認証方法には適合証明と適合申告の2種類−関税同盟の規格認証制度(2)−

(ベラルーシ、カザフスタン、ロシア)

モスクワ事務所

2014年06月26日

2012年から段階的に運用が開始されている関税同盟技術規則に基づく適合評価(認証)方法には、適合証明と適合申告の2種類がある。関税同盟域内で同技術規則の対象商品を流通させる際には、いずれかの方法に基づく適合証明書を取得し、商品に認証取得済みマークを表示する必要がある。連載の後編は、関税同盟技術規則の適合証明書取得手続きについて。

<製品の生産形態で異なる証明書取得手続き>
2012年2月15日から運用されている関税同盟技術規則に基づく適合評価(認証)の標準的な手続きは2011年4月7日付関税同盟委員会決定第621号で規定されている。認証の方法には適合証明(認証機関が同技術規則への適合を証明)と適合申告(申請者が同技術規則への適合を申告)の2種類がある。

対象が継続的に生産される製品(大量生産品)、ロットごとに生産される製品(ロット生産品)、単品製品のいずれの生産形態かによって証明書取得手続きの方法が異なる。適合証明あるいは適合申告のいずれの方法で証明書取得が必要かについては各技術規則の中で規定されている。一方、大量生産品、ロット生産品、単品製品のいずれの形態で認証するかについては申請者の判断に委ねられている。

適合証明の手続きの方法には計9種類あり、大量生産品の場合が状況に応じて6種類、ロット生産品および単品製品の場合が3種類ある。大量生産品の証明書取得の場合、認証機関が生産状況の分析とISOマネジメントシステムの認証を行う必要性があるため、認証機関の専門家による工場の実地検査が実施されることがあるが、証明書の有効期間中(通常5年以下)は、数量に制限なく、かつどの輸入業者でも当該証明書のコピーを提示することで輸入できる。一方、ロット生産品および単品製品の場合、通常は製品サンプルの検査で証明書が発行されるが、証明書の有効期間は、通常、最終製品が販売されるまでとなる。

また、適合申告の場合、申請者が独自の証拠に基づき適合申告する場合と、認証機関や認定を受けた試験所が関与して得られた証拠に基づき申請者が適合申告する場合とで証明書取得手続きが異なっている。適合申告の手続き方法には計6種類あり、大量生産品の場合が状況に応じて4種類、ロット生産品および単品製品の場合が2種類ある。

<流通商品には認証取得済みマークを表示>
前述のように、適合証明あるいは適合申告を行う際には、認証機関あるいは試験所(センター)に各種検査を依頼する必要がある。ユーラシア経済委員会のウェブサイトに認証機関あるいは試験所の統一登録簿が掲載されており、当該登録簿に掲載されている機関から検査を依頼する分野に応じて適当な機関を選定することになる。2014年6月16日時点で、同登録簿に掲載されている認証機関は821(ロシア709、ベラルーシ46、カザフスタン66)、試験所は1,731(ロシア1,369、ベラルーシ197、カザフスタン165)となっている。

なお、関税同盟技術規則に基づく認証取得済みのマーク(EACマーク)あるいは同マークの表示方法については、2011年7月15日付関税同盟委員会決定第711号および2012年7月20日付ユーラシア経済委員会評議会決定第61号で規定されており、関税同盟域内での商品流通前に当該商品に同マークを表示する必要がある。

(宮川嵩浩)

(ロシア・ベラルーシ・カザフスタン)

技術規則は34分野が策定済み−関税同盟の規格認証制度(1)−

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