石油の「発見」そのものが戦争を生むわけではない ― 国家間紛争を引き起こす真の要因は「主張可能性(Claimability)」政治学の最高峰誌 American Political Science Review に掲載 ―

2026年01月22日

ジェトロ・アジア経済研究所(IDE-JETRO、所長:木村福成)の菊田恭輔研究員による論文 “Claimability in International Relations: Oil Discoveries, Territorial Claims, and Interstate Conflicts” が、政治学分野で最も権威ある学術誌の一つであるAmerican Political Science Reviewに掲載されました。
本研究は、「天然資源の発見は国家間紛争を引き起こすのか」という長年の論点に対し、資源そのものではなく「誰のものかが曖昧な場所」がリスクを高める、という新しい答えを提示します。実証では、戦後の国際ルールに照らして“各国が主張しうる領域”を世界規模で地図化し(1946–2024年)、60万件超の試掘データと突き合わせて、発見の前後を統計的に比較しています。これにより、資源の発見自体は対立を押し上げず、複数国が主張できる地域で“大きな石油・ガス田”が見つかったときに限って対立が高まり、効果が長期に続くことを示しました。

ポイント
石油などの天然資源は、それ自体が国家間紛争を必然的に引き起こすわけではない
紛争リスクが高まるのは、複数国が領有を正当化しうる「主張可能な地域」で資源が発見された場合
戦後の国際ルールに基づき、各国が主張しうる領土の範囲を世界全体で初めて地図として整理
新興国・開発途上国を含む国際社会における「資源・領土・平和」の関係を再定義する研究成果

研究者のコメント

これまで紛争・地理情報データ・統計的因果推論をキーワードに研究を行ってきました。その成果がようやくAmerican Political Science Reviewに掲載され安堵しています。日本学術振興会の科学研究費助成事業により分析に必要なデータを購入し、論文をオープン・アクセスで公刊することができました。これもひとえに皆様のご助力の賜物です。どなたでも無料で読むことができますので、機会があればご一読願えれば幸いです。

詳しい研究内容について

論文情報

論文タイトル:
Claimability in International Relations: Oil Discoveries, Territorial Claims, and Interstate Conflicts
著者:
菊田 恭輔(ジェトロ・アジア経済研究所 在チューリッヒ海外研究員)
掲載誌:
American Political Science Review
公開日:
2026年1月14日

ジェトロ・アジア経済研究所 研究企画課広報班(担当:青山)
Tel:043-299-9526 
E-mail:info@ide.go.jp