お知らせ・記者発表
「主要国・地域の自動車生産・販売動向」を公開 ―コロナ禍前水準を維持するも回復は鈍化 世界経済減速受け―
2025年07月31日
ジェトロ(理事長:石黒憲彦、本部:東京都港区)は、世界37カ国・地域における、2024年の自動車生産・販売等の動向レポートを発表しました。本レポートは、ジェトロが2025年4月~7月に公開した自動車の市場規模が大きい各国・地域の調査に世界全体の動向を分析した総論編を追加したものです。横並びでご覧いただけるようにまとめましたので是非ご活用ください。
以下リンクよりご覧ください。
主なポイント
- 国際自動車工業連合会(OICA)によると、2024年の世界の自動車販売台数(新車登録・販売台数)は前年比2.7%増の9,531万台、自動車生産台数は同1.1%減の9,250万台となった。新型コロナ禍前の2019年比では販売台数が3.5%増、生産台数が同0.7%増となり、23年から2年連続でコロナ禍前の水準を上回った。一方で、販売台数の増加率は23年の11.9%増に対して2.7%増にとどまるとともに、生産台数の増加率は23年の10.3%増から1.1%減へとマイナスに転じ、販売と生産のいずれも23年と比べて伸び悩んだ。背景としては、半導体の需要ひっ迫の問題が23年に解消した一方、世界経済の減速により、世界市場における新車需要が前年と比べ鈍化したことなどが挙げられる。
- 販売台数を国・地域別でみると前年同様、中国、米国が上位2カ国を占めた。インドは22年に日本を抜き3位となり、24年もその地位を保った。日本(4位)は、販売台数の伸びが前年比7.5%減となり、インドとの差が拡大した。インドは国内乗用車販売台数において3年連続で過去最高を記録し、24年度(2024年4月~2025年3月)に430万台に達している。
- 生産台数では、1位中国、2位米国、3位日本、4位インド、5位メキシコの順となった。20年から23年まで5位の座を占めていた韓国は19年以降初めてメキシコに抜かれ6位となった。日本(3位)の生産台数は前年比8.5%減の823万台とマイナスに転じた。輸出台数は前年比4.6%減の422万台へと減少、日系メーカーの海外生産も同5.9%減の1,648万台に減少し、コロナ禍前の19年の水準(輸出482万台、海外生産1,885万台)には2年連続で及ばなかった。メキシコ(5位)は米国へのニアショアリングを背景に好調であった。しかし、2025年に誕生した第2次トランプ政権の追加関税政策により生産・輸出が減少傾向になるなどの影響が見え始めている。
- バッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)などを含む電気自動車(EV)の生産・販売は前年に続き多くの国・地域で増加した一方で、韓国、オーストラリア、EUなど一部の国・地域では販売の鈍化がみられた。北米や欧州市場などでは、ハイブリッド自動車(HEV)の販売台数が大きく伸びた。背景として、燃料費と車体価格を考えた場合、費用対効果が高いHEVを選択する消費者が増えたことや、充電ステーションの不足などが挙げられる。
- ジェトロについて
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