有限会社上野屋

消費者の食習慣に馴染むような食べ方、レシピなどを提案していきたい

三重県のこんにゃく芋を扱う問屋であったが、60年ほど前からこんにゃくの製造を始める。こんにゃくの海外需要を見込み、2015年から自治体などの支援事業を活用し海外での商談会、展示会などに参加

三重県松阪市 ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

展開国・地域:
2017年 香港
事業内容:
こんにゃくの製造・販売業・LPG・ガス器具の販売事業、
伊勢茶・しいたけの卸販売事業

代表取締役 佐々木 幸太郎 氏

自治体、商工会議所連合会の支援事業を利用して輸出に挑戦

輸出用として開発したイチオシ商材「こんにゃく香肌麺(かはだめん)」

かつて三重県では盛んにこんにゃく芋が生産されており、もともと弊社は地元で収穫されるこんにゃく芋を扱う問屋でした。しかし、輸送手段が劣悪だった当時、こんにゃく芋が腐ってくることに頭を悩ませていました。そこで、当地ではこんにゃくの製造に欠かせない水が、良質でかつ豊富にあることに注目し、60年ほど前からこんにゃくの製造を始めました。以来、こんにゃく職人として、品質第一に考え、お客様においしく召し上がっていただこうという思いで商品開発に試行錯誤を繰り返しています。お陰様で、県内の大手スーパー、卸売業者などとは強い関係を有して安定経営に乗せることができています。しかし昨今、他社との競争激化などもあり売り上げが減少してきました。健康志向の追い風もあり、海外への販路拡大を模索するようになりました。そうした中、三重県商工会連合会の誘いで参加したマレーシアでの三重県フェアでアジア市場の勢いを感じ、本格的に輸出に取り組もうと決めました。

商材に馴染める消費者市場へ。マーケットインへ転換

マレーシアでの商談会では弊社商品の質が認められ、小規模での商談は成立しましたが、継続的なビジネスには結びつきませんでした。現地の消費者によれば、こんにゃくの「食感」がマレーシアの消費者にとって馴染みのないものだからだそうです。そこで、食文化が多様な香港市場をターゲットに、ジェトロ主催の商談会に参加することにしました。香港への輸出にチャレンジする中で、単発で終わらないビジネスを成立させるには、消費者のターゲティング、ビジネスパートナーの探し方、交渉のやり方、規制、認証取得への対応など、戦略的に取り組む必要があると考えました。そこで、マレーシアや香港で現地のジェトロ所員からジェトロのサービスの概要を紹介されたことを思い出し、ジェトロ三重に相談に行くことにしました。ジェトロ三重と相談し、ジェトロ「新輸出大国コンソーシアム」農林水産・食品分野の専門家によるハンズオン支援を受けることにしました。

本店外観

2015年より3回連続参加した、ジェトロ主催「日本産農水産物・食品輸出商談会in香港」での商談風景

香港進出の実現を機に、TPP市場へ挑戦

実務経験の豊富な専門家からは、定期的な面談によるアドバイスを受けるだけでなく、香港での展示会・商談にも同行してもらいました。事前準備、日々の情報整理、事後のフォローアップ、商談の進め方、パートナー候補の絞り込み、また商標登録、認証など、多岐にわたるアドバイスをもらい、二人三脚で計画の見直しと実践を繰り返しました。加えてジェトロ・香港事務所からも市場視察、バイヤー候補紹介などの支援をしてもらいました。この甲斐あって2017年、香港の食品輸入卸への継続輸出の契約が成立しました。また、継続して輸出に取り組む中で、2019年には海外市場をターゲットにした新商品「こんにゃく香肌麺(かはだめん)」も開発しました。今後はこんにゃく麺を使ったレシピ提案なども進めながら、これまで学んだノウハウを実践し、一層の輸出拡大に取り組んでいきたいと思います。まずはジェトロなどの情報から現地を知って、実際に行って、見ること、これが大事だと思います。

専門家からのポイント

佐々木社長は支援を始めた当初から、どこの国を攻めるか、そしてどの現地販売代理店を選定するかという、海外販路開拓について明確な座標軸を持っていました。選定にあたっては、まず自社選定基準を作り、ロングリストから絞り込み、身の丈に合う会社を決め、今も商品のPRをし続けています。私が支援したことは、海外販路開拓の方向性を一緒になって定めたということです。すなわち、「販路開拓のステップアップ」という年度テーマを決め、それに沿って販売のアクションプランを定め、その進捗を見守ったということです。

ご利用いただいたジェトロのサービス

  • 新輸出大国コンソーシアム
    日本企業の海外展開を支援する全国のあらゆる支援機関が結集し、海外展開にご関心をお持ちの中堅・中小企業の皆様へワンストップの支援サービスを提供します。

有限会社上野屋

三重県松阪市
http://www.konnyaku.co.jp外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
代表者:佐々木 幸太郎
設立年:1986年8月
従業員:16名
事業内容:こんにゃくの製造・販売業・LPG・ガス器具の販売事業、伊勢茶・しいたけの卸販売事業

2019年9月

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