1. サイトトップ
  2. お知らせ・記者発表
  3. 記者発表
  4. 2020年
  5. 「2019年度 中東進出日系企業実態調査」結果について

「2019年度 中東進出日系企業実態調査」結果について

2020年03月04日

横ばいの見通し多数の中、イスラエルやトルコは事業拡大路線

ジェトロは2019年9~10月、中東10カ国に進出する日系企業に対し、現地での活動実態に関するアンケート調査を実施しました。その結果を以下のとおり発表します。

調査概要

実施方法 アンケート調査
実施時期 2019年(令和元年) 9月9日~10月18日
アンケート送付先 中東10カ国に進出する日系企業273社にアンケートを送付。うち有効回答が251社、有効回答率は91.9%。
設問項目
  1. 営業利益見通し
  2. 今後の事業展開・有望分野
  3. 投資環境の魅力と課題など

調査結果のポイント

  1. 2019年の営業利益の見通しは約5割の企業が黒字。2020年(前年比)は 6割が「横ばい」の見通し。
  2. 今後の事業展開は「現状維持」が約半数で多数。イスラエルとトルコでは6割が拡大も、イランは半数が縮小見込み。イスラエルは「新産業」、トルコは「消費市場」、中でも「食品」に期待感。
  3. 投資環境の課題は「法制度の未整備・不透明性」が最多。国ごとに抱える 課題に特色が出る。

調査結果概要

1.2019年は約5割の企業が黒字。2020年(前年比)は6割が「横ばい」の見通し。

  • 2019年の営業利益見込み(図1)は全体の52.3%が黒字と回答。オマーン、 バーレーン、トルコ、カタールでは黒字が6割超となった一方、米国制裁に苦しむイランでは5割超が赤字、経済が好調なイスラエルも黒字は3割弱だった。 【資料6頁】
  • 2018年と比べた2019年の営業利益見込みは全体の52.7%が「横ばい」と回答。イランは61.5%が「悪化」と回答。2020年の営業見通し(前年比)も「横ばい」が59.3%と最多で、各国も同様の状況だった。【資料7~8頁】
  • 2019年の業績改善の理由は「現地市場の売上増加」が全体の69.7%を占めた。製造業では現地の売上増に加え、「輸出拡大」も大きな要因を占めた。2019年の業績悪化の理由も「現地での売上減少」が多数で全体の72.3%を占めたが、イランでは米国制裁の影響で「貿易制限措置の影響」が57.1%と最大になった。【資料9~10頁】

【図1】2019年の営業利益見込み

2019年の営業利益見込みについて。黒字、均衡、赤字の選択式で聞いたところ、全体の約5割が黒字との回答。オマーンやバーレーンに続き、通貨安の影響を受けたトルコや、断交問題を抱えるカタールでも黒字が多数。米国制裁に苦しむイランは5割超が赤字。経済が好調なイスラエルも黒字は3割弱。

※n=回答社数(他図表も同じ)

ジェトロ作成

2.今後の事業展開は「現状維持」が約半数で多数。イスラエルとトルコでは6割が拡大も、イランは半数が縮小見込み。イスラエルは「新産業」、トルコは「消費市場」、中でも「食品」に期待感。

  • 今後1~2年の事業の方向性(図2)を見ると、「現状維持」が49.6%で多数となったが、国別ではイスラエルが66.7%、トルコでは60.8%の企業が拡大見込みと回答した。他方、イランは半数の50.0%が縮小見込みだった。【資料14頁】
  • 米国制裁に苦しむイランを昨年度からの経年変化で見ると、赤字企業の割合は増加(47.4%→53.8%)しているが、今後も事業を「現状維持」するとした企業の割合は約13%増加(30.0%→42.9%)。厳しい中でも踏みとどまろうとする企業の姿が見える。【資料15頁】

【図2】今後1~2年の事業の方向性

今後1~2年後の事業の方向性について。拡大、現状維持、縮小、第三国(地域)への移転、撤退の4つの選択肢から。全体では、「現状維持」が約5割で多数も、「拡大」も4割超を占める。イスラエルやトルコでは、6割超の企業が「拡大」との回答。イランでは「縮小」がちょうど5割に。

ジェトロ作成

  • 事業拡大の主因は「現地での売上増」(68.2%)と「成長性・潜在力」(53.3%)が多数。拡大する機能は「販売機能」が68.9%と他を引き離した。縮小・撤退の要因では「売上減」以上に、「現地・他国政府の貿易制限措置の影響」が38.9%で最大になった。【資料16~18頁】
  • 今後有望視するビジネス分野を全体(図3)で見ると、過半数以上が「インフラ」(63.0%)、「資源・エネルギー」(57.1%)、「消費市場」(54.2%)、「新産業」(51.3%)、「サービス業」(50.0%)に期待(複数回答可)。具体的な項目(図4)では、インフラは「電力」「水」、新産業では「IoT」、「AI」、「スマートインフラ」などが上位だったが、資源・エネルギーでは特に「再生可能エネルギー」(75.0%)を有望視する企業が多く、消費市場では「食品」(58.7%)に期待する企業が多かった。【資料19~20頁】

【図3】今後有望視するビジネス分野(複数回答可)

今後駐在国もしくは中東市場で有望視するビジネス分野について。インフラ、資源・エネルギー、消費市場、新産業、サービス業、製造業、その他の7項目を設け、複数回答可で回答してもらった。全体では「インフラ」が6割超で最大も、「資源・エネルギー」「消費市場」「新産業」「サービス業」など、 「製造業」を除く全ての分野にまんべんなく期待感。イスラエルでは100%の企業が「新産業」を有望視。

ジェトロ作成

  • イスラエルとトルコの今後有望視するビジネス分野(図3、4)としては、イスラエルは全企業が「新産業」と回答。トルコでは「消費市場」が72.0%と最多だったが、さらに小項目をみると「食品」が61.8%で最大だった。【資料19~20頁】
  • イスラエルは近年スタートアップ大国として、現地企業の取組みに日本企業の注目が集まって おり、両国間の官民挙げての交流事業も進んでいる。トルコは人口約8,000万人を誇る一大消費市場で、従来から日本企業も現地で食材の調達、加工食品の生産・販売を行っており、今回注目を集めた一因とみられる。
  • 人員体制の変化について聞いたところ、過去1年は現地従業員、日本人従業員ともに「横ばい」が多数だった。今後の予定でも、現地・日本人従業員ともに「横ばい」が多数だったが、特に 日本人従業員は80.1%が「横ばい」で、据え置き傾向となった。【資料21~22頁】

【図4】今後有望視するビジネス分野 具体的な項目(複数回答可)

今後駐在国もしくは中東市場で有望視するビジネス分野の具体的な項目について。インフラでは「電力」「水」が上位。資源・エネルギーは「再生可能エネルギー」を有望視。 消費市場では「食品」が最大。新産業では「IoT」「AI」「スマートインフラ」などが上位。トルコでも消費市場、特に「食品」を61.8%と最も有望視。

ジェトロ作成

3.投資環境の課題は「法制度の未整備・不透明性」が最多。国ごとに抱える課題に特色が出る。

  • 中東全体の投資環境の課題(図5)としては、例年どおり「法制度の未整備・不透明性」が56.5%と多数を占めたが、昨年度の67.5%よりは減少した。【資料24頁】
  • 各国別に主な課題を見ると、アラブ首長国連邦(UAE)とサウジアラビアでは「法制度の未整備・不透明性」、トルコとイランでは「不安定な政治・社会情勢」、イスラエルでは「人件費の高騰」が最大の課題として挙がった。【資料25~29頁】
  • 企業からの主なコメントを見ると、UAEは基準認証制度、サウジアラビアやトルコでは現地人雇用義務、イランは米国制裁、イスラエルではコスト面などが課題として挙がった。【資料25~29頁】

【図5】投資環境の課題(対象国全体)(複数回答可)

投資環境の課題について。「法制度の未整備・不透明性」が56.5%を占めるが、昨年度の67.5%よりは減少した。「各種手続き等が遅い」、「不安定な政治・社会情勢」、「人件費の高騰」、「取引リスク(代金回収リスク等)が続いた。

ジェトロ作成

海外調査部 中東アフリカ課 (担当:西浦、米倉)
Tel:03-3582-5180