大山食品株式会社
スパイシー調味料で輸出の復活を目指す

農林水産物・食品

宮崎県の中央部綾町の豊かな自然の中で、伝統の発酵食品を造りはじめて88年。南国の太陽のなか1年間かけてゆっくりと熟成した黒酢(黒玄米酢)が同社の売り。日本一の照葉樹林地帯で研ぎ澄まされた「綾の名水」を仕込みから割水まですべてに使用。有機農法の玄米と黒麹を、野外の巨大なカメに入れるだけのシンプルな「古式醸造法」を創業以来守り続ける。

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スパイシー柚子胡椒調味料「マーシー」

アジア・欧米への輸出復活を目指す

当社は30年以上前に、大阪の商社を通じて、無農薬・無化学肥料の玄米酢(黒酢)を欧米向けに輸出し始めました。当時、欧米向けに無農薬玄米酢を輸出していたのは当社のみでした。その後、健康志向の高まりもあって、20年ほど前に日本国内で「お酢ブーム」が到来。特に屋外で造る黒酢は、気候条件に左右されることもあり、鹿児島と宮崎の専売品となりました。ところが、その後のJAS規格見直しにより屋内で醸造した酢でも、アミノ酸と色などの基準を満たせば黒酢と称することができるようになったことから、多くのメーカーが醸造に乗り出し、黒酢は価格競争の時代に突入することとなりました。

そんななか、当社の欧米向け無農薬玄米酢の輸出もじわじわと減少していき、私が社長に就任した13年前には、ほぼゼロに近い水準まで落ち込んでいました。そこで、輸出の復活も視野に入れ、「最初の5年は国内市場、次の5年はアジア市場、さらに次の5年は欧米市場に力を入れる!」という目標を打ち立てました。

こうして、海外市場として先に取り組んだのはアジア市場でした。香港の展示会や上海の販売会、さらにはシンガポールや台湾等で販売促進のための活動を行った結果、各国で、それなりの反応を得て、初期の目的は達成しました。しかし、サンプルの送付を重ねたものの、最終的にパートナーを見つけられず、大口の取引に結び付けるには至らずに5年を迎えることとなりました。


かめ畑

ジェトロ専門家の支援を得て、海外見本市でスパイシー調味料がヒット

その後、1年が経過し、次の目標である欧米市場開拓に向けて本格的にスタートを切りました。そこで知ったのがジェトロの輸出有望案件支援サービスでした。この事業に採択されたことで、ジェトロの専門家から2年間の支援を受けることになりました。

まず2015年10月にドイツ・ケルンで開催された食品見本市「ANUGA」に出展しました。ここで当社を担当した専門家と一緒に海外見本市の出展ブースに立ち、サポートしてもらうことでスムーズに商談を進めることができました。好評だったのは「マーシー」という、醸造酢をベースに柚子胡椒や唐辛子を加えたスパイシーな調味料で、元々、自分達の手で和風タバスコを作りたいという夢があり、北九州在住のシェフであるマーシー氏(木尾仁氏)との共同開発で生まれた商品です。一度味わうと、やみつきになってしまう独特の味が海外でも受けたようです。

続いて、2016年1月にサンフランシスコで開催された「Fancy Food Show」に参加したところ、ついに米国の大手高級スーパーマーケットからプライベートブランド商品開発の話を持ちかけられました。ただし、先方からはメーカーである当社に対してもISO22000の取得が要求されたため、試験販売用のオーダー約20万本にストップがかかるなど紆余曲折がありましたが、最終的には40フィートコンテナ6本分となる約30万本の注文を受けることができました。

翌2017年も1月に「Fancy Food Show」に出展し、さらには3月にアナハイムで開催された「Natural Products Expo」へ出展したことで、別の大手高級スーパーマーケットからもオファーが来るなど、順調に販路を拡大しているところです。

このような活動のなかで、専門家には見本市以外でも自身のネットワークを使って海外バイヤーに話をつないでもらう場面もあり、特に米国市場における新規市場開拓を熱心にサポートしてもらいました。今後もジェトロの支援サービスを活用しながら、「マーシー」を世界中に広めてタバスコ的な存在にしていきたいと願っています。


ANUGA(ジャパンパビリオン)出展

ジェトロ活用のメリット

ジェトロ専門家が海外の展示会や海外企業との商談に同席してくれることが何よりも心強い。適切なアドバイスのみならず、専門家のネットワークも活用しながら新たな販路開拓も助けてもらっています。
2015年にジェトロ宮崎が開設されたことで、今まで以上に相談しやすくなり、県内での商談の機会も増えました。

ジェトロ宮崎 所長 宮内安成から

同社はジェトロサービスのヘビーユーザー。ターゲット国を定めた上で、集中的に海外展示会に出展、その攻めの姿勢が次々と大きな成約を実現させています。

写真 ジェトロ宮崎 所長 宮内安成

大山食品株式会社 代表取締役社長 大山憲一郎

ご利用いただいたジェトロのサービス

  • 展示会・商談会への参加
    海外販路開拓のきっかけとなる展示会・商談会への出展をサポートします。
  • 貿易投資相談
    本部(東京)、大阪本部、国内各地の貿易情報センターなどでは、お客様から電話、Fax、E-mailで寄せられるご相談にお答えします。
  • 輸出有望案件支援サービス
    輸出戦略の策定から契約締結まで専門家がお手伝いします。優秀な製品を持っていながらこれまで輸出経験がない、あるいは輸出ビジネスを躊躇している中小企業が対象です。
  • 海外バイヤー招へい商談会
    海外の有力バイヤーを日本に招聘して開く商談会です。海外の展示会に参加するのは大変と思われる方にもトライいただける商談会です。

大山食品株式会社

宮崎県東諸県郡国富町大字本庄5008
Tel:0985-77-1630
URL:http://www.ohyamafoods.co.jp外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
代表者:代表取締役 大山 憲一郎

従業員:13名
資本金:1,000万円
事業内容:食品製造業(食酢、こんにゃく、農産加工品、リキュール)
目的 :輸出
対象国・地域:米国、ドイツ

2018年7月

関連情報

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