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新型コロナウイルスのリスクを前提とする「新常態」に適応した 新たな取組みをスタート(農林水産・食品輸出)

2020年06月10日

リアルタイムな市場ニーズの提供とデジタル技術の活用で輸出拡大を後押し

ジェトロは、新型コロナウイルスの影響により低迷する日本産農林水産・食品の輸出活性化に向け、「最新の海外市場動向の収集・提供」、「オンラインによる個別商談機会の提供」、「海外におけるプロモーション」を3本柱とする新たな取組みを、このたびスタートします。

また、今年度後半からは「オンラインによる見本市・商談会」と「海外バイヤー向け日本産商品データベースの充実」を進め、「新常態(ニューノーマル)」においても日本産農林水産・食品輸出に取り組む事業者に販路の発掘・拡大の機会を提供します。

海外需要の減退で輸出が減少

コロナ禍により、従来から日本産の農林水産品・食品の主要輸出先であった海外の和食レストラン等(とりわけ高級路線)向けの需要が減退し、日本産食品の輸出に貢献してきたインポーター等の経営が深刻な状況になっています。一方、巣ごもり消費の拡大に伴い、小売、中食、デリバリー等の市場は伸張しています。これまで築いた取引関係を活かして継続又は拡大している国内の事業者や商品もありますが、多数の事業者は、商談が中断して輸出が縮小しています。

その結果、2020年4月の我が国の農林水産・食品輸出は、前年同月比10.4%減の739億円となりました。主たる輸出先である香港、米国、韓国は引き続き減少しています。しかし、中国が減少から増加に転じ、台湾、ベトナムは増加幅を拡大させており、市場によっては商流が活性化しています。

このような中、ジェトロが農林水産・食品関連の国内事業者にアンケート調査(4月)を行ったところ、ビジネスへの影響が大きい事象として営業活動、見本市、商談会等の中断が挙げられ、ウェブサイトやテレビ会議システム等を活用した商談支援に期待が示されたところです。そこで、ジェトロは新たな取組みによって、日本産農林水産品・食品等の輸出回復と拡大に注力します。

ジェトロの取り組み概要

今回スタートする取り組み

  1. 海外情報の収集・発信

    刻一刻と変わる現地の市場の状況を、国内の事業者にリアルタイムで提供します。主要市場である香港等については、原則、月一回情報を発信(重要な情報については逐次)します。

  2. オンラインによる商談機会の提供

    デジタル技術を活用した臨機応変なマッチングにより、タイミングを逃さず日本産商品の輸出につなげます。離れた場所にいるバイヤーを惹きつけるため、国内企業の個別商品についてのイメージ映像やシズル写真、商談資料の作成を支援するとともに、特定の品目や産地、テーマ等に着目したコンテンツも作成します。また、商談に必要な試食用サンプルの輸送も支援します。

  3. 海外におけるプロモーション

    今実際に動いているモノの流れ、今後拡大が期待されるトレンドに日本の商品を組み込むため、現地日本産食材サポーター店(飲食店、小売店)やインポーター等によるプロモーション活動を支援します。

今年度後半からの取り組み計画

  1. オンラインによる見本市・商談会

    従来輸出に取り組む事業者にとって重要な商談機会の場であった海外見本市・商談会、バイヤーを国内に招聘する商談会等については、その実施や日本からの参加が不確実となっています。このようなリスクを最小化するため、これらのイベントについてはオンラインで参加することとします。

    (1) 海外見本市へのオンライン出展(リモート商談)
    現地見本市に参加する海外バイヤーが欲しい商品を容易に発見できるよう商品を陳列するとともに、必要な情報を即座に提供すると同時に、リモート商談ブースにおいて、日本にいるサプライヤーとスムーズに商談ができるシステムを構築します。(10月以降スタートを計画)これにより、参加がより容易になるというメリットも生じます。

    (2) 海外商談会・国内商談会
    商談会については国ごと、バイヤーごと、国内産地ごと、特定テーマごと等、様々なグループ単位で最適な商談会(個別のものも含む)をデジタルで実施します。

  2. 国内事業者と海外バイヤーをつなぐプラットフォームの構築

    中小零細を含む国内事業者の国際市場へのアクセスのハードルを下げるため、日本商品のラインアップを取り揃えた充実したデータベースの構築を進め、収載情報を海外バイヤーに常時提供します。海外のバイヤーが欲しい時に、欲しい商品を見つけ、具体的な商談をすぐにスタートできるプラットフォームを構築します。

具体的な取組事例

具体的には、各海外市場の状況に応じて、前述にあるメニューを組み合わせてパッケージとし、ニーズが合致するものから、順次取り組んでまいります。

  1. 上海

    日本産食材の受け皿となってきた飲食店(中国は2019年時点で約65,000店、世界最大の日本食レストラン市場、上海市だけでも4千店)では、客足の戻りの遅れや客単価の減少により経営に困難が生じています。

    一方で、日本食への関心は若年層を中心に着実に増加していると見られています。オンラインを利用したデリバリーやECが好調なほか、「巣ごもり消費」で家庭で日本産食材を使う動きも見られます。また、秋以降、中国国際輸入博覧会などの大型展示会が開催されます。

    前述を受けて、新しい生活モデルに対応したレストラン情報メディアと日本産食材サポーター店・飲食店が連携したプロモーション、及びその成果を活用した上海での国際見本市(SIAL CHINA、輸入博、FHC CHINA)、オンライン商談会等への戦略的出展により、日本産食材の輸出の維持・拡大を図ります。

  2. バンコク

    新型コロナウイルスの影響で、日本産食材の受け皿となってきた飲食店(3,637店[2019年調査]、世界5位の日本食レストラン市場)は経営困難に直面しています。タイ人に人気のあった寿司・刺身には、2月以降風評被害が発生し、懸念が一部残っています。

    一方で、デリバリー、EC、内食・中食が好調です。巣ごもり需要で小分けの中食・内食用食品や長期保存品(缶詰、ラーメン等)、根強い訪日観光ニーズで地域限定品等の珍しい商品にバイヤーの関心が集まっています。飲食店再開(5月)で今後の消費回復やプロモーション効果(寿司・刺身含む)も期待されます。

    前述を受けて、成長市場に対応した商流の確保(ビジネスマッチング)、消費者へのアプローチ強化(プロモーション)を一体的に実施し、日本産食材の輸出の維持・拡大を図ります。具体的には、オンライン個別商談アレンジ、オンライン商談会、フードデリバリーサービス等(5社程度)での日本産食材サポーター店・レストランプロモーション、輸入商社の小売店等における日本食材販促への支援などを行います。

現在、世界中の海外事務所とともに具体的な取組みを組成しています。特に、香港、中国国内の主要都市など東アジア、シンガポール、マレーシアなどアセアン、オーストラリアなど経済活動が期待される地域においては、今月中に具体的取組みを立ち上げる予定です。また、北米、欧州についても、現地情勢を踏まえて取組みの組成を引き続き行い、早急の事業実施に務めてまいります。

ジェトロ 農林水産・食品課 (担当:小篠[おざさ]、三輪)
Tel:03-3582-4966 E-mail:afa@jetro.go.jp