ジェトロ 2025年度 海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)ー中国は業績改善、インドは好調継続、域内への米国関税の影響は限定的ー

2025年11月26日

本調査について

実施方法 アンケート調査(オンライン配布・回収)
実施時期 2025年(令和7年) 8月19日~9月17日
アンケート送付先 北東アジア5カ国・地域、ASEAN9カ国、南西アジア4カ国、 オセアニア2カ国の20カ国・地域に進出する日系企業(1万2,900社)
有効回答数 有効回答数5,109社、有効回答率39.6%

調査項目:

  1. 営業利益見通し
  2. 事業展開
  3. 米国追加関税措置の影響
  4. 人手不足
  5. 人権尊重の取り組み
  6. 調達・輸出
  7. 競争環境の変化
  8. 脱炭素化への取り組み
  9. デジタル技術の活用・課題
  10. 投資環境
  11. 賃金実態

本調査結果の主要ポイント

1.中国は4年ぶりに業績改善、インドは事業拡大意欲が上昇
  • 2025年の営業利益見込みを「黒字」と回答した企業は66.5%で前年調査(65.8%)からほぼ横ばい。国・地域別では、中国が需要増のほか、生産効率の改善や人件費削減などにより4年ぶりの上昇。
  • 今後の事業展開意欲は「拡大」が前年比1.2ポイント上昇。インドでは現地需要の拡大を理由に拡大意欲の上昇傾向が続いた一方、中国の下落幅は縮小傾向にあるも依然低下が続く。
2.米国関税の影響、全体では限定的も一部対米輸出企業の利益を下押し

米国向け輸出があるとの回答は3割未満。対米輸出がある企業は米国市場の需要減などにより営業利益悪化を見込む。自社のコスト削減や取引先との価格交渉を通じて負担の吸収・転嫁を図る。

3.脱炭素化の取り組みは各国・地域で増加、全体では過去最高を記録

「取り組んでいる」割合は全地域で43.0%と、調査を開始した2021年度から12.1ポイント上昇し、過去最高を記録。取り組み理由は、「全社的に脱炭素化目標を掲げている」といった声が約6~7割を占めた。

4.ASEAN域内における日系企業のデジタル技術の活用状況は道半ば

ASEANにおいてデジタル技術を活用している割合は52.1%と、6割を超えるオーストラリア、韓国、インドに比べて低い。取り組む際の課題は「国・地域別に異なる規制対応」や「本社主導と現場対応の両立が困難」などの声があった。

ジェトロ調査部 アジア大洋州課(担当:菊池、野本)
Tel:03-3582-5179

ジェトロ調査部 中国北アジア課(担当:小宮)
Tel:03-3582-5181