海外初創設の日本型健康経営企業を顕彰する「スリランカ健康経営アワード」第1回受賞企業8社を決定

2019年02月14日

日本型健康経営を広め、日本の製品やサービスが受け入れられる質の高いヘルスケア市場の拡大を推進

ジェトロは、スリランカで日本型健康経営に取り組む現地企業を顕彰する「スリランカ健康経営アワード (SRI LANKAN CORPORATE HEALTH & PRODUCTIVITY AWARD)」を創設、2月13日にハルシャ・デシルワ経済改革・公共分配担当大臣、杉山明在スリランカ日本国特命全権大使を招き、第1回アワード受賞式を実施しました。

海外初創設の本アワードには、「従業員の健康づくりを全社的に取り組み改善し続けることで、生産性とブランド力(企業価値)を引き上げる」という日本型健康経営の導入を試みる現地企業30社のノミネートがありました。ジェトロを含む日スリランカの6機関で構成する審査委員会を設置し一次審査(書類審査)、二次審査(実地調査)を経て、従業員数で分けた4カテゴリーごとに、ゴールド(最優秀賞)企業、シルバー(優秀賞)企業を決定しました。

市川芳明審査委員長(多摩大学客員教授)は、評価ポイントを「スリランカでは、日本以上に社長や人事のトップが従業員の生活習慣病を問題視し、改善にリソースを投入して取り組んでいる企業がある。しかし、データを採取して科学的に分析し、効果的な改善活動をPDCAで回すという考え方がなかった。今回は募集期間が短かったこともあり、データヘルスの取り組みにむけた準備を着々と進めている企業及び、実際に熱心な取り組みを行っている企業を評価した」と説明。「今後のアワードではPDCAを回す取り組みを高く評価したい。その結果、企業経営上の数々のメリット、例えば従業員のクリエイティビティの向上や、優秀な社員のリクルートが容易になることを実感していただけるはず」と参加を呼びかけました。

ジェトロは、この取り組みを通じて日本型健康経営がスリランカ企業に広く普及することで、従業員の予防意識が高まり、生活習慣病患者が減少し、組織の活性化や生産性の向上につながると同時に、企業の健康投資が促進され、健康食品、スポーツジム、健康診断、デジタル医療機器、測定アプリ、健診・医療費データ分析ほか、日本の製品やサービスが受け入れられる質の高いヘルスケア市場の拡大を目指します。

「スリランカ企業健康経営アワード」受賞企業リストPDFファイル(513KB)

アワード創設の背景

スリランカでは、生活習慣病による死亡率が7割に上り、同8割の日本と同様、大きな社会問題となっています。同国は国公立病院の医療費が無料のため、国民全般の病気に対する予防意識が低く、政府も有効な対策を取れずにいます。

2025年までの疾病削減・健康増進に具体目標を掲げている政策の後押しもあり、ジェトロは、スリランカ政府、COYLE(※1)と協力して、現地企業へ日本型健康経営を普及・促進する取り組みを始めました。その一環として、日本で広く実践されている健康経営手法をベースに作成された国際規格(BS-PAS3002)を、スリランカの企業事情に合わせてアレンジしたものを評価基準とするアワードを創設しました。

また、親日的な同国では、「5S」や「カイゼン」といった、PDCAを回す日本型の経営手法が広く普及しており、同様にPDCAを重視する健康経営が受け入れられる余地は大きく、実際、本アワードをきっかけに健康経営の取り組みを本格的に始めた企業もありました。

(※1)COYLE (The Chamber of Young Lankan Entrepreneurs):スリランカ若手経営者協会
会員企業の主な業種は、貿易・サービス・製造・建設・観光・IT。政界へのコネクションも太く、同国産業政策に向けた提言活動なども活発に行う。新たな価値創造に関心が高く、国際化、雇用安定、生産性向上の観点から「健康経営」にも関心が高く、普及に取り組んでいる。

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