3RD CERAMICS

個人作家ではなく大きなメーカーでもない、第三の陶芸のあり方を模索

2014年、多治見市で土井 武史氏、長屋 有氏が作陶を始めた3RD CERAMICS。シンプルであること、使い手への余白があることを大切に、日々の制作の中での発見や経験を基にオリジナル製品を生産している。TAKUMI NEXTへの参加は2022年度が初めてだったにも関わらず、米国・豪州・南アフリカのバイヤーと成約。

岐阜県多治見市 ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

展開国・地域:
米国、オーストラリア米国、中国、香港、オーストラリア、シンガポール、欧州
取扱製品:
手づくりと量産の間、第3の陶磁器「3RD CERAMICS」

左から土井氏、長屋氏

先ずは相談、そしてハードルを越える

事業を知ったきっかけは多治見商工会議所で行われた岐阜県企業向けのTAKUMI NEXT紹介セミナーです。海外展開の蓋を開けてみたくて、打って出る方法を探していたタイミングでセミナーのご案内をいただいたのですが、所用があり不参加の連絡をしたところ、ジェトロ岐阜の方が来て説明してくださりました。気軽に相談できたことで海外展開のハードルが下がり、TAKUMI NEXT事業を通じて初めて本格的に輸出に成功することができました。最近、ジェトロ岐阜のイベントで他のTAKUMI企業とパネルディスカッションの機会がありました。自分たちだけでは、海外展開が上手くいっているかどうかわからなかったところもあったのですが、意見交換してみて現在地が分かったのは良かったと思います。オンラインだけではなかなか達成感がつかめないと感じていたので、とても助かりました。

「いつものテーブルの上に。」おつまみ皿

海外に触れることで自分たちの気づきにもつながる

TAKUMI事業のメリットとしてはオンラインでの商談と、商談に向けてサンプル品を送っていただける点です。海外の方との商談に慣れていない我々としては、オンライン商談の程よい距離感が商談をするのにやりやすかったです。漠然と海外に関心がありつつも売りこめていなかったところ、南アフリカなど自分たちのみの発信ではなかなか届かない地域のバイヤーからも引き合いをいただけてありがたかったです。商談の際は自社ショールームを背景に行うことで、3RD CERAMICSの世界観を見せるといった工夫もしています。商談をしていて気づいたのが、自分たちについて説明をすることが意外と難しいということ。改めて自分たちを見つめなおすいい機会となりました。製品についても、海外の声を聞くことによって、好み、サイズ感にある程度合わせることも大事だということを感じた一方で、自分たちの作りたいものを突き詰めていくのも面白いのかなと、商談を進めていて改めて感じるようにもなりました。どちらも同じぐらい重要だと考えるため、今後は両方の視点を意識しながらバランス良くやっていきたいと思っています。

「それは、リズムを生み出す形」楕円皿

サンプルを送ることでとにかく1回手に取っていただく

会社設立は、もともと多治見市にある作陶の学校で2人が知り合ったのがきっかけでした。試行錯誤の中、互いのアイデアを出し合う中で生まれたのが、作家(手作り)でもなくメーカー(量産)でもない、第3の陶芸というコンセプトです。社名もそこからとりました。弊社の製品のデザインは料理を盛りつけた時、花を生けた時に完成するコンセプトです。また、色々と細かい工夫はしていますが、特別な技法などはアピールしていません。ぱっと見のインパクトが強い商品ではなく、1回使ってみていただければわかる面白み・馴染みの良さを知っていただきたいので、サンプルを送れることは大変ありがたいと思います。

量産工場で作られた生地の丈夫さと、手作りだからこそ表現できるしっとりとした質感を兼ね備えたマグ(スープ/トール)

ジェトロ担当者からの一言コメント

同社の器には、使い手の生活への馴染みの良さが配慮された温かみを感じます。こうした作り手の思いは、「手に取ってみることでわかる魅力」というコンセプトを伝えるために積極的にサンプルを送付するスタンスや、SNSでタグ付けしてくれたユーザーとのコミュニケーションを通じて少しずつ着実に伝わっていっているのだと思います。同社の製品が一人でも多くの海外のユーザーに手に取ってもらえるよう、今後もお手伝いしていきたいと思います。

3RD CERAMICS

岐阜県多治見市
https://3rd-ceramics.com/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
代表:長屋有・土井武史
設立年:2014年
事業内容:陶磁器製品の製造・卸販売

2023年5月

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