「一人っ子政策」廃止で山東省が関連条例を修正

(中国)

青島発

2016年03月15日

 1970年代後半から行われてきた中国の「一人っ子政策」は、2015年12月に廃止が決定され、子供2人の出産が認められることとなった。これに伴い、山東省においても関連条例が修正され、結婚休暇、出産休暇、育児休暇、一人っ子夫婦への奨励などの規定に変更が加えられた。

<結婚・出産・育児休暇などの規定を変更>

 20151227日の第12回中国全国人民代表大会常務委員会議で、1970年代後半から続いてきた「一人っ子政策」の全面廃止が決定され、「中華人民共和国人口・計画出産法」の修正案が可決(201611日施行)、同法第18条で子供2人の出産が認められることになった。山東省でもこれに対応し「山東省人口・計画出産条例」を修正し(2016122日施行、以下、旧「条例」および修正「条例」と略す)、結婚休暇、出産休暇、育児休暇、一人っ子夫婦への報奨などの規定に変更を加えた。

 

 旧「条例」では、男女両方が晩婚の場合(男性25歳以上、女性23歳以上で共に初婚の場合)、国家が定める3日以内の結婚休暇以外に14日の結婚休暇が追加で認められていたが、修正「条例」ではこの条項が削除された。従って、修正「条例」が施行される2016122日以降に結婚する場合は、国家が定める結婚休暇のみとなった。

 

<出産や育児休暇の日数が大幅に増加も>

 旧「条例」では、女性が晩産(23歳以上)で1人目の出産の場合、国家が定める出産休暇である98日以外に追加で60日の出産休暇、および男性の7日の育児休暇が認められていた。修正「条例」では、女性晩産の制限を削除したため、追加の60日の出産休暇と男性の7日の育児休暇は、子供の人数にかかわらず法律法令の規定に適合していれば、全ての場合に認められることになった。この結果、今後、企業の従業員の出産休暇や育児休暇の日数が大幅に増えることも予想される。

 

<「一人っ子父母光栄証」は交付されず>

 旧「条例」では、子供が1人のみで自由意思で2人目を出産しない夫婦には、「一人っ子父母光栄証」が交付され、子供が14歳になるまで毎月10元を(約180円、1元=約18円)下回らない報奨金を受け取ることができたが、201611日以降は修正「条例」により、上記条件を満たしても「一人っ子父母光栄証」は交付されず、また報奨金も支給されないことになった。一方、既に「一人っ子父母光栄証」を交付されている夫婦には、報奨金の支給期間を子供が14歳になるまでから18歳になるまでとし、4年間延長した。また旧「条例」では、「一人っ子父母光栄証」を取得した後に2人目を出産した場合は、既に支給済みの報奨金を返還する義務があったが、修正「条例」では報奨金の返還の規定は削除された。

 

(岩渕茂)

(中国)

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