Oita Made株式会社
和牛輸出を中心にさらなる輸出拡大を目指す
Oita Made株式会社は地方経済の活性化を目的に大分銀行が設立支援した地域商社だ。大分ならではの魅力ある商材を発掘し、国内外の販路開拓をしている。2021年より台湾への和牛輸出に戦略的に取り組み、成果を上げたほか、2025年よりEUへの輸出にも取り組んでいる。
大分県大分市 ウェブサイト
- 展開国・地域:
- 台湾他
- 事業内容:
- 牛、酒、鶏卵、水産加工品、雑貨等
ジェトロ農林水産プロモーターの伴走型支援で台湾への和牛輸出という柱を確立
当社は大分銀行が設立を支援した地域商社です。大分県やジェトロが主催の商談会を中心に大分県産の和牛、椎茸、水産品、お酒などの食品輸出に挑戦してきました。単発の商談を重ねていると、ブランド和牛である「おおいた和牛」は特に引き合いをいただく機会が多く、もっと戦略的に取り組むことで輸出量を伸ばせると考えていました。そんな中、2021年にジェトロ大分から紹介された農林水産食品輸出プロモーター事業に参加。「プロモーター」という輸出専門家の伴走型支援で、定期的に面談を行い、輸出戦略の構築、商談への同席、資料作成のアドバイスなど実践的な支援を受けました。
海外バイヤーとの商談についてはノウハウが無かったところ、プロモーターの指導により、商談資料の作り方、商談時間の配分の工夫、商談後の見込み先の管理の方法等、営業体制の強化を図りました。おおいた和牛の特徴である「冷蔵90日・冷凍730日の賞味期限、船便航空便対応可と選択肢があること」「全頭オレイン酸検査(口どけの良さの参考指標であり全国でも全頭検査をしていることは稀)」「生産量が少ない中での和牛オリンピックで過去3回優勝」などの強みを商談資料に落とし込み、バイヤーの反応に応じて提案することができるようになりました。
ターゲットとして設定した台湾市場では、大分県や畜産公社とタイアップして、現地バイヤーへのカット指導や食べ方提案を通じて、台湾ではあまり知られていないステーキ以外の部位の需要を喚起。現地訪問やバイヤー向けの産業観光ツアーを行い、バイヤーとの信頼関係を構築しました。商談は基本的にメールやオンラインで行い、ここぞ!という最終交渉や来県時には対面で行います。日本語・英語・中国語に対応したり、メールを基本としつつもLINEを使ったりと、柔軟なコミュニケーション体制を整えています。
3年間の支援期間の中で商談の経験を積みつつ社内の体制を整えたことで、和牛輸出という柱を確立することができました。
(台湾でのおおいた和牛のカットセミナー)
(産業観光ツアーにて訪れた肉の加工場)
伴走型の支援終了後もジェトロのサービスを組み合わせて和牛輸出を強化
伴走型支援の卒業後は他のジェトロのサービスを利用しながら台湾で培った経験を発展させています。2025年に大分県からEU向け牛肉輸出が解禁されたことを受け、ドイツ・ケルンで開催された世界最大級の食品展示会「ANUGA」に出展。大分県庁と協力しジェトロのジャパンパビリオンに参加しました。当社にとって初の大型海外展示会でしたが、事前にジェトロの海外コーディネーター支援により、日本語対応可能で経験豊富なインポーターと連携できたことが大きな成功要因となりました。
会期前には約1.5ヶ月かけて準備を進め、想定質問に基づく資料(Q&A、価格表、動画QR付き名刺、業務フロー、カットスペックなど)を日々更新。週1回の打ち合わせを通じて、大分県・インポーター・当社の三者で連携を強化しました。会期中は約100名と名刺交換し、試食や質問対応にも多くの来場者が訪れ、大盛況のブースとなりました。プロモーター支援で学んだ「メール以外の連絡先を聞く」「一緒に写真を撮る」などのノウハウも活かすことができました。
帰国後は一週間以内に見込み先を整理し、見込先すべてに御礼メールを送信。熱量の高さも数の多さも、国内では得られなかった、海外展示会に出展したからこその成果だと感じています。会場でバイヤーと直接お話をすることで確かな需要を実感することができ、まさに百聞は一見に如かずでした。
(ドイツバイヤーとの商談)
(おおいた和牛への質問をするバイヤー)
Japan Street事業を利用しつつ、和牛以外の柱も模索中
今後の展開としては、台湾・EUへの和牛輸出を進め、そちらを足がかりに他の商品の輸出にも広げていきたいと思っています。まずは一つ確実な商流ができて、輸出(バイヤー目線では輸入)の成功事例ができること。モノが動かないと始まらないと感じています。
大分には和牛以外にもおいしいモノや良いモノが沢山あります。そういった商品の輸出を強化し、和牛に匹敵するような輸出の柱を打ち立てたいと思っています。Japan Streetには焼酎、果物、水産品等様々な商品を登録していますが、様々な国のバイヤーから引き合いの連絡が届いており、今後強化する商材を選ぶヒントになっています。
海外のバイヤーから選ばれ続けるには、価格と品質が合うことは大前提としながらも、大分県内の素晴らしい生産者の代弁者としてプラスアルファの価値を提供しつづけることが大切だと感じています。地域商社として様々な商品を提案できることや県内ネットワークがあることを活かして、プラスアルファの価値を持続的に模索して行きたいです。
ジェトロ担当者からの一言コメント
状況に応じてジェトロのサービスを組み合わせて利用していただいており、一つ一つのチャンスに真摯に向き合っているところが印象的でした。担当一人が頑張るのではなく社を上げての取り組みとなっている点や、大分県庁や他の事業者を巻き込んで産地を盛り上げている点は地域商社の理想的な在り方の一つだと感じました。今後もジェトロのサービスをうまく使って大分の産品を世界に届けていただけたらと思います。
Oita Made株式会社
大分県大分市府内町二丁目2番1号赤レンガ館
https://oitamade.jp/![]()
代表取締役社長:高橋 秀樹
設立年:2017年
従業員:7名
事業内容:商社(大分県の地方創生、大分県品の販路拡大)
2025年10月




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