見本市レポート CBME China 2017

世界最大のベビー・キッズ・マタニティ関連見本市

ジェトロ参加報告

中国・上海
2017年7月19日(水曜)~21日(金曜)

広大なホール全体の様子

世界最大のベビー・キッズ・マタニティ関連見本市「CBME China 2017」が、2017年7月19日~21日、中国・上海で開催され、8万8千人が来場した。二人っ子政策に沸く中国市場開拓をサポートすべく、ジェトロとして初めてジャパン・パビリオンを設け、出展支援を行った。

中国ベビー業界が寄せる日本製品への期待

2016年元日、中国で約35年間続いた一人っ子政策が廃止され、二人っ子政策が導入された。
これに伴い、ベビー関連企業の株価が急騰。そのような子供産業への期待が高まる中国で開催される世界最大のベビー・キッズ・マタニティ関連見本市が、CBME Chinaである。
総建築面積147万平方メートルの超巨大なクローバー型の展示会場・国家会展中心(展示ホール面積は屋内40万平方メートル、屋外10万平方メートル)。ベビーカー、チャイルドシート、おもちゃ、子供服、子供用食品、粉ミルク、紙おむつ、マタニティウェアなど、様々な商品が分野ごとにホールに分かれて展示されている。
ジェトロのジャパン・パビリオンが出展したのは、世界各国がそれぞれのパビリオンを設ける「インターナショナルホール」。フランス、英国、韓国、台湾、香港、オーストラリアのパビリオンが軒を連ねた。

ジャパン・パビリオン全体の様子

主催者UBM Chinaはバイヤーの出身国割合を非公開としているが、ジャパン・パビリオン参加企業の多くが「来場しているバイヤーは中国本土からがほとんどだった」との感触を得ていた。比較的欧米バイヤーの来場も多い香港での展示会とは対照に、こちらは中国本土の市場開拓を目指す企業に適した展示会だといえる。
今年で17回目を迎えるCBME Chinaだが、ジェトロとしてジャパン・パビリオンを形成し出展支援を行うのは、今回が初めてとなる。支援に至った背景にあるのは、中国でのベビー関連産業の熱気と、そして何より日本製品への需要の高さである。中国では、日本製品に対する「安心・安全」の信頼度が高い。ベビー関連産業分野においては、特に「安心・安全」が重要視されるため、ジャパン・パビリオンを形成して日本が一丸となって出展することには、大きな意味がある。実際、参加企業の多くから「ジャパン・パビリオンに出展していることで、自社を知らないバイヤーも日本製だからと安全性を感じ取ってくれる」との声が上がった。また「『これは日本製か?』と聞かれることが多かった」との感想を述べる参加企業が複数いたことからも、中国人バイヤーが“日本製”であることを重視していることが伺える。製品の強みを発信しつつ、ジャパンブランドをしっかりアピールすることが、ベビー関連産業において重要であろう。
また、本展示会の特徴として、主催者企画の「事前マッチング商談会」というサービスがある。これは出品者とVIPバイヤー(大手企業が多い)がそれぞれ商談先の希望を寄せ、合致した場合、会期中に会場内の専用スペースで商談を行うというものである。普段中々出会えない大手企業のバイヤーとゆっくり商談できるこの制度を、多くの参加者が高く評価していた。

商標登録の事前準備を

中国におけるビジネスで必ず重要となってくるのが、商標登録の問題だ。近年、大手のECサイトをはじめとして、「偽物断固反対」を掲げる中国企業が増えてきており、商標登録が済んでいることを取引の条件とする中国人バイヤーも多い。とあるジャパン・パビリオン参加企業は、「未だ中国国内で商標を取得できていないことを理由に、その場で成約とならないことが多々あった。順調にいけば年内には取得予定であり、来年のCBMEではぜひ成約に結び付けたい」と反省と意気込みを語っていた。商標の登録には時間がかかり、なかなかスケジュール通りには進まない。中国での販路開拓を検討されている方は、是非早めの申請を心掛けてほしい。
ジェトロでは、商標登録など知的財産権保護に関するご相談などのサポートも行っている(※1)。ぜひご活用いただきたい。

ジャパン・パビリオンにて行われる商談の様子

モバイル先進国・中国ならではの集客方法を

店でも自動販売機でも切符売り場でも、どこでもスマートフォンをかざしてアプリで決済。タクシーもアプリで配車。さらに町中どこでも乗れるシェアサイクリングもアプリをかざして使用する―。そんなモバイル活用の最先端を走る中国においては、展示会場でも多くの企業がスマホを利用した集客を行っていた。
広大な展示会場の中でもとりわけ長い行列を作っていたある中国企業の例を挙げると、1)「中国版LINE」と評される「WeChat(微信)」で企業のアカウントを友達登録する。2)そのアカウントをモーメンツ(タイムラインのような機能)で友人に向けてシェアする。この2つを行った人に同社のロゴ入りキャリーバッグを配布するというキャンペーンを行っていた。

カラフルな色使いが特徴的な中国企業ブース

一方、会場で散見されたのが、「Instagramで特定のハッシュタグをつけてブースあるいは商品の写真を投稿するとサンプル品がもらえる」というサービスを行う中国国外企業である。この手法は世界中の展示会でよく見られるものだが、中国における展示会でも有効かと言われると、必ずしもそうではない。中国政府により規制を受けているInstagramを用いても、ユーザーがさほど多くないため効果が出にくい。やはりWeChatやWeibo(微博:中国版Twitter)など、中国独自のSNSによるマーケティングを行うことが重要であろう。
ジェトロでは、海外に配置する各分野の専門家(海外コーディネーター)が、お問い合わせに対して現地の感覚・目線でお答えするサービスも行っている(※2)。ぜひこれらを活用し、中国でのベビーマタニティ分野のビジネスチャンスをつかんでほしい。

生活関連産業課 津下 みなみ

見本市データ
見本市名 CBME China 2017
(Children, Baby, Maternity Expo 2017)
開催期間 2017年7月19日(水曜)~21日(金曜)
9時00分~17時00分(最終日は15時00分まで)
初回開催年/開催頻度 2001年/年1回
開催場所 上海・中国国家会展中心
出展商品内容 キッズ・ベビー・マタニティ関連産業
出展者数 2,662社
来場者数 8万8,316人
入場料 無料
主催者 UBM China
事務局連絡先 UBMメディア株式会社
Tel:03-5296-1009
Fax:03-5296-1018
E-mail:Takeshi.Nakanishi@ubm.com