ジャカルタ特別州の最低賃金、2023年は5.6%増

(インドネシア)

ジャカルタ発

2022年12月01日

インドネシアの2023年の州別最低賃金(UMP)が11月28日に発表された。首都ジャカルタ特別州の最低賃金は月額490万1,798ルピア(約4万4,116円、1ルピア=約0.009円。2022年比5.6%増)とされている。CNNインドネシアによると、イダ・ファウジア労働相は「11月29日時点では、全国37州のうち33州で最低賃金が決定。平均上昇率は7.5%増だ」と述べた。これらの州は、いずれも労相規定(2022年第18号)に基づいて決定されたという(「CNNインドネシア」11月29日)。

インドネシアの最低賃金は(1)州別最低賃金(UMP)と(2)県・市別最低賃金(UMK)の2つが定められており、最低賃金の適用においては最小行政単位のものが優先される。例えば、西ジャワ州ブカシ県ブカシ市ではブカシ「市」のUMKが適用されるが、ジャカルタ特別州は「県・市」の単位で設定がないため、州の最低賃金であるUMPを適用する。また、最低賃金の決定にあたっては各地域の州知事がまずUMPを決定、次にUMKを決定するとされており、労相規定第18号によりUMPの決定は11月28日まで、UMKの決定は12月7日までとされていた。

なお、同発表に対しては、労使双方が不服を示している。経営者側では、インドネシア経営者協会(Apindo)など10団体が11月28日、2023年の最低賃金に関する2022年11月16日付の労相規定(2022年第18号)について、最高裁判所に不服申し立てを行った。労相規定(2022年第18号)は「上位規定である雇用創出法(2020年11号)とその細則である政令(2021年第36号)に違反している」と主張するとともに、政令(2021年第36号)は労相に対する最低賃金の決定権を認めていないと非難した(「コンパス」11月29日)。

一方、インドネシア労働組合総連合(KSPI)は、11月28日に発表された各地の2023年最低賃金に関し、労組側が求める水準である前年比10~13%増を下回っていると批判。「要求が聞き入れられなければ、各地で10~13%増を要求する大規模なデモが行われるだろう」と述べた(「コンタン」紙11月29日)。

(八木沼洋文)

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