攻めのデジタルシフトで海外展開支援を加速 ―越境ECプロジェクトなどのデジタル・スキームをさらに強化し、中堅・中小の海外ビジネスを後押し―

2021年05月26日

1.国内外のパートナーと連携し、海外展開支援サービスのデジタル化を推進

  1. ジェトロは2020年春以降、日本企業の海外展開支援について、新型コロナウイルスの影響により実施が困難になった海外展示会をオンラインでの商談会に切り替えた。
  2. 加えて、サービス全体のデジタル化を推進。日本企業の海外ビジネスを継続的に支援するため、国内外のパートナーと連携し、恒常的なデジタル・プラットフォームを拡充・新設した。

2.2020年度は越境ECプロジェクトを大幅拡充。オンライン展示会プロジェクト「Japan Linkage」とジェトロ独自の常設マッチングサイト「Japan Street」を新設。

  1. 越境ECプロジェクト「Japan Mall」を大幅拡充
    コロナ禍での世界のEC市場拡大を捉え、連携先を18ヵ国67に拡大。19年度比で大幅増となる延べ2,237社、6,604商品の輸出に成功した(現地販売額で約80億円に相当)。
  2. 海外の有力オンライン見本市への参加(新規プロジェクト名「Japan Linkage」)
    昨年度新たに開始した通年型オンライン展示会への出展プロジェクトにおいて、各地域・分野トップ8サイトへの977社の出展を支援。世界最大のAlibaba.comを中心に3,591件の輸出に成功した(見込含む)。 Alibaba.comに新規で出展した199社のうち約6割が成約。成約先は米国を筆頭に世界128ヵ国・地域に及んだ。成約企業の92%が売上高1億円以上となる一方で、従業員50人未満の企業が48%を占めた。
  3. 常設マッチングサイト「Japan Street」を新設
    本年1月より、ジェトロ招待バイヤー専用の日本商品紹介サイト「Japan Street」の試験運用を開始。無料で世界の優良バイヤーと通年でマッチングできる手段を用意した。試験運用段階ながら既に22ヵ国190バイヤーが登録。日本企業は、5月21日時点で1,111社、8,547商品を掲載。今年度より本格稼働する。
  4. 課題と取り組み
    課題1
    中小企業のオンラインビジネスのスキルが不足:オンラインビジネスでは、デジタル技術のノウハウが必要となる。本年2月から3月にかけて「デジタルスクール」を実施し、全国から中小企業54社が参加。デジタル技術の活用法やデジタルツールの紹介を通じ、オンラインビジネスで効果的なスキルの向上を目指した。現在、2回目のスクールを実施中。
    課題2
    「マーケットイン型」の取り組みが不足:Japan Mall登録商品の中には、一部の改良やデジタルマーケティング戦略の変更を行うことで、販売拡大が見込める商品が少なくない。ジェトロは海外有力ECバイヤー、専門家等をリテインし、これらの商品について、市場データ等を活用したアドバイスを実施する新規事業を立ち上げる。現地消費者の視点・ニーズに沿った商品開発・改良と、マーケティング戦略のグレードアップを通じて、Japan Mall内外での販売増を目指す。

3.2021年度の取り組み:越境ECの更なる活用

中国市場ではリアル、SNSと連動し、越境ECのポテンシャルを最大限に活用

2020年のEC小売り総額が2兆3千億ドルと世界最大であり、世界のEC小売りシェアの53.7%を占める中国を最重要市場としてJapan Mall事業を強化する。

  1. 全ての主要ECと連携:アリババ(天猫国際)、京東(ジンドン)等の既存プラットフォームに加え、テンセント(WeChat)、バイドゥ、抖音(Tik Tok)等の新興ECにも連携を拡大。Wechatのミニプログラムでは「日本国家館」を設置し、インバウンド客減少の影響を受けた日本の百貨店、自治体等とも連携。
  2. ECとリアルの融合:昨年の中国国際輸入博覧会等においてJapan Mallのオンライン・オフライン連動型出展を実施した。来場者は試飲などの実体験後にその場でECでの購入が可能となる新しい出展形態。KOL(インフルエンサー)による動画配信では、6日間で800万人が視聴するなど効果が実証された。2021年度も輸入博や上海に設置した「Japan Mallリアル館」、北京、上海等でのオン・オフ連動イベントを積極的に展開予定。
  3. デジタル事業実施体制の強化:上海事務所に中国全土のデジタル事業を推進するチームを新設。また、中国の5つのSNSにアカウントを開設、BtoB、BtoCのアプローチを強化する。イベント情報や魅力的なJapan Mall商品、地方産品や観光コンテンツ等を発信し、バイヤーとの継続的な関係構築を図る。

ジェトロ広報課 (担当:山田、吉積)
Tel:03-3582-5561