見本市レポート Milano Unica

テキスタイル分野でプルミエール・ヴィジョンと双璧をなす世界有数の見本市

ジェトロ参加報告

イタリア・ミラノ
2016年9月6日(火曜)~8日(金曜) 

Milano Unica 会場風景

2016年9月6日~8日、イタリア・ミラノにて、23回目となる高付加価値テキスタイル見本市「Milano Unica(ミラノ・ウニカ)」が開催された。イタリアを中心に欧州企業382社、欧州域外の国では日本と韓国のみが参加し、合計442社が出展した。

ミラノ・ウニカの成り立ち

イタリアでは、基幹産業の一つであるテキスタイル産業の再構築と活性化を目指している。過去には、それぞれの産地がバラバラに展示会を開催してきたが、国や自治体、業界団体を挙げて展示会を集約することで、テキスタイル産業の世界レベルのビジネス拡大を狙った。シルク、プリントで有名な展示会「イデア・コモ」、高級紳士・婦人服用ウール生地の「イデア・ビエラ」、婦人服地・服飾資材で知られていた「モーダ・イン」、シャツ地中心の軽衣料用生地を扱う「シャツ・アベニュー」といった4展示会を一堂に開催すべく、2005年9月に“Fiera Milano City” を会場として「ミラノ・ウニカ」がスタートした。その後、ファンシー系及び中級ウール生地の展示会「プラート・エキスポ」が合流・離脱したり、会場を“Fiera Milano Rho”に移動し、再度“City”に戻したりしながら、現在では、「イデア・ビエラ」、「モーダ・イン」、「シャツ・アベニュー」の3つに集約させた展示会を継続開催している。本展示会は、アパレル向け生地の展示会としては、パリで開催されている「プルミエール・ヴィジョン」と双璧をなす最重要展示会として世界的に知られ、有名ブランドの重要バイヤーが集まっている。

会場風景

当初は、政府の支援の下でのテキスタイル産業活性化が目的とされていたこともあり、出展者はイタリア企業がメインで、少数の欧州域内企業が出展するといった中で実施されてきた。しかし、2014年9月、欧州以外の参加者として、初めて日本企業の団体出展(The Japan Observatory)が認められた。次いで2015年9月には韓国企業の団体出展が認められた。23回目となる今回(2016年)は、再び会場を“Rho”に移して、新たな「ミラノ・ウニカ」がスタートした。
また、2015年には、プレコレクションの拡大に合わせて生地の受発注が早期化するというファッション業界からのニーズを受けて、他の見本市に先駆けて、7月に「プリマMU」というプレコレクションに対応した見本市の開催をスタートさせた。こうして、秋冬シーズンは2回の見本市を開催することによって、ビジネスの拡大を目指すこととなった。

会場風景

2016年に開催された「ミラノ・ウニカ」では、それまで特定エリアの優良顧客だけに提供していたサービスを3つの展示エリアにも提供させるべく共通化させたほか、一部エリアにあった入場制限を撤廃して、展示会自体の回遊性を上げる取り組みが行われた。さらに、ゆったりしたスペース展開を行うなど、展示会自体のプレゼンテーションの向上が図られた。加えて、実際のビジネスに直結するようなバイヤーの来場を促進し、展示会場での商談の質の向上を目指した。ファッション産業界の活性化のために、同じ“Rho”の別ホールを会場としている靴見本市“The MICAM”とバッグの見本市“Mipel The Bag Show”の会期の一部を重ねて実施することで、相乗効果を挙げる工夫がなされた。
更に2017年からは、世界のファッション産業界のニーズに応えて、今まで1シーズンに2回開催されていた秋冬物の見本市を、7月に早めて一本化して開催することが発表されるなど、「ミラノ・ウニカ」は更に新たな一歩を踏み出そうとしている。

The Japan Observatory at Milano Unica 2017 A/W

ジェトロは、「ミラノ・ウニカ」において「The Japan Observatory at Milano Unica 2017 A/W(JOB/ジャパン・パビリオン)」を一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW)と共催し、日本企業38社・団体の支援を行った。JOBは、広報ブース(トレンド&インデックスコーナー、ビジネス・ラウンジ)と商業ブースで構成。JFWは、JOB全体の運営管理、参加企業の募集・とりまとめや「トレンド&インデックス」コーナーでの日本テキスタイルの情報発信を担った。また、ジェトロは、広報ブースの出展支援、海外事務所でのJOB全体の広報協力と有力ブランドの重要バイヤーへの来場促進アプローチ、会場での重要バイヤーのアテンドを行った。

会場風景

「ミラノ・ウニカ」の主催者側は、開催会場を前回までの“Fiera Milano city”(4万平方メートル)から“Rho Fiera Milano”(6万平方メートル)に変更し、見本市全体のグレードアップと質の統一を図った。JOBは、2014年9月の初出展から5回の中で、新規出展者の参入や一部企業の出展辞退等による規模の増減を経てきた。トレンド&インデックスコーナーなどで日本独自のテキスタイルトレンドを発信し続けると共に、「匠の技」で生地を生産する産地企業と有力コンバーティング企業がまとめて出展し続けていることで、着実に有力バイヤーのリピーターを増やし始めているなど、バイヤーからの好評価を得ている。今回参加の企業からも、「多数のビックブランドの方に来場していただけたので是非、受注につなげたい」、「具体的な商売につながりそうな客先が多く、充実した展示会となりました」などといった海外販路開拓への積極的な声が聞かれた。

来場誘致のアプローチの結果、今回JOBに来場した有力ブランドの例は以下のとおりである。

  • イタリア:
    Giorgio Armani, GUCCI, PRADA, BOTTEGA BENETA, Jil Sander, MAX MARA, VERSACE, ETRO, Ermenegildo Zegna, AKRIS, TOD’S, Brioni, MONCLER, DIESEL, Hero, MISSONI,etc.
  • フランス:
    Hermes, Louis Vuitton, Christian Dior, Saint Laurent, LANVIN, GIVENCHY, BALMAIN, MAISON MARGIELA, BALENCIAGA, KENZO, etc.
  • イギリス:
    Stella McCartney, Vivienne Westwood, Margaret Howell, J & M Davidson, BURBERRY, Paul Smith, etc.
  • 米国、その他:
    Calvin Klein, Ralph Lauren, Michael Kors, John Varvatos, TOMMY HILFIGER, etc.

生活関連産業課ファッション班 久保 敦

見本市データ
見本市名 Milano Unica/ミラノ・ウニカ
開催期間 2016年9月6日(火曜)~8日(金曜) 
9時00分~18時30分
初回開催年/開催頻度 2005年9月/年2回開催
開催場所 Rho Fiera Milano /ロー・フィエラ・ミラノ
出展商品内容 アパレル向けテキスタイル、服資材関連、レザー
出展者数 442社(イタリア303社、その他欧州企業79社、日本39社、韓国21社)
来場者数 6,000社以上(主催者発表)
入場料 事前特定期間でのWeb登録と当日会場登録
主催者 ミラノ・ウニカ・ヘッドオフィス
事務局連絡先 Milano Unica Segreteria organizzativa Headoffice
Tel:39-02-66101105
E-mail:info@milanounica.it