見本市レポート カンヌ・フィルム・マーケット

ジェトロ参加報告

フランス・カンヌ
2015年5月13日(水曜)~22日(金曜)

2015年5月13日~22日、フランスで「カンヌ・フィルム・マーケット2015」が開催された。主催者の発表によると2015年は120カ国・地域から1万1,554人の映画関係者が来場した。ジェトロは、公益財団法人ユニジャパンと共同でジャパン・ブースを運営し、日本映画をPRした。

映画祭とマーケット

世界三大映画祭の一つであるカンヌ国際映画祭は、ベルリン国際映画祭、ベネチア国際映画祭と比して、最大と位置付けられている。この映画祭に併設され、映画の権利を売買する見本市が「カンヌ・フィルム・マーケット」だ。主な取引対象は、映画配給に関する権利(劇場公開権、DVD化権、テレビ放映権、VOD配信権など)であるが、各国の映画祭ディレクターによるスクリーニング上映用作品の発掘、プロデューサーや監督などによるパートナー探し、企画の売り込みも活発である。また、会期中は主催者や業界団体が企画するシンポジウムなども行われ、映画関連ビジネスにおける一大イベントとなっている。このため、世界中から出展者や来場者が集まり、フィルム・マーケットそのものが「商談の場」として捉えられていることから、来場者の質も高い。商談の場は会場内だけではとどまらず、周辺のホテルや港内のクルーズ船を商談ブースとした企業もあり、この期間は街全体が映画祭とフィルム・マーケット一色となる。
フィルム・マーケットへの入場料は399ユーロ(約5万4千円)と高額で、期間中は近隣ホテルの宿泊料も通常の3倍以上に高騰する。コスト高ではあるが、出展している日本企業からは、「カンヌでまいた種は育つ。カンヌ出展は必須だ」と継続した参加の必要性を訴える声が多く聞かれた。

会場風景

新規参加企業の奮闘

今回ジャパン・ブースには、5社の新規出展企業を含む14社が出展した。新規出展企業の中には、東京国際映画祭のスプラッシュ部門にノミネートされた作品を出品した企業や、地方創生を意識した地方発の映画を売り込むために参加した企業が含まれ、カンヌという大舞台で精力的に商談に挑んでいた。その勢いはブース内にとどまらず、作品を上映するスクリーニング会場や各国主催のレセプション等でも広報や売り込みに励んでいた。今年は、別会場における日本映画界の要人が登壇したセミナーやレセプションの開催も相まって、ジャパン・ブースにも多くの来訪者が見られた。
なお、カンヌ映画祭では日本作品が7本上映され、「ある視点」部門で黒沢清監督が最優秀監督賞を受賞し、日本の存在感を示した。次回開催は2016年5月11日~20日を予定。

会場風景

クリエイティブ産業課 粕川眞由

見本市データ
見本市名 カンヌ・フィルム・マーケット2015(Marché du Film 2015)
開催期間 2015年5月13日(水曜)~22日(金曜)
9:30~18:00まで
初回開催年/開催頻度 1946年/年1回
開催場所 Palais des Festivals et des Congres
出展商品内容 映画
出展者数 644社
来場者数 1万1,554人(120カ国・地域)
入場料 399ユーロ(4月26日までの事前登録の場合339ユーロ)
事務局連絡先

マルシェ デュ フィルム(MARCHÉ DU FILM)
住所:3, rue Amelie 75007 Paris, FRANCE
TEL:+33(0)1 53 59 61 30
FAX:+33(0)1 53 59 61 50
E-mail:marketinfo@festival-cannes.fr

主催者 Festival de Cannes