株式会社稲庭うどん小川

海外で「稲庭うどん」の存在をアピールできるチャンスが到来していると思う

稲庭うどんの製造・販売を行う。1995年より国内商社を通じて数カ国に間接輸出を経験する。10年ほど前から国内需要が減少する中で、これまでの商社からの注文を待つ受け身の姿勢を転換し、より積極的な海外展開に取り組む。

秋田県湯沢市 ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

展開国・地域:
・2019年 香港、台湾
事業内容:
乾麺の製造・販売

代表取締役 小川 博和 氏

海外視察で「日本の麺類は受け入れられる」と実感

弊社は、25年ほど前から国内の商社を通じて、米国やアジアを中心に輸出をしていました。海外展開については、基本的に商社からの注文を待つ受け身の姿勢でしたが、10年ほど前より国内需要が減少傾向になりつつあったため、より積極的に海外に目を向けるようになりました。まず弊社が取り組んだことは、海外市場の視察です。これまで自分たちだけで海外視察を行った経験がなかったため、最初は秋田県の事業を活用してシンガポールとベトナムを訪問しました。現地では、弊社の稲庭うどんを取り扱っている百貨店や飲食店を視察し、実際に商品がどのように陳列されているか、また、現地の方がどのように調理して食べているかを見学しました。2013年に和食が「日本人の伝統的食文化」としてユネスコ無形文化遺産に登録されたことも追い風となり、海外でも日本の麺類は受け入れられると可能性を感じました。その一方で、言葉の壁に加え、貿易実務のノウハウがなく、しばらくは海外視察を繰り返すだけの状況が続きました。

稲庭うどん小川社屋

輸出している稲庭うどん

ジェトロの専門家の同席で商談のコツをつかむ

3年ほど前に、秋田県主催の海外事業説明会に参加した際にジェトロと出会い、貿易実務の習得や海外販路の開拓を支援する事業を知りました。これを機に、伝統ある稲庭うどんの歴史や製法を自ら伝え、販路を開拓したいと、より一層考えるようになりました。
2019年には、ジェトロの「新輸出大国コンソーシアム」の専門家支援に採択され、本格的に海外販路開拓に取り組むことになりました。採択後すぐに参加した国内商社との商談会では、担当の専門家が同席し、バイヤーに対して商品の補足説明をしたり、販路や輸出頻度などを質問して聞き出したり、と自分たちだけでは気づかないような点を補いながら商談をサポートしていただきました。商談の後も、「すぐに見積もりを提出する」といった専門家のアドバイスも奏功し、1週間後には香港向けの注文が入りました。

自治体主催イベント参加。稲庭うどんは人気

商品の特長を理解してくれる輸入業者との出会いが鍵

弊社の商品の強みは、すべて手作業で2昼夜熟成4日間の工程で製造している点にあります。4日間かけて熟成を繰り返すことで麺の切断面に無数の気泡ができ、強いコシを生み出します。また、あやかけ(注1)の後にしっかりと麺をつぶしているため、麵につゆが乗ります。さらに、打ち粉に使用しているでん粉も選別の工程でしっかりと落としているため、茹でたお湯にでん粉が残らず、繰り返し茹でてもお湯が濁りません。弊社のうどんが業務店で喜ばれるのは、この手間を惜しまないからです。
海外取引では、現地のパートナーとなる輸入業者選びが最も重要だと考えます。商品の特長をしっかりと理解してくれる相手と手を組むことが必要です。2020年に訪問した台湾では、うちの商品の特長を理解し、熱心に取り組んでくれる企業と出会えました。その企業は規模こそ小さいですが小回りが利き、すでに現地の和食店でメニューに加わっています。ジェトロの商談会や新輸出大国コンソーシアムを活用することで、このようなパートナーに出会う機会が増えると思います。

注1:手延べの製法の1つ。稲庭うどんの特長とされるコシのある細い麺に仕上げる。

専門家からのポイント

稲庭うどん小川が成約に至った要因は、ジェトロの商談会を活用したり、海外出張で小売店や飲食店に営業活動をしたりと、自ら積極的に行動したことです。専門家として、国内商社との商談では、業務用商材の購入条件、価格条件などの面で商社へお得感を感じさせる提案を迅速に行うよう指導しました。また、台湾への出張に同行した際は、現地の輸入業者が今後どのようにマーケティングを行うかを重視しました。このような取り組みが、香港や台湾での新規の取引につながりました。

ご利用いただいたジェトロのサービス

  • 新輸出大国コンソーシアム
    日本企業の海外展開を支援する全国のあらゆる支援機関が結集し、海外展開にご関心をお持ちの中堅・中小企業の皆様へワンストップの支援サービスを提供します。

株式会社稲庭うどん小川

秋田県湯沢市
https://www.ogawaudon.com/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
代表者:代表取締役 小川 博和
設立年:1982年5月
従業員:56名
事業内容:乾麺の製造・販売

2020年9月

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