お知らせ・記者発表
ジェトロ 2025年度 海外進出日系企業実態調査(北米編) ─不確実性を超え営業利益を拡大、米国市場重視が続く─
2025年11月27日
本調査について
- ジェトロは2025年9月、米国・カナダに進出する日系企業(日本側出資比率が10%以上の現地法人、日本企業の支店)2,058社を対象に、オンライン配布・回収によるアンケートを実施。735社より有効回答を得ました(有効回答率35.7%)。
- 本調査は、進出日系企業の活動実態を把握するために原則年1回実施しているもので、今回が米国は44回目、カナダは36回目の調査です。
調査項目:
- 営業利益見通し
- 人手不足の課題と対応策
- 賃金実態
- トランプ政権の関税政策の影響
- 米国連邦政府の政策影響(米国のみ)
- サプライチェーンの見直し
- 事業展開の方向性
- ビジネスと人権
調査結果のポイント
- 黒字見込みは前年比増ー米国は微増、カナダは2000年以来の高水準
- 2025年に黒字を見込む企業は、在米日系企業で66.5%、在カナダ日系企業で80.5%。米国は昨年から0.3ポイントの微増、カナダは資源価格の高騰などを背景に2000年以来最高の値に。
- 米国では、関税によるコスト増や景気の先行きの不透明さから、営業利益見込みが前年から改善したという回答が減少。その結果、2025年の景況感は2020年以来の低水準に。
- 営業利益見込みが悪化する理由として、トランプ関税の影響とみられる調達コストの上昇や米国市場での需要減少のほか、人材確保の課題にもなっている人件費の上昇にも回答が集まった。
- トランプ関税を受け米国内調達に関心が高まる
- 在米日系企業の原材料・部品の調達先については、米国内調達に切り替えるとの回答が昨年比2倍超の88件に増加。特に、中国(23件)や日本(45件)から米国に切り替える予定との回答が目立った。また、中国から日本(17件)やASEAN(21件)に切り替える予定も多くみられた。
- 生産地も、米国への移管を検討する件数が2024年の11件から34件に増加するなど同様の傾向に。特に、日本からの移管件数は18件と、調達先・生産地の変更に関する調査を開始した2019年度以降で最多となった。
- 営業利益に影響を及ぼすトランプ関税として、「対日関税(73.9%)」「相互関税(57.2%)」を多くの企業が選択。具体的影響として「調達・輸入コストの増大」や「米国市場でのコスト競争力の低下」が挙がる。
- 対応策として回答企業の半数以上が「価格転嫁」を挙げるも、価格交渉が難航しているとの回答も目立つ。
- 現地市場ニーズの拡大から、5割の在米日系企業が今後1~2年の事業拡大を見込む
- 関税措置などにより、米国経済の不確実性が増すという在米日系企業の声が多く聞かれる一方で、今後1~2年で事業を「拡大」する方向性を持つ在米日系企業は48.3%と、2024年(48.6%)とほぼ同水準に。
- 拡大理由として現地市場ニーズの拡大が挙がり、具体的には半導体やデータセンターといった産業・領域での拡大に期待する声が聞かれる。
- カナダについては、今後1~2年で事業を「現状維持」すると回答した割合が「拡大」すると回答した割合を上回った。「現状維持」と回答した企業からは、トランプ政権の通商政策により、市場の見通しが困難という意見が目立つ。
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ジェトロ調査部米州課(担当:滝本、小谷田、谷本)
Tel:03-3582-5545




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