増値税の普通発票への記載事項が厳格化-納税者識別番号もしくは統一社会信用番号が必要に-

(中国)

北京発

2017年08月03日

国家税務総局は5月に「増値税発票発行に関する問題の公告」(国家税務総局公告2017年第16号)を発表した。これにより、7月1日から増値税(付加価値税)法上の売り上げを認識する証票の「発票」の1つである増値税普通発票への記載事項が厳格化された。規定に反する発票は、税務上の証票として利用してはならないとされている。

納税者識別番号などの社内周知を

公告の主な内容は以下の2点だ。

(1)購買者(取引における買い主。発票の受領者)が企業である場合、販売者(取引における売り主。発票の発行者)に増値税普通発票の発行を求める際には、納税者識別番号または統一社会信用番号を提示しなくてはならない。販売者は、購買者に増値税普通発票を発行する際、「購買者納税者識別番号」欄に購買者の納税者識別番号または統一社会信用番号を記入しなくてはならない。規定に反する発票は、税収証票にはならない。

(2)販売者が増値税発票を発行する場合、実際の販売状況と一致した内容にしなければならず、実際の取引と異なってはならない。

増値税の発票には、専用発票と普通発票の2種類がある。仕入れ税額控除が認められる専用発票は使用者の税務メリットがより大きい。不正利用防止のため、税務局で受け取ることができる発票用紙の枚数や上限額に制約があり、以前から厳しく管理されてきた。これに比べると普通発票は管理が甘かったが、今回の公告により、税金計算や税金還付などの税務関連業務の証票として普通発票を利用するには、発票受領者の納税者識別番号(もしくは統一社会信用番号)の記載が必要となった。

駐在員や従業員が経費支出の際、増値税普通発票の発行を販売者に求めることは日常的に起こり得る。控除に使用し得る「規定に従った発票」を入手できるよう、正式な企業名称に加え、納税者識別番号(もしくは統一社会信用番号)を社内で周知しておくとよい。

デロイト北京日系企業税務サービスグループの浦野卓矢ディレクターは、規定に反する発票を入手した場合、次のような影響が生じ得るとしている。

○企業所得税の計算上、関連支出を損金算入できない。

○免税となる農産品を購入する場合、関連支出で仕入れ控除額を計算できない。

○差額課税の増値税処理法に基づき増値税課税額を計算する際、収入額から関連支出を控除できない。

企業の対応として、浦野ディレクターは「購買側は増値税普通発票を求める際、納税者識別番号または統一社会信用番号を提示し、その場で情報の正確性を確認すること。販売側は、販売に関する品目および販売システムの更新を常に内部で検査し、税務局の要求と一致させること」に留意が必要だとしている。

(日向裕弥)

(中国)

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