株式会社オカベ
素材を活かした味づくりで、世界へ挑戦
株式会社オカベは愛媛県の食品メーカー。瀬戸内海沿いに本社や工場を構え、水産物の加工品を主力商品としている。「素材を活かした味作り」をモットーに、おつまみや佃煮などの幅広い商品ラインナップを展開している。海外市場では水産加工品ならではの食文化の壁と向き合いながらも、輸出を着実に進めていている。
愛媛県伊予市 ウェブサイト
- 展開国・地域:
- 北米、中国、東南アジア、ブラジル
- 取扱製品:
- いりこ、エビスナック、イリコスナック、ハギロール、骨せんべい、佃煮、チーズサンド等

食文化の壁と海外市場の着実な開拓
当社は、「素材を活かした味作り」をモットーに、小魚の加工食品や水産物の珍味を製造してきました。近年では、健康志向の高まりを受けて、大豆たんぱくを活用した商品ラインナップの拡充や新商品の開発に取り組み、「珍味メーカー」から「総合食品メーカー」への転換を進めています。
海外市場に対しては1995年頃から長期的に取り組んでおり、特に煮干し関連の商品は、各国に在住する東アジア系の方々と取引をしてきました。しかし、水産加工品の輸出の難しさは常に感じています。西欧諸国では魚の目がついた食品を食べる文化が根付いていないため敬遠されやすく、主力である小魚を用いた商品の輸出先を見つけることに非常に苦労します。和食ブームの世界的な広がりにより、おさしみなどの生食の水産食品は受け入れられつつあるのですが、このような食文化の壁は厚く感じます。
そこでまずは当社商品に馴染みのある国に対して日本の味のまま取引することを優先し、着実に市場を開拓しています。具体的には食文化の親和性が高いアジアを中心に展開しています。特に台湾と香港のバイヤーとは継続的な直接輸出を行い、安定した取引基盤を築くことができました。
また、輸出拡大の観点では、国内企業への営業もとても重視しています。国内の卸企業との取引を通じて、海外バイヤーとつながるケースがあります。そのようなバイヤーは日本の食文化に理解があるので、確実に海外輸出を増やすことが出来ています。近年は北米市場への輸出額も増えてきました。食文化の壁がある中でも、まずは可能性の高い市場から海外輸出を広げることが重要と考えています。

海外で人気の商品

チャンスをとらえて輸出を拡大
一方で食文化の変化を肌で感じられる場面もあります。以前コロナが流行したことにより、「家でヘルシーなものを食べる習慣」や宅飲み需要が高まりました。特にお酒のおつまみとして当社商品のニーズが拡大し、米国や台湾、香港での輸出の増加につながりました。その他にも、海外の有名インフルエンサーが「玉子ガニ」という商品をTikTokで偶然紹介したことで、米国からの問い合わせが急増したこともありました。SNSの影響力を実感しつつ、このようなチャンスがあることを念頭にSNSをとおしたニーズの増加に意識を向ける必要があると考えています。
加えて、ジェトロのサービスである「輸出プロモーター事業」による専門家の支援も活用しています。海外バイヤーとの商談前に、専門家から営業の進め方や聞いておくべき取引条件についてアドバイスを受けたり、商談に同席してもらうことで成約するケースもありました。特に海外バイヤーが自社の倉庫を持っているか、賞味期限後の商品の処理方法がどのようなものかといった実践的な観点からのアドバイスが役立ちました。
今後は、アジア諸国の既存顧客に対する海外輸出を強化するとともに、まだ開拓が出来ていない南米市場に対しては、すでに取引があるブラジルを起点として輸出を拡大したいと考えています。また、市場の大きいインドへの展開を視野に入れながら、世界の食卓に「素材を活かした日本の味」を届けることを目指しています。

展示会の様子
ご利用いただいたジェトロのサービス
株式会社オカベ
https://www.okabe-group.com/
代表取締役:岡部 光伸
設立年:1974年
従業員:132名
事業内容:水産品、乳製品、大豆等の製造・販売
2025年9月