米国大使館、テルアビブからエルサレムに移転

(イスラエル、米国)

テルアビブ発

2018年05月16日

イスラエルの米国大使館が5月14日、エルサレムに移転し、同日夕、開所セレモニーが行われた。ネタニヤフ首相と、米国側はムニューシン米財務長官とサリバン米国務副長官、トランプ大統領の娘で大統領補佐官のイバンカ・トランプ氏やクシュナー上級顧問らが出席した。トランプ大統領は式には出席しなかったが、ビデオで祝福メッセージを送った。

首都認定宣言から5カ月で移転

2017年12月6日にトランプ大統領が「エルサレムをイスラエルの首都」と認定する宣言をしてからわずか5カ月で、エルサレムの米国総領事館の一部を改装し、暫定的に大使館の機能を置くかたちで移転が完了した。

当地メディアの多くは、米国大使館のエルサレム移転より、ガザ地区における激しいデモを報道した。5月14日だけで50人以上の死者、2,000人超の負傷者が出たもようだ。ヨルダン川西岸でも、ラマッラを中心に抗議活動が繰り広げられた。エルサレム旧市街のムスリム地区では、ユダヤ人による行進が行われ衝突が発生するなど、各地で大荒れの様相を呈した。

大使館移転に追随する国も

現地では、5月13日午前に米国大使館のエルサレム移転について閣議外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが開催された。通常この閣議は毎週日曜日の朝にクネセット(国会)内にて開催されているが、今回は1967年の中東戦争でイスラエルがエルサレム旧市街を取り戻した「エルサレム・デー」にちなんで、市内にある「聖書の土地博物館」で行われた。閣議には主要閣僚のほか、エルサレム市長が参加した。

レセプションに33カ国の大使が出席

また13日午後には、イスラエル外務省と首相府が主催した米国大使館移転を祝うレセプションが、イスラエル外務省内で行われた。ネタニヤフ首相や米国代表団250人、EUから4カ国(ルーマニア、チェコ、ハンガリー、オーストリア)、またその他29カ国(ジョージア、タイ、エチオピア、グアテマラ、パラグアイ、タンザニアなど)から計33人の大使が出席した。なお、現在イスラエルには82の在外公館がある。

米国以外の国では、グアテマラ、パラグアイがエルサレムに大使館を移転すると発表したほか、欧州でもチェコ、ルーマニアなどで移転の動きがある。チェコではゼマン大統領が、ルーマニアでは与党・社会民主党党首のドラグネア下院議長が大使館移転に向けた意向を表明している。

(余田知弘)

(イスラエル、米国)

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