世界の見本市・展示会情報(J-messe)
見本市レポート シンガポール国際水週間2016・水エキスポ
世界最大級の水処理分野総合展示会
ジェトロ参加報告
シンガポール
2016年7月11日(月曜)~13日(水曜)

シンガポール国際水週間2016・水エキスポ 会場風景
水処理にかかわる政策立案者、指導者、専門家、事業者などが一堂に会する世界的な情報交換の場であるシンガポール国際水週間・水エキスポ(SIWW)が、7月11日~13日に開催された。世界中から水処理機器メーカーやエンジニアリング会社を中心に、ASEAN地域での水関連ビジネスに関心を持つ1,028社・団体が出展。また、世界115カ国・地域から2万1,240人が来場した。
水処理に係る世界的な情報交換の場
水資源の多くを隣国マレーシアに頼ってきたシンガポールが、水自給率の向上に本格的に取り組み始めて約16年が経過。当初の目標は自国の弱点克服であったが、水処理技術を自国産業の競争力強化につなげる戦略が軌道に乗り、現在、シンガポールは世界中の企業のR&D拠点が集結する最先端の技術ハブとなっている。シンガポール政府は自国を水処理技術の拠点とするための政策をさらに推進し、成長分野の需要を取り込もうとしている。その具体策が、補助金や税制優遇、共同研究機会の提供、そして国際見本市“SIWW”の開催だ。
SIWWは2008年の初回開催以来、シンガポールが国をあげて取り組んできた展示会である。その結果、水処理にかかわる政策立案者、指導者、専門家、事業者などが一堂に会する、世界的な情報交換の場となった。今回で7回目の開催となるSIWW 2016においても、ASEAN諸国のみならず、欧米やオセアニアからも多くの出展・来場者があり、会場内は終始インターナショナルな雰囲気に包まれた。また、会期中の各種イベントにはトニー・タン大統領をはじめ、環境水資源大臣や国家開発大臣が出席し、シンガポール政府がいかに本展示会に重点を置いているかが窺われた。

世界中から注目を集める日本企業の水処理技術
ジェトロが設置したジャパン・パビリオンには、28社・団体が出展。過去最多の出展者数となった前回(2014年)の27社・団体を上回った。また、28社・団体のうち16社・団体はSIWWに初出展。さらに企業規模では中小企業が15社となり、前回と比べ比率が高まっている。
ジェトロがSIWWでジャパン・パビリオンを設けるのは今年で5回目。面積は504平方メートルで、SIWWの国別パビリオンの中でも最大規模であった。立地もビジター登録場所の真横かつ入口前という好位置につけ、多くの人が訪れた。来場者からは「JAPANのロゴがとても大きく目立っていたし、ブース規模も大きくかつ鮮やかだ」という声があった。

ジャパン・パビリオンでは、アジアで潜在的需要が見込める、魚類を使った水質監視技術や、太陽熱を利用した温水・飲用水回収技術など、世界に誇る高機能製品を紹介。なかでも水質監視装置の環境電子(福岡市早良区)のブースには、今回が海外初出展ながら会期を通して多くの来場者が訪問した。同装置は、毒物に対する反応が敏感とされるヒメダカを使用し、その動きを観察することで水質汚染の早期発見を可能とする。日本の水道法では、水道原水で魚類を飼育し、その挙動から水質を管理する水質管理装置の設置が義務付けられており、同社はヒメダカを使った水質自動監視装置を日本で全国各地に200台近く納入している。同様の装置には他の魚類も使われるが、ヒメダカは急性毒物薬品の970種について97%と高い確率で反応する。また同社の装置は、魚の微妙な動きを高精度の画像処理で確実に捉えることができるため、化学分析などでは検出が難しい毒物でも検知が可能である。海外向け出荷実績はまだないが、ジャパン・パビリオンへの出展で、海外での販路開拓につなげたい考えだ。同社の山本社長からは「今まで日本国内のみで販売していたため世界市場で通用するか不安があったが、各国関係者に興味を持っていただき、具体的な商談ができた」というコメントがあった。
そのほかの出展者からも、「水処理分野全体の情報収集、業界内のつながりの拡大に非常に役立った」、「水処理にかかわる世界中の企業と商談できる貴重な機会であった」という声が多数寄せられた。
環境・インフラ課 井上元太
見本市名 |
Singapore International Water Week 2016, Water Expo(SIWW 2016)
シンガポール国際水週間 2016・水エキスポ |
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開催期間 | 2016年7月11日(月曜)~13日(水曜) 9時30分~17時30分(12日(火曜)は19時30分まで) |
初回開催年/開催頻度 | 2008年/隔年開催(2012年までは年1回) |
開催場所 | マリーナ・ベイ・サンズ、コンベンションセンター |
出展商品内容 | 水処理技術関連商品・装置 |
出展者数 | 1,028社・団体(57ヵ国・地域) |
来場者数 | 延べ21,240名(115ヵ国・地域) |
入場料 | 無料(全日程一般入場可能) |
事務局連絡先 | 【一般的なお問い合わせ】 【展示スペース予約・協賛に関するお問い合わせ】 担当者:Sherman Khoo |
主催者 | Singapore International Water Week Pte Ltd |