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佐賀冷凍食品株式会社

情報収集と貿易知識の吸収が、長期にわたって取り組む輸出を支える強固な基盤となる

冷凍食品の開発・製造。かねすえブランドで、冷凍おにぎりや、佐賀県内の農業生産者やシェフと連携して佐賀牛ハンバーグなど付加価値の高い商品づくりを追求。2017年に香港に冷凍おにぎりを輸出したのを機に国外への発信を開始。

佐賀県小城市ウェブサイト

展開国・地域：: ・2020年度香港ほか
・2021年度香港ほか
事業内容：: 食品卸売業（地域産品、大手メーカー品（3温度帯））食品製造業

代表取締役古賀正弘氏

ハードルの低い輸出先・商品から海外輸出を開始

当社は冷凍食品を主とし、佐賀県内の農業生産者やシェフと連携し、六次産業化により佐賀牛ハンバーグやおもてなし寿司など、付加価値の高い商品づくりを追求してきました。2017年に参加した展示会で香港の高級スーパー・CITYSUPERからの引き合いで、当社の冷凍おにぎりを香港向けに輸出したのが最初の海外展開です。同社の東京支社とやり取りができたこと、香港視察時には佐賀銀行の香港支店の方にも同行いただいたことなど、比較的ハードルは高くなくできました。その後も商社経由で米国へプリンを輸出するなど、徐々に海外へと視野が広がり、本格的な進出を検討し始めました。食材を扱うため、距離も近く法規制なども考慮してアジア圏をターゲットに、引き合いの増えていたスイーツから始めることとし、ジェトロ佐賀と相談して、新輸出大国コンソーシアムのハンズオン支援に2019年度に応募し、採択されました。

製造風景

販路開拓、貿易実務などでサポートいただきました

現在は、香港、シンガポール、マカオ向けに輸出を行っています。海外取引で難しさを感じるのが取引先の信用調査です。日本の商品を仕入れる海外商社もあり、商談が進んでいくうちに、最初の取引からコンテナ1本単位での話をされることもありました。販路開拓にもジェトロや商工会議所を積極的に活用しました。例えば、価格設定、CIFやFCAなどの貿易取引条件、相手先の関税などの貿易実務における不明点も相談することで克服しました。また、パートナーには海外における調査に出張同行いただき、実際に見聞きすることで多くの情報を得られました。海外の日本食ブームでは、丼もの、おにぎり、抹茶スイーツが人気です。当社の豊富な商品ラインアップと流行をつかんでいる点、さらには日本の高級百貨店での販売実績は、展示会などで新規バイヤーからも関心をいただき、実際にサンプルを出して認めていただいています。

製造風景

輸出は長期戦。日本の食文化ごと世界に伝えたい

課題もあります。魚肉加工食品に対する法規制は国・地域で異なり、それに伴って輸出商品の選定が必要です。食品ですから賞味期限や冷蔵・冷凍での輸送面も常に考慮しなければなりません。賞味期限を延ばすために添加物を加えると、他社商品との差別化も難しくなるため、このままの商品を維持しながら、将来的には現地生産による近隣国販売を検討できたらと考えています。海外輸出は長期戦と捉え、セミナーなどで貿易知識も吸収しながら、ジェトロなどのサポートをうまく活用して情報収集することが大切です。特に小規模企業が債権回収でつまずくと経営全体にその影響が波及しかねません。決済面などで大けがをしないよう、事前準備も肝要です。国内市場が縮小する中で、当社にとって海外展開は必要な選択でした。また輸出実績は商品力や自社のブランド力を高める効果もあります。商品を通じて日本の食文化も上手に伝えながら輸出していきたいです。

専門家からのポイント

同社は高い冷凍技術力と商品開発力を備えた企業で、東アジアを中心に4ヵ国への輸出に成功しました。商談での丁寧な商品説明と企業理念をバイヤーに理解頂いたことが成功要因と考えています。今後、輸出先と取引数を増やすために、冷凍おにぎりの具材をキノコ類、豆腐、大豆ミートなどを使用し健康を意識した商品開発を進めること、デザート類では量目や販売価格を見直しながら進めて頂くことになっています。商談管理表で業務の効率化やスケジュール管理を学んで頂いたことにより、交渉がスムースに進むようになりました。

ご利用いただいたジェトロのサービス

新輸出大国コンソーシアム
日本企業の海外展開を支援する全国のあらゆる支援機関が結集し、海外展開にご関心をお持ちの中堅・中小企業の皆様へワンストップの支援サービスを提供します。