HKTDC、中小企業向けセミナーで貿易摩擦への対応策示す

(香港)

香港発

2018年07月30日

香港の貿易促進機関である香港貿易発展局(HKTDC)は7月18日、米中貿易摩擦への対応策に関する在香港中小企業向けの実務セミナーを開催した。

HKTDC研究部の関家明ディレクターは、「HKTDCの調査によれば、2018年第1四半期の時点で『貿易摩擦の影響を懸念する』と回答した香港企業の割合は全体の26%にすぎなかったが、第2四半期には43%に上昇した」と述べた上で、最悪のケースも想定しつつ、早めの策を講じる必要があると強調した。

国際貿易を専門とするサンドラー・トラビス&ローゼンバーグ法律事務所の彭郁竹アジア太平洋地区リーダーおよび荘承媚シニアマネジャーは、米中貿易摩擦の影響を最小限に抑える策として、次の4つの対応策を提示した(詳細は添資料参照)。

  1. 1962年通商拡大法232条(以下、232条)および1974年通商法301条に基づく関税賦課に係る「適用免除」の申請
  2. 製品構造の調整
  3. 原産地の変更
  4. 「ファーストセール」スキームの活用

このほか、香港の輸出信用機関である香港出口信用保険局〔日本貿易保険(NEXI)に相当〕の関月儀シニアマネジャーは、「信用保険局は、米中貿易摩擦の激化に向けた香港の輸出事業者、特に中小企業向けの特別支援策として、(1)バイヤーの無料信用調査(無料調査枠を3件から6件に拡大)、(2)出荷前追加保険の無料提供(注1)、(3)無料のセミナーおよび相談会を実施している」と述べ、これらサービスの利用を促した(注2)。

(注1)米中貿易摩擦の影響を受けた、年間売上高が5,000万香港ドル(約7億円、1香港ドル=約14円)以下の香港の輸出事業者を対象とし、貨物出荷前にバイヤーが契約を解除した、あるいは債務不履行に陥った際に、保険加入者に対して保険金を支払うスキーム。保険加入者が契約上の義務を履行し、保険証書に記載された条件を順守していることが保険金の支払条件となる。

(注2)上記(1)および(2)のサービスは2018年12月31日まで提供している。

(吉田和仁、カレン・カン)

(香港)

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