーション: 冷凍マグロに関しては、これまでも、大手商社などが扱ってきた。

映像説明: 白衣姿(はくいすがた)の従業員が、白い台に置かれた大きな赤身の塊から、余分な身を包丁でそいでいる。 尾びれに近い部分の身をそぎ、形を整える。

テロップ: 生マグロ

ナレーション: しかし、鳴海さんが手がけるのは、より付加価値を高めた、生マグロの輸出だ。 今、新たなビジネスが動き出そうとしていた。

映像説明: 工場の敷地内。赤い車の横で談笑する、グレーのTシャツを着た日本人男性と、口ひげを生やした日本人男性。口ひげを生やした男性が、足元の発泡スチロールの箱を少し持ち上げ、すぐに下ろす。

テロップ: 阪和興業(はんわこうぎょう) インドネシア 粉川 康夫 さん

ナレーション: この日やって来たのが、商社に勤める、粉川さん。ジャカルタに駐在している。

映像説明: 工場の中。粉川さんと鳴海社長が、髪の毛を覆う緑色(みどりいろ)のネットと白いマスク、水色のゴム手袋を付け、話をしている。2人の横には、グレーのエプロンをつけた白衣姿(はくいすいがた)の従業員。 粉川さんが、作業台に置かれた解体前のマグロに手を触れて状態を確かめている。

ナレーション: 特別に、工場の中を案内してもらう。 水揚げされたばかりの、マグロの加工の様子を確認する。

映像説明: 白衣姿(はくいすがた)の2人の従業員が、白い台に置かれたマグロの身から余分な部分を切り落としている。髪の毛を覆う緑色(みどりいろ)のネットと白いマスク、水色のゴム手袋を付けた粉川さんが、スマートフォンで作業の様子を写真に撮る。 細くカットされたマグロの赤身。(余分な部分)

ナレーション: インドネシア国内ではあまり流通していない、生マグロが手に入ると聞き、足を運んだ。

映像説明: 切り落とされるマグロを見つめている粉川さんが問いかけに答える。

撮影スタッフ: 生は少ない?

粉川さん: 生は、ほとんどないですね。

男性の番組スタッフ: ない?

粉川さん: 漁師から直接買うとか以外は。

映像説明: ビニールのシートが掛かった作業台に、大きさがさまざまな4本の生マグロの柵が置かれている。髪の毛を覆う緑色(みどりいろ)ネットと白いマスク、水色のゴム手袋を付けた粉川さんと、グレーのエプロンをつけた白衣姿(はくいすいがた)の従業員が、マグロの柵を指さしながら話をしている。 真剣な表情の粉川さん。薄く開いたマグロの身にスマートフォンを近づけて写真を撮る。 髪の毛を覆う緑色(みどりいろ)ネットと白いマスクを付けた鳴海社長が、粉川さんとうなずき合いながら話をしている。

ナレーション: アジア各国で高まる、日本食(にほんしょく)へのニーズ。貴重な生マグロをビトゥンで調達できれば、インドネシアを拠点に、周辺国への展開も可能だ。 即断即決。その場でサンプルの購入を決めた。

映像説明: 夜、明かりのほとんどともっていない屋外で、粉川さんがインタビューに答える。

テロップ: 阪和興業(はんわこうぎょう) インドネシア 粉川 康夫 さん

粉川さん: でも全然満足いくやつだったんで。 まあ、あとは、あの、作り手(つくりて)にしっかり作っていただいたんで、あの、売り手としてしっかり売るだけかなって。

撮影スタッフ: 商売になりそうですか?

粉川さん: するしかないですよね。ここまで来たんですからね、ええ。

映像説明: オレンジ色(いろ)のカーテンのかかった格子窓のある部屋。 鳴海社長がソファに座り、ローテーブルに置いたノートパソコンのキーボードをたたく。

テロップ: FTI JAPAN 鳴海 健太朗 社長

ナレーション: いち早く、地方の港町に拠点を作った鳴海さん。

映像説明: オレンジ色(いろ)のカーテンのかかった格子窓のある部屋。 ローテーブルをはさんでソファに座る鳴海社長と眼鏡をかけた外国人男性。眼鏡をかけた外国人男性は、鳴海社長との話がひと段落すると、手にしていた名刺サイズの紙をケースにしまう。

ナレーション: 成長するアジア市場に向けた、新たなビジネスが広がりつつある。

映像説明: 周りの家並みを見渡せるテラスで、鳴海社長がインタビューに答える。 天井の高い大きなホール。海や魚、船などが描かれたパネルの前に、20人ほどの日本人と外国人の男女が並んでいる。紺色のジャケットを着た松平部長と、白いポロシャツを着た粉川さん、茶色い柄のシャツを着た鳴海社長が正面を見つめ、記念撮影をしている。撮影が終わると鳴海社長が拍手をする。 周りの家並みを見渡せるテラスで話を続ける鳴海社長。 FTI JAPANの工場の中。白い台に置かれたマグロの赤身が薄くカットされていく。 白い筋の入った赤身の断面が、大きく映し出される。 周りの家並みを見渡せるテラス。鳴海社長が身ぶりを交えて話を続ける。

鳴海社長: えー、海外から海外に展開をかけていくというのは、 ま、今後のビジネスモデルとしては、非常に興味があるところです。 やはり、こう、海外に出てくると、中国、ないしは台湾、ないしは、アセアン各国が、主にここの場合は競合になってきます。 ですので、早い意思決定、それと、早い行動というのが、2つがホントに重要なポイントになってくると思います。 小さい仕組みをすぐ作ってみる。 それを回して、少しずつ成長させていくっていうのが、おそらくここでは重要になるかと思いますね。

スタジオの八木(やぎ)キャスター: インドネシアの水産ビジネスも、数年後には大きく変わっている、そんなポテンシャルを感じました。日本の技術やノウハウが、現地の成長を支え、新たなビジネスモデルを生み出し、それが、日本企業(にほんきぎょう)のさらなる発展にもつながることを期待したいです。

映像説明: 八木(やぎ)キャスターがお辞儀をする。

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