工業グリーン発展に関する第14次5カ年規画、CO2の18%削減をうたう

(中国)

上海発

2021年12月13日

中国・工業情報化部は12月3日、「工業グリーン発展に関する第14次5カ年規画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(以下、規画)を発表した。規画では、中国が掲げる2030年のカーボンピークアウト、2060年のカーボンニュートラル実現に向け、第14次5カ年(2021~2025年)規画期間を、工業分野のグリーン低炭素転換の実現に向けカギを握る期間と位置付け、汚染や二酸化炭素(CO2)排出量の削減、エネルギー資源の高効率利用に全面的に取り組むとしている。規画が提示した、2025年までの5年間で達成を目指す主要目標は以下のとおり。

  • 工業生産付加価値額当たりのCO2排出量を18%削減。
  • 重点産業の主要汚染物排出強度を10%低下。
  • 一定規模以上の工業企業(注)の付加価値額当たりのエネルギー消費量を13.5%低下。
  • 工業固体廃棄物の総合利用率を57%に、主な再生資源回収利用量を4億8,000万トンにそれぞれ引き上げ。工業生産付加価値額当たりの水消費量を16%削減。
  • グリーン環境保護産業の生産規模を11兆元(約198兆円、1元=約18円)に拡大。

重点産業のピークアウト実現に向け、ロードマップを策定へ

規画では、工業分野でのカーボンピークアウトに向けた取り組みを具体的に進めるべく、鉄鋼、石油化学、非鉄金属、建材などの重点産業について、ピークアウト実現に向けたロードマップを策定するとしている。加えて、鉄鋼、セメント、板ガラス、電解アルミニウムなどの産業では生産能力の(より高度な設備などへの)置換を厳格に執行することや、尿素、リン酸アンモニウム、炭化カルシウム、カセイソーダ、黄リンなどは、生産能力の拡大を厳しくコントロールし、新規プロジェクトの生産能力は現在と同等もしくはそれ以下とすることをうたっている。さらに、環境保護、エネルギーや水消費などの規制を強化し、法規制に基づき、立ち遅れた生産能力の淘汰を進めるとしている。

このほか、クリーンエネルギーの比率を高めるべく、水素エネルギー、バイオ燃料、廃棄物由来燃料などの代替エネルギーの、鉄鋼、セメント、化学工業など分野への応用を奨励している。また、企業などに対する省エネ診断を実施するなど、省エネに向けた企業側の取り組みをサポートする内容も盛り込まれた。

使用済みの太陽光発電、風力発電設備、海洋開発関連機器など、再生資源活用に向けて導入された設備などが新たな固形廃棄物を生んでいる状況も踏まえ、再生資源の循環利用などに向けても、全体計画を策定するとしている。

(注)その年の主な業務による売上高が2,000万元以上の工業企業。

(高橋大輔)

(中国)

ビジネス短信 ff28a059917b9d7f