花の舞酒造株式会社
海外見本市への出展でチャンスをつかむ

農林水産物・食品

1864年(元治元年)に創業。静岡県産米と南アルプスの地下水を原料に地元杜氏が造る日本酒は、県内シェアトップを誇る。ジェトロが主要な海外見本市で設置する「ジャパンパビリオン」に出展して、海外で販路を拡大している。

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引き合いが続く新商品「ちょびっと乾杯」

海外バイヤーと二人三脚で輸出を実現

当社が日本酒の輸出を始めたのは1997年のことでした。当社の日本酒に興味を持ったバイヤーから声がかかり、香港へ輸出したのが最初のきっかけです。翌98年には米国に販路を持つバイヤーからも声がかかりました。バイヤーからは、輸入規制や製品ラベル表示規制、辛口の日本酒が好まれるといったトレンド、商品ラベルのデザイン、米国人が発音しやすい商品名など、様々なアドバイスや提案がありました。それらにひとつひとつ対応した結果、海外市場向けの銘柄「日本刀(かたな)」が誕生しました。

バイヤーのアドバイスには柔軟に対応するなど輸出に向けたやり取りを重ねることで、ビジネスパートナーとしての信頼関係を築くこともできました。米国での販売は順調で、現在でも定期的に輸出が続いています。

「日本刀(かたな)」を生み出した経験は、当社の製品を消費者の視点から見直すきっかけになりました。静岡の米と水へのこだわりを当社の強みとして生かしながら、微発泡・低アルコールの日本酒が人気となっている海外市場のトレンドを見据えて、「ちょびっと乾杯」などの商品を開発し、製品ラインアップを拡充していきました。

2014年には輸出部を設けました。これまでの海外バイヤーから声がかかってから輸出に対応する受身の姿勢を改め、海外展開に積極的に取り組む方針に変更したのです。ただ、どの市場でどの商品が受け入れられるのかという点については、手探りでの取り組みが続きました。

ジェトロとともに日本酒を世界へ

あるときバイヤーから、海外ビジネス拡大のためにはジェトロをもっと活用してみては、と言われました。ジェトロメンバーズという会員制度があることも知りました。年会費はかかりますが、豊富な会員メニューをフル活用すれば、様々な支援を受けることができるので、入会する価値があると判断しました。

海外市場開拓を始めるにあたり、最初に始めるべきことはターゲット市場の選定です。有望なマーケットを探すため、現地に出張して市場を調査しました。私は海外出張に行くと、バイヤーと面談する前に現地のジェトロ海外事務所を訪問し、海外ブリーフィングサービスを利用します。本サービスでは、その国の経済概況から、日本食市場のトレンド、日本酒の輸入規制まで幅広く情報を入手することができるので、その後の商談で大変役立ちます。ジェトロは海外ネットワークが豊富なので、私が出張する先には必ずジェトロ海外事務所がありました。

現地市場調査をもとにターゲット市場を絞ったら、見本市に出展します。当社は、ジェトロが海外の主要な食品見本市に設置する「ジャパンパビリオン」に出展しています。日本酒に関心のあるバイヤーはジャパンパビリオンに足を運ぶので、効率的な商談が期待できるためです。2017年に出展したアジアのある見本市では、ジャパンパビリオンを訪れた大手EC企業が当社の「ちょびっと乾杯」に強い関心を示し、大口取引が成約しました。海外の大手企業も足を運ぶジャパンパビリオンへの出展は大きなチャンスにつながります。

海外見本市で企業から引き合いを受けた後も、ジェトロを活用しています。商談を進める前に、企業情報の調査は欠かせません。ダイレクトリーでの企業照会や企業信用調査などでジェトロを活用しています。2014年にジェトロ浜松が開設したことで、いままで以上に貿易相談などで気軽に訪問できるようになりました。

今後の目標は、海外での販路を日系食品店だけでなく、現地資本の小売店にも拡大することです。また、日本酒が日本食レストランだけではなく、イタリアンレストランなどジャンルを超えて取り扱ってもらうことで、より多くのお客様に楽しんでもらえるようになることです。

そのためには、地場の卸売、小売、料理店への営業活動や、在庫管理も含めた物流ルートの構築が必要です。今後もジェトロのサービスを活用しながら、海外ビジネスの拡大を進めていきたいと思っています。

ジェトロ活用のメリット

海外見本市では、出展申し込みや備品の手配など、主催者との煩雑な作業に時間が割かれてしまいます。その点ジェトロのジャパンパビリオンでは、出展前だけではなく現地でのサポートも手厚いので、会期中は商談に集中できるのが大きなメリットです。しかもジェトロメンバーズは割引料金が適用されるのでお得です。

ジェトロ浜松 所長 志牟田剛から

海外見本市での積極性と商談を進める際の慎重さのバランスが好調の秘訣だと思います。ジェトロはこれからも全力でサポートいたします。

写真 ジェトロ浜松 所長 志牟田剛

花の舞酒造株式会社 髙田晋之介輸出部長

ご利用いただいたジェトロのサービス

  • 展示会・商談会への参加
    海外販路開拓のきっかけとなる展示会・商談会への出展をサポートします。
  • 貿易投資相談
    本部(東京)、大阪本部、国内各地の貿易情報センターなどでは、お客様から電話、Fax、E-mailで寄せられるご相談にお答えします。
  • 海外ブリーフィングサービス
    世界約70カ所の海外事務所にて、現地一般経済事情やビジネス環境について、海外駐在員や専門アドバイザーが情報提供を行います。

花の舞酒造株式会社

静岡県浜松市浜北区宮口632
Tel:053-582-2121
URL:http://www.hananomai.co.jp/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
代表者:代表取締役 高田 謙之丞

従業員:64名
資本金:2,800万円
事業内容:清酒、焼酎、リキュールの製造および販売
目的:輸出
対象国・地域:米国、中国、香港、台湾、韓国、タイ、ベトナム、オーストラリア等

2018年7月

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