有限会社舩坂酒造店
地域全体の魅力で、飛騨高山を世界に売り込む!

農林水産物・食品

元禄年間に大文屋として創業した酒造店。主力商品である「大吟醸四ツ星」、代表銘柄である「深山菊」、「甚五郎」のほか、酒粕を使用した「ふなさかさけかすふっくらクリーム」などの化粧品も人気がある。また、酒蔵内には、レストランを構え、外国人旅行者を含む多くの観光客が訪れる。

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同社製品「甚五郎」

契約を取る、勝ちに行く姿勢が大事と教わる

飛騨高山は、日本有数の観光地で、最近では外国人観光客も多く訪れています。なかでも当社の酒蔵は、江戸末期から明治中期に建てられた町家が立ち並ぶ「古い町並み」の中にあるので、多くの観光客でにぎわっています。江戸元禄年間に創業した舩坂酒造店は、高山市で酒蔵を営んできましたが、経営者が高齢化し後継者もいなかったことから、もともと飛騨高山で旅館業を営んでいた私の実家が2009年に経営を引き継ぎました。

日本酒の輸出に挑戦しはじめたのは、2012年ごろです。シンガポールにおいて、飛騨牛と日本酒をPRするイベントに参加し、地域全体の魅力を伝えることが大事だと気づきました。飛騨高山の魅力とは、日本酒だけではなく、美味しい牛肉や野菜、郷土料理といった食であり、深い山々に囲まれた自然であり、歴史ある町の景観などがあげられます。これらの魅力をストーリーとしてPRすることは、当社のお酒も含む飛騨地域で生産する商品の魅力向上に繋がるのだということを実感できました。

その後、高山市内で開催されたジェトロ主催の日本酒の海外バイヤー招へい商談会に参加しました。当時のジェトロ岐阜の所長にアドバイスを受け、成約に必要な交渉の仕方を学べたことは良い経験となりました。その時は、バイヤーと、何か話をすれば、契約が取れるかもしれないという軽い気持ちで臨んでいましたが、「折角バイヤーが、良い商品と思ってくれても、今のような交渉の仕方では、取引できるのか不安になり、契約はとれませんよ。貿易価格や流通経路に関しても交渉できるよう、しっかり準備したうえで交渉する必要があります。」とのアドバイスを受け、大変甘かったと反省しました。「契約を取る、勝ちに行く」姿勢が大事ということを教わることができました。

米国へ日本酒4,800本の輸出に成功

最初は、体当たりで海外バイヤーとの商談に挑み、数多くの失敗も経験しましたが、今では商談に関するノウハウもかなり身につけることができ、大事な財産となっています。

最近の大きな成約は、米国の大規模量販店等に、4,800本の酒を輸出できたことです。これは、2015年に、ジェトロ岐阜の仲介で米国のバイヤーを紹介してもらったことが縁となりました。当時はバイヤー側の事情もあり、成約に至りませんでしたが、粘り強く交渉を継続したことで、2017年に成約することができました。輸出したのは、当社の主力製品「甚五郎」2,400本と「ゆず兵衛」 2,400本です。

「甚五郎」は、辛口でシャープな切れ味を魅力とする日本酒で、ドライな酒を好む外国人に人気な商品です。「ゆず兵衛」は、その甚五郎をベースに、岐阜県上之保産のゆずを100%使用したリキュールで、これも人気があります。米国に日本酒を輸出するには、FDA(アメリカ食品医薬局)による基準をクリアしなければならず、その情報登録に大変手間と時間をかける必要がありましたが、ジェトロ岐阜のアドバイザーからアドバイスを受けることで、無事、輸出に至ることができました。当社の輸出本数は、2014年には、100本程度だったのですが、2018年1月時点で、12,000本を超える予定です。


同社製品「ゆず兵衛」

国内の酒蔵と幅広いネットワーク構築を目指す

高山市を訪れる外国人旅行者数は、ここ数年、急激に伸びており、2017年には、年間宿泊者数が50万人を超えました。当社の酒蔵で直接商品を買ってもらう事は、輸送料や中間マージンが発生しないため、一番利益率が高いというメリットもあり、インバウンドによる売り上げは、とても大きいと感じています。

また、アジア系が約6割、欧米豪系が約3割と、東西問わず、様々な国の観光客が訪れていることも高山市の特徴です。店舗で購入した商品のデータを系統別に把握することで、マーケティングに活かすことができるのが、当社の強みとなります。例えば、外国人観光客の嗜好をバイヤーに数字として示しながら、「当店では、この酒がオーストラリアの方に、とても好評です。」といった感じでアピールすると、説得力を持ちます。

これからは、日本酒を単独で売るという時代から、様々な酒蔵のお酒の飲み比べを楽しむようなエンターテインメント型にシフトするとも考えています。そのためには、当社のパートナーとなる酒蔵を増やすことで、国内に幅広いネットワークを作っていくことが大事だと考えています。

ジェトロ活用のメリット

輸出について困ったことが有れば、ジェトロ岐阜に相談すると、各国の輸出規制や、注意すべき点について丁寧に教えてもらえます。また、ジェトロを通じて紹介いただける海外バイヤーは、実績の面からも信頼度が高いので、安心して商談に臨むことができます。

ジェトロ岐阜 三木貴博から

同社は飛騨高山という地をうまく活かし、戦略的に海外販路の拡大に取り組んでいます。今後も同社の海外展開の力になれるようサポートしていきたいです。

写真 ジェトロ岐阜 三木 貴博

有限会社舩坂酒造店 代表取締役 有巣弘城

ご利用いただいたジェトロのサービス

  • 新輸出大国コンソーシアム
    日本企業の海外展開を支援する全国のあらゆる支援機関が結集し、海外展開にご関心をお持ちの中堅・中小企業の皆様へワンストップの支援サービスを提供します。
  • 海外バイヤー招へい商談会
    海外の有力バイヤーを日本に招聘して開く商談会です。海外の展示会に参加するのは大変と思われる方にもトライいただける商談会です。

有限会社舩坂酒造店

岐阜県高山市上三之町105番地
Tel:0577-32-0016
URL:http://www.funasaka-shuzo.co.jp/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
代表者:代表取締役社長 有巣 弘城

従業員:40名
資本金:2,400万円
事業内容:酒製造・販売・飲食
目的 :輸出
対象国・地域:香港・台湾・中国・タイ・フランス・スイス・米国など

2018年7月

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