政府は沖合での新たな石油・ガス開発を認めない方針

(ニュージーランド)

オークランド発

2018年04月18日

労働党連立政権のジャシンダ・アーダーン首相とミーガン・ウッズ・エネルギー資源相は4月12日、「気候変動下における、持続可能な未来への一歩として、ニュージーランドで沖合での新たな石油・ガス開発は今後認めない」という方針を発表した(注1)。

政府は、2050年までにゼロカーボンエコノミーの達成、また2035年までに100%再生可能エネルギー利用を目指している。そのため、環境分野の専門家から成る、独立した気候委員会を設置する(注2)。

今回の発表は、そうした観点で「脱化石燃料」と「クリーンエネルギーの推進」に向けた方向性を示したものといえる。実際、政府の報告PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると2016年のニュージーランドの再生可能エネルギーの比率は84.8%を占めている。

引き続き開発が認められる案件も

他方、政府は「急激な変化を望むものではない」として、既に認可を得ている57の石油・ガス開発計画は予定どおり執行できることを約束した。また、開発が許可された地域で新たな石油・ガスが発見された場合も、開発は認められる見通しだ。こうした理由から政府は、中には2050年まで続く資源開発プロジェクトもあると見込んでいる。

ただ、既に進行しているタラナキ地区での資源開発については、今後3年以内に計画を見直すと発表した(注3)。タラナキ地区では政府の基金が、脱化石燃料に向けた新エネルギー開発プロジェクトへの支援として、2,000万ニュージーランド・ドル(約15億8,000万円、NZドル、1NZドル=約79円)の投資を予定している。政府は、将来の脱化石燃料への移行を見越しながら、現地の雇用や産業、地域コミュニティーを守っていきたい考えだ。

最大野党である国民党のジュディス・コリンズ議員は、「与党の方針は、1万人の雇用を削減するほか、むしろ炭素排出量を増加させる可能性がある」と反対している。同議員は、天然ガスが、国内電力供給の16%を占める重要な燃料源であること、また石炭より40%、ガソリンより25%も炭素排出量が少ないことを指摘している。

(注1)沖合での石油・ガス開発を認めない方針については、NS政府の公式ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認可能。

(注2)ゼロカーボンエコノミーとは、温暖化防止のため、二酸化炭素の放出量の100%削減を目指す経済社会の総称。

(注3)タラナキ地区は、ニュージーランドの北島西海岸に位置する

(奥貴史)

(ニュージーランド)

ビジネス短信 5d08700beb178da1