消費財の輸入関税率を引き下げ、12月1日から適用-対象は食品や医薬品など187品目-

(中国)

中国北アジア課

2017年12月06日

財政部は11月24日、消費財の輸入関税率の引き下げを発表した。引き下げの対象は食品、医薬品、衣類など187品目に及び、12月1日から適用された。

粉ミルクや紙おむつの関税率が0%に

中国財政部は11月24日、消費財輸入関税率の引き下げを発表した。これにより、食品や医薬品、衣類、娯楽製品などの消費財187品目の関税が引き下げられた。引き下げの対象となった品目は「部分消費財輸入暫定税率調整表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」(以下、リスト)に記載されている。対象187品目の平均関税率は17.3%だったが、今回の引き下げにより7.7%となった。

このリストの中には、中国人消費者に人気の製品が多数含まれており、粉ミルクの関税率は20%から0%に、乳幼児用紙おむつは7.5%から0%に、香水などの化粧品は10%から5%に引き下げられた。引き下げ幅が最も大きかったのは「ベルモットその他のぶどう酒(2リットル以下の容器入り)」(HS220510)で、従来65%だった関税率が14%と、51ポイント下がった。

財政部の発表によると、今回の関税率引き下げは「消費需要が旺盛で、国民の日常生活と密接に関係があり、国内で一時的に供給できなくなっている高品質な商品や特色のある商品」を対象にしており、「国内での消費活動における選択肢を増やし、国内の供給システムをモデルチェンジ、レベルアップすること」が目的だとしている。

今回の引き下げにより、中国への消費財の輸出が有利になるとみられる。一方、海外の商品を中国で手に入れやすくなるため、中国人消費者の海外での購買行動に変化が起こり、「爆買い」が控えめになることも予想される。

オーストラリアの資産運用会社AMPキャピタル・インベスターズのシェーン・オリバー投資戦略部長は「関税率の引き下げには3つの狙いがある。(1)中国国内での消費を促進すること、(2)中国経済を拡大することで経済を再構築すること、(3)世界、特に米国に対して国際貿易の促進に積極的に関わっていくというシグナルを発信することだ」としている(ブルームバーグ11月24日)。

今後も関税率が引き下げられる可能性を示唆

今回の発表において、中国政府は「2015年から、国民のレベルアップする消費需要を満たすため、国民の生活に密接に関わる一般消費財の輸入を増加させてきた」としており、そのための関税率引き下げは今回が4度目となる。財政部の責任者が新華社の取材に答えたところによると、3度目までは、中国人が中国国外で購買意欲を示すもののうち、関税率が比較的高いものを対象として行われており、2017年11月までに152品目の消費財について暫定税率の適用による関税率引き下げが行われた。同措置による関税率の平均下げ幅は約50ポイントとなった。今回を含む関税率引き下げ対象品目の輸入額は年間236億ドルに上るという。この責任者は「既に引き下げが実施されている一部商品については再度、適切な引き下げや、引き下げ適用範囲の拡大を行う」としており、今後もさまざまな商品の関税率が引き下げられる可能性を示唆している。

(楢橋広基)

(中国)

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