見本市レポート Beautyworld Saudi Arabia 2018

サウジアラビア初の化粧品・美容見本市

サウジアラビア・ジェッダ
2018年10月14日(日曜)~16日(火曜)

Beautyworld Saudi Arabia 2018 会場外観

サウジアラビアのジェッダで10月14日~16日、化粧品・美容関連見本市 「Beautyworld(ビューティーワールド)」が開催された。出展者数は、19カ国の147社。主催者である国際見本市開催会社のメッセフランクフルトは、これまで「Beautyworld」を日本3都市(東京、大阪、福岡)、およびドバイ(2002年以降)の計4カ所で開催してきた経験を持つ。今回はサウジアラビアにおける化粧品・美容関連市場の潜在性を見越し、中東地域で2カ所目となるサウジアラビアでの開催に至った。

存在感を示すフレグランス分野の出展

サウジアラビアでは、男女ともに香水を大量に消費することもあり、今回の出展はフレグランス分野の出展が多数を占めていた印象だ。サウジアラビアで好まれる香りはウードと呼ばれる伝統的な香木の香りから、海外でのいわゆる一般的なフレグランスまで、好みの幅は実に広い。香水の文化があまりない日本にとっては敷居が高く感じられるかもしれないが、展示会担当者は「香水という最終製品の形ではなくとも、香料の原料としての売り込みも十分可能性がある」という。
国別の出展を見ると、アジア勢では、中国企業がカラーコンタクト、つけまつげ商品を中心に出展していた。韓国企業は、この数年で既に複数の有名化粧品ブランドがサウジアラビア市場での店舗展開を果たしたこともあって、今回の出展は少なかった。自然素材を使ったスキン・ボディケア商品は南アフリカ共和国からの出展が目立っていた。南アからサウジアラビアへは、多くの農産物が輸入されていることもあり、自然派のイメージを打ち出す狙いとみられる。

ブースの様子

消費者、バイヤーからは日本製品参入への期待の声

当地報道によると、同国の化粧品・美容関連市場規模は57億ドル(2018年)で、湾岸協力会議(GCC)6カ国の52%を占めるという。さらに、2021年には市場規模は69億ドルに拡大すると見込まれている。既に市場に参入しているメーキャップブランドをみると、肌の色の多様性などに対応している欧米勢が優勢だ。だが、日本人女性をはじめとするアジア人女性は実年齢よりも若く見えることも後押しし、近年、アジア発のスキンケアおよびアンチエイジング・アイテムへの注目度が高まっている。韓国勢の相次ぐ市場参入成功はこうした戦略に裏打ちされたものともいえる。
日本へ旅行するサウジアラビア人も増加する中で、サウジアラビアでは購入できない特定の日本のスキンケアブランド名を挙げて、「また買いたい」と言うサウジアラビア人女性も多い。展示会場で出会ったバイヤーからも同様の声が聞かれ、日本ブランド参入への期待は高い。

ブースの様子

同国に化粧品を輸出するには、サウジアラビア食品医薬品庁(SFDA)への輸入業者による商品登録、およびSFDAからの認可取得が必要(医薬品、医療機器、食品も同様)で、一般的に認可が下りるまでにはやや時間を要する。このため、市場参入には早めの決断が必要だ。
2018年5月に開催されたドバイ版「Beautyworld」には62カ国1,738社が出展するなど、その規模はサウジアラビアとは別格で、来場者も多種多様だ。展示会担当者は「サウジアラビア版Beautyworldは国内バイヤーの来場が大半を占めるため、サウジアラビア市場を狙うのであれば、サウジアラビア版をお勧めする」と話す。同じ見本市であっても、売り込みターゲットに応じて開催地をうまく使い分けたい。なお、主催者であるメッセフランクフルトでは見本市開催前からオンラインのビジネスマッチングサイトを立ち上げており、効率的な商談機会提供に努めている。
なお、次回のジェッダでの開催は2019年10月27日~29日の予定。

リヤド事務所 柴田 美穂

見本市データ
見本市名 Beautyworld Saudi Arabia 2018
開催期間 2018年10月14日(日曜)~16日(火曜)
11時00分~19時00分
初回開催年/開催頻度 2018年/年1回
開催場所 Jeddah Center for Forums and Events
出展商品内容 スキンケア、メーキャップ、フレグランス、ヘアケア、ネイル、ボディケア、パッケージデザインなど
出展者数 149社(19カ国・地域)
入場料 無料
主催者 メッセ・フランクフルト/ACE Exhibitions