真名鶴酒造合資会社

「日本酒とはこういうもの」という固定概念にとらわれず日本酒の世界を広げていきたい

越前大野で江戸時代中期より続く老舗の蔵元。2009年に香港への輸出を開始以降、複数の国・地域へ輸出先を拡大。2016年からは「新輸出大国コンソーシアム」の支援を受け米国向け輸出を実現。新たな販路として欧州を目指す

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展開国・地域:
2009年 香港
2010年 シンガポール
2013年 台湾
2014年 タイ
2017年 米国
2018年 中国
事業内容:
清酒製造業

五代目蔵元・杜氏 泉 惠介 氏

福井県の支援事業を利用して香港への輸出を開始

大学を出て跡を継いだ時、真名鶴といえば地元では有名な安酒でした。真名鶴は飲みにくいと面と向かって言われ、これはちょっといかんなと思いました。品質を上げることはもちろん、オリジナリティも出していかなきゃいけない。そこで全銘柄を徹底して高品質化するだけでなく、鉱山の中で熟成させた古酒や、当時まだなかった洋樽熟成の日本酒など変わったお酒造りにも取り組みました。他方、日本酒はほとんどが国内消費。人口減少などを考えると、もっと海外に目を向ける必要があると思い、2007年ごろから県産品を海外に輸出するための福井県の支援事業に参加しました。最初は小さな会社が輸出をするというのは非常にハードルが高いという先入観がありましたが、福井県が香港で商談会をセッティングするなどして販路を見つけてくれ、2009年に香港への輸出を開始。1回やってみると、代理店を通じた間接輸出であれば意外と簡単にできることが分かり、その後も福井県の支援で、シンガポール、台湾、タイなどへも輸出するようになりました。

輸出専用ブランドとして開発した「mana1751」シリーズ。「mana1751premium」(写真1番左)は 世界で最も影響力のあるワイン評論家、ロバート・パーカー氏による初の日本酒テイスティングで 90ポイントを獲得した

越前大野の本店

現地の人にとって、分かりやすくて飲みやすい商品を

もっと積極的に海外へ、特に日本酒の輸出がダントツに多い米国に売りたいと思った時に、今あるものをそのまま売るのではなく、現地の人にとって見た目も分かりやすくて飲みやすい商品を開発しようと思いました。そこで福井県の補助事業を利用してデザインや酒質を研究。誕生したのが輸出専用ブランドの「mana1751」シリーズです。商品開発の後、ジェトロの「新輸出大国コンソーシアム」の支援を受け、専門家のネットワークから米国の取引先を紹介してもらいました。「mana1751classic」を気に入ってくれて2017年から米国向けの輸出が始まりましたが、他の国とは取扱い単位が桁違いで、非常にたくさんの注文をいただいています。ほかにも福井銀行から紹介してもらった越境ECの会社を通じて、中国からも継続して注文が入るようになりました。ピンクのハートでラベルがかわいい「mana1751sweet」を女性の方がよく購入してくれているようで、越境ECだけではなく直接輸出の話も出ています。

真名鶴酒造のお酒は機械に頼らず全量手造り

2018年7月に参加した「日本酒商談会 in マドリード」の様子

海外は先入観のない素直な反応がおもしろい

ジェトロの専門家には、米国だけでなく欧州への販売ルート確保に向けた支援もしてもらっています。専門家の勧めで参加した2016年のバルセロナでの商談会では、弊社のお酒が人気投票で1位に。シェリーの樽で熟成したお酒や、白麹を使った甘酸っぱい白ワインのようなお酒がスペインのお客様の口に合うみたいで、レストランで使いたいというお話もいただきました。日本酒というと日本の方は辛口を好みますが、日本酒って甘味があってこそおいしいと思うんです。海外の方は先入観がない分、日本酒は甘くておいしい、甘いのが欲しい、そういう素直な反応がすごくおもしろいです。その後2017年もバルセロナ、2018年はマドリードの商談会に参加し、確かな手応えを感じています。スペイン以外では英国、ドイツも日本酒の需要が高いと聞いています。EPAを追い風に、欧州に輸出できるよう今後も挑戦を続けていきたいです。

専門家からのポイント

真名鶴のユニークなラベルが、独特の風味であることを視覚的にも分かりやすく表現し、また積極的に料理とのペアリングを提案したことが、海外市場に適合した理由として挙げられます。販売に携わるディストリビューターや小売店、料飲店に、フレッシュな酸味を生かした酒質が現地の料理ともよく合うことをPRし、理解してもらうことで、彼らが消費者に日本酒を勧める際の説得力につながったと思います。製品の特徴をうまくアピールすることが和食以外の市場を開拓していく上で、重要なポイントであることを実感しました。

ご利用いただいたジェトロのサービス

  • 新輸出大国コンソーシアム
    日本企業の海外展開を支援する全国のあらゆる支援機関が結集し、海外展開にご関心をお持ちの中堅・中小企業の皆様へワンストップの支援サービスを提供します。

真名鶴酒造合資会社

福井県大野市
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代表者:泉 惠介
設立年:1957年12月
従業員:2名
事業内容:清酒製造業

2019年9月

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