「HealthTech Gateway “AI Medical in the US”」参加スタートアップ16社が決定! ー米国Mayo Clinic Platform_Accelerateと連携し、ヘルスケアスタートアップの米国市場参入を支援ー

2024年10月16日

ジェトロが経済産業省の協力を得て実施する「HealthTech Gateway “AI Medical in the US”」は、米国トップの医療機関であるMayo Clinic内のイノベーションアクセラレータープログラム「Mayo Clinic Platform_Accelerate」と連携し、AI活用型を含むデジタルヘルススタートアップの米国進出を支援するアクセラレーションプログラムです。この度、基礎プログラム(フェーズ1)に参加するスタートアップ16社が選出されました。今回の発表のポイントは以下3点です。

  1. ジェトロによるスタートアップ支援プログラムとしては初めて、医療機関と連携したアクセラレーションプログラムを実施。そのパートナーは米国トップの医療機関であるMayo Clinic。10月からプログラムを開始。
  2. 基礎プログラム(フェーズ1)に参加する医療ヘルスケアスタートアップ16社が決定。プレシードからシリーズC以降までのAI診断機器やヘルスケアアプリなどを持つデジタルヘルス企業が米国市場に挑みます。
  3. 2025年1月開始予定の医療データ活用プログラム(フェーズ2)では、最大5社を対象にMayo Clinic Platformが保有する医療データクラウドにアクセスし、AIモデル開発支援を実施予定。参加企業については現在選考中。

Mayo Clinic Platformは、アリゾナ州、フロリダ州、ミネソタ州に主要キャンパスを構え、米国を代表する医療機関Mayo Clinicの戦略的な取り組みです。Newsweekが発表する「World’s Best Hospitals」で6年連続トップを獲得したほか、USニューズ&レポート誌の「全米の優れた病院ランキング」でも常に上位にランクインするなど、世界的に高い評価を得ています。今回のプログラムは、ジェトロがMayo Clinic Platformと連携してスタートアップを支援する初めての取り組みとなります。

医療ヘルスケア分野の海外展開においては、国や地域ごとに異なる規制や市場参入に必要な知識習得、戦略策定、医療機関やアカデミアを通じたエビデンス構築、テストフィールドの支援などが不可欠です。本プログラムは、こうした企業の課題の解決を後押しし、グローバルに挑戦するヘルスケアスタートアップの創出を目指します。

選出企業:16社(アルファベット順)
社名 ロゴ 事業概要
アイリス株式会社
世界最大級の咽頭画像データベースと、咽頭から診断できる疾病群のAI診断技術を開発。 第1号プロダクトとしてAI搭載咽頭内視鏡システム「nodoca」の開発。インフルエンザの診断に利用されるAI医療機器として、承認・保険適用を取得。
株式会社ayumo
患者歩行動画から運動器疾患の早期スクリーニングが可能な非侵襲的高精度AI診断支援機器の開発。「いつまでも自分の足で歩くことができる世界を実現する」ことをミッションに掲げる。
株式会社BiPSEE
VRを用いた医療支援システムの研究・開発。第三世代認知行動療法等を基盤に、反すうの背景にある感情や考え方と距離を置くことをサポートするVRアプローチ「BiPSEE Rumination」の提供。 AR/VRの没入感によって医療的処置から気をそらし、不安や痛みを軽減する子ども向け治療支援システム「BiPSEE Kids(BiPSEE医療XR)」の展開。
Boston Medical Sciences株式会社
非侵襲的大腸がんスクリーニングAIシステムの開発と臨床展開。
株式会社CureApp
治験にて治療有効性が証明され、製造販売承認取得・保険適用にて医療の臨床現場で医師が患者に処方するアプリである「治療アプリ」を研究・開発。 『ソフトウェアで「治療」を再創造する』のミッションを掲げ、患者一人一人に個別化された新たな治療ソリューションを提供する。
株式会社I.W.G
医療連携プラットフォーム「DoCloud」の開発。
株式会社Jmees
国立がん研究センター東病院でAIエンジニアと外科医とで創業。内視鏡映像を術中にAIが解析し、対象臓器を強調表示し術者の臓器認識力をサポートするAI手術支援システムSurVis™︎を開発。
クアドリティクス株式会社
てんかん発作を予知するプログラム「心拍変動解析に基づくてんかん発作警告機(仮称)」を開発。
Reboost Partners株式会社
胸部X線画像から骨密度を推定するAI医療機器。
株式会社Smart Opinion
乳がん向け乳房超音波画像AI診断支援ソフトウェアを開発。 オンライン診療プラットフォーム及び患者サポートプログラム等を展開。
株式会社SMILE CURVE
思春期側弯症の早期発見を可能とする検査システムの構築・国際展開。
株式会社サウスウッド
X線画像から心不全の発症確率を診断する医療AIを徳島大学と帝京大学の共同で研究開発を行う。
株式会社Splink
ブレインヘルスケア事業及び医療データ基盤事業を展開。SaMDをメインに、認知機能低下の予防・啓発に向けた、簡易認知機能テスト「CQ test」や脳ドック用AIプログラム「Brain Life Imaging」を提供。
Ubie株式会社
独自のAI問診エンジンを中心として、生活者・医療機関・製薬会社向けの支援サービスを展開。 自分の症状を答えるだけで、参考病名や近隣医療機関を知ることができる「ユビー」の提供。 診療の質向上を支援する医療機関向けサービスパッケージ「ユビ―メディカルナビ」の展開。
株式会社YStory
日々の症状や取り組みをタップすることで、パーソナライズされたケアティップス(アドバイス)を提供する更年期ヘルスケアアプリ「JoyHer」の開発。
株式会社Yuimedi
医療データの利活用を目的としたソフトウェアやサービスの提供。 医療チームやデータサイエンティスト向けに、データ抽出を効率化し、知識の統合とデータガバナンスを実現するAIアシスタント「YuiQuery」を開発。

基礎プログラム(フェーズ1)では、米国ヘルスケア分野に特化したベンチャーキャピタルであるKicker Venturesの協力のもと、米国ヘルスケア市場への参入に向けた知識の習得と戦略策定を支援します。また、Mayo Clinicのミネソタキャンパスへの訪問を通じ、現地でのコネクション形成をサポートします。2025年1月に開始予定の医療データ活用プログラム(フェーズ2)では、AIを活用したプロダクトを持つデジタルヘルス企業を対象に、Mayo Clinic Platformの医療データプラットフォームへのアクセスが提供されます。このプラットフォームには300万人以上の非識別化医療データが含まれており、 それを活用してAIモデルの検証と改良を行うことで、米国市場におけるエビデンス構築と市場参入を支援します。

Mayo Clinic Platformシニア・マネージャーのJamie Sundsbak氏は、本アクセラレーションプログラムの始動にあたり、「日本の革新的なデジタルヘルス企業16社を本プログラムの基礎プログラムに迎えることができ、大変嬉しく思います。グローバル・ヘルスケアに大きなインパクトを与える可能性のある彼らの旅路をサポートし、成長を支援することを楽しみにしています」とコメントしています。

アクセラレーションプログラム「HealthTech Gateway “AI Medical in the US”」概要
項目 詳細
形式 オンライン、現地渡航
主なプログラム内容
  • 講義セッション (マインドセット、コミュニケーション、戦略立案、人材獲得、資金調達・ファイナンス、マーケティング等)
  • ワークショップ
  • 1on1メンタリング
  • ネットワーキング
  • Mayo Clinicやミネソタのヘルスケアエコシステムへの訪問
  • 医療データ活用を通じたAIモデル開発支援
  • 投資家・米国企業に向けたデモデイ 等
期間 10週間~40週間
参加対象 日本国内に所在するデジタルヘルススタートアップ企業
Mayo Clinic Platformについて
Mayo Clinicの患者中心主義に基づいて設立されたMayo Clinic Platformは、患者ケアと医学研究に革命をもたらす最先端のデジタルヘルス構想です。医療技術のイノベーターとのコラボレーションを通じて、新たな知識、新たなソリューション、新たなテクノロジーを可能にし、より健康的な世界を創造します。
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Kicker Venturesについて
Kicker Venturesは、アーリーステージのヘルスケアスタートアップに特化した、アメリカ拠点のベンチャーキャピタルです。20年以上にわたる豊富な投資経験と専門知識を基盤に、「未来のヘルスケア」をテーマに掲げ、価値創造を通じてグローバルにインパクトをもたらす革新的なスタートアップの成長を支援しています。
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ジェトロについて
ジェトロは貿易・投資促進と開発途上国研究を通じ、日本の経済・社会の更なる発展に貢献することを目指しています。70カ所を超える海外事務所ならびに本部(東京)、大阪本部、アジア経済研究所および国内事務所をあわせ約50の国内拠点から成る国内外ネットワークをフルに活用し、イノベーション創出、農林水産物・食品の輸出や中堅・中小企業等の海外展開支援に機動的かつ効率的に取り組むとともに、調査や研究を通じ我が国企業活動や通商政策に貢献します。
近年では、政府のスタートアップ育成5ヵ年計画とも連動し、スタートアップの海外展開支援を強力に推し進めています。

ジェトロ イノベーション部 スタートアップ課(担当:畑﨑、森(安矢)、奥井)
Tel:03-3582-5770
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