株式会社マルヤナギ小倉屋

「市場がない」をチャンスに変える。蒸し豆ブランドの海外展開とAmazon成長戦略

企業紹介
株式会社マルヤナギ小倉屋は、1951年創業の神戸の食品メーカー。「伝統食材の素晴らしさを次の世代へ」をテーマに、豆・昆布・もち麦などを活かした佃煮、煮豆、蒸し豆などの製造・販売を行う。2022年から米国JAPAN STORE、2025年からは英国JAPAN STOREに参加し、新しい豆食文化を世界に拡げている。

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事業内容:
豆、昆布、もち麦などの健康価値の高い食材を活かした食品の製造販売

(担当者の岡本様)

新しいカテゴリーを海外市場に広げる挑戦。強みの言語化で自社商品を差別化する

当社が販売している「蒸し豆」は、海外ではまだ馴染みのないカテゴリーです。しかし、 日本市場では当社が水煮豆の市場を超えて蒸し豆の市場規模を大きく育てた実績があり、「海外でも正しい価値を伝えられれば、蒸し豆という新しい食文化を広げられるはずだ」という確信を持っていました。

そのためには、「蒸し豆とは何か」という概念そのものから市場に伝えていく必要がありました。海外では蒸し豆よりも、水煮豆の方が主流であり、低価格帯で販売されています。そのため、当社は水煮豆と正面から競合するのではなく、「そのまま食べられる手軽さ」「健康素材としての栄養価」という強みを活かし、差別化によって新しいニッチ市場を開拓する方針を取りました。

(同社提供、水煮豆と蒸し豆の比較)

差別化をするには、上記のような強みを言語化して消費者に伝えることが必要です。まず、商品訴求には「Snack」という単語を使うことで、「開封してすぐに食べられる」 というポジションを明確にしました。ターゲットは健康意識の高い層であるため、プロテイン含有量をパッケージと商品ページの両方で強調し、健康志向の消費者が検索した際に商品がヒットしやすいよう「Non-GMO」などの適切なキーワードを取り入れています。

小売店の販売では試食による体験訴求が可能でしたが、 Amazon販売ではそれができません。そのため、食べ方や日常の食事に取り入れるイメージを、画像や動画で提示し、オンラインでも魅力が伝わるよう工夫しています。また、カリフォルニア州以外の米国消費者からの認知不足を課題に感じていましたが、Amazon広告の活用により、全米の消費者に向けて認知を広げられる点も大きなメリットだと感じています。

(同社提供)

セールイベントで新規顧客を獲得し、定期購入で継続的な成長へ

2020年にAmazonを通して海外向けのBtoC販売を開始したころから、カリフォルニア州に現地法人はありましたが、販売エリアが西海岸に限られていたため、全米の消費者に商品を届けることは容易ではありませんでした。Amazon.comへの出品により、販売網を一気に全米規模へ拡張することができました。

販売開始後、売上は徐々に成長していた一方、社内で設定した売上目標の達成には課題がありました。転機になったのは2024年のプライムデーです。どの程度の割引率で購入につながるかを検証し、適切な水準まで見直したことで、利益率が改善し結果として売上目標を突破。イベント終了後も高い売上水準を維持できるようになりました。

セールイベントは短期的に利益が圧迫される側面がありますが、イベント後も新規顧客の購入が継続し、結果的に売上成長につながったことから、当社にとっては非常に有効な施策でした。

弊社はカリフォルニア州内の小売店舗でも販売をしています。小売店舗での販売との差別化要素としては、ECでは箱単位でのまとめ買いが可能である点です。Amazonの定期おトク便(注1)を使って販売しており、定期購入者数も右肩上がりに増えています。リピート購入されるお客様にとっては定期的に購入できることや、まとめ買いができることが大きな利点となっており、あえてECで購入することを選択されるお客様も多くいらっしゃいます。

(注1)定期的に購入される商品を割引価格で自動的にお届けするAmazonのサービス。

BtoC販売のメリットを活かして英国へ展開

BtoC販売は、海外消費者の声や現地での利用シーンを直接把握できることが大きな価値だと感じています。この経験から、ヨーロッパ市場への拡大においても、まずはAmazonを通じたBtoC販売から着手することを検討しました。

また、米国の関税措置により輸出コストが増加したことも、新たな販売先としてAmazon.co.ukに進出を決める後押しとなりました。2025年より英国JAPAN STOREプログラムにも参加を開始し、出品に向けた準備を進めています。

英国ではオーガニック商品に関する規制やAmazon出品要件が米国と異なるため、オーガニック商品として米国と同じパッケージでは販売ができない点が現状の課題です。これを受け、英国仕様のパッケージへの切り替えを進めています。

JAPAN STOREプログラムに参加したことで、セールイベントや繁忙期、FBA倉庫(注2)の受領遅延などの重要情報をタイムリーに把握できるようになり、納品遅延による販売機会の損失を防げるようになりました。初回のFBA納品では想定以上に在庫反映に時間を要し、商戦に販売開始が間に合わなかった経験がありました。今はニュースレターを通じて販売スケジュールを把握し、前もって準備や納品ができています。

今後もJAPAN STOREプログラムのサポートを活かしつつ、米国での新規顧客拡大に加え、英国でもBtoC販売を開始し、当社商品の認知を広げていきたいです。

(注2)FBAとはFulfillment by Amazonの略。現地のAmazon倉庫に商品在庫を納品することで、受注、梱包、発送、カスタマーサービス、返品対応をAmazonが代行するサービスのこと。

ジェトロ担当者からの一言コメント

ECを通じて市場教育を行い、新たな需要を創出された点は、海外展開に取り組む企業が学べる示唆に富む取り組みだと感じました。さらに、セールイベントで獲得した新規顧客を定期購入へつなげ、継続的なファン層を築かれている点は、同社の強みがよく表れている事例といえます。ジェトロとしても、今後の販路拡大やブランド定着に向けた挑戦を継続して支援してまいります。

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株式会社マルヤナギ小倉屋

兵庫県神戸市
https://www.maruyanagi.co.jp/ 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
設立年:1951年
代表取締役会長:柳本 一郎
代表取締役社長:柳本 勇治
事業内容:豆、昆布、もち麦などの健康価値の高い食材を活かした食品の製造販売

2026年3月

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