見本市レポート Ambiente 2018

世界最大級の消費財見本市

ジェトロ参加報告

ドイツ・フランクフルト
2018年2月9日(金曜)~13日(火曜)

Design by SOL style / Photo by IKUNORI YAMAMOTO 来場者で賑わうジャパン・パビリオンの様子

世界最大級の消費財見本市「Ambiente 2018」が、2018年2月9日~13日、ドイツ・フランクフルトで開催された。国際色豊かなイベントに、168カ国・13万人が来場した。

168カ国が一堂に会する場所・Ambiente

毎年2月にドイツ・フランクフルトで開催される、消費財見本市・Ambiente。出展者、来場者、商材、会場、そのすべてが大規模かつ多様性に富み、消費財分野では世界最大級の見本市である。
89カ国4,441社が出展し、168カ国134,600人の来場者を数えた2018年は、ドイツ国外からの来場者が全体の60%を占めた。ジャパン・パビリオン参加者も、「世界中のマーケットリサーチを一度に行うことができ、また想定外の国との取引も生まれた」と本見本市の国際性を高く評価している。
開催地は世界第3位の展示面積を誇るMesse Frankfurt。広大な展示場に家具・雑貨・文房具・キッチン用品・掃除用具など、あらゆる消費財が集結する。Living・Giving・Dining(※)と3つに区分されたエリアには、さらに細分化された28のホールがあり、商材はもちろんのこと、価格帯やブースの魅せ方まで、全く異なる様相を呈している。

Design by SOL style / Photo by IKUNORI YAMAMOTO
来場者で賑わうジャパン・パビリオンの様子

例えば、ホール4.1には高級な皿が多く並べられ、ホール8.0、9.0には、インテリア家具メーカーが独自の世界観を表現したショールームのようなブースが立ち並ぶ。一方でホール10は、エキゾチックな妖しい香りに包まれ民族調の商品が所狭しと陳列されている。ホールを移動するだけで、まったく違う世界に足を踏み入れることになる、大変興味深い見本市である。

(※)Living=インテリア・ホームアクセサリー類、Giving=ステーショナリー・ギフト類、Dining=キッチン・テーブルウェア類

ジャパン・パビリオン参加者から学ぶ“2つの重要性”

今回、ジャパン・パビリオンに参加した7社へのヒヤリングを通して、出展した多くの企業が2つの重要性について得たことが明らかとなった。
一つ目は、“安定的な生産体制の重要性”である。これは、Ambienteを訪れるバイヤーの属性に起因している。Ambienteは大手チェーンや百貨店のバイヤー、そして大手ディストリビューターの来場が多いため、中大規模な取引を継続するための安定した供給体制が重要視される。そしてこの傾向は、Ambienteと比較されることの多い毎年1月と9月にパリで開催される、Maison&Objetと大きく異なる。Maison&Objetは個人経営や比較的小規模な店を構えるバイヤーの来場が多く、小ロットの注文が多い。そのため、安定した供給体制よりも、ブランドイメージやデザイン性が重視される傾向にある。両見本市を知る企業は「Ambienteでの1件あたりの成約金額は桁違いに大きい」と、見本市による違いを実感しており、Ambienteにおいては規模の大きな成約を目標に、安定的な生産体制のアピールに注力したプレゼンテーションを準備して来ているという。

Design by SOL style / Photo by IKUNORI YAMAMOTO
シンプルに洗練されたブースデザインのジャパン・パビリオン外観

次に、“動画の重要性”である。広大な展示場ゆえに、急ぎ足のバイヤーたちは一つのブースに長居しない。商品の前で一瞬足を止めたバイヤーの心を如何につかむかが、成約へのカギとなる。そして、言葉も文化も異なるバイヤーたちに、商品の魅力を端的に伝える手段として、多くの企業が取り入れるべきと感じたのが、動画であった。「商品の使い方を動画にまとめたい」と語る企業が多い一方で、ある箸メーカーは「木の削り方に高度な技術を要するとプレゼンしたところ、削り方を動画で見たいと製造過程にまで関心を示すバイヤーが多くいた」と語り、より多角的に商品の魅力を伝えるツールとしての動画作成を検討するという。

適切なホールへの出展を

前述の通り、本見本市会場は非常に広大で、またホールごとに商材が細かく分けられている。そのため、バイヤーは求める製品イメージを明確に定め、狙ったホールにのみ来場する傾向にあると言われている。実際に2つのホールへの出展経験を持つ企業も「自身の商材は前回出展したホール11.0よりも、今回の1.1に来るバイヤーにマッチしているらしく、食いつきが格段に良くなり成約に繋がる商談が増えた」とホールによるバイヤーの違いを感じている。今後出展を検討する際には、自身が希望するホールに出展している企業の商材や価格帯などからバイヤーの属性をリサーチし、適切なホール選定を心がけたい。

Design by SOL style / Photo by IKUNORI YAMAMOTO
来場者で賑わうジャパン・パビリオンの様子

次回Ambiente2019は2019年2月8日~12日に開催予定。ジェトロが運営するジャパン・パビリオンは、引き続きDiningエリアの人気ホール、1.1と4.0への出展を予定している。ホール1.1はデザイン性の高いダイニング製品がメイン、ホール4.0はカトラリー・テーブルウェアがメインのホールとなっている。また、ジャパン・パビリオン出展者に対しては、豊富な展示会経験や現地の目線を持つ専門家が、出展準備の段階から展示会当日に至るまで、包括的にサポートするプログラムを提供している。当該ホールへの出展に関心がある企業、特に見本市への出展経験が浅く、海外バイヤーとの商談に不安がある企業には、ぜひジャパン・パビリオンへの出展をお勧めしたい。

生活関連産業課 津下 みなみ

見本市データ
見本市名 Ambiente 2018
開催期間 2018年2月9日(金曜)~13日(火曜)
9時00分~18時00分(最終日は17時00分まで)
初回開催年/開催頻度 1949年/年1回
開催場所 Messe Frankfurt
(ドイツ・フランクフルト国際見本市会場)
出展商品内容 消費財(日用品・生活雑貨全般)
出展者数 4,441社(89カ国)
来場者数 134,600人(168カ国)
入場料 【1日券】前売り: 28ユーロ(オンライン販売) / 当日売り: 37ユーロ
【通し券】前売り: 52ユーロ(オンライン販売) / 当日売り: 69ユーロ
(いずれもVAT含む)
主催者 Messe Frankfurt Exhibition GmbH
事務局連絡先 メッセフランクフルト ジャパン株式会社(日本窓口)
Tel:03-3262-8453
Fax:03-3262-8442
E-mail:info@japan.messefrankfurt.com