「UAE-Japan-Israel イノベーション・フォーラム」を開催―日本、UAE、イスラエルの3カ国が協力した初の試み―
2022年1月
ジェトロは1月18日、経済産業省、アラブ首長国連邦(UAE)経済省、イスラエル経済産業省とともに、「UAE-Japan-Israel イノベーション・フォーラム」をオンラインで開催しました。これは、日本、UAE、イスラエルの政府が3カ国間の連携を促進する初の試みで、大臣を始め関係政府や企業の要人が登壇し、500名以上が視聴しました。
2020年9月のUAE・イスラエル間の国交正常化(アブラハム合意)を機に変化する中東情勢において、各国政府や有識者、民間企業のそれぞれの立場から、日本、UAE、イスラエル3カ国の連携、その連携から生み出されるイノベーションやビジネス機会の拡大への期待が示されました。
各国の政府代表が3カ国連携の重要性を確認
フォーラムの冒頭、ジェトロの佐々木理事長は、今回のフォーラムがUAE、イスラエル、日本の3カ国がそれぞれの強みを生かし、イノベーションの観点でいかに新たなビジネスを創出できるのか、その可能性を示す初の試みになると述べました。また、UAE、イスラエル両国に対し、ものづくりやプロジェクト管理を得意とすることに加え、アジアでの確固としたビジネス基盤を持つことが日本の強みであるとのメッセージを発信しました。
各国の政府代表からも、3カ国連携へのそれぞれの期待が示されました。萩生田経済産業大臣は、日本とUAE、日本とイスラエルの2国間の緊密な経済関係を強調するとともに、3カ国の連携によって生み出されるイノベーションが、気候変動などの地球規模の課題を解決する可能性を持つと発言しました。UAEのゼイユーディ貿易担当大臣は、官民双方、とりわけ民間部門・スタートアップの連携の重要性を強調するとともに、UAEが日本・イスラエル両国のスタートアップを支援する用意があると述べました。イスラエル経済産業省のマルカ次官は、パンデミックを乗り越えて世界経済を成長させるためにも、3カ国が協調してイノベーションを活用する必要があると訴えました。
アブラハム合意による経済関係拡大と第三国市場展開の可能性
「アブラハム合意の経済的ポテンシャル」と題した基調講演では、アブラハム合意が地域経済にもたらすインパクトの重大さを強調したうえで、UAE、イスラエル間の急速な関係強化や経済交流促進の状況、さらに今後の見通しについて解説しました。また、中東域内のみならずアジア、アフリカ、欧州などの第三国市場への展開の可能性に言及しました。
地球規模の課題解決が有望分野、協業のカギは「大局観」の共有
1つ目のディスカッションでは、アブラハム合意がもたらす中東における「新しい経済圏」に対する各国の期待や、協業における有望分野について議論が行われました。パネリストとなった各国経済省の政策担当者は、それぞれの政府のイニシアティブをPRするとともに、クリーンテック、アグリテック、スマートシティ、ヘルスケアといった、地球規模での課題を解決するような分野での3カ国連携への期待が示されました。また、米国大手シンクタンクの中東専門家からは、地政学的リスクが全く無くなった訳ではないこと、UAEとイスラエルに米・印が加わった4カ国の経済連携の枠組みが新たに創設されたことなど、リスクと機会という2つの視点が大事との見識が披露されました。
「イノベーションによる新事業の創出 ―民間の取り組み」をテーマとした2つ目のパネルディスカッションでは、3カ国の企業が登壇し、自身の経験・知見を踏まえた議論が行われました。3カ国連携の可能性として、アジア、アフリカ、欧州などの第三国への展開が再度言及されたほか、3カ国の協業にはビジネスの目的や特定の課題解決などの「大局観の共有」の重要であるとの指摘がありました。
今後は関連イベントも計画されており、今回のフォーラム開催を契機に3カ国間の連携が具体的に促進することが期待されます。
ジェトロ 佐々木理事長
開会挨拶
萩生田経済産業大臣
日本代表挨拶
ゼイユーディ貿易担当大臣
UAE代表挨拶
マルカ経済産業省次官
イスラエル代表挨拶
Anwar Gargash Diplomatic Academy
ムラデノフ研究・分析部長 基調講演
パネルディスカッション1
パネルディスカッション2
ジェトロ 仙台理事
閉会挨拶
「UAE-Japan-Israel イノベーション・フォーラム」概要
開催日時 | 2022年1月18日(火曜)15時00分~17時00分(日本時間) |
---|---|
主催 | 経済産業省、UAE経済省、イスラエル経済産業省、ジェトロ |
協力 | 駐日イスラエル大使館、在UAE日本国大使館、在イスラエル日本国大使館、日本・イスラエル・イノベーションネットワーク(JIIN) |
次第 |
|