第13回 ASEAN事務総長とASEAN日本人商工会議所連合会(FJCCIA)との対話を開催 ―新型コロナからの経済復興に向けた提言書を発表―

2021年07月08日

ASEAN日本人商工会議所連合会(FJCCIA)とジェトロは7月7日、ASEAN日本政府代表部の千葉明特命全権大使、東アジア・アセアン経済研究センター (ERIA)の西村英俊事務総長の参加を得て、リム・ジョクホイASEAN事務総長とオンライン上で対話し、新型コロナからの経済復興に関して、ASEANに進出する日系経済界からの提言書を発表しました。同提案書は、ASEANが2020年11月に発表したASEAN包括的復興枠組み(ACRF)の実行を後押しするものです。対話の実施は2年振り13回目です。

  • 今次対話では、FJCCIAの井上聡一議長(ベトナム日本商工会議所会頭)から、リム・ジョクホイASEAN事務総長に対して、ACRFが目指す「地域のすべての人に恩恵をもたらすような、持続可能かつ広範な復興」というアイデアに賛同を示したうえで、1.ASEAN域内市場とより広範な経済統合の潜在性最大化、2.包括的なデジタル・トランスフォーメーション、3.より持続可能で強靭な未来、の3点で提言しました。
  • 全9カ国の日本人商工会議所の会頭が参加しましたが、特に、以下の発言がありました。
    1. カンボジア日本人商工会(神田陽悟会長):メコン地域における陸上輸送の活性化と連結性の向上。具体的にはカンボジア=タイ国境(ストゥンボット=バンノンイアン)第2ゲートの早期開設。
    2. ジャカルタ・ジャパン・クラブ(近造卓二理事長):非関税措置の削減、医薬品などのエッセンシャルグッズの流通促進、日ASEAN経済連携協定(AJCEP)改訂議定書の早期発効。
    3. フィリピン日本人商工会議所(松永啓一会頭):手続きの簡素化による一層のFTA支援・促進を期待。RCEPにおける、制度運用後の地域横断的フィードバック手段としての事務局機能の充実。
    4. バンコク日本人商工会議所(日高和郎会頭):ASEANの自由貿易推進の動きへの期待と非関税措置などの最小化、ASEAN共通でのワクチン・パスポート制度や相互認証制度の導入。
  • ジェトロからは、コロナ禍にあっても、ASEAN進出日系企業がこの地域の一員としてビジネス活動を維持する一方、感染症対策によるサプライチェーンへの影響を最小限に抑えることを要望。また、FJCCIA提言の実現にあたり、ASEAN地域におけるデジタル化及びグリーン成長・循環型経済へのシフトに向け、日本企業と連携し、ACRFに貢献していくことを表明しました。
  • FJCCIAはASEAN9カ国の日本人商工会議所会員により構成され、2021年6月現在の会員数は7,332社に達する、ASEAN域内最大の連合組織です。2008年から年に一度、ASEAN事務総長と対話を続けています。2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、対話を見送り、緊急提言のみ実施していました。

ASEAN事務総長への要望・提案(サマリー)(英語PDFファイル (3976KB) ・日本語PDFファイル (1411KB)

ジェトロ・アジア大洋州課 (担当:山城)
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