仙台市で「地域への対日直接投資カンファレンス(RBC)」を開催

2019年11月

ジェトロ、仙台市、経済産業省は、地方自治体等が外国企業の幹部を招へいし、首長によるトップセールスや地元企業とのマッチングを行う「地域への対日直接投資カンファレンス(Regional Business Conference:以下、RBC)」を、2019年11月11日から15日にかけて仙台市にて開催しました。「防災・減災×ICT」をテーマに、同市が産業連携を進めるフィンランドからIT関連企業8社を招へいし、世界の「防災ロール・モデル」都市として進められている様々な取り組みや同市でビジネスを行うメリットを紹介しました。

仙台市の防災の取り組み

11日は、仙台市で世界防災フォーラム/防災ダボス会議に併せて開催されていた「震災対策技術展」を視察。企業や大学などによる防災・減災関連の技術やサービス、研究に関する展示ブースを見て回りました。特にVRを使った災害シミュレーションによる防災教育や、最新の災害観測・警報システム等が招へい企業の関心を集めていました。

12日には荒浜地区の被災地沿岸部を視察。震災遺構である荒浜小学校では、震災当時のまま残されている教室の様子や、展示品を見て回りました。荒浜小学校で被災された方々のインタビュー上映に加え、被災者の一人でもあるガイドの方から2011年の東日本大震災のリアルな状況を聞くことができ、招へい企業も神妙な面持ちで地震や津波の被害の深刻さについて感じ取っていました。

その後、仙台市と連携協定を結び、ドローンやプライベートLTE網を活用した近未来技術の社会実装事業を進めているフィンランドのノキア社による「ドローン飛行デモンストレーション」に参加。津波警報が出された事態を想定し、2機のドローンがそれぞれ避難の呼びかけ、カメラでの要救助者の確認を行う様子を見学しました。招へい企業からはドローンやプライベートLTE網のシステムについて、非常に熱心に質問が投げかけられていました。

被災地沿岸部の視察

ドローンデモの視察

対日投資セミナーで仙台、東北のビジネス機会をアピール

13日にはビジネスマッチングと対日投資セミナーを開催。対日投資セミナーの第一部では、仙台市の郡市長が、新たな防災産業の創出に向けて是非仙台市のビジネス環境の魅力を感じていただきたいと挨拶しました。続いて、経済産業省東北経済産業局の北村総務企画部長から挨拶と共に、対日直接投資に向けた政府の取り組みについてアピール。株式会社プロジェクトニッポンの松谷代表取締役による基調講演では、日本の大企業とスタートアップのイノベーションの取り組みや、イノベーション創出に向けた自社の取り組みについて紹介されました。仙台市経済局の遠藤局長からは、防災監局都市としての推進事業や、新たな防災関連創出に向けたオープンイノベーションの取り組みについてアピールしたほか、ノキアソリューションズ&ネットワークス合同会社の奥田執行役員(エネルギー・運輸・公共事業部長)は、仙台を含め世界各国の都市での同社のパブリック・セーフティーの取り組みを紹介しました。ジェトロの仲條理事からは、投資先としての日本、仙台市の魅力をアピールしました。

第二部では、ビジネスフィンランドのクリスティナ・シニアアドバイザー(ビジネスエコシステム・デジタル担当)から、フィンランドのIT産業とビジネス環境についてPR。その後、フィンランドの招へい企業が各社、来場者に向け自社紹介のプレゼンテーションを行いました。 イベントの途中には、同日に仙台市と産業振興協力協定の更新式を行ったばかりであったラーヤラ・オウル市長が飛び入り参加し、仙台市とオウル市の親密な関係も伺えました。交流会では、地元の来場者と両国の関係者が双方のビジネスの取り組みについて、積極的にネットワーキングを行いました。

ビジネスマッチングでは、招へい企業が地元の国内企業15社との計32件の商談を実施。フィンランド企業からは「共同開発を検討できそうな企業と商談することができた」、「日欧相互の市場参入において協力し合えそう」、国内企業からも「フィンランド企業とノウハウを掛け合わせ、新たな事業につなげたい」等のポジティブなコメントが寄せられました。

ビジネスマッチングの様子

対日投資セミナー(仲條理事の講演)

新たな防災関連産業の創出に向けて

最後の2日間でハッカソンを開催。各フィンランド企業が、津波の危険性がある沿岸部での防災・減災アイデアの事業案をまとめました。14日は、仙台市やノキア社のスタッフによるメンタリングを実施。メンターが各社を回り、それぞれのアイデアをより実現可能なものにするためのアイデア出しをサポートしました。

15日には最終審査会を実施。地震発生時に位置情報毎に細かく非難指示や避難経路を知らせることができ、災害時に様々なコミュニケーションツールを使用することが可能なスマートフォン用アプリを開発した「Secapp」が優勝しました。そのほか、ゆるキャラをかたどったAIスピーカーを使って多言語で避難指示を出すことができるサービスや、教育用のゲームを使って防災意識を高めることができるアプリケーションなど、様々なアイデア提案がありました。優勝したSecapp社は、今後仙台市などの関係機関と共に実証に向けた取り組みを進めていきます。

RBC終了後には、招へい企業から「仙台市の防災関連分野に関する理解が高まった」「将来的に仙台市への投資も検討したい」というコメントもあり、仙台のビジネス環境を広くアピールするイベントとなりました。

優勝した「Secapp」によるプレゼンテーション

RBCに参加したフィンランド企業

地域への対日直接投資カンファレンス(RBC)プログラムin仙台 概要

日程 2019年11月11日(月曜)~15日(金曜)
開催地 宮城県仙台市
主催 ジェトロ、仙台市、経済産業省(METI)
招へい企業 計8社(フィンランド企業)
プログラム概要 11月11日(月曜):全体ブリーフィング、ハッカソンキックオフ、世界防災フォーラム視察
11月12日(火曜):被災地沿岸部(荒浜小学校ほか)、ドローンデモ視察
11月13日(水曜):ビジネスマッチング、対日投資セミナー
11月14日(木曜):ハッカソン
11月15日(金曜):ハッカソン、審査会

※本事業は経済産業省の委託事業にて実施