あぶくま食品株式会社
輸出計画の策定からジェトロを利用
農産物の加工・販売を目的として1972年に設立されたあぶくま食品は、福島県が出荷量全国2位を誇る桃の一大産地、伊達市に位置する。桃に関連した「もったいない精神」から生まれた高級食材「Baby Peach(若桃の甘露煮)」は、海外の展示会でブースを人だかりにし、世界中の商品に目を光らせるバイヤーでも、そのオリジナリティーの高さに注目する。「Baby Peach」の海外戦略は、始まったばかりである。
福島県伊達市保原町 ウェブサイト
- 海外ビジネス経験
- :なし
- 目的
- :輸出
- 対象国・地域
- :フランス、ドイツ、英国、米国、スペイン、香港、シンガポール、オーストラリア
Baby Peach(若桃の甘露煮)
- ジェトロ活用のメリット
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まず、ジェトロ福島主催の講座に参加し、基礎的用語や仕組みを押さえ貿易実務スキルを身につけていたため、海外の流通関係者との商談がスムーズに進んだ。
ターゲット市場の最新かつ生きた現地事情を知るために海外コーディネーターへの輸出相談サービスも有効。
- ご利用いただいたジェトロのサービス
技術力に裏打ちされたオンリーワン商品
古くから日本人の食生活に欠かせない漬物の市場規模は1998年をピークに年々縮小が続いている。漬物専門業者として独自の技術とノウハウで県内外での豊富な販売実績を有している同社は、国内市場の先細りを見据え、84年には早くも新商品開発に向けた研究開発室を立ち上げている。
その折、地元でこれまで活用されていなかった特産の桃の摘果実について外部から相談があったことから、2008年、社内に商品開発チームを結成、従来にない商品が完成した。淡い香りのジューシーな若桃の食感を残しつつ種まで食べられる「若桃の甘露煮」である。加熱しても変色しない鮮やかな緑色は、漬物会社としての技術力を活かし着色料を使用せずに実現させた。その独自製法は09年に特許を取得した。
スイーツ以外にも製造工程で加熱されるパンやピザの具に使われるなどの実績も出始め、国内での評価は高まっていった。
和洋中さまざまな料理に応用できることから、海外でも通用すると無限の可能性を感じ、13年3月、ジェトロが出展支援するIFE(The International Food & Drink Event、開催地 ロンドン)で海外展示会に初出展した。
輸出計画の策定からジェトロを利用
同社のブースにはたちまちバイヤーが集まった。「輸出にチャンスあり」と感じた副社長は、帰国後すぐに中長期的な輸出に向けた取り組みを開始すべく、ジェトロ福島に相談した。
ジェトロ福島の職員と食品担当専門家が同社を訪問。輸出に向けたロードマップを提案、取り組みの方向性を確認した上で、本格的活動が始まった。
輸出有望案件支援企業に採択された13年9月から2年間、欧米3カ国の展示会に継続出展した。そこで商談したバイヤーとの接点を輸出につなげ、現在は英国、スペイン、ドイツ、香港などを中心に輸出実績は順調に伸びている。専門家による支援は、輸出戦略の策定からバイヤーとの交渉術や貿易実務にかかるノウハウなど多岐にわたり、同社の輸出業務強化に大きく寄与した。
同社が最重要視するポイントは現地における信頼できる輸入代理店の選定である。商品の特性にあった販売ルートを持ち、かつ親身になって共に市場開拓に取り組んでくれるパートナーを探し出すことは容易ではないが、今後も国内外でのネットワーク構築と新たな販路開拓に地道に取り組んでいく方針だ。
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あぶくま食品(株)
代表取締役社長 副社長 鈴木 英孝 氏 -
輸出は担当者任せでは難しい。経営者クラスが現地をみて皮膚感覚で可能性を掴んでくる必要がある。客の表情ひとつ取ってもそこに様々なヒントがある。
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ジェトロ
食品分野専門家 塩田 靖浩 -
Baby Peach(若桃の甘露煮)は正にオンリーワン商品。厳しい輸出環境にも拘らず、鈴木副社長の「商流を重視した積極的な展示会出展」が功を奏して、短期間で9ヵ国・地域での成約を果たした。
ご利用いただいたジェトロのサービス
- 展示会・商談会への参加
海外販路開拓のきっかけとなる展示会・商談会への出展をサポートします。 - 輸出有望案件支援サービス
輸出戦略の策定から契約締結まで専門家がお手伝いします。優秀な製品を持っていながらこれまで輸出経験がない、あるいは輸出ビジネスを躊躇している中小企業が対象です。
あぶくま食品株式会社
福島県伊達市保原町清水町34番地2号
Tel:024-575-1171
http://abukumafoods.co.jp/
代表取締役:鈴木 正英
従業員:80名 資本金:4,800万円
事業内容:農産物、惣菜、海産物の加工・販売
2016年3月