有限会社井上企画・幡

当社は、古くから伝わる麻生地、地場産業の蚊帳生地を使用し、美意識の感じられる丁寧なものづくりで、衣類、バッグ、雑貨などを製造販売しています。最初の海外取引は2003年のニューヨークの陶器小売店への直接販売でしたが、2011年に経済産業省から「地域資源」認定を受け、近畿経済産業局や中小企業基盤整備機構とも相談し、海外展開を本格始動しました。ジェトロや奈良県庁とのつながりもでき、2011年にはジェトロのアジアキャラバンに参加。2019年から新輸出大国コンソーシアムのハンズオン支援を受けました。海外展開は売上拡大のチャンスと捉えており、特に素材の特性から夏に特化した商品が多い当社は、海外へと販路を広げることで、一年を通して商品を販売できるメリットがあります。重点対象国は、地理的に近く気候風土も似ている中国と台湾を選定。国民性や文化の違いを理解しながら、感覚的な共通点を訴求して販路を開拓しています。

当社は幅広い商品展開をしていることから、どの商品をどの市場に展開するか、海外でのニーズを把握するのが難しくて悩みました。日本で売れるものが海外では売れないなど、想定通りには進みませんが、なんとか成果を高めるべく日々奮闘しています。また過去5年間、展示会や商談会で多くのバイヤーと知り合いましたが、新規注文をいただけてもその後のリピート注文につながらない難しさも感じています。日本らしさを前面に出した商品群や豊富なカラーバリエーションはご評価いただいており、日本特有の台拭きなど、アイテムとして欧米に向いていなくても、手織りの素材やおしゃれで日本的なデザインや手仕事感から生活空間に取り入れたいというニーズもあるようです。コロナ禍では現地へ渡航できないため、SNSやメールなどでの定期的な情報発信に努めつつ、新規客先とのオンライン商談会・展示会などでも効果的な意思疎通が図れるよう工夫しています。